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パワハラ事例解説(12) - 「常時不機嫌な振る舞い」と「人間関係の切り離し」で優秀な人材に対して悪影響

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このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例12】「常時不機嫌な振る舞い」と「人間関係の切り離し」で優秀な人材に対して悪影響

あるIT企業で長年作業している協力会社要員(以降【加害者】と記載する)の扱いに困った話である。この【加害者】は50歳前後というベテランであり、お局的なイメージである。周囲の人達は、この人に対して「仕事がてきる人」というイメージを持っている。【加害者】が携わっているプロジェクトにおいては顧客とも十分面識がある。

一方、この【加害者】と同じプロジェクトに異動してきた同IT企業の正社員(以降【被害者】と記載する)は、他の開発現場で長年実績を挙げてきた優秀な人材である。しかし、異動してきたプロジェクトではこれまでと勝手が違い不慣れな様子であった。

【加害者】は【被害者】を

  • 見下していたのか?
  • 「プロジェクトに慣れていない」ことを「仕事ができない」と勘違いしていたのだろうか?
  • 現プロジェクトでは不慣れたが過去の実績があり中途半端で扱いにくいのか?

常に不機嫌そうな様子である。

また、【加害者】は【被害者】に対して、【被害者】が期待しない細かなことに口を出しマウントを取ることもあれば、【被害者】と積極的にコミュニケーションを取ろうとしない。

一方、【被害者】はこれまでの実績には自信を持っており、【加害者】を特段「仕事ができる人」ではなく、「今居る現場や現顧客向けのプロジェクトに慣れている」という印象を持っていた。

プロジェクトに不慣れな【被害者】が、【加害者】に業務上のことを問い合わせをしても、【加害者】の回答を【被害者】は理解できず、そのうち【加害者】は不機嫌になり、「【被害者】が知りたいこと」ではなく「【加害者】が言いたいこと」を言い、【被害者】は更に戸惑う一方である。

このことから、【被害者】は【加害者】のコミュニケーション力に問題があり、これ程までにマイペースな人はいないと考えていた。【被害者】は別の要員とは普通にコミュニケーションが取れているから、【被害者】のコミュニケーション力には問題は無いようだ。【被害者】は【加害者】の扱いに困っており、【加害者】も【被害者】の扱いに困っているようだ。

【加害者】が【被害者】に対して常に無愛想に接するのも問題だが、【加害者】はある時顧客からの依頼を勝手に受けて対応したことがある。現プロジェクトの顧客窓口は【被害者】である。【加害者】は顧客とは昔から接点があったので、直接業務上のやり取りができないわけではない。しかし、顧客窓口である【被害者】に対して、顧客からの依頼と対応した旨を報告することが、社会人として当然だ。ここをスルーし、直接【被害者】の上司に報告した。【被害者】は「【加害者】の報告経路に問題があり、ビジネスの基本が出来ていない。」と判断した。【加害者】は「【被害者】に報告しても、内容が理解できないだろう。だから、【被害者】の上司に直接報告しよう。」と考えていたのかも知れない。

これをパワハラの定義に当てはめてみる。このケースは協力会社要員(【加害者】)から正社員(【被害者】)であるが、協力会社要員か正社員かは関係なく、現プロジェクトのことを「よく知る人」から「不慣れな人」へという立場上の優位性を背景に(①)、不機嫌な態度を常に見せることや、【被害者】に対してマウントすること、業務の報告について顧客窓口である【被害者】を通さないことなど、業務に必要相当な範囲を超え(②)、本来優秀であるはずの【被害者】のパフォーマンスが十分に発揮されないという就労環境を悪化(③)させている。パワハラの6類型では、常に不機嫌そうな態度を見せることによる(2)精神的な攻撃、業務の報告に関して【被害者】を通さないなどコミュニケーションを避けるという(3)人間関係の切り離しに該当する。また、不機嫌な態度を取って威圧するような場合は「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」と判断されることもあり得る。

【加害者】は業務報告のやり方を改めなければいけない。例えば、【被害者】がプロジェクトに不慣れで報告内容が理解されにくいと感じたら、【被害者】と【被害者】の上司にメール送信する。複数の人に同じ内容を送信すれば、【被害者】の上司も【被害者】をフォローできるし、【被害者】が人間関係の切り離しに遭うこともない。

【被害者】も【加害者】が何を考えているかわからないけれども、【加害者】がプロジェクトに慣れているという優位性があるため強気に出れないのであれば、上司に相談するなどの行動が必要だったかもしれない。

現実にはこの【加害者】のように、あまりにマイペースで何を考えているのかわからない人間も少ないとは言え一定割合はいる。取るべきコミュニケーションやしかるべき相談・フォローを行った上で、どうしても上手くいかないなら諦めて配置転換等も検討すべきだろう。

この【加害者】のようなタイプは「仕事ができる」とはいわない。周囲に良い影響を与え、全体の生産性を高め、成果を出すビジネスパーソンこそが「仕事ができる優秀な人材」なのである。更に、パワハラを受けながらも一定の成果を出す【被害者】のほうこそ「優秀な人材」なのである。このことを認識すべきである。
o08usyu7231.hatenablog.com

【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
o08usyu7231.hatenablog.com
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