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パワハラ事例解説(25) - 特定人物を名指しした苦言を関係者全員に向けてメールで送る

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。

目次


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義とは、

職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。

詳しくはこちらを見てほしい。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

続いて、パワハラの6類型(パターン)を項目だけ紹介しておく。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

詳しくはこちらを見てほしい。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

★関連リンク
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
★事例一覧はこちら↓
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例25】特定人物を名指しした苦言を関係者全員に向けてメールで送る

本事例の出来事自体は、もう大昔の話なのだが、このパターンも最近パワハラの一種として認識されるようになってきた。

メンバ全員の前での大声での叱責が良くないことは、ハラスメント教育等でかなり周知されるようになってきた。メールでの特定人物を名指しして、残りの人全員にCCを入れて一斉送信する行為も同じだ。

一例を挙げると、ある職場のマネージャは、担当者にある確認依頼をした。担当者はこの件について、マネージャとは別のリーダーに相談したところ、そのリーダーはリーダー自身からマネージャに回答すると担当者に伝えた。担当者は、その旨リーダーと合意し、マネージャからの確認依頼の件については自分のタスク外とした。マネージャは、担当者に確認依頼した内容の報告がないため、事前に担当者へ口頭で状況を確認することなく担当者を名指しして、「何をやっている? ええ加減である!」などと人格否定とも受け取れる文面のメール関係者全員に一斉送信した。後に、担当者はマネージャに、リーダーから回答すると伝え、担当者からリーダーへマネージャへ回答するようフォローし、リーダーからマネージャへ回答した。

このケースは、担当者、およびリーダーの進め方やマネージャへの報告時期について問題があったものの、マネージャが発信するメールについては、パワハラに当たる可能性がある。マネージャという立場を活かして(職務上の力関係を背景に)(①)、担当者個人に伝えれば済む内容を関係者全員にメールを一斉送信し見せしめにする点が業務に必要相当の範囲を超えており(②)、周囲を不快にさせた(就労環境を悪化させた)(③)点から、パワハラの定義を満たしている。6類型では(2)精神的な攻撃に該当する。

マネージャはこの件以外にも、同様のことを度々繰り返しており不評を買っているにもかかわらず、本人は悪気が無いどころか「関係者への横通しが必要」と言って正当化しているくらいだ。これは「横通し」ではなく「見せしめ」「嫌がらせ」である。「横通し」「周知徹底」する必要があるならば、指摘対象の担当者を名指しする必要はない。それくらいの品位はほしいものだ。

この件のマネージャをはじめ、注意事項や是正要求を伝える際に気にかけるべき事項を挙げると、次のようなものになる。

  • メールでの苦言の前にその状況に至った背景の確認を怠らないこと
  • 送信先を限定すること
  • 行為に対する注意は必要だが、人格否定はNGと認識すること
  • 注意すべき件をピンポイントで伝え、そこから勝手に話を広げすぎないこと

最後に、この件だけでも十分問題があるのだが、このマネージャような人材は他の場面においてもパワハラ気質である傾向があり、小さな兆候は見逃せないのである。被害者になる可能性のある人に対して要求するのは理不尽であるが、大きな被害を受ける前に小さな兆候を検知し、未然防止に努めていただきたい。そのためにこのような記事を書いている。

実際、本事例のマネージャと下記事例の加害者は同一人物だ。また、この加害者が属する企業は様々な不祥事を起こしており、メディアでも話題になっている。やはり良くない兆候は昔からあったのだ。
o08usyu7231.hatenablog.com
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【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。

そして被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

本来被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策だろう。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。