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トップや管理職は「報連相」を正しい意味で使っているか?

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報連相」といえば、「報告・連絡・相談」のことだというのは多くの人が知っているだろう。また、社会人として身に付けておかなければならない必須の基本事項と言える。

しかし、残念ながらこれを本来の意味で使っている人はほとんどいない。

あるいは、「報連相」の語源を知っている人は少ないのではないだろうか?

この記事では、「報連相」が勘違いして使われているケースと、語源を含めた本来の意味、これに関して企業のトップや管理職のあるべき姿について語ろうと思う。


1.「報連相」が普段よく使われている場面

多くの場合は、新入社員研修や若手教育の場において、「報連相(報告・連絡・相談)をしっかりするように」と、部下からの積極的で自発的な動きを期待して、あたかも部下側の努力目標であるかのように伝えられる。

ある製造現場では、全社朝礼でトップから従業員全員に「報連相のワンランクアップ」などと声高らかに発信している。「上司の状況判断に必要な、部下からの自発的な情報伝達」を習慣的に行わせるためのしつけとしての発信なら、本来の意味とは違う意味で伝わっている可能性が高い。

都合の悪い話をすると、横柄な態度になったり、さらに重箱の隅をつつく詰問をするような人に、誰が自発的に報告・連絡・相談などするだろうか?

そのような人とはできるだけ距離を置こうとするのが人間の心理だし、更には隠蔽体質を作り上げる結果となる。

そもそも、「報連相」(報告・連絡・相談)とは、部下や若手社員に対して言う言葉ではないのである。

2. 「報連相」の語源とあまり知られていない本当の意味

そもそも、提唱者である山種証券の社長、山崎富治氏によると、管理職が「イヤな情報、喜ばしくないデータ」を遠ざけず、問題点を積極的に改善していくことで、生え抜きでない社員や末端社員であっても容易に報告・連絡・相談が行える風通しの良い職場環境をつくるための手段として報連相を勧めているのであって、部下の努力目標ではないとしている。

「報告・連絡・相談」そのものを部下の努力要求としてではなく、それを行いやすくするための環境を作る手段が「報連相」であり、要求に対する「前段」を整えているという話である。

心理的安全性」という言葉がよく似ているイメージだ。

私もこの語源を知る前は、部下から自発的に積極的に「報告・連絡・相談」するものだと思っていた。

前述の製造現場の「報連相のワンランクアップ」をトップが発信している例が、トップや管理職が積極的に取り組み報告・連絡・相談をしやすい環境を作っていくという意味であれば、コミュニケーションの活性化に期待が持てるかもしれない。

この「報連相」のみならず、日本の職場では部下や従業員に期待や要求をする割には、その「前段」ができていない場合が多い。

従業員に期待や要求をする前に、トップや管理職やその「前段」を整えることが、当たり前になるべきである。

一方、求職者、転職希望者においては、自分のパフォーマンスが発揮できるよう、「報連相」を正しく理解した、風通しの良い、「前段」ができている企業を選んでほしいと願っている。

3. 「報連相」をテーマにしたビジネス書籍でも「誰に対して」のものなのか着目してほしい

報連相」をテーマにしたビジネス書籍が多く出回ったり、社員教育の場面で多く使われていたりする。ここで重要なことは、「報連相」がどちらの意味で使用されているか、誰に対してのメッセージなのかに着目すべきということである。

×:ビジネス・業務を円滑に進めるにあたり、部下から上司への自発的・積極的なコミュニケーションを意味する、部下への教え
〇:問題点や都合の悪い情報でも容易に報告・連絡・相談が行える風通しの良い職場環境の構築を意味する、経営者・管理職への教え

4.業務を進めるにあたり、「阻害要因の除去」を意識した環境づくりを進めるべき!ダブルバインドは論外!

報連相」に限らず言えることなのだが、部下や若手に期待や要求することがあれば、それを阻害する要因については取り除くべきである。部下や若手に圧力をかけたり、期待や要求に対してメリットのみを並べて実現に繋げようとしても、うまくいかないだろう。「阻害要因の除去」ができていないからである。

報告・連絡・相談を積極的にしてほしいと期待しても、これを阻害するような下記に示す要因があれば、実現しないだろう。

  • 上司・先輩が不機嫌、または忙しそう
  • 「相談」すると「自分で考えろ」と言われる
  • マウントして無能扱いする

更に、

  • 部下が上司に相談すれば「自分で考えろ!」と言う
  • 部下自分で考えて進めたならば「なぜ相談しなかった?」と言う

このようなダブルバインドはもってのほかだ。

部下や後輩にパフォーマンスを期待する前に、「阻害要因の除去」を意識すべきである。
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