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パワハラ事例解説(13) - フロア中響く声で叱責

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。

目次


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義とは、

職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。

詳しくはこちらを見てほしい。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

続いて、パワハラの6類型(パターン)を項目だけ紹介しておく。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

詳しくはこちらを見てほしい。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

★関連リンク
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
★事例一覧はこちら↓
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例13】フロア中響く声で叱責

あるIT企業でリーダー(加害者)がソフトウェア設計のあるべき姿を担当者(被害者)に指導していた。

口調が厳しく、感情的で、フロア中響く声で、周囲にいる私から見ても気になる程度であった。なぜそこまで偉そうに言う必要があるのだろうかと思う。

遠くから見ていた私には、話の内容はわからないし、今では記憶にないが、ただ偉そうに言われて聞いているほうは嫌だろうなあと気になったことは覚えている。最近は皆の前で叱責することや、周囲に聞こえるように大声で叱責することはNGとされている

リーダー(加害者)から担当者(被害者)へという優位性を背景に(①)、必要な指導ではあってもフロア中に聞こえるように大声で叱責することは業務に必要・相当の範囲を超えており(②)、周囲の人が気になるくらい不快感を与えるという就労環境の悪化を招く(③)ため、パワハラになりうる。6類型では(2)精神的な攻撃に該当する。

私は被害者と話する機会があったので、加害者の印象について聞いてみた結果、被害者は

「色々と厳しいこと言われましたけど、お陰様で鍛えられましたよ。」

と答えていた。この被害者は、パワハラとは捉えず厳しい指導と捉えているようだ。それとも忖度だろうか?

この話のポイントはいくつかある。

一つ目は、被害者は厳しい指導と捉えておりパワハラとは捉えていなかったようだが、受け手によっては不快感を示すこともあるし、受け手以外に周囲の人達の中にも不快感を受け、就労意欲の低下に、繋がるリスクを考えなければいけない。また、加害者も被害者もパワハラだと気付かないケースもある。それでも、そのような事態を組織が容認していると見られることもある。

二つ目は、この被害者がこれくらいはパワハラでないと捉えて、この被害者が将来リーダーや上位者となったとき、この加害者と同じ感覚で同じような指導の仕方をしないように注意しなければならない。先程も述べたように、受け手によってと捉え方は変わるし、周囲の人達に不快感を与えてしまう可能性が高いからである。

三つ目は、加害者が(例えパワハラではなかったとしても)厳しく、しかもフロア中響く声でなければ指導できないのかといった点である。普通の人間であればそこまでしなくても十分指導できるはずである。指導内容が正しくても、指導方法一つ間違えるとパワハラになりうるので、指導する立場にある人は是非この事例も含めてパワハラに関する理解を深めてもらいたい。

【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。

そして被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

本来被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策だろう。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。






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そして、いざパワハラ被害を理由に退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。