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客先常駐のシステム開発で「残業が少ない」という顧客からのクレームは無視して良いと断言する

システム開発は、エンジニアが自社でシステムや製品の開発に携わる「自社開発」と、顧客先に常駐(請負・派遣ともにあり)して顧客企業の社員と共に開発を進めていく「客先常駐」というスタイルがある。

「客先常駐」は常駐先のスタイルに合わせて業務を行うため、常駐エンジニアの残業時間も、常駐先企業に合わせるような形になり、常駐エンジニア個人でコントロールしにくい現実がある。

また、常駐エンジニアかどうかに関係なく、残業が常態化している企業の特徴として、

  • 業務量が常に多い(人手不足)
  • 無理な要求がある(不可抗力)
  • 周囲が退社しないから退社しにくい(同調圧力

などがある。

この記事では、「残業が少ない」という顧客からクレームから始まる一連の出来事をもとに、その背景、妥当性を検証した結果、このような内容はクレームに値せず、無視して問題ないということについて語ろうと思う。

目次


1.「残業が少ない」という顧客からクレームから始まる一連の出来事

私が当時所属していたIT企業(以降、「自社」と記載する)の顧客である電機メーカーへ常駐していたときの話である。この電機メーカーには長年常駐しているのだが、常駐期間当初は毎日終電帰りの超絶ブラックであった。ここから徐々に開発製品の品質を改善したり、業務効率化を含めた改善を行うとともに、スキルもアップし、労働環境も改善された。

業務の改善や外的要因により、私は残業が月20時間未満の時が続き、残業時間が一桁の月もあった。この時は、業務効率化を強く意識していた。周囲の人たちの残業時間は私より少し多いくらいの人がほとんどで、稀に残業が多い人がいる程度だった。

ある時、私の自社の上司に、常駐先顧客のマネージャから

「最近、〇〇(私)は残業が少ない。もっと頑張ってほしい。」

と、クレームらしきものが入った。私は、自社の上司からそのことを聞いた。

一方、私は自社の上司に対して、

「業務を効率的に行っており、開発ツール等の工夫もしている結果、残業が少なくて済んでいる。暇でも、サボっているわけでもない。」

と説明した。

私はこのクレームらしきものについて、特段何も対策せずに、これまで通り効率的に業務を進めた。周囲のメンバへのサポートもこれまで通り行った。

数か月後に自社の上司と常駐先顧客のマネージャと面会した時は、

「〇〇(私)も含めて、皆さん頑張っておられる。」

とのコメントであった。私は何も対策していないのに、、、である。

翌年、私は自社内で前年度の実績が認められたためか昇格対象となり、昇格試験を受けて昇格した。

2.「残業が少ない」状態になった要因の一つは業務内容効率化した結果

常駐先顧客のマネージャから、私の自社の上司に対して、

「最近、〇〇(私)は残業が少ない。もっと頑張ってほしい。」

というのは、自社の上司からするとネガティブな感じに捉えた可能性が高い。

しかし、私は自社の上司に説明したとおり、

「業務を効率的に行っており、開発ツール等の工夫もしている結果、残業が少なくて済んでいる。」

のである。

「残業が少なくて何が悪い?」という感じである。また、この常駐先顧客のマネージャがいう「頑張る」は何をもって「頑張る」なのかが曖昧である。

この常駐先顧客のマネージャのクレームらしきコメントの意図としては、

  • (1)残業が少なくなったのは開発ツールの効果的活用など、業務効率化した結果であることをわかっていない
  • (2)周囲のメンバが残業しているからもう少し残業してほしい
  • (3)周囲のメンバの残業が削減するような取り組みを期待したい

あたりが考えられる。結論から言うとどれも不適切だ。

(1)ならば常駐先顧客のマネージャの認識不足、(2)ならば同調圧力をもって人を動かそうとしているほか、残業が常態化しているということはマネージャ自身のマネジメント能力不足による弊害を管轄組織のメンバに擦り付けている愚行を自ら晒している、(3)ならばクレームではなく現状を正しく評価した上で更に期待している内容として伝えれば良い。クレームするにしては内容が間違っているし、クレームするような内容ではない。

3.「残業が少ない」ことはクレームする内容ではなくて見習うべき内容

私が効率化して残業を減らしたのだから、その要因を洗い出し、常駐先顧客の社員がそれを見習えば良いのである。常駐先顧客のマネージャも、社員にそのように指導するべきなのである。

実際に一部の常駐先顧客の社員は、私と同じように開発ツールを効率的に活用し

  • 「これ、いいですね!」
  • 「自動化できたので楽ですね!」
  • 「人手を介さないからミスもないですね!」
  • 「○○さん(私)は、効率化の鬼!」

といったコメントをいただいているのである。

そのことを踏まえると、マネージャがこのような実態を把握していない可能性が少なくない。

稀に、常駐先顧客の社員の一部から、

「最近、暇になったのか?」

などと声をかけられることがある。そうではない。余計なお世話だ。各個人が持つ業務の特性や忙しさがあるため、一概に

「お前らも、見習えや!」

とは言えない。しかし、「残業が少ない」=「暇」という固定観念はやめるべきだ。残業が常態化していること自体、業務量が多すぎたり、人手が足りていなかったり、マネジメントが行き届いていない点で十分問題がある。これに加え、残業が当たり前という組織内の常識に洗脳され、同調圧力でもって他人をコントロールするなど、「自分の頭で考える」ことができない人間がやることだ。
o08usyu7231.hatenablog.com
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4.「残業が少ない」ことを否定的に捉える職場は見切りをつけるべき害悪だ!

そもそも、この事例にあるような客先常駐の例では、勤務体系を顧客のスタイルに合わせることが多いのだが、他社の社員の労務管理にまで口出しすることはできないのである。

更に問題なのは、この常駐先顧客は偽装請負(契約形態は「請負」であるものの、実態は「派遣」である状態)であることだ。請負社員における労務管理は請負元に責任があり、常駐先企業が「残業が少ない」ことを自社にクレームするなど、違法行為を超えた言動である。

客先常駐に限らず自社開発においても、更にはエンジニアに限らずどの職種、業種においても、残業が多いことを美徳とし、残業が少ないことを否定的に捉える時点で、働き方改革が進んでおらず、世間や市場から取り残されていく企業であると断言できる。

そのような企業に居づらくなったり、付き合い残業をさせられるような職場は見切りをつけて、転職やフリーランス等、視野を広げることをお薦めしたい。