ソフトウェアエンジニアが労働について情報発信するブログ

ブラック労働からホワイト労働まで経験したソフトウェアエンジニアが世の中にとって役立つことを情報発信していく。

「客や発注者の方が偉い」と考えている時点で思考停止!そのような人罪とは距離を置くことを推奨する!

ビジネスの世界ではお客様の要望に応えることが、商品・サービスのシェア獲得に繋がり、売上・利益に繋がると教えられる。これ自体は間違いではないのだが、「客や発注者の方が偉い」という思考停止に陥ることによる弊害について会社で教えられることは少ない。

また最近では、客とベンダーの立場は対等であると教えられることがあっても、行動が伴っていないことが多い。

コンプライアンスがますます重視される世の中の変化するものの、それでも古い価値観を持ち続ける旧態依然の体質の人は少なからずいる。このような人は価値観をアップデートし、倫理観を高めることが求められるのだが、これができていない人と距離を置かないと、自分が理不尽に巻き込まれる等、被害を受けるリスクを抱えることになるということを事例を踏まえてお伝えしたい。

目次


1.「客や発注者の方が偉い」のは日本のみ

日本ではまだまだ客や発注者のほうが立場が上と考えられている。それは、お客様に満足していただかなければ、商品やサービスは競合他社にシェアを奪われ、客離れが起き、ビジネスが成り立たなくなり、いずれは破綻してしまうという考え方が主流だからだ。

お客様にはお金を払っていただいている。だから、お客様の要望に応え、可能な限り尽くし、早く、安く、高品質な商品・サービスを提供する。日本の企業に就職すると、このようなことが徹底的に教え込まれる。

「お金を払っているのだから」とよく言うが、「お金を払って」いればそれは「偉い」と言えるのだろうか?

普通に考えれば、ビジネス・商売というのは、「お金」と「商品」・「サービス」との等価交換であり、関係は対等だ。なのに多くの日本人は「お金を払っているのだから、客のほうが偉い」と思い込んでいる。

日本ではサービス精神が行き過ぎているためか、客からの理不尽な要求にも必死で応えようとするし、要求を受けた側の懸命な尽力にも関わらず、応えられなければ要求を受けた側が叩かれる。おかしな状態を維持しようとするから、労働環境がブラックになる。残業を求めてくる取引先は、閉店後に「店を開けろ」と騒ぐキチガイと同じだが、このようなことが平然とまかり通る。

このような光景は日本のみであり、海外では「客や発注者が偉い」という考え方は全く通用しない。そもそも日本人の接客が過剰であり、異常なのである。海外では、客と店員、客とベンダーは対等だ。どちらも人間である。不快なことがあれば相手か誰であれ、表に出す。これが当たり前だ。店員と客だけでなく、雇用主と労働者の関係も同じだ。

「客や発注者の方が偉い」と考える人は、視野が狭い上に、一度このように上司から教えられたら、おかしいと思ってもそのようなものだと認識し、それ以上考えることをしない。すなわち思考停止だ。このような人罪とは、距離を置かないと、自分自身もこのような人罪に洗脳され、思考停止してしまう。
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距離を置いた方が良い人罪と考えている二つの事例を紹介しよう。二つの事例で紹介する人罪に共通点するは、過去にハラスメント加害者となったことがある人だ。

2.「業務改善のためのシステムを作らせる側が偉い? ふざけるな!」

業務改善のためのシステムやツールを作成するとき、「改善のためシステムやツールを発案して、作らせる人」「改善のためのシステムやツールを、保有する知識・スキルを駆使して作る人」のどちらが偉いかという議論があった。

そこで、旧態依然の価値観を持つある年配のベテラン社員が、「作らせる人が偉い」と言っていたことがある。例えば、「このようなシステムやツールがあれば、このような問題に対応でき、このように改善できる」といった具合に、発案すること自体はとても価値のあることだ。しかし、「作らせる側が偉い」というのは、単なる奢りとともに思考停止である。

実際は、「現状の問題点を捉え、解決・改善のためのシステムやツールを発案」する人がいても、「発案した内容を具現化実するためのシステムやツールを構築できる技術」がなければ実現できない。

それなのに、なぜ「発案して作らせる人が偉い」のか私には理解できない。「現状の問題点を捉え、解決・改善のためのシステムやツールを発案」するには、システム開発における上流工程を司るために高度なスキルが必要だと思い込んでいるのではないだろうか?

システムやツールを構築するにも、専門性の高いスキルが必要であり、決して軽視できるものではなく、多大な有り難みを感じるべきなのだが、旧態依然の価値観の人は、そこを理解できておらず、偏った価値観を持ち続けているようだ。

ひとつの大きなことをやりとげるには、それぞれのスキルを持った人が、それぞれの役割を果たし、それぞれの専門性を活かし、それぞれの人同士の協力関係のもと成り立っているという基本を忘れてはならない。一部の人や組織の犠牲を持って成り立っているのは異常である。だから、どちらが偉いとかあり得ないのである。上述の旧態依然の価値観を持つ年配のベテラン社員は、価値観を改めなければいけないのだ。
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「作らせる側が偉い」という価値観を持っている人は、「管理職が偉い」「発注者側が偉い」「客のほうが偉い」と同じように勘違いしている傾向があり、立場や力関係を背景にしたパワハラ体質である傾向がみられる。理不尽を押し付けられるリスクがあるので、距離を置いた方が良い存在だ。でなければ、せっかく高いスキルを保有していても「作らせる側」の歪んだ価値観により、過小評価され、安く扱われる等勿体ない結果になる。

更に、現実を付け加えておく。よく業務効率化のためのツールを構築できる人は、MS-DOSバッチ処理にせよ、エクセルのVBAにせよ、C言語で生成するファイル操作のプログラムにせよ、ツールによってどのようなことを実現できるかをわかっているため、その人自身が業務上の問題点を捉え、改善のための発案を自らすることがよくある。ボトムアップの発想だ。こういったことをできる人が、口だけ達者な人と比べて職場で重宝されることはよくある話だ。

3.「取引先からパワハラを受けたことについてのクレームに対して、『会社対会社の関係を考えろ』? ふざけるな!」

他社の管理職(パワハラ加害者)からパワハラを受けた被害者が苦痛により、体調を壊した。この件に関し、後日被害者からパワハラ加害者に対してクレームした。その結果、しばらく当人同士でトラブルになったものの、被害者が屈することなく労働問題に対する正論を発信し、パワハラ加害者が最終的に謝罪した。これは組織内どころか、企業間の垣根を超えた社会的優良事例である。
しかし、後に被害者の上司(被害者側組織の管理職)は被害者に対して、

  • 「他社の管理職(パワハラ加害者)の意図を理解していたか?」
  • 「被害者の体調不良は他社には関係なく、当社内部で解決すべき。」
  • 「会社対会社の関係を考えているか?」

などと被害者を責めた挙げ句の果てに、被害者の人事評価を低評価とした。
被害者の上司の行為は、明らかにパワハラ被害者を黙らせることを目的としていることが見えており、セカンドハラスメントにあたる。
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ここで言う「会社対会社の関係」は、他社(顧客)から無理な要求を受けたり、ハラスメントを受けても、波風立てず他社(顧客)との関係を維持したいために、被害者に対して使われている。被害者の上司(セカハラ加害者)の対応は不適切極まりないものであり、大変遺憾である。

この場面において、本来「会社対会社の関係」は、パワハラ加害者に対して使われるべき言葉である。パワハラ加害者は、他社の従業員にパワハラを行っており、被害者よりクレームを受けている。パワハラ加害者こそが「会社対会社の関係」を考えるべきなのである。
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誰が見ても当たり前にわかるようなことなのだが、他社の管理職(パワハラ加害者)、被害者の上司(セカハラ加害者)揃って過ちを犯している。「取引先(発注元)の方が偉い」という思考停止に陥り、偏った価値観をもって、自組織内のパワハラ被害者を潰しているにも関わらず、被害者の上司(セカハラ加害者)ですら、被害者の心情に配慮したまともなパワハラ対応ができないのである。被害者の上司(セカハラ加害者)においては「会社対会社の関係」をキーワードに、被害者側の対応について逐一指導する割には、肝心のパワハラそのものについてはザル対応であり、お門違いも甚だしい。

被害者の上司はコンプライアンス意識欠落を理由に、被害者から社会的に信頼を失ってしまって然りなのである。

4.「客や発注者の方が偉い」と思考停止になることのデメリットについて語る

この記事の冒頭に記載した通り、お金を支払っていただいているお客様が満足する製品・サービスを提供しなければ、競合他社にシェアを奪われ、ビジネスが成り立たなくなるということは、どこの会社でも、誰もが教わることであり、一理ある。

しかし、「客や発注者の方が偉い」と思考停止になることは、以下のようなデメリットの方が多くあり、私が見る限りにおいてもこちらの方が顕在化しつつある。

  • 【従業員・リソース面の観点】顧客の横暴や理不尽な要求を実現するため、自社の労働環境がブラックになり、自社の従業員が心身不調になり、自社の貴重なリソースが潰され、最悪再起不能になる。これにより、組織の生産性、パフォーマンスが下がり、他の従業員に負担がかかる。ただでさえ人手不足の中、従業員の離職か進む一方で、従業員を確保することが難しくなり、顧客の原因においてビジネスが成り立たなくなる。

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  • 【社会面・倫理面の観点】顧客の横暴や理不尽を辛抱することが強いられるなど、人間としての倫理観よりも顧客の要求が優先されることで、社会的な秩序が保てなくなる。また、そのような風潮が社内に広まり、当たり前となることで倫理観が低下し、社会から孤立する。コンプライアンス意識の高い優秀な人財が辞めていくことによるリスクを抱え、最悪の場合、組織の破綻を招く。
  • 【財務面の観点】提供する商品・サービスと対価とのバランスを失い、価値の高い商品・サービスに見合わない安い金額で買いたたかれることで、提供している価値を軽視され、かえって健全なビジネスの継続が困難となる。結果、これを維持するために職場の労働環境がブラックになる。また、顧客要望を重視しすぎるあまり、業界として値下げ競争が行き過ぎることで、業界全体が極めて貧しくなる。 

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  • 【将来性の観点】顧客の要求を満たすことのみが当たり前になると、自分達の労働環境の犠牲の上に成り立つ状況に追いやられる。結果、そのような職種・業種に就きたいと思う若者が減少し、将来的にその産業自体が成り立たなくなる。業界によっては我々の生活面に直接影響を及ぼす。医療機関はその代表例だ。
  • 【法律面・違法性の観点】顧客の要求を満たすことのみが当たり前になると、知らぬ間に違法行為に加担し片棒を担ぐことになってしまうことがある。このような組織からは優秀な人財が離脱する可能性が高い。偽装請負はその代表例だ。他にも、顧客の横暴に付き合わされることで、従業員が心身不調などを訴えると、使用者は職場の安全配慮義務違反が課せられるリスクを負うこととなる。

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「客や発注者の方が偉い」と思考停止になる人は、このようなデメリットに対して無自覚である。口頭ではデメリットだ!、問題だ!と言っていても、実際行動が伴っていないことはざらである。だから、このような人に対しては、素直に従うのではなく、是正を要求するか、距離を置いたほうが良いのである。自分自身が被害を受けないためにも。



一方、自分が客であっても自分が「偉い」という感覚は全くなく、お金を払っていてもサービスを受けたときは「ありがとうございました。」の一言くらいは当たり前だと思っている。また、客の横暴とは逆に、商品・サービスを提供する側による横暴もあってはいけないことだ。殿様商売という言葉をご存知だろう。お客様、従業員、ベンダー、取引先、協力会社、みな人間である。ビジネスの常識や力関係がまかり通ると、この基本を忘れてしまい、人権を侵害してしまうことが少なからずあるから困ったものだ。心当たりがある人はもちろん、無自覚の人こそ是正してもらいたいものである。