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長時間労働の原因が自分のスキル不足でないと見抜くことができた理由

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目次




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1.あらすじ

長時間労働の原因が自分のスキル不足でないと見抜けた理由は、同じスキルの人間(私)が、ブラック労働とホワイト労働の両方を経験してきたからである。
元々長時間労働の理由は自分のスキル不足だと思い込んでいた。それは私が新卒で入社してから10年少々は、このことが当てはまるキャリアだったからだ。即ち最初は苦労して時間もかかっていたけど何年もかけてスキルアップし、更に効率化により残業時間が次第に減り、時間がかかっている人はスキルが低いのではというイメージだった。

しかしその後、この考え方を覆す出来事が起きる。私が担当するプロジェクトが大きく変わり、長年慣れ親しんだ開発現場を離れ、別の開発現場へと移った。慣れない中新卒の頃ほどではないが苦労し、長時間労働に巻き込まれた。しかし、この現場では頑張っても頑張っても労働環境が改善されることはなく、体調に支障をきたしてしまった。

そして、様々な経験や分析結果から、表題のようなことがわかったのだ。もちろん自分のスキル不足である要因がゼロかというとそうではない。これが当てはまる場合もあるが、その割合はごく僅かだ。それ以前に様々な要因がある。だからといってスキルアップが不要であるかというとそうではない。必要だ。

2.昔在籍していた開発現場で長年かけて成長していく

私が新卒で入社したIT企業は下請けや派遣をを中心としていた。私は入社後の研修が終了した後、客先である電機メーカーへ常駐し、常駐先の社員と共にソフトウェア開発に携わった。この現場で作業していたときの初期の頃は残業まみれだ。何もわかっていなかった私はひたすら頑張った。ソフトウェア作成やテストがうまくいかず何回もやり直ししたり、テスト中の不具合発見に時間を要したりした。派生開発なのでベースとなるソフトウェアの理解にも苦労した。先輩社員達と比べると不利な点である。

「ここを乗り越えれば将来成長する。」「がむしゃらにやれ。」「死ぬ気でやれ。」こんなブラック企業でよくある言葉やマインドが漂っていた。私は本当にそう思っていた。一種の洗脳だ。しかし、何か違和感があった。当時はまだブラックという言葉が流通していなかったものの、長時間の残業と効率の低下が相乗効果となっていることを既に感じていた。

この現場は私が常駐していた年数が経過するにつれて、状況は少しずつ改善され、ソフトウェアの品質も良くなり、長時間労働も緩和されていった。一部の人たちは「あの苦しい時を乗り越えたから、ここまで成長できたんだ!」と言うが、私は違う。私が成長を実感したのは、「あの苦しいとき」ではなく、その後の話だ。「あの苦しいとき」はただの疲労しかない。業務の内容も分かり、少しずつ慣れ、充実している時が自分が一番成長している時だ。それ以来この現場で作業している間は、スキルが付くとともに効率化が進み、長時間労働が解消されていった。それでも、時間がかかっている人はスキルが低いのでは、品質が悪いのでは、なぜ効率化している人を見習わない人がいるのか、というイメージだった。この頃はまだ、長時間労働の原因はスキル不足だと思い込んでいた。

【レバテックキャリア】

3.開発現場が変わり違和感を感じ限界に至る

先程とは別の開発現場で長時間労働に巻き込まれた。慣れないプロジェクトや元々長時間労働のプロジェクトに応援要員として投入された。こちらは長時間労働に加え、通勤も遠距離だった。それでも、前出の電機メーカーでの実績から、最初は苦労するが頑張れば取り返せる、今の現場も今のプロジェクトに慣れさえすれば、パフォーマンスは高まり長時間労働も解消できると、過去の成功体験を信じていた。しかし、現実はそうではなかった。心理的負担が高く、体調に異変をきたし、ある年の夏休み(さらに数日休暇)を全て休養のために費やしてしまった。通院もした。気付きが早かったため、通院だけで済んだ。

前出の電機メーカーでの実績には自信があったし、スキル不足では説明がつかない。実績不足ではなく、その現場のプロジェクトに慣れていないという意味のスキル不足、環境適応能力の不足と考えていた。環境適応能力や柔軟性も広い意味ではスキル不足。自分は前出のメーカーでしか通用しないのてはないかと考え始めた。この頃もまだ、長時間労働の原因はスキル不足だと思い込んでいた。

しかし、この後これまでの思い込みが覆る。体調も万全でないまま、また別の現場である中堅のメーカーへ客先常駐として投入された。業務内容は安全系システムの評価要員として投入された。この中堅メーカーは業績が下がり気味でコスト削減の一環として、残業禁止であると聞いた。残業代未払いという意味ではない。残業禁止のホワイト企業である。
実際に現場で業務を開始すると、余裕を持ったスケジュールであると感じた。毎日定時退社。定時を少しでも過ぎると見回り当番が「お疲れ様でーす。退社してくださーい。」と言いながらフロアを見回る。この様な光景は私には初めてだ。前行程に時間をかけたことで作業の進捗も順調どころか、楽に顧客から高く評価され、プロジェクト終盤には万全でなかった体調が回復するという、良いことしかない状態であった。この常駐先の在籍期間は約半年程度と短かったにも関わらず、優良な実績を残した。よって環境適応能力の不足というのも説明がつかなくなった。

マイナビ IT AGENT

4.分析を重ね真の原因を知る

前出の中堅メーカーであるホワイト企業でのプロジェクト完了後も、周期的にプロジェクトと作業現場が変わり、ブラック労働とホワイト労働の両方を経験することになる。長時間のブラック労働になる現場はどのようなどころか、分析を重ねるごとに段々と傾向をつかむようになる。

・自分一人だけの作業遅れではなく、プロジェクトメンバ全員揃って全体的に進捗遅れとなる。誰かが足を引っ張っているわけでもない。

多重下請け構造の下位企業ほど過重労働になりやすい。

・元々の計画に無理があることが後からわかる。プロジェクトの開始時は全体や詳細が見えておらず、プロジェクト内で設計面等でトラブルが起きることで、徐々に実態が明らかになる。プロジェクトが完了する頃には、あの膨大な内容であの少ないリソースでよくやったなという会話がある。

・「他製品からの設計を流用するだけ」「設計書に書いてある」「インタフェース部分を繋げるだけ」など、短納期での完成を約束させたいがためにいかにも簡単にできるかのような詐欺商法的言い回しでアプローチしてくる依頼元がいる。実際やってみるとそうはいかず、依頼元もプロジェクトの内容や実態をわかっていないことが多い。

・派生開発の場合、要求仕様の内容が同じでも、開発者のスキルに問題はなくとも、ベースプログラムの設計の出来栄えによって左右する。

・ベースプログラムに不具合を発見し、本来予定していた開発作業がストップし、元々予定していなかった調査が急遽割り込む。

・優良企業ほど私を高く評価する傾向を掴めたため。同時に無理なく生活でき、健康面も維持され、周囲の人は親切で、モチベーションも維持され、高いパフォーマンスを発揮しやすい。
逆に不良企業ほど私への叱責が多い。慣れ不慣れ関わらず作業の依頼は丸投げが基本。やたらマウントを取りたがる人もおり、モチベーションは下がり、パフォーマンスが発揮されず、優秀な人材にとっては勿体ないと感じる。

・問題となるメンバーや上位者が組織内にいると、本来発揮しなければならないテクニカルスキルが発揮されず、生産性が落ちる。そのような問題に対して、本当に問題がある人ではなく、被害を受けている人のせいにする。

・問題や進捗の遅れが発生したときに、根本対策を打たず、遅れの挽回を残業によって実現しようとする、最もあってはならない未熟なマネジメントが当然のように行われている。

これらの内容は、実際に経験した開発現場でのことだが、これ以外にも世間一般の認識や専門家の見解を踏まえると、要因が多岐に渡っている。日本の国民性もそうだろう。日本は労働時間が長い割には先進国の中で最も生産性が低いと報じられている。長時間働けば頑張っていると周りから褒められる、若いうちに苦労しとけば報われるという思い込みから抜け出せない、といった考え方も昔はあったが今は違う。

ここまでくるともう長時間労働の原因はスキル不足では説明がつかない。他人や環境、状況のせいにしているように見えるが、正しく見抜くことは必要なことである。スキルアップは必要なことだが、長時間労働の原因をいつまでもスキル不足と思わずに、労働環境のよい職場に移るなど、現状を正しく見極め、環境や状況を変えるような行動を起こすことも取るべき選択肢の一つではないだろうか。

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