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「会社対会社の関係」を都合良く使うことによる理不尽を許してはいけない

「会社対会社の関係」という言葉を聞くことがある。しかし、背景状況と照らし合わせていまいちモヤモヤするといった人もいるのではないだろうか?

「会社対会社の関係」という言葉の正しい使い方と、使う側にとって都合良く使われるケースをインプットしていただき、自身の犠牲によって物事が成り立つといった事態がなくなってほしいと願っている。

目次

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1.「会社対会社の関係」の正しい使い方

「会社対会社の関係」とは、ミスや不正による迷惑や影響が、個人で済む、業務単位のチームに及ぶ、社内の他の部門に及ぶ、他の会社に及ぶ、・・・となるほど段々と影響範囲が大きくなっていくことを考慮し、注意を促したり、問題となる人に是正を要求したり、「影響が大きい」ことを伝えたりする場面で使うものである。

また、業務を進めていく上で、社内に対して言えること、グループ会社に対して言えること、取引先に対して言えること、それぞれが異なるように、相手や範囲によって対応を変えなければならない場面を考慮して使われることがある。

「会社対会社の関係」が正当な範囲で使われるのはまだ良いが、この記事で扱うのはそうでないケースである。

「会社対会社の関係」というと正しそうに聞こえる、辛抱も必要だという心理に漬け込んで、力関係を背景としたハラスメントや、一部の人や組織を犠牲にした上でビジネスを成立させるようなケースは、間違っている。

「会社対会社の関係」という言葉だけを素直に受け取り、理不尽を我慢し、間違った使い方がされていることを見抜けなければ、結局自分達の首を締めることになる。
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2.パワハラ被害者に対して使われた「会社対会社の関係」

「会社対会社の関係」という言葉をパワハラ被害者に向けて使われた事例を見てみよう。

他社の管理職(パワハラ加害者)からパワハラを受けた被害者が苦痛により、体調を壊した。この件に関し、後日被害者からパワハラ加害者に対してクレームした。その結果、しばらく当人同士でトラブルになったものの、被害者が屈することなく労働問題に対する正論を発信し、パワハラ加害者が最終的に謝罪した。これは組織内どころか、企業間の垣根を超えた社会的優良事例である。
しかし、後に被害者の上司(被害者側組織の管理職)は被害者に対して、

  • 「他社の管理職(パワハラ加害者)の意図を理解していたか?」
  • 「被害者の体調不良は他社には関係なく、当社内部で解決すべき。」
  • 「会社対会社の関係を考えているか?」

などと被害者を責めた挙げ句の果てに、被害者の人事評価を低評価とした。
被害者の上司の行為は、明らかにパワハラ被害者を黙らせることを目的としていることが見えており、セカンドハラスメントにあたる。
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ここで言う「会社対会社の関係」は、他社(顧客)から無理な要求を受けたり、ハラスメントを受けても、波風立てず他社(顧客)との関係を維持したいために、被害者に対して使われている。被害者の上司(セカハラ加害者)の対応は不適切極まりないものであり、大変遺憾である。

この場面において、本来「会社対会社の関係」は、パワハラ加害者に対して使われるべき言葉である。パワハラ加害者は、他社の従業員にパワハラを行っており、被害者よりクレームを受けている。パワハラ加害者こそが「会社対会社の関係」を考えるべきなのである。

誰が見ても当たり前にわかるようなことなのだが、他社の管理職(パワハラ加害者)、被害者の上司(セカハラ加害者)揃って過ちを犯している。自己保身、責任逃れが先行し、「物事の正しさ」よりも「力関係」が先行し、「会社対会社の関係」の間違った使い方により、パワハラ被害者を潰している事例だ。

被害者の上司はコンプライアンス意識欠落を理由に、被害者から社会的に信頼を失ってしまって然りなのである。
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3.「お客様は神様」の間違った使い方と同じである

「お客様は神様です」は、演歌歌手の三波春夫氏の言葉で有名だが、一方で世間一般では本人の意向とは異なる、誤った解釈で使われていることもご存知だろう。
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これも前章で述べたように、「物事の正しさ」よりも「立場」「力関係」が先行した結果、理不尽を押し付けるケースが少なくないのが残念である。

「相手はお客様だから」「無理な要求でも対応して誠意を見せるべき」等のように、社員の犠牲の上でビジネスを成立させるケースほど、受け手にとって迷惑なものはない。言っている方は意識が無くとも悪質であると判断されるため、今一度本記事で述べた例をインプットに自身の行いを見直していただきたい。
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また、

  • 「相手はお客様だから」
  • 「無理な要求でも対応して誠意を見せるべき」

等のような考え方を素直に受け入れる真面目な人ほど被害に遭いやすい傾向があるため、ハラスメントの前兆であることを正しく見抜く必要がある。

4.全ての人への「人権尊重」を守らなければならない

社内・社外関係なく力関係によるハラスメントの横行、取引先への無茶な値下げ要求を伴った発注、業務委託先に対して無理に納期短縮をかけて長時間労働を引き起こすことは、いずれも人権侵害への助長と判断される。

「人権尊重」は「人間対人間における共通認識」であり、「会社対会社の関係」以前の話である。「人権尊重」という土台があって、「会社対会社の関係」があるのである。「会社対会社の関係」を重視した結果、「人間対人間」という土台が崩れてしまっては、売上・利益重視でコンプライアンス軽視と同じなのである。

こう書かれれば当たり前なのだが、実際にできていない人や組織が少なくない。中には管理職でも出来ていないことがある。

社内・社外・お客様・取引先、いずれにしても、事業活動に関係する全ての人への「人権尊重」を守らなければならない

  • 「自分(自社)さえ良ければいい。」
  • 「自分(自社)には関係ないから問題ない。」

このような考え方で、長時間労働、異常な低賃金、ハラスメント、といった人権侵害に至れば、社会(ステークホルダー)から痛烈なバッシングを受ける事になる。

事業活動に関係する全ての人が守られるべき「人権尊重」だが、「会社対会社の関係」を都合良く使うことによる理不尽を許してはいけないし、そのような人や企業に未来はない。

理不尽を受けた人は、都合良く使われた「会社対会社の関係」を真に受け止める必要はないし、環境を変える検討をしても良いだろう。

「会社対会社の関係」が正しく使われているかどうかの判断のポイントは、「会社対会社の関係」を考えて行動した結果、「自分自身、自組織の犠牲の上に関係が成り立つ」かどうかである。