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夕方に行う朝礼「夕礼」をプロジェクトの進捗管理に導入してみた

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「夕礼」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

「朝礼」「昼礼」という言葉は多くの人が聞いたことがあるだろう。

「夕礼」とは、文字通り夕方に行う「朝礼」のようなものだ。

あるシステム開発プロジェクトにて、進捗管理の具体的な取り組みとして「夕礼」を行うことにした。

「夕礼」とはどのようなものか、どのような意図があって始めたのか、取り組んでみてどうだったのかをまとめたので、参考にしていただき、業務の改善に繋げていただけることを期待している。


1.「働き方改革」の一環として「夕礼」を導入

システム開発プロジェクトにおける進捗報告その他諸々の連絡等で「朝礼」を行う企業やチームは多い。

内容はそのままで、時間帯を夕方にすることで、「何が変わるのだろうか?」と疑問に持つ人も多いはずだ。

私の記憶ではあるが、過去「働き方改革」の一環として「夕礼」の効果がメディアで紹介されたことがあった。

また、ある理由から「夕礼」を始めた企業が、得られた副産物として「残業する社員が少なくなった」という結果が出ている事例がある。素晴らしいことだ。
president.jp

我々でも「働き方改革」の一環としてやってみようと思い、開始した。具体的には次のような感じである。

  • 「朝礼」は始業後すぐに行うのに対して、「夕方」は終業(定時)前に行う。
  • 17時台に開始し、1日30分以内を目安にする。
  • その日の進捗・出来事、次の日以降の予定を共有する。

2.「夕礼」の実施に期待したこと

きっかけはメディアからのインプットであるのだが、この「夕礼」を試そうと思ったこと、期待したことを書く。

「朝礼」をよくやる企業やチームでは、「朝礼」にて庶務連絡の他、

  • 「昨日は○○まで進みました!」
  • 「今日は○○の作業をやります!」
  • 「今日は○○の予定です!」
  • 「今日の目標は○○の作業を□□まで進めます!」

といったメンバー各自の進捗や目標をチーム内で共有する。

この後よくあるのが、作業する上でトラブルが発生したり、急な割り込み作業が入り込み、そちらの対応に一生懸命取り組む。

そして最悪の場合、そのトラブルや急な割り込み作業のことがチーム内で共有されずに、その日の夜まで作業が続く。

次の日の「朝礼」にて、

  • 「昨日、〇〇の作業を予定してたのですが、トラブルが起きて元々予定していた作業が全然できませんでした。」
  • 「昨日の朝礼の後、急な割り込み作業が入り込み、そちらを優先せざるを得ませんでした。」

となるのである。このようなことがよくあると、元々予定していた作業の進捗が遅れ、結果的に残業まみれになる。

これを「夕礼」にすればどうか?

「夕礼」にて、その日にどのようなことがあり、どのような進捗だったかを共有する。

  • 「今日は〇〇の作業をやりました!」
  • 「今日はこのような出来事がありました!」
  • 「残りの作業は△△です。」

ここからが「朝礼」との違いである。

「残りの作業はその日にする必要あるか?」

状況を共有したうえで、この判断をリーダーをはじめ、残りのメンバーを交えて行っていく。

  • 「今、必要な作業か?」
  • 「優先度を下げることはできないか?」
  • 「複数人で対応すれば早く完了するのか?」
  • 「別の方法はないか?」

このようにして残業を削減しようというのが期待する結果だ。

  • 「そんなに都合よく、うまくいくのか?」
  • 「時間帯が変わるだけで、中身は同じだろ!」

そのような声が挙がりそうだが、まずはやってみる!

3.「夕礼」を実施してみると周囲から良い反応があった

実際に試してみるとメンバーからは「良い」という意見がある。その理由は次の通りである。

「夕礼」ならその日の出来事を記憶に新しい状態で共有できる。「朝礼」や「昼礼」は前日(休日、休暇を挟むと数日前)のことを思い出す必要があるので、それだけで時間と労力が上乗せされる。また、「昼礼」では「その日」全てをカバーできない。午前中の業務は時間が経過するのが、あっという間である。

次に、その結果を受けて、翌日以降の日程を改めて考えるため、時間的余裕がある。一度会社から離れてリフレッシュしたり、環境を変えたりすると、良い案が出てきたり、重要なことを思い出したりすることがよくある。私自身もそうだし、同様の人を見たことがある。業務時間中はどうしても目の前のことに集中してしまう。対して、成果に繋がる構想や案は、会社から離れたときにふと浮かぶことがある。労働時間や会社での在場時間は関係ない。

更には、「夕礼」は夕方なのであまり長々としない傾向がある。内容によっては長くなることもある。必ずしもというわけではないが、「朝礼」「昼礼」はやや長くなりやすい。特に「朝礼」が長くなると、元気な午前中の時間か裂かれてしまい、すぐお昼を迎えてしまう。

最後に、朝は元気なので、作業に専念したい。前述したように「朝礼」で時間が裂かれると勿体ない気分になる。

よって、「朝礼」「昼礼」「夕礼」の内「夕礼」がベストという結論になった。

これは私、私のチームメンバーの感想なので、各々の組織に合ったやり方を選んでいただけると良いと思う。

4.「夕礼」が全てではない

前章に記述した通り、私が「夕礼」を試みたプロジェクトでは、直接的に残業が激減するにまでは至らなかった。しかし、コミュニケーションの手段やタイミングとしては良かったと考えている。

「夕礼」を実施しても改善しない場合は、「夕礼」以外に原因があると思われるので、その視点で分析してほしい。長時間労働やブラック労働などに陥っている場合は、他の記事を参考にしていただきたい。

「夕礼」を行う時間も惜しいほど、篦棒に忙しい状況が常態化しているなら、それは「夕礼」の問題ではなく、

  • そもそも業務量が多すぎる
  • 業務量・内容とリソースとのミスマッチ
  • 人手不足をマンパワーのみで補っている
  • ブラック労働がまかり通っている
  • 杜撰な労務管理
  • 劣悪な労働環境

という「前段」の問題だろう。「朝礼」「昼礼」でも同じだ。
o08usyu7231.hatenablog.com

「夕礼」は余裕をもって適切にスケジュールされたプロジェクトを、更に円滑に進めるための手段の一つに過ぎない。

破綻したスケジュールでブラック労働に陥ったプロジェクトが、「夕礼」によって一気にホワイト労働になることは、ほぼ皆無と言って良いだろう。

o08usyu7231.hatenablog.com