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「ブラック」「ハラスメント」!言葉の出現で気付きを得た!

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昔は「ブラック」という言葉はなかった。「セクハラ」「パワハラ」「モラハラ」をはじめとする「ハラスメント」を表す言葉もなかったでのはないだろうか。

高い倫理観より、組織内の力関係に従うことが良しとされていたのかもしれないが、今はもうそんな時代ではない。

企業等で理不尽な思いをしている人にとって、このような言葉の出現により、声を挙げやすくなったのではないだろうか。そして、企業、組織、各個人には高い倫理観が求められる。


1.コンプライアンスに対して世間の目が厳しくなった

労働問題が絶えず多く発生している。件数自体の問題というよりかは、より声を挙げやすくなったという世間の変化ではないだろうかと思っている。長時間のブラック労働やハラスメントといった企業の不祥事は、今の時代すぐにニュースになり、SNSの発達によって個人が世間に情報を発信しやすくなっている。

どこの企業でもコンプライアンスに関する研修や教育をするようになったが、それでもこのような問題が無くなることはない。世間の目は厳しさが増すばかりである。

特に私が印象的なのは、次の言葉が頻繁に使われるようになってきたことである。

  • 「ブラック」という言葉
  • 「ハラスメント」を表す言葉(「〇〇ハラ」、「△△ハラ」、「××ハラ」)

仕事上、色々と理不尽な目に遭わされたり、主張した内容が正しくても立場や力関係をもって受け入れられなかったり、おかしいと思うことが少なからずあったが、このような言葉が出現し、不快な状況を言語化することで、どのような不快感が我々を取り巻くのか、といったことの気付きを得るようになった。

2.「ブラック」という言葉が出現

昭和の高度成長期の頃は製造業が中心であり、モノを作れば作るほど売れていたので、たくさんモノを作り、残業しまくり、長時間労働を厭わず、会社に従順な人が出世していった。また、会社からの業務命令は「絶対服従」であり、理不尽にも耐え、いかなる場合でも組織を優先してきた。今の基準では「ブラック」と思えるが、当時は頑張れば頑張った分だけ報われ、若い頃は安い給料で使い潰されていたが年齢を重ねることによって段々と給料も上がっていく年功序列であった。更に、終身雇用制が当たり前で定年まで雇用が保証される時代であった。よって、当時は「ブラック」という概念は無かった。

しかし今現在はどうだろうか?

モノを作っただけでは売れず、アイデアを出し、付加価値を付けないと厳しい時代になった。終身雇用制は崩壊し、頑張っても頑張っても報われなくなった。しかし、過去の製造業における成功体験だけが根強く残り、そこから抜け出せず、昭和の高度成長期と比べると、悪い部分だけが残った印象である。

「ブラック」という言葉は、2000年代半ばにIT労働者が自分たちの労働環境の悪さを自虐的に表現するために使い始めたという説がある。「SE35歳定年説」というふうに言われ、体がボロボロになって辞めていかざるを得ず、長期雇用ができない状態の正社員が存在するような状況は「ブラック」ではないかと言い始めるようになったそうである。

「ブラック」とは法律で定義された言葉ではない。人によってとらえ方が色々ある。「ブラック」の定義については別記事を参照いただきたい。いずれにしても「ブラック」は劣悪な労働環境を表す言葉であり、世間からの目が厳しくなったことを象徴している。
o08usyu7231.hatenablog.com
2013年に「ブラック企業」という言葉が、流行語トップテンに選ばれた。実際に社会問題化しており、国を挙げて対策に乗り出している。それだけ問題であるという意識が世の中に浸透しつつあることを実感している。

3.様々な「ハラスメント」を表す言葉が出現

近年色々な「ハラスメント」を表す言葉が出現している。「〇〇ハラ」という言葉が現在では、少なくとも40種類以上あると言われている。「セクハラ」「パワハラ」から始まり、「こんな細かい、マイナーなものまで・・・」と感じるものもあるが、「ハラスメント」は相手を不快にすること全般を指している。業務におけるパフォーマンスを低下させ、場合によっては取引先、世間からの信頼低下を招き、業績に影響を与えかねない。新たな「ハラスメント」の言葉が出てくると、テレビの情報番組やネット記事上で、専門家が解説することもある。

人によっては、次々と新しい言葉が出てきてややこしいと感じる人もいるだろうが、私は前向きにとらえている。なぜなら、これまでは、理不尽な要求をされても、相手の立場もあり内容がある程度正しければ、反論することは困難であり、モヤモヤした状態が続いていた。

「言っていることの一部は正しいが、言っていることを実現するための前段が出来ておらず、また相手の立場や置かれている状況を考えないよね」

と思っていても言えないことが多々あるのだ。

しかし、「〇〇ハラ」という言葉の出現によって、「何によって不快感を感じているのか」に気付くようになった。

一例を挙げると「納期を守れ!」の一言。

「怠慢な人への言動」と、「長時間のブラック労働を強いられている中で必死に頑張って疲弊している人への言動」は、同じ言葉でもイメージが全く異なるだろう。前者は「叱責」と捉えられるが、後者は「ハラスメント」と捉えられる。当たり前のことだ。私の周りでは、前者のような実現可能なのに明らかにサボっている人というのは皆無と言っていいほど見たことがない。ほとんどは後者のパターンで、皆とても一生涯頑張っているが何らかの阻害要因に苦しんでいる人達だ。

特に後者は「この状況で何を言っている!」と反感を買う可能性のほうが断然高い。これのみならず、頑張っている人をさらに追い詰め、心身ともにボロボロになり、うつ病を発するまでの事態になり、最悪の場合過労死・自殺に至り、損害賠償の請求・裁判・企業名の公表といった事態になる。

「納期を守れ!」自体は紛れもなく正しい内容だ。しかし、問題は二つあり、

  • 「納期を守れる前段になっていないこと」
  • 「言われた人の立場や置かれている状況を考慮していないこと」

である。

このようなハラスメントは「ロジハラ」(「ロジカルハラスメント」)と言われる。正論を振りかざして相手を追いつめるハラスメントのことである。ある一面だけ正しいことを主張し、相手の置かれた状況を考慮しないことである。

「納期を守れ!」の例では、納期を守ることを不可能とする阻害要因を洗い出し、一つ一つ解決し、作業する人が快適に作業できるように環境を整えるか、無理な納期なら延期を要請するか断る等、しかるべき対応をとるのが普通である。マネジメントが未熟な人ほど、「担当者の気を引き締めなければならない」と、担当者を責めるのである。逆効果でしかない。
o08usyu7231.hatenablog.com

昔はこれが指導だとして理不尽なことに耐えてきた。これを後世にも自分たちがやってきたのと同じように押し付ける。パワハラの一種である。

しかし今は、前述したように色々なハラスメントに関する言葉が出てきたお陰で、「ハラスメントだ」「いけないことなのだ」という認識が広まり、私も「以前のあの出来事のときには何も言えなかったけど、あれはこういうハラスメントだったのだ」と思えるようになった。

4.「ブラック」「ハラスメント」!便利な言葉が提供され恩恵を受けているが、悪用には注意が必要

これまで

  • 「これを乗り越えればお客様からの信頼が得られる」
  • 「今苦労しとけば将来報われる」
  • 長時間労働している人が成長している」

といった言葉で正当化されてきた理不尽な過重労働などが「ブラック労働」と認識され、世間からの批判が強まり、健康面や生活面に配慮されやすくなった。

また、これまで

  • 「男/女なら当たり前」
  • 「目上相手だから」
  • 「みんな我慢してる」

といった言葉で正当化されてきた理不尽な要求や同調圧力などが「ハラスメント」と定義されたことでようやく問題が可視化され、弱い立場の人にも配慮されやすく、拒絶もしやすくなった。

このような労働上の悪事を示す便利な言葉が定義されてきたお陰で、世間の認知も高まり、難しい説明なく一言で表現できることは、私も含め理不尽な迷惑や被害を受けてきた人にとってありがたいと思う。

一方で、これらの言葉の出現には、「ハラスメント」の種類が増えてワケわからなくなる以外に、これらの言葉を悪用するモンスター社員の出現といった懸念もある。私の周りではまだ見たことがないが、一部の企業ではこうした社員の扱いに困るという話も出ている。便利な言葉ではあるが、使い過ぎには要注意だ。

とはいえ、このような言葉で説明がつく理不尽な被害に遭った多くの人達は救われてほしいし、頑張った人が報われ、優秀な人材が良い企業へシフトでき、それぞれ人が活き活きと働ける社会になることを願っている。

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