ソフトウェアエンジニアが労働について情報発信するブログ

ブラック労働からホワイト労働まで経験したソフトウェアエンジニアが世の中にとって役立つことを情報発信していく。

業務の準備・片付けも「労働時間」に含まれる。「労働時間」外とするのは違法だ!

業務の準備・片付けは業務時間に含まれないと解釈している人は多いのではないだろうか?

実はこの準備・片付けが業務上義務付けられている場合は、労働時間とみなされるのだが、この法的解釈が意外に知られていない。

この記事では、業務の準備・片付けについての解釈と、実態との乖離について書こうと思う。

1.「労働時間」の定義を確認

労働時間に当たるかどうか決める3要素として、以下のものが挙げられる。

  1. 法令、就業規則等に決められているか?
  2. 業務の遂行上必要不可欠なものかどうか?
  3. 使用者の指示があったかどうか?

引用元
sharou4.com

労働基準法には「これが労働時間の定義である。」というものは存在しない。しかし、判例により示されている。

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいう。労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと判断できるか否かによって、客観的に決まる。

実作業前後の準備行為の時間は、準備行為が義務付けられている場合や、これを余儀なくされている場合は、特段の事情が無い限り、労働時間として扱われる。

裁判では、使用者に義務付けられているか否か、実作業前後の準備行為を必要とする理由・程度の観点から、個別に判断される。

2.作業服着用を義務付けている職場における着替え時間は労働時間に含む

前章の内容より、業務のために、始業前の準備、終業後の片付けを、使用者によって義務づけられている場合や現実に不可欠である場合には、指揮命令下に置かれたものとされ、労働基準法上の労働時間に該当すると判断される。

その一例として、作業服着用を義務付けている職場における着替え時間がある。具体的には、

  • 始業開始前、更衣所において作業服及び保護具等を装着し作業場まで移動する行為
  • 終業時刻後、作業場から更衣室等まで移動し、作業服及び保護具を脱離する行為

である。これらは、労働者が就業を命じられた業務の準備行為と認めて、これを労働基準法上の労働時間としている判例がある。

使用者から義務付けられた作業服や保護具の着脱等に要した時間については、労働者が就業を命じられた業務の準備行為であり、使用者の指揮命令下に置かれたものとされ、これを労働基準法上の労働時間としている。

3.「勤怠上の終業時刻と事業所の退場時刻は違って当たり前」というおかしな常識

私は元々IT企業にエンジニアとして勤めていた頃、あるプロジェクトで顧客先の大手メーカーで常駐しており、当該顧客先でソフトウェア開発業務に携わっていた。この顧客先では、顧客先の作業服の着用が義務付けられており、始業前と終業後には事業所内の更衣室で着替えを行っていた。

当初私自身、この作業服の着替え時間が労働時間に含まれているものとは知らず、

「直接作業していないため、労働時間に含まれていなくて当然」

と考えており、何一つ違和感なく過ごしていた。

また、例えばパソコンを使用する業務で始業時刻が9:00ならば、

「9:00にはパソコンの起動が完了しており、業務を開始できる状態にしておく」

というのが当然というのが私の感覚であった。はっきりと覚えてはいないが、どこかでそのように教わったのだろう。

この事業所では、事業所入り口にセキュリティカードを通す設備が設置されている。この設備は、セキュリティーカードを通した時刻(事業所の退場時刻)は自動で記憶するのだが、これとは別に各作業者の勤怠(特に残業時間を含む終業時刻)については手動で入力しなければならない。

ある時、この『終業時刻』と『退場時刻』が一致していることについて、常駐先企業内にて注意喚起があり、その内容が従業員に展開された。

  • 「勤怠上の終業時刻と事業所の退場時刻が同じであることはおかしい。」
  • 「終業時刻から退場時刻までの間、着替えの時間があることを考慮すると、退場時刻まで業務をしていないにも関わらず、業務をしたことになっている。」
  • 「終業時刻から退場時刻まで、普通は5~10分くらいの差があるのが自然だ。」

この事業所の上層部は、作業服の着用が義務付けられている職場において、着替え時間が労働時間に含まれていない前提で周知している

これまで解説で述べてきたように、上述の事例は労働時間に含まれるべきなのである。従って、この事業所内の従業員に展開された注意喚起は間違っており、違法行為を強要していることになるのである。

しかし、実態は使用者も大半の従業員も知らないケースがほとんどであろう。

4.単独ではインパクトが小さくとも他にも違法行為があるかも知れない

本記事で挙げた、作業服の着用が義務付けられている職場での作業服の着替え時間だけなら5~10分程度のものであり、本来労働時間に含まれるべきであるが、労働時間に含まれていなくとも、この件単独ならインパクトは小さいだろう。

また、前述したとおり大半の従業員がこのことを知らず、またはいちいち目くじらを立てて訴える人は少数派かも知れない。

重要なのは、このようなことをしている企業は
他にも労働基準法違反などの違法行為がある可能性がある
ということである。

実際、前章に挙げた事業所の例では、他にも偽装請負も行われている。パワハラも見受けられる。
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com

この事業所と同一企業の別事業所では、長時間労働パワハラといった労務トラブル、製品出荷時の検査の不正および長年に渡っての隠蔽といった不祥事もあり、ニュースで報道されている。

このような実態を踏まえると、「小さいことだから見過ごす」のではなく、「大きな不祥事が起きる予兆」として捉えなければならない。

正しい労務知識を身につけ、正しく実践し、運用し、それが当たり前となることを願ってやまない。それ以外にも、あなた自身が知識を身に付けることで、まともな企業か否かの見極めに活用してほしい。

労働トラブルにフォーカスを当てた資格は、私自身これまでにあまり見たことがありません。「労働トラブル相談士」資格は、経営者、管理職、人事担当者、コンプライアンス研修担当者に限らず、全労働者が知っておいた方が良い知識であり、また現在ブラック労働環境に在職している方には必須の内容と言えます。

この資格を取得するためには、認定講座を受講していただく必要があります。受講後の試験に合格した方が資格を取得できます。講座は全てオンラインで受講できます。資格の内容は、人事や労働に関する知識です。就職、労働条件、退職、残業、休職、解雇などの法律や決まり、トラブルに関する知識を得ることができます。

ブラック企業対策のノウハウを知りたい」

このような方は是非、「労働トラブル相談士」資格取得をご検討されてみてはいかがでしょうか?

また、労働法規を守るのは当たり前でありながらも、実態はなかなか守られていないケースが多い中で、しっかり守られていると、世間からはホワイト企業としてのイメージが高まり、企業にとってもアドバンテージになる。そのような企業が消費者からも労働者からも選ばれるべきであり、消費者も労働者もそのような企業を選ぶべきである。労働者は、違法状態を放置している企業に使われるようなことがあってはいけないし、労働者と会社が対等な力関係にするためにも、転職、副業、フリーランス等いざというときに備えて手段を持っておくべきだ。

IT・Web系を専門とする『レバテックキャリア』は、2021年1月時点でサービス利用者数20万人突破し、年収アップ率7割を超える実績を持つ、「ITエンジニアが利用したい転職エージェント」として知られるエージェントです。高い専門性を持つアドバイザーがキャリアの選択肢を洗い出し、5000件以上のハイクラス求人の中からご登録者様のパーソナリティや志向性に沿い、まだ出会えていない理想の求人のご提案が受けられます。取り扱い企業も、大手IT企業からWeb系企業、スタートアップまでを幅広く網羅しております。IT/Web系エンジニアの経験者の方にとっては、是非登録しておきたいエージェントです。



プログラミングやWebデザインを習得して、副業を始めたい方、フリーランスを目指したい方、転職して給料アップを目指したい方は必見。日本で初めてマンツーマンでのプログラミング指導を導入したプログラミング塾が、"SAMURAI ENGINEER"(侍エンジニア)です。専属のインストラクターとの対面かZoomなどでレッスンを通じてプログラミングやWebデザインのスキルを身につけて頂き、就職や転職、案件の獲得の方法などをマンツーマンでサポートします。

入学から卒業まで受講生に専属の講師が付き、一人一人の目的に合わせたオーダーメイドカリキュラムに対応するのみならず、転職、就職、案件獲得までサポート!
オンラインが基本であるため地方在住の方でも安心して受講いただけます。あなたの人生を変える一歩を踏み出してみませんか!


フリーランスで働きたいエンジニアやデザイナーはこちら!

独立したい。業務委託で働きたい。そのようなフリーランスのための求人サービスです。上場企業のクラウドワークスが運営するので安心。報酬額、職種、スキルなど、ワーカーの希望を専属キャリアサポーターが伺い、登録社数約14万社のなかから最適なお仕事をご提案いただけます。支払いは最短で15日後。さらに社会保障や福利厚生も充実。ケガや病気で、収入が途絶えてしまうリスクもサポート。あらゆる手をつくし、フリーランス個人事業主の働き方を支援いただけます。とても心強い!




そして、いざ企業の違法行為を理由に退職する際に、未払い賃金や損害賠償など、企業の違法行為によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を活用することを視野に入れていただきたい。

トラブルなく確実に退職したい!
会社に対して賠償請求をしたい!

そのような方にお薦めするのは、労働問題専門の弁護士法人が運営する安心・確実な退職代行サービスです。社会労務士および弁護士資格、様々な労働問題に関する知見・ノウハウを有し、法律上のトラブル、未払い金請求、慰謝料請求など、各種請求・交渉に完全対応いただけます!

パワハラ事例解説(22) - 「キャリアカウンセリグ」と称する根性論の刷り込みと洗脳

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例22】「キャリアカウンセリグ」と称する根性論の刷り込みと洗脳

あるIT企業に属する技術者(被害者)は長年特定顧客企業の客先常駐エンジニアとして勤務し、その実績は高く評価されている。この技術者(被害者)がある年、主任クラスへ昇格となった。同時に、この年にプライベートにおいては結婚し、家庭を持つこととなった。

更に、その年にこの技術者(被害者)は会社からの指示で「キャリアカウンセリング」を受けることとなった。

この「キャリアカウンセリング」のカウンセラーは、(同年代の社外のカウンセリング専門企業とかではなく)このIT企業のグループ会社に所属する70歳手前の方だった。

この技術者(被害者)は、今後仕事と家庭をバランスよく両立し、健康的な生活をしたいと考えていた。

そのことを知ったカウンセラー(加害者)は、IT業界およびこのIT企業でやっていく厳しさを伝えたい意図があり、技術者(被害者)に言った内容が次のようなものである。

(a)「当社においてこれからも健康でやっていこうなどと、言ってはいけない!」
(b)「これからマネージャや管理職になると、業務は山のようにあるぞ!」
(c)「深夜残業も当たり前のようにあるぞ!」
(d)「あなたは、これからはもっと当社の考え方で成長しなければならない!」
(e)「これからは効率化の時代だ!」「効率化できない奴は切られるんだよ!」
(f)「但し、本当に健康面に影響が出てきたら、その時は言ってほしい!」

この話は、今から15年ほど前のことである。当時は「ブラック」という言葉も流通していなかったが、日本企業の長時間労働問題は過去から着目されていた。また、カウンセラー(加害者)は70歳手前ということもあり、現役の頃は長時間労働バリバリで、それで経済を発展させてきたプライドをお持ちの方で、その感覚を後世に引き継がせようとしている時代遅れの老害と言えるだろう。

年配・キャリアカウンセラーとしての立場を利用し(①)、技術者(被害者)の業務遂行やキャリアプランにとって有益な情報ではなく、ブラックな根性論で奮い立たせようとして、マウントを取るだけの、業務に必要相当な範囲を超えた言動により(②)、技術者(被害者)のモチベーションを下げる等就労環境を悪化させている(③)ことから、パワハラの定義を満たしている。6類型では、根性論によるアプローチで、相手に不快感を与える(2)「精神的な攻撃」、昔の感覚で苦労することを美徳とした価値観の強要においては(4)「過大な要求」と考えられる。

以下、カウンセラー(加害者)の発言内容をもう少し深く検証する。

(a)「当社においてこれからも健康でやっていこうなどと、言ってはいけない!」
(b)「これからマネージャや管理職になると、業務は山のようにあるぞ!」
(c)「深夜残業も当たり前のようにあるぞ!」

そもそも「キャリアカウンセリング」にあたって、不要な内容である。そして、今現在既に流通している言葉を使うと「ウチは『ブラック』である」と言っているようなものである。特に「健康でやっていく」ことなど、IT企業にかかわらず、どの職種・業種でも求められることであるのに、ここを否定するのは明らかにブラック企業のマインドである。更に、「言ってはいけない!」とあるが、(長時間働かせ都合よく使い潰したい)企業に都合の悪いことを黙らせる傾向がある。本来は「言える体質」であるべきなのだ。

このカウンセラー(加害者)は、IT業界の厳しさを伝えたかった意図であると考えられるが、技術者(被害者)としては既にわかっていることであり、カウンセリングで得たいことでもなかったと思われる。このカウンセリングの内容で、技術者(被害者)に伝わるのは「厳しさ」ではなく「粗悪さ」である。
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com

本来「カウンセリング」とは、分野ごとの専門知識やスキルを持つ「カウンセラー」と相談者との対話によって、相談者が抱える悩みや困りごとを解決に導くプロセスのことである。「カウンセラー」の役割は相談者の話を遮ったり否定することではなく、共感し受け止めることで、相談者の心理的安全性を保ち、相談者が問題解決に対する気付きを得て、前向きに捉えるよう導かなければならない。

更に「キャリアカウンセリング」とは、相談者個人にとって望ましいキャリア開発を支援するプロセスのことである。

この例におけるカウンセラー(加害者)の行いは、カウンセリングではなく、単なる根性論の刷り込みである。

(d)「あなたは、これからはもっと当社の考え方で成長しなければならない!」

上述した通り、この技術者(被害者)は長年特定顧客企業の客先常駐エンジニアとして勤務しているため、どうしても自社への帰属意識が薄くなりがちである。そこで帰属意識を高める意図での発言であったと思われるが、既出のブラックな根性論を踏まえると、

「あなたの価値観を、会社に合わせろ」

という、カウンセラー(加害者)による洗脳であると考えられる。今現在においては、多様化する価値観への対応ができない企業は淘汰される時代にある。

(e)「これからは効率化の時代だ!」「効率化できない奴は切られるんだよ!」

前半(「これからは効率化の時代だ!」)について、これ単独での言い分は正しい。しかし、業務量や求める質、納期が変わらず、「効率化」「時短」等の号令のみが頻繁に飛び交うと、職場の雰囲気は疲弊する一方である。これをジタハラ(時短ハラスメント)」という。近年、働き方改革の流れで「効率化」「時短」は叫ばれるのは良いが、このような号令のみならず、残業なしでも儲かるビジネスの構築、絶対的に多い業務量の削減、自動化、無駄な業務の排除、不良顧客との取引停止、長時間労働・努力・気合・根性を美徳とする職場風土の変革等、「効率化」「時短」を実現するための「前段」とセットで実現していかなければならない。

後半(「効率化できない奴は切られるんだよ!」)については、「切られる」の意味が「クビになる」・「解雇される」の意味だと、これは日本の法律や判例から簡単にできないのが現実であるため、当該社員とよく向き合う必要がある。
o08usyu7231.hatenablog.com

(f)「但し、本当に健康面に影響が出てきたら、その時は言ってほしい!」

これまで、散々なブラック発言が目立つなかで、「まともだ!」と感じる人もおられるだろう。しかし、健康面に影響が出てからでは遅いのだ。そうなる前に手を打つ未然防止こそが、上司や管理職の役目である。この言葉を逆手に取ると、

「健康面に影響が出るギリギリ一杯まで働かせて、従業員を使い潰します。」

と言っているようなものである。やはりブラックな思考と言えるだろう。


この例を見てもわかる通り、「おかしい」ことに気づく必要がある。会社の考え方に洗脳されると、それが「おかしい」ことに気づかなくなる。本事例の「キャリアカウンセリング」においても、

「カウンセラーは長年の経験で長時間労働に耐え実績を残されているし、志がとても高い。だから、この人の言うことを聞き従わなければならない。」

などとなってしまいそうである。そうならないためにも、普段から世間一般を見て知見を身に付け、「粗悪さ」に巻き込まれないようにしていただきたい。

【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com

大手・優良企業を中心に常時豊富な求人情報を掲載している転職サイトはこちら! 非公開求人を含む約10万件の求人を掲載しており、職種、年齢、経験を問わず、幅広い方々にご利用いただいています。専門スタッフがキャリアカウンセリング、企業へのエントリー、選考結果のお知らせ、面接日程の調整など内定までをトータルでサポートいただけるため、ご利用を検討されてはいかがでしょうか?



ブラック企業から脱出したい」という方々に、登録をお勧めしたい転職エージェントです。ブラック企業を除外し、約1万社以上の中から求職者に合った優良企業のみをご紹介いただけ、書類の添削からお手伝いしていただけます。若手の方に安心してご利用いただけます。



プログラミングやWebデザインを習得して、副業を始めたい方、フリーランスを目指したい方、転職して給料アップを目指したい方は必見。日本で初めてマンツーマンでのプログラミング指導を導入したプログラミング塾が、"SAMURAI ENGINEER"(侍エンジニア)です。専属のインストラクターとの対面かZoomなどでレッスンを通じてプログラミングやWebデザインのスキルを身につけて頂き、就職や転職、案件の獲得の方法などをマンツーマンでサポートします。

入学から卒業まで受講生に専属の講師が付き、一人一人の目的に合わせたオーダーメイドカリキュラムに対応するのみならず、転職、就職、案件獲得までサポート!
オンラインが基本であるため地方在住の方でも安心して受講いただけます。あなたの人生を変える一歩を踏み出してみませんか!


いざというときの退職も安心!

そして準備が整った後、いざパワハラ被害を理由に退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。

トラブルなく確実に退職したい!
会社に対して賠償請求をしたい!

そのような方にお薦めするのは、労働問題専門の弁護士法人が運営する安心・確実な退職代行サービスです。社会労務士および弁護士資格、様々な労働問題に関する知見・ノウハウを有し、法律上のトラブル、未払い金請求、慰謝料請求など、各種請求・交渉に完全対応いただけます!

「退職代行ガーディアン」は、東京都労働委員会認証の法適合の法人格を有する合同労働組合です。退職代行という労働問題において一般法人(株式会社など)と弁護士の強みを持つ存在で、【簡単/低価格/確実】を合法的に可能としてます。

一般法人の退職代行による企業との代理交渉は、弁護士法72条違反となるため、実現できません。企業側も違法退職代行対策が進んでおり、大手退職代行でも実は危ないと言わざるを得ません。弁護士に依頼する場合は、法適合の面では優位性はあるものの、一般的に高額で手続きが面倒です。

収入が少ない若年層の方々にとって、まず低費用、そして、簡単で確実に退職できることが最大のニーズであり、「退職代行ガーディアン」はスムーズな退職実現に向けて支援いたします。



パワハラ事例解説(21) - 「お前SEやろ!」余計な一言

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例21】「お前SEやろ!」余計な一言

ある技術者(被害者)は、これまで特定の客先常駐現場で長年プロジェクトに携わり、優秀な実績を収め、客先から高い評価を受けてきた。ある時、この技術者は作業場所と担当業務が変わり、技術者の懸命な努力にも関わらず、新たなプロジェクトに慣れるのに苦労していた。

更に、そのような状況にも関わらず、この技術者(被害者)が属する組織の管理職(加害者)は、この技術者が苦労している新たなプロジェクトとは別に、もう一つプロジェクトを掛け持ちさせようと試みた。管理職(加害者)は、その掛け持ちプロジェクトに必要な技術に関するセミナーを技術者(被害者)に受けさせた。

このセミナーの内容についても、この技術者(被害者)にとっては、これまでとは異なる慣れない分野の技術であり、懸命な努力にも関わらず理解に苦労している様子であった。

ここで管理職(加害者)が、この技術者(被害者)を見て、あたかもあまりスキルが足りていないように捉え、管理職(加害者)が技術者(被害者)に言った内容が次のようなものである。しかも、職場内の周囲に聞こえるようにである。

(a)○○(専門用語)を多用した、いかにも簡単そうな説明。
(b)「お前SEやろ!」
(c)「俺やったら簡単に分かるぞ。」
(d)「内容自体あまり大したことない。」
(e)「このセミナーは、○○万円かかってるんやぞ!」

一見、どこにでもありそうな光景であるが、技術者(被害者)に圧力をかけ、マウントすることで動かそうとするパワハラ体質であり、管理職(加害者)の未熟さが見受けられるケースである。

管理職としての立場を利用し(①)、技術者(被害者)が慣れない技術領域の理解に苦労するところに、技術的な理解には何も貢献しない抽象的な言葉で圧力をかけ、技術者(被害者)を貶める、業務に必要相当な範囲を超えた言動により(②)、技術者(被害者)のモチベーションを下げる等就労環境を悪化させている(③)ことから、パワハラの定義を満たしている。6類型では、根性論によるアプローチであること、管理職(加害者)自身にとってはあまり大した内容ではないとマウントをとることで、相手に不快感やダメージを与える(2)「精神的な攻撃」、ただでさえ不慣れなプロジェクトを抱える技術者(被害者)に対して、更に不慣れなプロジェクトを抱えさせ、円滑に理解が進んで当然といったマインドを押し付ける(4)「過大な要求」が該当する。

以下、管理職(加害者)の発言内容をもう少し深く検証する。

(a)○○(専門用語)を多用した、いかにも簡単そうな説明。
(b)「お前SEやろ!」

SE(システムエンジニア)といっても分野は色々ある。素人から見れば、ITやコンピュータに詳しい人、ITシステムを作り上げる技術者といったイメージがあるのだが、「技術」といっても奥深い。開発で扱う製品も様々であり、製品仕様の複雑さ、過去の背景やしがらみ、技術的な負の遺産など同じエンジニアでも人によって分野ごとの経験に濃淡があるのは当然である。

専門用語を多用したいかにも簡単そうな説明も、説明する側にとっては簡単かもしれないが、聞き手にとってはそうでない場合が少なくないし、相手目線で適切に伝えることができることも説明する人にとっての「スキル」である。難しい専門用語ばかりを並べることが「スキル」ではない。これは「テクハラ(テクニカルハラスメント)」とも関連が深く、それぞれの人が習熟している技術領域や経験に濃淡があるにも関わらず、相手の弱みに付け込みマウントを取るなど、もってのほかであることを忘れてはならない。
o08usyu7231.hatenablog.com

また、この技術者(被害者)は、元々他の開発現場で優秀な実績を収めており、当該開発現場の関係者から信頼され高く評価されている。SE(システムエンジニア)としての姿勢に問題があるわけではない。しかし、この技術者にとって不慣れな技術領域に対して「お前SEやろ!」と言い放ったところで、そんなことは既にわかっており、技術者(被害者)にとっては何の困りごとの解決にもならないどころか、管理職(加害者)のマネジメント能力を疑われることになる。

管理職(加害者)と技術者(被害者)で、経験が全く同じであるはずはないので、技術者(被害者)の不慣れな部分をサポートし、カバーできれば、この技術者(被害者)は大いに貢献してくれる可能性があるのである。パワハラ加害者はこうした可能性をも潰し、職場の生産性を下げるだけである。

(c)「俺やったら簡単に分かるぞ。」
(d)「内容自体あまり大したことない。」
(e)「このセミナーは、○○万円かかってるんやぞ!」

次に、これらの管理職(加害者)の発言も、結局技術者(被害者)に圧力をかけているだけであり、技術者(被害者)にとっては何の困りごとの解決にもならないどころか、管理職(加害者)のマネジメント能力を疑われることになる。管理職(加害者)にとって「簡単」か、「大したことない」かは、技術者(被害者)にとってはどうでも良い内容である。「このセミナーは、○○万円かかっている」ことを伝えて技術者(被害者)を奮い立たせようとしていることもナンセンスである。

重要なのは、技術者(被害者)に十分に向き合い、技術者(被害者)目線で困りごとを解決するといった、「阻害要因の除去」が必要なのである。
o08usyu7231.hatenablog.com

「お前SEやろ!」といった余計な一言を発言することは、技術者(被害者)にとって、業務上の問題を解決するにあたって全く意味が無いものであり、管理職(加害者)が技術者(被害者)を追いつめているだけの愚行であるといえる。

【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com

大手・優良企業を中心に常時豊富な求人情報を掲載している転職サイトはこちら! 非公開求人を含む約10万件の求人を掲載しており、職種、年齢、経験を問わず、幅広い方々にご利用いただいています。専門スタッフがキャリアカウンセリング、企業へのエントリー、選考結果のお知らせ、面接日程の調整など内定までをトータルでサポートいただけるため、ご利用を検討されてはいかがでしょうか?



ブラック企業から脱出したい」という方々に、登録をお勧めしたい転職エージェントです。ブラック企業を除外し、約1万社以上の中から求職者に合った優良企業のみをご紹介いただけ、書類の添削からお手伝いしていただけます。若手の方に安心してご利用いただけます。



プログラミングやWebデザインを習得して、副業を始めたい方、フリーランスを目指したい方、転職して給料アップを目指したい方は必見。日本で初めてマンツーマンでのプログラミング指導を導入したプログラミング塾が、"SAMURAI ENGINEER"(侍エンジニア)です。専属のインストラクターとの対面かZoomなどでレッスンを通じてプログラミングやWebデザインのスキルを身につけて頂き、就職や転職、案件の獲得の方法などをマンツーマンでサポートします。

入学から卒業まで受講生に専属の講師が付き、一人一人の目的に合わせたオーダーメイドカリキュラムに対応するのみならず、転職、就職、案件獲得までサポート!
オンラインが基本であるため地方在住の方でも安心して受講いただけます。あなたの人生を変える一歩を踏み出してみませんか!


いざというときの退職も安心!

そして準備が整った後、いざパワハラ被害を理由に退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。

トラブルなく確実に退職したい!
会社に対して賠償請求をしたい!

そのような方にお薦めするのは、労働問題専門の弁護士法人が運営する安心・確実な退職代行サービスです。社会労務士および弁護士資格、様々な労働問題に関する知見・ノウハウを有し、法律上のトラブル、未払い金請求、慰謝料請求など、各種請求・交渉に完全対応いただけます!

「退職代行ガーディアン」は、東京都労働委員会認証の法適合の法人格を有する合同労働組合です。退職代行という労働問題において一般法人(株式会社など)と弁護士の強みを持つ存在で、【簡単/低価格/確実】を合法的に可能としてます。

一般法人の退職代行による企業との代理交渉は、弁護士法72条違反となるため、実現できません。企業側も違法退職代行対策が進んでおり、大手退職代行でも実は危ないと言わざるを得ません。弁護士に依頼する場合は、法適合の面では優位性はあるものの、一般的に高額で手続きが面倒です。

収入が少ない若年層の方々にとって、まず低費用、そして、簡単で確実に退職できることが最大のニーズであり、「退職代行ガーディアン」はスムーズな退職実現に向けて支援いたします。



「あなたのためを思って言っている」は信用してはいけない

職場では時々、何らかの期待や要求を受け入れさせるために「あなたのためを思って言っている」という言葉を耳にすることがある。

きっと多くの人が言われたという経験があるのではないだろうか?

一見するとこの言葉は「自分のためを思って言ってくれている。」と勘違いして受け入れてしまいそうであり、その裏側になかなか気付きにくい。

私の経験上ではこのように「あなたのため」とか言う人は、真面目に受け入れず、その裏側を正しく見抜くべきと考えている。その理由を事例を踏まえて書こうと思う。


1.「あなたのために」なっているかは受け手が判断すること

「あなたのために(言ってあげている)」という言葉を耳にすることがあるが、このような前置きをされて、相手からの要求や期待を受け入れる気になるだろうか?

「あなたのために」と言われて、本当に受け手が納得して受け入れるのであれば、それで良いだろう。納得して受け入れるということは、受け手が「自分のためになる」と判断した結果なのである。

では、納得できないことを受け入れた場合、受け入れることで弊害が出るような場合は、本当に「自分のためになる」のだろうか?

自分のためにならないどころか、それを受け入れることで弊害が出た場合、「あなたのために」と言った人はどのように責任を取るのだろうか? 責任を取ることなどまずないだろうし、責任を取ったとしても弊害が出ていること自体変わりはない。そうなると、いくら「あなたのために」と前置きをされても、受け入れることはないだろう。

つまり、「あなたのために」なっているかどうかは、受け手が判断することであり、言う側が決めることではないのである。

実際、「あなたのためだ」という前置きをされて、興味のないことを押し付けられたり、長時間労働を押し付けられたり、我慢や犠牲を強いられたりした経験がある人は多いのではないだろうか?

そして、実際に自分のためになったことは一つもないという人も多いのではないだろうか?

2.【事例】深夜残業を強要するために使われたことがある

あるシステム開発現場では、

「みんな22時まで頑張っているのだから22時までやれ」

と言う上位者がいた。

私自身は忙しくて仕方なく22時まで業務していたが、この上位者は若手他に対してこのように言っているのを複数目撃している。

その人によると、

  • 「残業を多くしている人の方が成長しており、残業時間と成長の度合いが比例している」
  • 「○○(受け手)のためを思って言っている。」

という。

本当だろうか? 少なくとも私は違う。

この人は良かれと思ってこのように言っているのだろうが、受け手からすると迷惑な話だ。

「22時まで残業する必要が無くても、22時まで残れというのか?」という声が挙がってもおかしくない。

22時まで残業することが目的になってしまっており、かつその強要によって周囲を不快にさせている事例だろう。

22時まで残業することで、健康面に支障が出たり、生活面に支障が出たり、業務の精度や生産性が落ちたり、弊害は少なくない。即ち「○○(受け手)のため」になっていないのである。22時まで残業しなくても、成長する人はする。22時までの残業が続いて、健康面や生産性に影響が出れば、言った人間はどのように責任を取るのだろうか?

「22時までやれ!」というのは、都合良く人を使いたいか、長時間労働を美徳とする企業体質かのいずれかである。即ち「○○(受け手)のため」ではない。言う側の都合であり、言う側の意図通りに動いてほしいだけである。
o08usyu7231.hatenablog.com

受け手のためを思って残業を強要するのではなく、人気企業の働き方改革を参考にして、見習うのが良い。

3.【事例】パワハラ被害者を指導するために使われたことがある

「あなたのためを思って言っている」が、実際そのように使われていない事例がある。

他社の管理職(パワハラ加害者)からパワハラを受けた被害者が苦痛により、体調を壊した。この件に関し、後日被害者からパワハラ加害者に対してクレームした。その結果、しばらく当人同士でトラブルになったものの、被害者が屈することなく労働問題に対する正論を発信し、パワハラ加害者が最終的に謝罪した。これは組織内どころか、企業間の垣根を超えた社会的優良事例である。

しかし、後に被害者の上司(被害者側組織の管理職)は被害者に対して、

  • 「他社の管理職(パワハラ加害者)の意図を理解していたか?」
  • 「被害者の体調不良は他社には関係なく、当社内部で解決すべき。」
  • 「会社対会社の関係を考えているか?」

などと被害者を責めた挙げ句の果てに、被害者の人事評価を低評価とした。

被害者の上司の行為は、明らかにパワハラ被害者を黙らせることを目的としていることが見えており、セカンドハラスメントにあたる。
o08usyu7231.hatenablog.com

被害者の上司の言い分としては、被害者のためを思ってこのようにしているのだが、肝心の被害者の心理を全く考えていないと言える。

被害者のためを思っているのなら、被害者の上司はパワハラ被害による影響を重々認識し、場合によっては組織としてパワハラ加害者に対する是正の働きかけや、パワハラ再発防止の検討、被害者に対する心のケア等、様々なパワハラ対策の取り組みが求められる。

やるべきことは、被害者への責任追及・指導・教育ではない。普通であれば必要に応じて、

  • 加害者の処分・教育
  • 被害者のケア・回復
  • 周囲のメンバーへの周知徹底

といったところである。被害者への責任追及はセカンドハラスメントの正当化にしかなり得ない。実際この事例で企業として出来ていたのは「周囲のメンバーへの周知徹底」のみである。ブラック企業であれば、これすらもしなかっただろう。


もう一つ被害者の上司は重大な過ちを犯している。それは、被害者への指導・教育と称して、加害者が行ったパワハラから話を逸らしていることである。このパワハラ事例は被害者が証拠を保有しているため、事実の隠蔽はできない。それでも

  • 「被害者の行為に着目しパワハラから話を切り離す」
  • 「被害者への指導・教育とパワハラは別次元の話」

等、出来事そのものはパワハラが紐付いているにも関わらず、被害者への責任追及の内容や人事評価の根拠からはパワハラが切り離されており、組織や加害者にとって都合良く話が組み立てられている。この点が隠蔽体質であると見抜くべきである。

「あなたのため」の指導・教育ではなく、被害者の上司にとって「自分のため」「会社にとって都合が良いため」「隠蔽による責任逃れ」であることが容易にわかるだろう。

4.「あなたのため」と言うのは、言う側にとって都合が良いため

冒頭に記載したとおり、「あなたのためを思って言っている」というのに対して、「あなたのために」なっているかは受け手が判断することである。

上述した事例を見ても、言われた側が「私のために言ってくれたのだ」とは、到底思えない。

では、なぜ「あなたのために」等と言ってくるのか?

  • 言う側の要求を飲み込ませたい
  • 言う側が「あなたに気を使っている」とアピールしたい
  • 言う側が仕方無く言っているという免罪符にしたい
  • 言う側の主張が妥当であるかのように相手にマインドコントロールさせたい

全部言う側の都合である。

結局は押し付ける側が得しているだけであって、言われる側が得することはほとんどない。結局は言う側の利益誘導のために相手を洗脳してるようなものである。そのことを認識すべきてある。

相手に何かしら依頼、要求をする場合、相手を教育し成長を導きたいと思うならば、「あなたのため」ではなく、

  • 「○○の理由で、私が困る」
  • 「○○にとって、迷惑をかけることになる」
  • 「○○について、将来このような問題が発生する恐れがある」
  • 「会社(組織)全体にとってこのようなメリットがある」

と、正直に言えば良いのである。

本当に「あなたのため」を思っているのなら、相手の要望、困りごと、目標達成の阻害要因をヒアリングし、解決に向けて心から相手に寄り添うことだ。これができない人は、「あなたのため」などと言ってはいけない
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
 
一方、受け手側は「あなたのため」と言われると、真面目な人間ほど「自分のことを思って言ってくれている。」と勘違いして受け入れてしまいそうであり、その裏側になかなか気付きにくい。

また、その言い分が次から当たり前になり、ますます自分の首を締めてしまうことが多い。

自分が被害を受けないためにも、「あなたのため」の裏側を正しく見抜くべきと考えている。

ブラックな環境の職場ほど「あなたのため」と一見正論に思えるような論調で洗脳してくる人がいるが、受け手側は何が「自分のため」になるのかを見極め、「自分のため」になる行動を起こしていただきたいと願っている。

ブラック企業から脱出したい」という方々に、登録をお勧めしたい転職エージェントです。ブラック企業を除外し、約1万社以上の中から求職者に合った優良企業のみをご紹介いただけ、書類の添削からお手伝いしていただけます。若手の方に安心してご利用いただけます。



「退職代行ガーディアン」は、東京都労働委員会認証の法適合の法人格を有する合同労働組合です。退職代行という労働問題において一般法人(株式会社など)と弁護士の強みを持つ存在で、【簡単/低価格/確実】を合法的に可能としてます。

一般法人の退職代行による企業との代理交渉は、弁護士法72条違反となるため、実現できません。企業側も違法退職代行対策が進んでおり、大手退職代行でも実は危ないと言わざるを得ません。弁護士に依頼する場合は、法適合の面では優位性はあるものの、一般的に高額で手続きが面倒です。

収入が少ない若年層の方々にとって、まず低費用、そして、簡単で確実に退職できることが最大のニーズであり、「退職代行ガーディアン」はスムーズな退職実現に向けて支援いたします。



見抜くべき!企業のネガティブ要素・兆候~実在した4選

ブラック企業でも、ブラック企業でなくても、普通の会社と比べてちょっと違うなと感じると、それはネガティブな兆候かも知れない。一方、逆にそのような会社に居続けるとそれが当たり前のようになり、感覚が麻痺してしまう懸念がある。

この記事でそのような情報を少しでも提供することで、健全な企業人生を送っていただきたいと思っている。

この記事で述べるのはネガティブ要素・兆候であるため、この要素・兆候によって実際に弊害が顕在化するかどうかは、別次元の話であることをご了承いただきたい。


1.従業員持株会への入会が昇格要件

自社の株を従業員が購入・保有できる制度が従業員持株制度である。この制度を運営する常設機関を持株会という。持株会は従業員の福利厚生の一環として位置づけられ、従業員が経営に関わり、業績に貢献して、株価を上げ、配当を得るという仕組みである。

持株会制度を適用している企業は少なからずあり、これ自体は普通である。企業は従業員に対して持株会入会の案内や募集を行うことがあるが、入会するか否かは従業員の意思次第である。

しかし、企業のなかには従業員に対して持株会への入会を強制したり、一般職から主任クラスへの昇格要件としているケースがある。

福利厚生の位置付けとしながらも、持ち株を持つということは経営に参画すること、経営者としての自覚を持つために必要だという大義名分の上で、従業員を企業に縛り付けることをしなければいけない時点で、財務面を中心にネガティブな兆候であると捉えるべきだろう。

2.資格手当が賞与扱いで課税対象

例えばIT企業であれば情報処理技術者(国家資格)という感じで、業務に関係する資格を取得すると、報償金(資格手当)を貰える会社は少なからずあるだろう。資格の難度によって報償金の額は変動する。

ある企業では、このような報償金(資格手当)を非課税で貰うことができ、給与とは別に「経費」が振り込まれる口座に振り込まれる仕組みであった。

しかし、ある時期からこれが変更され、報償金(資格手当)が課税対象となり、給与口座に振り込まれ、「賞与」という位置付けになった。

これは、従業員にとっては税金が引かれてしまうことで手取り金額か減ってしまう不利益である。

一方、会社は「賞与」の一部という建前で従業員に多く賃金を支払っていて、財務体質上健全であるかのように対外的に見せかけているのである。これこそ、財務体質に何かしらの問題がある兆候であると同時に、それを隠蔽するための虚構である可能性が伺える。

3.残業時間の計上方法が従業員の労働力搾取

ある企業では長年に渡り、残業代算出のための残業時間を次の方法で計上している。

  • 定時後、最初の30分は休憩時間扱い。
  • その後1時間経過時点で初めて1時間分が計上される。
  • 以降、30分単位で計上される。
  • 最初の1時間未満、以降の30分未満は切り捨て。

例えば18時が終業なら、19時30分まで残業して初めて1時間分計上される。それ未満は計上されない。

この企業において厳密なケースを考えると、18時終業で、19時29分まで残業した場合でも、残業代はゼロ。1時間29分の残業代が支払われないこととなる。1ヶ月の稼働日を20日とすると、1社員1ヶ月当たり29時間40分相当の残業代が支払われないことになる。

この企業のある管理職は適正な運用であることを次のように謳っている。

「残業代を払わない会社が多くある中で、ウチはちゃんと全額払ってるよ!」

そもそも残業代を払わないこと自体は違法である。しかし、この企業の例のように一見合法に見えるが、上記のような残業代が支払われない抜け穴があり、違法である。合法であるかのように見せかけて、じわじわと労働力を搾取する姑息な方法である。

労働基準法第24条に次の条文がある。

「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」

法律上は、原則として1分単位で残業代を支払わなければならない。つまり、1分単位で残業時間が計上されなければならない。

ただ、割増賃金を1ヶ月単位で計算する際、時間外労働、休日労働、深夜労働のそれぞれの時間の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数は切り捨てすることは、可能とされている。ただしこれは、給与事務の簡便化のための例外的な措置であり、原則的には1分単位の計算が望ましいとされている。

尚、定時勤務終了から時間外勤務開始まで休憩があること自体は合法である。しかし、この企業のように休憩時間があまりにも長すぎると、かえって不自然であり、残業代を得るよりも早く仕事を終わらせて退社したい従業員が休憩時間に仕事をすることで、この分の残業代の支払いを免れるという、会社側の意向があるようにも見受けられる。

o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com

4.半休は午前のみ、月2回が上限

従業員には有給休暇というものが存在し、代表的なものでは1日単位で休暇が取得できる他、半日休暇である午前半休、午後半休というものがある。更に、企業によっては時間休暇(例、1時間単位)というものがある。

私が実際に遭遇したことがあるのは、「午後半休が存在しない」という会社である。しかも、「半休は午前のみで、月2回まで」という上限まで定められている規則である。

一般の人の感覚だと、

  • 「なぜ午後半休を取得することはできないのだろうか?」
  • 「半休が月2回と上限を設ける意図は何だろうか?」

と疑問に持つだろう。

この会社の就業時間は、

  • 午前9:00~12:00
  • 昼休み12:00~13:00
  • 午後13:00~18:00

である。即ち、午前3時間と、午後5時間で構成されている。

もうここでお分かりだろう。同じ半休であれば午後半休で5時間休まれる方が会社にとって都合が悪いからである。実際私がこの会社で本当に午後に私用があり午後半休する場合、体調不良で午後すぐに早退する場合も、勤怠上は1日有給休暇となってしまう。

半休の上限が月2回までに関しても同じで、同一月の3回目以降は1日有給休暇となってしまう。

これのせいで有給休暇日数が不足するといったことまでは、私の場合は発生しなかったが、いかに従業員の労働力を極限まで搾り取ることしか考えていないマインドが読み取れる。

近年では従業員の価値観の多様化に対する対応や、育児・介護等で働き方の柔軟性が求められる中で、働きにくい環境は労働者から敬遠される傾向がある。

まとめ

企業のネガティブ要素・兆候を見抜く手立てとして、事例を紹介した。

これらに共通するのは、従業員にとっては不利益であり、労働力を極限まで搾取したり、会社からの賃金の支払いを極限まで抑えようとするものである。

従業員側も感覚が麻痺したり、知識が無かったりすると、根拠もなく

  • 「他社も似たようなものなのかな」
  • 「どこもこんなもんだろう」
  • 「多少の不利益なら組織にいる以上辛抱すべきだ」

と、疑問を抱くことがなく見過ごしてしまったりする。私も昔はそうだった。

更に、上述で挙げた事例の一部には、

  • 「経営の一環を担っている」
  • 「賃金を多く支払っている」
  • 「残業代を払っていることには変わりない」

といった具合で、建前上や対外的には良いように見せかけており、問題の兆候を見抜きにくくしているのである。

よって、このような兆候を見抜くには広く情報収集することが必要だ。その手段の一つとして転職サイトに登録し、他社情報を入手し比較することが有効である。ぜひ、皆様においても実践いただきたい。

ブラック企業から脱出したい」という方々に、登録をお勧めしたい転職エージェントです。ブラック企業を除外し、約1万社以上の中から求職者に合った優良企業のみをご紹介いただけ、書類の添削からお手伝いしていただけます。若手の方に安心してご利用いただけます。



IT・Web系を専門とする『レバテックキャリア』は、2021年1月時点でサービス利用者数20万人突破し、年収アップ率7割を超える実績を持つ、「ITエンジニアが利用したい転職エージェント」として知られるエージェントです。高い専門性を持つアドバイザーがキャリアの選択肢を洗い出し、5000件以上のハイクラス求人の中からご登録者様のパーソナリティや志向性に沿い、まだ出会えていない理想の求人のご提案が受けられます。取り扱い企業も、大手IT企業からWeb系企業、スタートアップまでを幅広く網羅しております。IT/Web系エンジニアの経験者の方にとっては、是非登録しておきたいエージェントです。



大手・優良企業を中心に常時豊富な求人情報を掲載している転職サイトはこちら! 非公開求人を含む約10万件の求人を掲載しており、職種、年齢、経験を問わず、幅広い方々にご利用いただいています。専門スタッフがキャリアカウンセリング、企業へのエントリー、選考結果のお知らせ、面接日程の調整など内定までをトータルでサポートいただけるため、ご利用を検討されてはいかがでしょうか?



残業代が支払われるからといってホワイト企業とは限らない

まず大前提として、以下のケースは労働基準法違反となり、ニュースや裁判等で表向きになっている、「残業代未払い」問題については明らかに違法であり、ブラック企業と言える。

  • 残業代を払わずに残業させること
  • みなし残業制度を適用している企業で、みなし時間を超えた残業時間にも関わらず、超過分の賃金を支払わないこと

では、残業代が支払われている企業はホワイト企業と言えるのだろうか?

このような疑問を持つ人は多いだろう。

実はそうではない。

違法状態を回避することのみに注力し、法律すれすれの運用し、従業員にとって不利益で、会社にとって都合が良いという状態が、ホワイトと言えるはずがないのである。

残業代が支払われるからと言ってホワイト企業とは限らないどころか、残業代が支払われていてもブラックである可能性はある。複数社比較することで分かることもあるため、チェックしておきたいポイントを紹介する。


1.残業時間の計上方法に関するポイント

労働基準法第24条に次の条文がある。

「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」

法律上は、原則として1分単位で残業代を支払わなければならない。つまり、1分単位で残業時間が計上されなければならない。

ただ、割増賃金を1ヶ月単位で計算する際、時間外労働、休日労働、深夜労働のそれぞれの時間の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数は切り捨てすることは、可能とされている。ただしこれは、給与事務の簡便化のための例外的な措置であり、原則的には1分単位の計算が望ましいとされている。

例えばA社では、定時後1分単位で残業時間が計上される。

一方、B社での実態は次のようなものである。

  • 定時後、最初の30分は休憩時間扱い。
  • その後1時間経過時点で初めて1時間分が計上される。
  • 以降、30分単位で計上される。
  • 最初の1時間未満、以降の30分未満は切り捨て。

例えばB社において18時が終業なら、19時30分まで残業して初めて1時間分計上される。それ未満は計上されない。

厳密なケースを考えると、B社において18時が終業の場合、19時29分まで残業した場合でも、残業代はゼロ。A社なら1時間29分の残業代発生となる。これが1ヶ月の稼働日を20日とすると、1社員1ヶ月当たり29時間40分相当の残業代が支払われないことになる。

B社においても残業代は全額支払われており、B社管理職は適正な運用であることを次のように謳っている。

「残業代を払わない会社が多くある中で、ウチはちゃんと全額払ってるよ!」

当たり前である。そもそも残業代を払わないこと自体が違法なのだが、このB社の例のように一見合法に見えるが、上記のような残業代が支払われない抜け穴があり、違法である。合法であるかのように見せかけて、じわじわと労働力を搾取する姑息な方法である。

また別の企業では、定時勤務終了から時間外勤務開始まで15分の休憩があり、以降15分単位で計上する企業もある。

尚、定時勤務終了から時間外勤務開始まで休憩があること自体は合法である。しかし、B社のようにこの休憩時間があまりにも長すぎると、かえって不自然であり、残業代を得るよりも早く仕事を終わらせて退社したい従業員が休憩時間に仕事をすることで、この分の残業代の支払いを免れるという、会社側の意向があるようにも見受けられる。

この事例のB社からA社へ転職した際には、すごくホワイトな環境に移ったように思えるが、残業時間の計上方法については、A社の運用が一般的なのである。

2.給料の安さに関するポイント

給料が安い会社も注意が必要である。ここでの給料とは「基本給」のことである。一般的に残業代も夏冬の賞与も、「基本給」をベースに計算されることが多い。

給料全体が安い場合でも、また給料全体が高くても「基本給」が安く各種「手当」が高い場合でも、残業代や賞与は安くなる。

時間外労働における割増賃金は、長時間労働を抑制する目的で設けられている。

しかし、従業員を安い賃金で長時間労働をさせる企業はの中には、残業代をキッチリ払って合法に見せかけるのだが、「基本給」を安く抑えているため、長時間労働をさせている割には残業代が少なく、長時間労働させる割には会社は痛くも痒くもないといったことが起きてしまうのである。

また、賞与の算出方法においても、よく「賞与実績○か月分」とあるが、「基本給」が低ければ月数だけが多くても、トータルで支払われる賃金は少なくなる。

給料の構成・内訳、残業代、賞与の算出方法に着目すると良いかも知れない。

各々の労働者の価値観にもよるが、長時間労働の割には給料が少ない、苦労や精神の消耗が多い割にはリターンが少ない、このような企業は世間一般ではブラックと言われている。

3.長時間労働に関するポイント

長時間労働は、支払われる残業代の多い少ないな関わらず、従業員の健康と業務の効率に直結する。

組織体質の観点からも、「気合い」「根性」「情熱」というブラック企業が好みそうな言葉やマインドだけでは、もう通用しない。「気合い」「根性」「情熱」も大切だが、業務逼迫状態を乗り切るソリューションが長時間労働しかないことが問題である。

そもそも労働基準法上、残業時間はゼロが基本である。労使との協定(36協定)により、残業時間の上限を決めてはいるものの、いくら残業代を支払っているとはいえ、協定の時間を超えての残業は認められない。

健康面と経営面からいうと、人間は朝起きて13時間以上経過すると、酒酔い運転程度の作業効率になると、医学的に証明されているとのことである。その作業効率が落ちた社員に、割り増しで残金代を払っているのである。経営としてはダメージが大きいことに気付かなければならない。

働き方改革、働く人の価値観の多様化という時代の変化にも関わらず、長時間労働に巻き込まれ困っている人は少なくない。残業代が支払われていても、長時間労働であればホワイトとはとても言えない。

4.まとめ

これまで、残業時間の計上方法、残業代の算出方法、長時間労働そのものについて扱ってきた。「残業代を正しく支払っている」点については合法である。

しかし、「残業代を正しく支払っている」のみに留まり、結局「給料が安い」ことで、労働者が労働によって会社・社会に提供している価値と、そのリターンが見合わないということがある。

言い方は悪いが、そのような会社はいかに法律をギリギリのところで守り、法律を守っているということのみを表向きにして、

  • 「いかにして従業員を安く使うか」
  • 「いかにして会社にとって都合の良い状態にするか」

というところに全集中しているのである。

さらには残業代以外のところにも会社目線でのアプローチでしかない点が散見されているといった可能性もある。
o08usyu7231.hatenablog.com

残業代が正しく支払われるのは当然だが、給与が少ないと同業他社と比べられ、優秀な人材に他社へ転職されることを企業はリスクとして認識しておかなければならない。給与が少ない状況を棚に上げ、「やりがい」のみを強くアピールする企業も同じだ。
o08usyu7231.hatenablog.com

残業代に関するグレーゾーンやそれを見抜くポイントに関する他の記事、過去の判例に関する書籍等も参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com

一方、労働者は転職サイトに登録して、他社の給与条件と比較する、市場価値を知る、現在勤務している企業の待遇レベルを把握するなど、自身の置かれている状況を確認すると良いだろう。残業代が支払われるのは最低限守るべき法律であって、実現しているからといってホワイト企業とは限らないのである。

ブラック企業から脱出したい」という方々に、登録をお勧めしたい転職エージェントです。ブラック企業を除外し、約1万社以上の中から求職者に合った優良企業のみをご紹介いただけ、書類の添削からお手伝いしていただけます。若手の方に安心してご利用いただけます。



大手・優良企業を中心に常時豊富な求人情報を掲載している転職サイトはこちら! 非公開求人を含む約10万件の求人を掲載しており、職種、年齢、経験を問わず、幅広い方々にご利用いただいています。専門スタッフがキャリアカウンセリング、企業へのエントリー、選考結果のお知らせ、面接日程の調整など内定までをトータルでサポートいただけるため、ご利用を検討されてはいかがでしょうか?



「会社対会社の関係」を都合良く使うことによる理不尽を許してはいけない

「会社対会社の関係」という言葉を聞くことがある。しかし、背景状況と照らし合わせていまいちモヤモヤするといった人もいるのではないだろうか?

「会社対会社の関係」という言葉の正しい使い方と、使う側にとって都合良く使われるケースをインプットしていただき、自身の犠牲によって物事が成り立つといった事態がなくなってほしいと願っている。


1.「会社対会社の関係」の正しい使い方

「会社対会社の関係」とは、ミスや不正による迷惑や影響が、個人で済む、業務単位のチームに及ぶ、社内の他の部門に及ぶ、他の会社に及ぶ、・・・となるほど段々と影響範囲が大きくなっていくことを考慮し、注意を促したり、問題となる人に是正を要求したり、「影響が大きい」ことを伝えたりする場面で使うものである。

また、業務を進めていく上で、社内に対して言えること、グループ会社に対して言えること、取引先に対して言えること、それぞれが異なるように、相手や範囲によって対応を変えなければならない場面を考慮して使われることがある。

「会社対会社の関係」が正当な範囲で使われるのはまだ良いが、この記事で扱うのはそうでないケースである。

「会社対会社の関係」というと正しそうに聞こえる、辛抱も必要だという心理に漬け込んで、力関係を背景としたハラスメントや、一部の人や組織を犠牲にした上でビジネスを成立させるようなケースは、間違っている。

「会社対会社の関係」という言葉だけを素直に受け取り、理不尽を我慢し、間違った使い方がされていることを見抜けなければ、結局自分達の首を締めることになる。
o08usyu7231.hatenablog.com

2.パワハラ被害者に対して使われた「会社対会社の関係」

「会社対会社の関係」という言葉をパワハラ被害者に向けて使われた事例を見てみよう。

他社の管理職(パワハラ加害者)からパワハラを受けた被害者が苦痛により、体調を壊した。この件に関し、後日被害者からパワハラ加害者に対してクレームした。その結果、しばらく当人同士でトラブルになったものの、被害者が屈することなく労働問題に対する正論を発信し、パワハラ加害者が最終的に謝罪した。これは組織内どころか、企業間の垣根を超えた社会的優良事例である。
しかし、後に被害者の上司(被害者側組織の管理職)は被害者に対して、

  • 「他社の管理職(パワハラ加害者)の意図を理解していたか?」
  • 「被害者の体調不良は他社には関係なく、当社内部で解決すべき。」
  • 「会社対会社の関係を考えているか?」

などと被害者を責めた挙げ句の果てに、被害者の人事評価を低評価とした。
被害者の上司の行為は、明らかにパワハラ被害者を黙らせることを目的としていることが見えており、セカンドハラスメントにあたる。
o08usyu7231.hatenablog.com

ここで言う「会社対会社の関係」は、他社(顧客)から無理な要求を受けたり、ハラスメントを受けても、波風立てず他社(顧客)との関係を維持したいために、被害者に対して使われている。被害者の上司(セカハラ加害者)の対応は不適切極まりないものであり、大変遺憾である。

この場面において、本来「会社対会社の関係」は、パワハラ加害者に対して使われるべき言葉である。パワハラ加害者は、他社の従業員にパワハラを行っており、被害者よりクレームを受けている。パワハラ加害者こそが「会社対会社の関係」を考えるべきなのである。

誰が見ても当たり前にわかるようなことなのだが、他社の管理職(パワハラ加害者)、被害者の上司(セカハラ加害者)揃って過ちを犯している。自己保身、責任逃れが先行し、「物事の正しさ」よりも「力関係」が先行し、「会社対会社の関係」の間違った使い方により、パワハラ被害者を潰している事例だ。

被害者の上司はコンプライアンス意識欠落を理由に、被害者から社会的に信頼を失ってしまって然りなのである。

3.「お客様は神様」の間違った使い方と同じである

「お客様は神様です」は、演歌歌手の三波春夫氏の言葉で有名だが、一方で世間一般では本人の意向とは異なる、誤った解釈で使われていることもご存知だろう。
o08usyu7231.hatenablog.com

これも前章で述べたように、「物事の正しさ」よりも「立場」「力関係」が先行した結果、理不尽を押し付けるケースが少なくないのが残念である。

「相手はお客様だから」「無理な要求でも対応して誠意を見せるべき」等のように、社員の犠牲の上でビジネスを成立させるケースほど、受け手にとって迷惑なものはない。言っている方は意識が無くとも悪質であると判断されるため、今一度本記事で述べた例をインプットに自身の行いを見直していただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com

また、

  • 「相手はお客様だから」
  • 「無理な要求でも対応して誠意を見せるべき」

等のような考え方を素直に受け入れる真面目な人ほど被害に遭いやすい傾向があるため、ハラスメントの前兆であることを正しく見抜く必要がある。
o08usyu7231.hatenablog.com

4.全ての人への「人権尊重」を守らなければならない

社内・社外関係なく力関係によるハラスメントの横行、取引先への無茶な値下げ要求を伴った発注、業務委託先に対して無理に納期短縮をかけて長時間労働を引き起こすことは、いずれも人権侵害への助長と判断される。

「人権尊重」は「人間対人間における共通認識」であり、「会社対会社の関係」以前の話である。「人権尊重」という土台があって、「会社対会社の関係」があるのである。「会社対会社の関係」を重視した結果、「人間対人間」という土台が崩れてしまっては、売上・利益重視でコンプライアンス軽視と同じなのである。

こう書かれれば当たり前なのだが、実際にできていない人や組織が少なくない。中には管理職でも出来ていないことがある。

社内・社外・お客様・取引先、いずれにしても、事業活動に関係する全ての人への「人権尊重」を守らなければならない

  • 「自分(自社)さえ良ければいい。」
  • 「自分(自社)には関係ないから問題ない。」

このような考え方で、長時間労働、異常な低賃金、ハラスメント、といった人権侵害に至れば、社会(ステークホルダー)から痛烈なバッシングを受ける事になる。

事業活動に関係する全ての人が守られるべき「人権尊重」だが、「会社対会社の関係」を都合良く使うことによる理不尽を許してはいけないし、そのような人や企業に未来はない。

理不尽を受けた人は、都合良く使われた「会社対会社の関係」を真に受け止める必要はないし、環境を変える検討をしても良いだろう。

「会社対会社の関係」が正しく使われているかどうかの判断のポイントは、「会社対会社の関係」を考えて行動することが、「自分自身、自組織の犠牲の上に関係が成り立つ」ことになるかである。犠牲の上に成り立っているのであれば、転職を検討するなど、自分にとってのセーフティネットを充実させてほしい。まず、自分自身を守ることが最優先だ!

ブラック企業から脱出したい」という方々に、登録をお勧めしたい転職エージェントです。ブラック企業を除外し、約1万社以上の中から求職者に合った優良企業のみをご紹介いただけ、書類の添削からお手伝いしていただけます。若手の方に安心してご利用いただけます。



「退職代行ガーディアン」は、東京都労働委員会認証の法適合の法人格を有する合同労働組合です。退職代行という労働問題において一般法人(株式会社など)と弁護士の強みを持つ存在で、【簡単/低価格/確実】を合法的に可能としてます。

一般法人の退職代行による企業との代理交渉は、弁護士法72条違反となるため、実現できません。企業側も違法退職代行対策が進んでおり、大手退職代行でも実は危ないと言わざるを得ません。弁護士に依頼する場合は、法適合の面では優位性はあるものの、一般的に高額で手続きが面倒です。

収入が少ない若年層の方々にとって、まず低費用、そして、簡単で確実に退職できることが最大のニーズであり、「退職代行ガーディアン」はスムーズな退職実現に向けて支援いたします。



人事評価面談で行われるのは「コミュニケーション」ではない!「マインドコントロール」だ!

「組織における人事評価は、適切に行われているのだろうか?」

このような疑問を持つ方は、少なからずおられるのではないだろうか?

また、人事評価が正しく行われず、結果に不信感を持つケースが少なからず発生する。

そのような場合、評価者と被評価者がしっかりと「コミュニケーション」を取り、両者の認識を合わせていく必要があると、一般的に言われている。

しかし、現実には評価者が被評価者に一方的に評価結果とともに期待を伝えるものの、被評価者から評価内容に関する指摘を聞き入れることはない。あたかも評価者側が行った評価が正当なものであると、被評価者を「マインドコントロール」しているだけである。

この記事では、人事評価面談を背景として、「コミュニケーション」と「マインドコントロール」について考えてみたことを述べたいと思う。

特に「マインドコントロール」を「コミュニケーション」と称することを見抜く重要性について認識していただきたい。

また、記事の最後に人事評価で「マインドコントロール」されている被評価者が取るべき行動についても解説する。


1.組織における人事評価は一方的な伝達であることがほとんど

「人事評価の結果は、上司から部下にフィードバックし、面談等にて『コミュニケーション』を重ねて、両者で納得感あるものにしていきましょう。」

あなたの職場では、このような言い回しを聞いたことがあるだろうか?

このような言い回しの通りになれば全く問題ない。また、人事評価の結果に納得できるなら問題ない。そのような場合は、この記事を読む必要はない。

しかし、現実のところ納得できないケースの方が圧倒的に多いのではないだろうか?

そのような場合でも、人事評価の結果そのものが修正されるという話を今まで聞いたことがない。

上司による人事評価が正しく行われており、本当に部下に問題がある、あるいは部下が人事評価基準を理解していないなら、部下はそのことを認識すべきだろう。ここまでは一般によく言われる。

この記事で扱う問題は、

  • 人事評価が正しく行われていない
  • 人事評価をする上司のモラルに問題がある
  • 人事評価にてパワハラが行われている
  • 人事評価の基準が曖昧である

といった理由で、部下が正しい不満を抱く場合である。

建前上は

「部下はなぜ上司がそのような評価をしたのか、上司と十分なコミュニケーションを取り、しっかり理解しましょう。」

という論調が多く、なぜか上司が正しい前提で語られている。

人事評価をする上司も人間なので、間違えることは少なからずある。間違えているなら、どの部分をどのように、なぜ間違えているのかを突き止める必要がある。

それでも、人事評価の結果そのものが修正されるという話を今まで聞いたことがない。

結果、

正しく行われたか、間違った方法で行われたかに関係なく、上司が決めた結果で進められ、部下はそれを飲み込まされる

のが現実である。

すなわち、

「人事評価の結果は、上司から部下にフィードバックし、面談にて『マインドコントロール』を重ねて、部下に受け入れてもらいましょう。」

という流れが、現実なのである。大きな問題である。

これが「コミュニケーション」と「マインドコントロール」の違いを考えるきっかけになったことである。

この人事評価の話は、「マインドコントロール」を「コミュニケーション」と称している例の一つである。しかし、これは「コミュニケーション」ではない、「マインドコントロール」である。

2.「コミュニケーション」は双方向での意思伝達による認識の一致

「コミュニケーション」とは、辞典類ではまず、「人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達」と説明されている。

ただし、一般に「コミュニケーション」というのは、情報の伝達だけが起きれば充分に成立したとは見なされておらず、意志の疎通によって心や気持ちの通い合い、

  • 「お互いの認識が一致する」
  • 「お互いに理解し合う」

ところまで到達してはじめて「コミュニケーションが成立した」と言えるのである。

昔は、上意下達が当たり前で、職場における上司から部下への「意思決定」「命令」と、部下から上司への「実行」「報告」を、「コミュニケーション」と説明されている教材を見たことがある。

しかし、今は意思の疎通が双方向で行われることが「コミュニケーション」と言って良い。

まとめると次のようになる。

  • 「コミュニケーション」は、基本は意思の伝達。
  • 一般的には、両者認識の一致で成立したと言われる。
  • 双方向で行われることを指すことが多い。

3.「マインドコントロール」は他者による他者にとって都合の良い意思操作と誘導

「マインドコントロール」とは、本人が気づかないうちに他者が本人の心理を操作し、他者の都合に合わせた特定の意思決定・行動へと誘導することと説明されている。

元々「マインドコントロール」という言葉は、「潜在能力を引き出すためのトレーニング法」という自己啓発的でポジティブな意味合いで使われていた。自らの心を平静に保ったり、集中力を高めるなど、心理状態を制御・調整する意味で、この言葉が使われることもある。

一方、「マインドコントロール」と聞くと、「宗教」「犯罪」「洗脳」のように、他者を騙す性格を持つものという悪いイメージを持ってしまう。日本ではオウム真理教事件などで1990年代から、「マインドコントロール」という言葉が注目され広まっている。数々の詐欺事件においても被害者の「マインドコントロール」を悪用したものである事実がメディアでも取り上げられた。

このように、良い「マインドコントロール」と悪い「マインドコントロール」がある。「マインドコントロール」そのものが悪いわけではない。「コミュニケーション」とは異なり、どちらにしても一方的な心理操作であることには変わりない。

まとめると次のようになる。

  • 「良いマインドコントロール」と、「悪いマインドコントロール」がある。
  • 「マインドコントロール」を悪用することは社会問題になりかねない。
  • 「マインドコントロール」自体を批判することは間違い。

4.やはり人事評価面談は「マインドコントロール」だ!

冒頭の人事評価に話を戻そう。

まだまだ多くの組織において、人事評価が「コミュニケーション」ではなく「マインドコントロール」で成り立っていることは事実だ。

人事評価は部下の成長のために行われることの一つである。部下に不満を持たれるようでは、上司の能力不足である。

確定した人事評価結果を伝達するだけなら「コミュニケーション」ではなく、単なる(一方的な)伝達である。

人事評価結果が正しい前提で、次年度の目標設定や改善点も然りではあるが、

  • 上司が組織のありたい姿を伝える
  • 部下自身のありたい姿を伝える
  • 上司から部下への期待を伝える
  • 部下から上司への期待を伝える

これらのことを全てできて両者が納得した状態が「コミュニケーション」なのである。

人事評価結果が正しくない場合、それを飲み込ませようと上司が

  • 達成できない過大な目標設定
  • 成果に見合わない過小評価
  • 不正なプロセス
  • コンプライアンス的に正しくても会社にとって都合が悪い理由で低評価する

といったことを行い、「こういうものだ」と刷り込ませることは「悪いマインドコントロール」である。

何をもって「人事評価が正しく行われている」というのかは、ここでは述べず、また別の記事に書きたいと考えている。

上司が部下に対して期待や要求ばかりを一方的に伝えているだけでは、上司・組織にとって都合が良いだけの「悪いマインドコントロール」であると疑って良いだろう。

よく問題になっている「やりがい搾取」も、「悪いマインドコントロール」の一つだ。これを「コミュニケーション」「良いマインドコントロール」にするための一つとして、次の記事を参考にしてほしい。
o08usyu7231.hatenablog.com

この記事では、人事評価について扱った。人材の流動性が高まり、正当に評価されないと、部下はモチベーションを落とし、業務に影響が出たり、最悪の場合退職理由になる。組織・上司側はこのことを当然理解していないといけないが、これができていないから退職者を出してしまうのである。こうなると組織・上司側が未熟であるとみなされる。人事評価に限らず、コーチングや指導を学び、「コミュニケーション」が「(悪い)マインドコントロール」とならないようにする必要がある。

そして、「悪いマインドコントロール」のことを「コミュニケーション」と称しているケースがあるので、人事評価結果に納得できない部下は、ここを正しく見抜く必要がある。部下自身に課題や改善点があるのであれば、真摯に取り組まなければならない。しかし、人事評価に限らず「悪い」ことを「悪い」と見抜く能力も必要である。

ここからは、人事評価で「マインドコントロール」されている被評価者が取るべき行動について解説する。

繰り返すが、被評価者が納得いくものであれば、これ以上何もしなくてよい。

そうでない場合は、まず自分の「市場価値」を知ることだ。「組織の上司からの評価」と「市場価値」は似ているようで異なる。広い世界に目を向けることが重要だ。

私の過去の経験からしても、高い成果を挙げても上司からは、

  • 「できて当然」
  • 「こんなもんだろう」
  • 「普通」
  • 「・・・・・」

などといかにも軽視され、過小評価されたことがある。面談などにおいても「コミュニケーション」ならぬ「マインドコントロール」されて終わる。

一方、転職サイトに登録し、エージェントや企業から直接スカウトを受けたことがあり

  • 「この実績、この忙しさで、この収入は低いです。」
  • 「優秀な実績に大変興味があります。」
  • 「ぜひ、弊社〇〇部門のマネージャとして活躍いただきたく、お力を貸していただけませんでしょうか?」

といったオファーをいただくことがある。

「組織の上司からの評価」と「市場価値」は全く異なる

これからは組織より個人の時代、世の中の変化が激しく企業の寿命が縮まる時代、医療の進歩で人間の寿命が延びる時代だ。上司の評価に「マインドコントロール」されている場合ではない。まずは、転職サイトに登録するところから行動を起こそう!

転職ドラフトは年収UP率93.8% / 平均年収UP額126万円と圧倒的な年収UP率を誇るエンジニア向け転職サービスです。審査に通過した優良IT/Web系企業約150社が参加しており、企業がダイレクトスカウトを行うため、質の高いマッチングにより、前述のような高い年収UP率を実現しています。「現年収を元に内定年収が決まる」ことは一般の転職エージェントにありがちですが、こちらは現年収非公開で転職が可能であり、スカウト時点で内定年収を提示いただけるため、求職者にとってありがたく、効率の良い転職活動が可能となります。年収アップを目指したい方は、是非ご検討されてはいかがでしょうか?




複業/副業/転職/独立のキャリアコーチング【RYOMEI】は、30~40代に特化した、キャリア版ライザップのようなパーソナルトレーニングサービスです。今後のキャリアの展望が描けなくなっている30代・40代に向けて、自分が最も価値を発揮できる仕事(天職)に出会い、生きがい・働きがいのあるキャリアを一緒に描いていくサポートを行います。

30代後半〜40代前半は、キャリアチェンジも容易ではなく、かつ家庭がある方が多く、自由度が低い、リスクが取りにくい、といったキャリアを築く上では、あまりに大きな課題を抱えています。RYOMEIのトレーナーも同じ世代であり、自身も子育てと仕事の両立に試行錯誤していたり、順風満帆にキャリアを築いているわけではないからこそ、受講者の痛みに共感しながら、一緒に考えていくことができます。

困難な状況にある方こそ、お勧めできるサービスです。是非、一歩踏み出し、人生を変えてみませんか?


IT業界に特化し、親身にキャリア相談に乗ってくれる、転職エージェントがございます。取扱求人数の多さを謳い、大量の求人を紹介してくる大手の転職サービスと異なり、しっかりと内容のある、エンジニア本位で品質の高いサービスを提供していただけるため、IT業界で転職をお考えの方は、是非一度ご利用を検討していただきたいエージェントです。



o08usyu7231.hatenablog.com

ソフトウェアのソースコード解析に必要なスキルと外注へ丸投げすることについて言及する

ソフトウェア開発のほとんどは派生開発であり、新規開発は入社後一度も経験していないエンジニアも少なくない。

派生開発ではベースとなる製品があり、これに機能追加や機能変更、不具合修正をソフトウェアによって実現することで新製品を世に出すわけだが、避けて通れないのはソースコード解析である。

このソースコード解析は、その製品についての知見が無い人にとっては大変な作業であるにもかかわらず、これを外注に安い金額で丸投げするケースもある。

この記事では、ソースコード解析を主な作業とするプロジェクトの例をいくつか挙げ、解析に必要なスキルと、発注元企業の資質の見抜き方について紹介する。


1.ソースコード解析を外注に発注するのは自社にソースコード解析ができるエンジニアがいない証拠

ソースコード解析を中心とする案件を、私はいくつか受注したことがある。ソースコードの解析というのは、簡単なものではない。いくらソースコードに使用している言語に精通していても、そもそもどのような製品で、どこで何の処理をしているかを正確にとらえるのは極めて困難なものである。また、仕様書や設計書には表れない隠れた仕様、隠れた要求、定数設定で一部の処理が無効化されている、複数の潜在不具合が偶然調和し製品の挙動に現れていないケースなど、背景を知らないエンジニアが対応するには、ただならぬ労力を必要とする。

本来、メーカーが世に出している製品(システム)のソフトウェアは、そのメーカーの社員が理解しているべきである。解析するにもメーカーの社員が行うべきであるし、それくらいの高度な技術を持ったソフトウェアエンジニアをメーカー企業が保有しておくべきなのである。

しかし、そのようなエンジニアを保有していない企業はSIer等外注企業の支援のもと進めていくしかないのだが、「外注に丸投げしていれば完璧にやってくれる」と勘違いした発注元がいるから困ったものだ。

しかも、ソースコードの解析の難しさを知らない発注元にとっては、ソースコード解析を「定型業務」「流れ作業」のように捉え、発注先の高い技術力を正しく評価することなく、多大な恩恵を受けているにも関わらず、そのことを認識しないまま発注が進められたりするのである。

ソースコード解析を外注に発注するのは、多くの場合自社にソースコード解析ができるエンジニアがいない証拠である。発注先の支援を受けながら共同作業で進めるならまだしも、発注先に「定型業務」のように丸投げし、できて当たり前と考えるのはもってのほかであることを、発注元・発注先共に知っておくべきである。

2.ソースコード解析の丸投げを受託した事例

ソースコード解析の丸投げを受託した事例を3点紹介する。

<<事例1>> 特殊用途向けシステム再構築のほぼすべてを丸投げ

ある下請けIT企業A社は大手メーカーB社から、旧システムの老朽化に伴い、新システムを再構築するプロジェクトを受注した。このシステムは特殊用途向けのものであり、一般消費者が使用するものではない。そのため、いくら他のシステム開発で多大な実績を残しているエンジニアでも、本システムへの深い理解が無い人にとっては、かなり難度が高いものである。

旧システムは構築された時期がかなり古く特殊なプログラム言語Lで記述されている。これを解析し、B社標準の記法に従った詳細設計書(ブロック図)に変換し、最終的には現在組み込みシステムで多く使用されている「C言語」でプログラミングを行うものだ。

プログラム言語Lの有識者は、A社にもB社にもいない。旧システムの有識者はB社内のプロジェクトメンバーにはおらず、B社独自のルールで記述された簡易設計書をB社内の別事業所から入手した程度である。完全無知見の中でプロジェクトがスタートする。

A社エンジニアはプログラム言語Lを勉強し、旧システムに関するプログラムコードとB社独自のルールで記載された簡易設計書のみを頼りに解析をはじめた。A社エンジニアとしては訳のわからないプログラム言語から、B社標準の記法に従った詳細設計書(ブロック図)を起こすのは、ある意味記号の置き換えと言っても過言ではない徒労な作業をこなしていった。

本プロジェクトではA社とB社は委任契約であるが、実態は完全な丸投げとなる。プロジェクト期間中も完成のイメージや目途がなかなか立たず、A社エンジニアにとってはプロジェクトの計画の妥当性を疑うことが度々あった。更に、旧システムのプログラム解析中も、更にシステム構成の追加調査等、作業が増加した。しかし、A社のエンジニアの中の優秀な人材が活躍し、残業・休日出勤・一時的なリソース追加により完成させた。

A社の管理職、B社の窓口担当は、このプロジェクトがどれほど困難なものであるかを理解しておらず、「解析して詳細設計書(ブロック図)を順次起こしていく流れ作業」といったイメージで、特に感謝やねぎらいの言葉も見当たらなかった。B社の窓口担当においては、A社エンジニアに対して度々高圧的な態度が見られた。

<<事例2>> 市場品質問題の原因究明に向けた共同作業

ある下請けIT企業C社は製品メーカーD社から、現在市場に流通している製品のソースコードを解析し、設計書を作成し納品するプロジェクトを受注した。本製品は現在組み込みシステムで多く使用されている「C言語」でプログラミングされており、製品の構成や振る舞いを記載した簡易の仕様書、その製品に内蔵している基板の回路図も併せて入手した。

このソースコードはC社とは異なるD社の外注先が作成したものであり、D社にソースコードを解析できるエンジニアが退職して不在となったため、C社に解析を依頼することとなった。このプロジェクトの本来の目的は、当該製品で稀に発生する不具合事象の原因究明であった。その前段として当該製品の設計書が存在しなかったため、ソースコードを解析して設計書を立ち上げようというのである。

C社ではエンジニア1人でこのプロジェクトを進めた。D社はC社とは異なる外注先が作成したソースコードの解析をC社に発注しているため、本当に順調に解析が進んでいるか心配そうに気を使う場面があった。

また、すべてのソースコードを解析することは依頼元のD社も事実上不可能とわかっており、ある程度解析が進めば、本来の目的である市場で発生している不具合原因究明に向けて、関連が深い部分を重点的に解析していくという形で、調査結果により適宜以降の調査の方向性を両社で合意しながら進めていった。

不具合原因究明は難航するも、元々契約内容であったC社からD社への設計書の納品は不備なく行われた。トラブルの発生もなく、C社のエンジニアはD社から感謝の言葉を受けた。

<<事例3>> 製品知識が無くても新技術対応に専念できる体制作り

あるメーカー企業E社の新製品開発プロジェクトにおいて、複数のサブシステム同士で新しい通信技術を導入する必要が生じた。本プロジェクトでは既存のメンバーではリソース面、スキル面ともに不足しており、新たにIT企業のF社からエンジニアを派遣した。更に新しい通信技術の導入については、G社より通信ドライバソフトウェアを購入し、製品に組み込むことにした。

E社のプロジェクトリーダーは、F社からの派遣エンジニアに、G社製通信ドライバソフトウェアの解析と、開発中の新製品への組み込み(通信ドライバソフトウェアの改造を含む)を依頼した。

F社の派遣エンジニアは新製品の製品知識については乏しいが、過去に様々な開発プロジェクトでの実績を持つ。E社は、新しい通信技術の導入以外の製品開発についてはE社のメンバーで行い、新しい通信技術の導入を派遣エンジニアが専念する開発体制とした。すなわち、派遣エンジニアは製品固有の知識が乏しくても、このプロジェクトに十分参画できるのである。

以降、このプロジェクトは新しい通信技術の導入を含め、無事完了した。G社製通信ドライバソフトウェアのソースコード解析を含めた新しい通信技術の導入は、ほぼ派遣エンジニアへの丸投げとなったが、派遣エンジニアが保有する技術力により順調に進捗し、E社の中で高く評価された。

3.ソースコード解析の丸投げを受託した事例に対する評価

ソースコード解析の丸投げを受託した事例3点に対し、それぞれの依頼側に対する評価について述べる。

ちなみに、この3事例とも丸投げされたソースコードを解析したエンジニアはいずれも同一人物である。

また、言うまでもなく、ソースコード解析を依頼する側の資質、あるべき姿勢として、最も悪いのは<<事例1>>、最も良いのは<<事例3>>である。

<<事例1>> 特殊用途向けシステム再構築のほぼすべてを丸投げ

そもそも、B社独自の旧システムから機械的な置き換えで事足りるものなら、外注に発注するという選択肢はある。しかし、このプロジェクトは下請に丸投げするような案件ではない。

まず、発注元のB社は旧システムの分かる人材に協力を得る、B社内のエンジニアがしっかり理解を深めるといったことが必要である。その上で、発注先をコントロールし再構築を進めること、A社がプログラム言語Lの解析に専念できるような「前段」を整えることが必要である。

仮にそれが困難でどうしても丸投げせざるを得ない状況ならば、更なる長期期間の確保、更なる高い開発費の支払い、A社エンジニアに対する敬意が求められる。

にも関わらず、丸投げ、圧力をもってのコントロール等、発注元であるB社担当者の未熟ぶりが散見された。

B社担当者は、B社上司より、

  • 「予算の使い過ぎ!」
  • 「なんでもかんでもA社に丸投げするな!」
  • 「お前ができる作業はお前がやれ!」

とお叱りを受けている。ごもっともだ。

B社だけではない。このプロジェクトを受注したA社管理職にも問題がある。

A社管理職は、このプロジェクトの新規性や難度を理解しておらず、受注時に設定したプロジェクトの期間が適切であるか否かをどのように見極めたのか全く根拠がなく疑問だ。B社から要求を受けるがまま言いなりだったかもしれない。プロジェクトにおける作業についても、あたかも「順次解析作業を進めていく」くらいの感覚でしかないようだ。初めて扱う製品のソースコード解析とは想像以上に難しく、高いスキルが必要なのである。技術力がある人間こそ、その大変さが分かるはずなのに、A社エンジニアの苦労を分からず、努力や成果を軽視している。また、管理職自らが作業をしているわけではないにもかかわらず、あたかも中身を簡単そうに語る点が、対象業務を甘く見ていると感じられる。

このようなA社管理職の姿勢は、エンジニアがいくら頑張っても何も報われず、A社エンジニアのモチベーションを下げている要因になっている。エンジニアの苦労を分からず、モチベーションを下げている点から、A社管理職は(例え自分自身の技術力は高くても)マネジメントが未熟であることは確実だ。労力を使い果たす割には報われず、成長にもつながらず、顧客であるB社要求をの言いなりになり、売上達成のためだけに受注するといった安易さが、A社エンジニアのキャリアを左右することとなる。

<<事例2>> 市場品質問題の原因究明に向けた共同作業

私自身を含め多くの方が疑問に持つと思うのだが、D社製品の市場不具合が発生していることから、ソフトウェアの不具合原因究明はソフトウェアの作成元、即ちC社と異なるD社の外注先が行なうのが一般的である。

このソフトウェア作成元の外注先は、D社と取引がなくなったのか、潰れてしまったのかは不明であるが、他社が市場不具合を埋め込んだソースコードをC社が解析するとなると、C社エンジニアとしては非常に気の毒だろう。

D社はC社に対してその点気を使っているようであり、C社に無理な要求はせず、ソースコードの解析依頼こそ丸投げであるものの、現実的な範囲で段階的に調査を進め、不具合原因究明に向けての進め方を議論し、C社・D社共同で進めていった点については好感が持てる。

しかし、前章の文中にもあるようにD社からソースコードを解析できるエンジニアが退職し、不在になってしまったことは深刻な問題であり、D社として危機感を持つべき課題でもある。

<<事例3>> 製品知識が無くても新技術対応に専念できる体制作り

この事例はE社の開発要員(リソース)の不足を、G社製通信ドライバソフトウェアの購入と、F社からの派遣エンジニアによるソースコード解析および組み込みによって賄ったものである。

新しい通信技術を導入したことについては、ほぼ派遣エンジニアに丸投げになったものの、E社社員は「丸投げをしている(イレギュラーである)」との認識を持っており、F社派遣エンジニアが保有するスキル以外に、F社派遣エンジニアの作業に関して十分な工数を確保したことと、新しい通信技術の導入の部分に専念させる作業配分を行ったことが、このプロジェクトの成功への鍵であろう。

E社は製品開発に当たりソフトウェアの作成を可能な限りE社メンバーで行っている。ソフトウェア開発の難しさを分かっており新しい通信技術を導入に対しては本プロジェクト内でも重点項目として管理するなど手厚い進め方を計画していた。その中でF社派遣エンジニアが難なく業務をこなしたことが、E社の中でインパクトが大きかったのだろう。

新しい通信技術の導入、購入したドライバソフトの解析には、高いスキルが求められることを、E社はしっかりとわかっていたのである。

4.メーカー企業はソフトウェアエンジニアを保有し、高い報酬を用意すべき

これまで事例を述べてきたように、ソフトウェアのソースコード解析には高いスキルが求められるのである。解析作業をする人にとって不慣れな製品となると、その難度はより一層増すこととなり、多大な労力を要する。これを外注へ丸投げする際は、その進め方について慎重に検討する必要がある。

ソースコード解析による製品仕様のスペックアウトを外注に依頼する場合、発注側が主体となり共同作業で行い、受注側はソースコード解析に専念できる体制を作ることが求められる。「定型作業」「流れ作業」のような簡単なものではない。

「発注先はソフトウェア解析のプロだから丸投げすれば完璧にやってくれる」という感覚は危険だ。何の「プロ」であるかを正しく認識し上で、「対象製品のプロ」「対象システムのプロ」と「ソフトウェア開発のプロ」「ソースコード解析のプロ」が協調し、初めて対象のプロジェクトが円滑に進むのである。

ましてや、高いスキルを必要とするソースコード解析を、下請け企業に安い賃金で発注するなど、発注元がリスクを抱えることになるとともに、発注元の恥であると考えるべきである。

更に重要なことは、発注元は本来自社でソフトウェアエンジニアを確保しておき、製品のソフトウェアを自社内で理解しておくべきである。

「ソフトウェア・ファースト」の考え方にもあるとおり、これからはソフトウェアが製品の中心であり、ソフトウェアが事業活動の主流の時代である。日本はこれまでモノ・ハードウェア中心の開発で、IT・ソフトウェアはそのおまけ程度のものとして、軽視されていた。これが、日本の製造業にとって海外から大きく遅れを取った理由である。その典型の一つとして、ソフトウェアのソースコード解析を外注に丸投げすることが行われていると言えよう。

更に、ソフトウェア及びソフトウェアエンジニアを軽視せず、それなりに高い報酬にしないと、優秀なソフトウェアエンジニアの確保は困難になる。高いスキルが求められる割には、賃金が安い、努力が報われない、そんな企業に優秀な人材は集まらない。

そのような時代であるため、本記事の事例を参考に、ソースコード解析丸投げに限らず、高いスキルを保有しながら粗悪な扱いを受け、報われない優秀なエンジニア、及び粗悪な条件でソースコード解析の丸投げを受けたにもかかわらず見事に成し遂げた実績のあるエンジニアは、もっと良い環境を求めて転職することを視野に入れても良いのではないだろうか。

IT・Web系を専門とする『レバテックキャリア』は、2021年1月時点でサービス利用者数20万人突破し、年収アップ率7割を超える実績を持つ、「ITエンジニアが利用したい転職エージェント」として知られるエージェントです。高い専門性を持つアドバイザーがキャリアの選択肢を洗い出し、5000件以上のハイクラス求人の中からご登録者様のパーソナリティや志向性に沿い、まだ出会えていない理想の求人のご提案が受けられます。取り扱い企業も、大手IT企業からWeb系企業、スタートアップまでを幅広く網羅しております。IT/Web系エンジニアの経験者の方にとっては、是非登録しておきたいエージェントです。



転職ドラフトは年収UP率93.8% / 平均年収UP額126万円と圧倒的な年収UP率を誇るエンジニア向け転職サービスです。審査に通過した優良IT/Web系企業約150社が参加しており、企業がダイレクトスカウトを行うため、質の高いマッチングにより、前述のような高い年収UP率を実現しています。「現年収を元に内定年収が決まる」ことは一般の転職エージェントにありがちですが、こちらは現年収非公開で転職が可能であり、スカウト時点で内定年収を提示いただけるため、求職者にとってありがたく、効率の良い転職活動が可能となります。年収アップを目指したい方は、是非ご検討されてはいかがでしょうか?




プログラミングやWebデザインを習得して、副業を始めたい方、フリーランスを目指したい方、転職して給料アップを目指したい方は必見。日本で初めてマンツーマンでのプログラミング指導を導入したプログラミング塾が、"SAMURAI ENGINEER"(侍エンジニア)です。専属のインストラクターとの対面かZoomなどでレッスンを通じてプログラミングやWebデザインのスキルを身につけて頂き、就職や転職、案件の獲得の方法などをマンツーマンでサポートします。

入学から卒業まで受講生に専属の講師が付き、一人一人の目的に合わせたオーダーメイドカリキュラムに対応するのみならず、転職、就職、案件獲得までサポート!
オンラインが基本であるため地方在住の方でも安心して受講いただけます。あなたの人生を変える一歩を踏み出してみませんか!


「自己中心的」と「自己を犠牲にしない」は全く意味が違う!勘違いするな!

「自己中心的」と「自己を犠牲にしない」ことを区別できない人が、一定割合いる。中には管理職であってもそのような人材を見たことがあるくらいだ。

逆に、「自己を犠牲にしない」ことを「自己中心的」と非難され困っている人もいるだろう。

非難する側はこれらを正しく区別する必要があるし、非難される側はこれによって怯む必要が無いことについてお伝えしたい。


1.「自己中心的」と「自己を犠牲にしない」、各々の意味

「自己中心的」「わがまま」といえば何となくネガティブなイメージを持つ人も少なくない。そのネガティブな解釈をすれば「自分さえよければ、他はどうでもよい」というマインドが当てはまる。

「他人を犠牲にしてでも自分が得をすれば良い」という考え方を持つ人がいれば、周囲の人間にとっては限りなく迷惑な存在であり、場合によっては「自己中心的」な社員がいれば企業や組織が正常に機能せず、崩壊するといったリスクを抱えることになる。

一方、「自己を犠牲にしない」はどうか。

普段は全体・組織・他人のために尽力し、奉仕する利他的な人であっても、自分を犠牲にまでして奉仕しないという意味合いが強い。

この「自己を犠牲にしない」ことを「自己中心的」と非難する人は、その非難する人にとって都合が悪いだけであり、非難される人が犠牲となったうえで何かを成し遂げることを求めている可能性を考えると、この非難する人の方が「自己中心的」と言える。

このようなことは社会一般では普通である。

これを行う人は「自己を犠牲にしない」ために行っていることだ。しかし、これによって都合が悪いと感じる人間が、「あいつは自己中心的だ」と言ったりする。

そのようなおかしなことを、事例とともに解説するとともに、本来あるべき正しい考え方をお伝えする。

2.多忙な時期でも残業時間が少ないメンバーは「自己中心的」なのか?

業務の繁忙期に心理的に余裕がなくなっている中、残業時間が少ない人に対して、


「みんな(長時間)頑張っている中、なぜお前は(長時間)頑張らないのだ! (周囲のメンバーに合わせろ!)」

などと(口には出さなくても)このようなマインドを持つ未熟者がいる。

また、このような風潮により、残業が少ない人にとっても周囲から「自己中心的な人間」と思われたくない心理から、周囲と合わせて残業をしてしまう。更に酷い場合は休日出勤にも至ってしまう。

これこそが、メンバーのモチベーションを下げ、組織全体にとっての無駄であることにリーダーや管理職が気づかなければならない。
o08usyu7231.hatenablog.com

本来、残業が常態化する原因を特定し、これを解消するのがリーダーや管理職の役割である。これをせずに残業で賄うことは、メンバーの「犠牲」の上に業務が成り立っていることになる。メンバーが無理をして業務を成り立たせてしまうからこそ、まともなリーダーや管理職が育たないことにもなるし、そのような労働環境を放置しているほうこそ「自己中心的」と言えるのだ。

人間は朝起きて13時間以上経過すれば、酒酔い運転と同様のレベルにまで作業効率が低下することが、医学的に証明されている。そのような労働者に割増賃金を含めた残業代を支払っていることこそ、非常に効率が悪い。

そして業務にミスが出る、ソフトウェア開発なら品質問題に至ってしまうと、そのメンバーが責められることになる。生活面を壊され、健康面のリスクを負い、業務効率が下がり、これによるしわ寄せが表面化する。表面化した目に見える部分だけ叩かれる。何重もの「犠牲」「不利益」を強いられる。これを回避しようとすれば、それすらも叩かれる。メンバーは行き場を失う。犠牲になるのはメンバーだけではない。このメンバーが属する組織は、「労務管理が杜撰」「人権侵害の助長」と見なされ、社会的信用を失う。

このようなことを理解していないリーダー、管理職、取引先は徹底的に我が身を振り返り是正が必須であるとともに、このような未熟者によって被害を受けている人たちは是非「自己を犠牲にしない」ためにも、相手側に是正を要求するか、場合によっては関係を断つことを検討してほしい。
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com

3.パワハラ被害に対する正当防衛は「自己中心的」なのか?

他社の管理職(パワハラ加害者)からパワハラを受けた被害者が苦痛により、体調を壊した。この件に関し、後日被害者からパワハラ加害者に対してクレームした。その結果、しばらく当人同士でトラブルになったものの、被害者が屈することなく労働問題に対する正論を発信し、パワハラ加害者が最終的に謝罪した。これは組織内どころか、企業間の垣根を超えた社会的優良事例である。

しかし、後に被害者の上司(被害者側組織の管理職)は被害者に対して、

  • 「他社の管理職(パワハラ加害者)の意図を理解していたか?」
  • 「被害者の体調不良は他社には関係なく、当社内部で解決すべき。」
  • 「会社対会社の関係を考えているか?」

などと被害者を責めた挙げ句の果てに、被害者の人事評価を低評価とした。

被害者の上司の行為は、明らかにパワハラ被害者を黙らせることを目的としていることが見えており、セカンドハラスメントにあたる。
o08usyu7231.hatenablog.com

被害者の上司による、被害者への人事評価を低評価とした内容をもう少し詳しく見てみる。


「他社の人間に対して自己中心的な発言がある」

とのコメントがある。

被害者がパワハラを受けた背景を知らない人からすれば、被害者に問題があるように見えてしまい、第三者を誤認させてしまう表現である。

しかし、他社の管理職からパワハラを受けたときの証拠、上司がこれについての見解を述べているときの証拠を、被害者が保有しており、人事評価のコメントと上司の見解の内容が合致したことにより、パワハラ被害に対する正当防衛を「自己中心的な発言」と称していることが証明された。

ここでいう「自己中心的」は本当に「自己中心的」なのだろうか?

上述した通り、パワハラの正当防衛は、被害者にとって「自己を犠牲にしない」意味でも、会社にとって「信頼・評判の低下や、法的リスクの回避」の意味でも、社会的優良事例である。即ち「自己を犠牲にしない」ことを「自己中心的」と言い換えている典型である。

被害者の上司は、人事評価という土俵の上で、パワハラが発生していることを知りながら、(都合が悪いという理由のためか)これを隠蔽し、被害者が他社の管理職(パワハラ加害者)に対して何かやったことのみを吊るし上げ、低評価の根拠としている。

被害者の上司の行為は、被害者を犠牲にしたうえで自らはパワハラ発生に対する不適切な対応に関する責任逃れでしかないため、この上司の方こそが「自己中心的」と言えるのである。よって、被害者の上司はコンプライアンス意識欠落を理由に、被害者から社会的に信頼を失ってしまって然りなのである。

被害者の上司は、責任を取ったうえで人事評価における表現を次のように改めるべきである。

×他社の人間に対して自己中心的な発言
○他社のパワハラ加害者に対する人間教育という会社間の垣根を超えた社会的優良事例、および自己犠牲の回避と組織の信用低下・法的リスクの回避に繋げた模範的行為

4.「自己を犠牲にしない」ことは正しい!これを「自己中心的」と称する方が害悪だ!

「周囲のために」
「他人のために」
「組織のために」

このような理由で、自己を犠牲にしても誰も得をしない。

周囲から「自己中心的であるべきでない」と煽りを受けこれに応えた結果、自己を犠牲にしてしまっては元も子もない。他人を気遣いすぎると自分が傷つく世の中、現代社会では自分の気持ちを顧みずに他人に気を遣いすぎる人は、むしろ不自然だ。

「自分を犠牲にしない」ことは正しいことである。「他人の犠牲の上に物事が成り立つ」ことが間違っているのである。前者と後者は明らかに意味が異なり、ブラック企業の上層部や、不良取引先は後者に当たる。

ソフトウェアエンジニアの犠牲的労働によって、システム開発プロジェクトが成り立っているような企業は、そもそも根本的な是正が必要だし、ソフトウェアエンジニアもそのことを主張すべきなのである。ソフトウェアエンジニア以外のどの職業にも同じことが言える。

人間とは本来、自分中心である。生きるうえで自分のことだけを追求すべきなのか、他人のために献身的に生きるべきなのかという議論は慎重にならざるを得ない。それでも、「自分自身を一番に考えなさい」とアドバイスする精神科医が居る。それが正しい優先順位だからだ。私も同感である。

「自己を犠牲にしない」ことを阻害し、「自己中心的」であると批判する、そのような人材こそが「自己中心的」であり、周囲にとって害悪でしかない。そのような組織にあなたの力を貸す必要はない。

トラブルなく確実に退職したい!
会社に対して賠償請求をしたい!

そのような方にお薦めするのは、労働問題専門の弁護士法人が運営する安心・確実な退職代行サービスです。社会労務士および弁護士資格、様々な労働問題に関する知見・ノウハウを有し、法律上のトラブル、未払い金請求、慰謝料請求など、各種請求・交渉に完全対応いただけます!