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顧客企業にクレームすることはあり得る

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ビジネスにおいて、顧客(顧客企業)へクレームする場面はあまり見たことがないのではないだろうか?

「人間」対「人間」という位置づけよりも、取引上の力関係に従っている場面が多くないだろうか?

「人間」対「人間」であることをわかっていても、なかなか言うべきことを言えず、モヤモヤしている人は、一度本記事を読んでみてほしい。モヤモヤを解消するための、何らかのヒントを掴んでいただければ幸いである。


1. 顧客へのクレームはありえないと思っていないか?

顧客(顧客企業)から自社の製品やサービスついてクレームを受けることは普通にある。逆に、顧客(顧客企業)にクレームするというのは、あまり聞いたことがないのではないだろうか?

実際、あまり見かけることは少ないが、顧客や発注元にクレームすることはゼロではない。稀にある。また、あっても良いと思う。お客様はお金を払っているのだから偉い、大切にしなければならないと教わることがある。しかし、ビジネス以前に人間として、次のことに疑問を抱く。

  • お金を払っていたら偉いのだろうか?
  • お金を払っていたら、後は何をやっても良いのだろうか?
  • 安い賃金でそれに見合わないブラック労働でも、お金を払っている方が偉いのだろうか?

お金を払って、商品を購入したり、サービスを受けたりするため、単なる等価交換である。

また、サービス提供側に特有のスキルが必要であったり、周到な事前準備が必要であったり、大変な状況の中対応してもらったりする。こういった人達に敬意を表すべきではないだろうか?

私が知る数少ない、顧客側(発注側)へのクレーム事例を紹介しよう。

2. 顧客へクレームした実例

過去のシステム開発プロジェクトの話である。ベンダー(発注先)担当者から顧客(発注元)担当者へ問い合わせをすることがあり、そのやりとりを一覧表で管理している。やりとり一覧表はベンダー企業・顧客企業で共有している。

顧客担当者は年齢も若く社会人経験が未熟だ。その顧客担当者の認識と違うと、すぐに厳しい口調でベンダー担当者を責める。重箱の隅程度の指摘をし、システム開発にあたって現行システムの調査や解析を次から次へと丸投げしてくる。ベンダー担当者に敬意を表すこともなく、ベンダー担当者が作業するのが当然のごとく、なんでもかんでも丸投げする。IT業界でまかり通っている、下請け企業への丸投げであり、顧客担当者は何の価値を提供しているのか疑問である状態だ。

その顧客担当者からの問い合わせに対する回答期限は短く設定され、間に合わないと厳しく責める。作業の進捗が遅れていても厳しく責める。

一方、ベンダー担当者からの問い合わせに対する顧客担当者からの回答は、ベンダー担当者が期限を設定しても無視。他人をせかす割には自分はいい加減である。一般的なビジネスパーソンと比較しても明らかに未熟である。

あるとき、やりとり一覧表にて顧客担当者が回答すべき案件で、期限を過ぎているのに未回答のものが多数あり、顧客担当者の怠慢さが目に見えてわかるように、ベンダー担当者は厳しい口調のメールを顧客担当者へ送信した。

単なるお願い程度のものではなく、社会人として上司から新入社員に教える程度の内容も文章に含まれている。ベンダー担当者は、そのメールのCCに、ベンダー担当者の上司・同僚、顧客担当者の上司も入れた。

その後は、更に少し遅れて回答があった。ベンダー担当者がメールで送信した厳しい口調のものに反論されることもなく、何事もなかったかのように時は過ぎていった。ベンダー担当者の上司からベンダー担当者に対して、

「お客様に対してもう少し丁寧な接し方を心掛けるように!」

のような注意がなされることもなかった。

3. 顧客へクレームした実例に対する考察

さて、ベンダー担当者が顧客担当者にクレームを含めた叱責メールをした後はどのようになったか?

顧客担当者はそれ以降ベンダー担当者およびベンダー企業に対し、厳しい口調で責めることがだんだんと少なくなってきたように思える。顧客担当者からの問い合わせに対してベンダー担当者が回答すると、顧客担当者は最後に「ありがとうございました」と言うようになった。

顧客担当者は顧客担当者の上司から色々と厳しくお叱りを受けたのだろうか?

もしそうであったなら、それは然りだろう。当社からの問い合わせで回答期限を過ぎていることがわかるメールの添付ファイル等を顧客担当者の上司が見れば、顧客担当者の怠慢ぶりは明らかだ。それ以外にも、なんでもかんでも丸投げする顧客担当者の働きぶりをその上司も見ていて、気になっていたのだろう。

ベンダー担当者が気にしていたのは、クレーム内容のメールを送信するときに、CCに顧客担当者以外の関係者を入れるべきだったかどうかである。こっそり顧客担当者本人だけに送信すべきか、関係者複数人にCCを入れるべきかである。後者は顧客担当者のプライバシーの問題もあるため、クレーム内容が酷すぎるとパワハラになってしまう。一方、顧客担当者だけに送信すると、顧客担当者の上司の目に入らないため、クレームの内容を認知されることがない。これにより、顧客担当者本人がスルーしてしまったときに上司からのフォローが入らない恐れがある。

ここは、ケースバイケースであるが、いずれにしても伝えることは必要である。本来、顧客担当者から見て取引先であるベンダー担当者からお叱りを受ける前に、顧客企業内で自浄作用が働き、取引先企業への失礼が無いように、顧客企業内でマネジメントされていなければならない。

4. ビジネス上の関係であること以前に「人間」対「人間」であることが教育されているべき

この例はあくまで一例に過ぎない。かといって、このような例がたくさんあるかというとそうでもない。顧客の怠慢、顧客の不正、顧客原因の困りごとなどは、何らかの形で伝えなければいけない。部下から上司にこのような相談や依頼があれば、上司は対応しなければならない。

やってはいけない過ちは、

  • 「相手はお客様だから・・・」
  • 「お金を払ってもらっているから・・・」

といって、理不尽に対して我慢を強いたり、過ちを指摘しなかったり、話を面倒にしたくないが故に正当化したり、問題解決よりも顧客の機嫌取りを優先したり・・・。こんな時代は終わりにしよう。海外ではあり得ない話だ。

「顧客」対「提供者」や「発注元」対「発注先」ではなく、「人間」対「人間」として考えれば当然のことだろう。「人間」対「人間」レベルであってはならないことを、「顧客」対「提供者」や「発注元」対「発注先」という立場の関係に持ち込み、黙らせることを強要したならば、それはパワハラである。黙っていても問題は解決しない。顧客にクレームすることはあり得る。

「お客様は神様」ではない。「お客様は人間」である。「会社対会社の関係」というが「人間」対「人間」レベルのことができてこその「会社対会社の関係」の関係である。取引上の力関係が先行し、土台を崩してはならない。そもそも、取引上の力関係など存在しない。
o08usyu7231.hatenablog.com
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このことが理解できない企業は、これから先は通用しない。当たり前のことであるが、顧客へクレームすることはあり得る。

「顧客へクレームすることはあり得ない」前提でビジネスを進めていると、本記事に出てきた顧客担当者のように恥をかくことになる。

多くの企業、多くのビジネスパーソン、中には管理職が「ビジネス」という目の前の課題解決に集中し、自分たちの組織の利益のことだけを考え、尚且つ力関係で優位な立場にあると認識しているとき、往々にして「人間」対「人間」という「前段」を見落としがちだ。このような「粗悪さ」がまかり通ることが異常である。