皆さんもご存じのことだが、今の時代、ほとんどの職種、企業にとって人手不足が深刻な問題となっている。経済産業省は、「2030年にはIT人材が最大で79万人不足する」と発表している。世界中においてデジタル環境が加速する中、日本が後れをとらないためにもエンジニアの確保・育成は急務である。
実際、エンジニアを保有する各企業も、エンジニアの人材不足により、採用活動を強化している。しかし、人手不足に対して対策を打つ方向性が、いかがなものかと思うことがある。
一方で、教育コストをかけずに、優秀なエンジニアを確保するために、ミドル層以上の年代のエンジニアをターゲットにしている企業も存在する。
この記事では、人材確保における実態と、ミドル層以上にとってのチャンスについて語りたいと思う。
1.エンジニアの人材不足と採用意欲は私の想像以上だ!
冒頭にも記載した通り、人材不足は以前から叫ばれていたものの、ここ最近は私の想像以上だ。
特に「ソフトウェア・ファースト」の時代になっている今、ソフトウェアエンジニアの求人数は上がっている。
また、一時期はコロナ禍で採用を縮小していた企業が、最近採用活動を再開し、ある転職エージェントにおいては、2022年の求人数が、2021年の1.5倍に膨れ上がっているとの情報もある。どこの企業にとっても、「開発現場が求める技術力」が「開発現場が保有する技術力」を上回ってきている。まさに、エンジニア採用という企業間競争が熾烈になってきたと言える。
この競争に勝つために必要なことは、「良好な労働環境と、十分な報酬」である。
「良好な労働環境」には「多様な働き方」や「コンプライアンス」を含めると考えて良い。事業内容や、各企業が取り扱っている製品やサービスの特徴による制約もあるが、概ねこの考え方は、どの企業においても通用する。
ひと昔前は、日本のIT、エンジニアといえば、「OJTと称していきなり現場に放り込まれて、業務を丸投げされ、低賃金&長時間労働で鍛え上げられるブラック労働」とのイメージが強かったが、もうそれでは通用しないのだ。
2.やりがいや採用活動のアピールだけに留まっている企業は危険だ!
前述の通り、どの企業もエンジニアの採用意欲が上がっており、採用活動を強化している。
ただ、エンジニアが不足している開発現場のメンバに対して次のような説明が行われたところを見て、私が残念に感じたことがある。
- 「採用活動を強化して取り組んでいます。」
- 「提携する人材会社を増やして対応しています。」
- 「コストは増加するがコストをかけてでも採用活動に注力しています。」
- 「近隣大学の学生に対するインターンを活発化していきます。」
このように、採用活動を強化していることを社内にアピールしているのである。社内へのアピールが悪いわけではない。問題はその中身と、アピールだけにとどまっている点だ。
エンジニアから話は逸れるが、私がよく思い出すのは、「教員」の人手不足と過重労働の対策として、「教員」を増やすために、国や政府は「やりがい」をアピールし、それに対して専門家が「必要なのは良好な労働環境と、十分な報酬。」と突っ込んでいる場面である。ネットやSNS等で見られる。低賃金の過重労働という、最も応募者が寄り付かない理由、最も退職者を出しやすい理由となる根本的な所に手を打たず、「やりがい搾取」でカバーすると言う愚策である。
エンジニアの世界でも同じことが言える。労働環境の改善や待遇の向上こそが肝であるのに、その肝については何も触れられないと言う、まさに「教員」の例と同じことをやっているのである。
「給与」の改善が困難であればせめて「労働環境」だけでも改善し、既存のエンジニアが離職することを防止するところから始めるべきだ。これを実現した上で、採用するにしても第二新卒のみならず、年齢を広げ、実務経験豊富なエンジニアを採用することができれば事態は改善に向かうであろう。
そうしなければこれからの企業は生き残れない。もしくは二流、三流のエンジニアしか採用できない、もしくは全くエンジニアが採用できないといった事態になる。
逆に、次章以降に記載するが、経験豊富なエンジニアは年齢を重ねていても、「良好な労働環境と、十分な報酬」を得られる企業へ転職できるチャンスなのである。
3.40代のエンジニアでも確保が困難!50代を採用した成功事例もあり!
以前は
「30代後半以降は、マネジメント経験がないと転職市場では厳しい!」
と言われていた。しかし、今は違う。
多くの企業が開発現場のエンジニア不足に悩まされ、40代のエンジニアを確保することすら厳しくなってきている。若手のエンジニアを育成していくには企業としては並々ならぬコストがかかることは避けられない。
そこで、50代のエンジニアを採用した成功事例を聞いたことがある。この記事を書いている段階では、まだそのような情報はあまり世の中には出回っていないが、転職エージェントは既にそのような情報をお持ちである。これからこのような情報が出回るだろう。
また、55歳になると役職定年となり、給与が下がる企業が多いのではないだろうか?
最近は、定年が65歳、70歳と上がっている企業もあり、実際このような企業に60歳過ぎの方が入社して、しかも前職より給与がアップした事例があるとの情報もある。本当に優秀なエンジニアを確保したい企業は、若者を使い潰すブラック企業とは異なり、良好な報酬を用意している。ミドル層以上の方々もこれまでの経験を活かして、十分活躍できる時代だ。
- SE35歳定年説
- 年齢重ねているから転職は厳しい
- 30代後半にもなればマネジメント経験がないとダメ
このような価値観はもう過去のものとなると言っても過言ではない。
4.これからは年齢を重ねても実務経験の多いスペシャリストが重宝される時代だ!
この状況を転職希望者側からの目線で見れば、企業が教育コストをかけなくても、開発現場で豊富な経験を積んできた40代以降のスペシャリストこそが、今後エンジニアとして重宝する存在だ。
マネジメントを否定するわけではないが、マネジメントを専門にする人達は、実務のエンジニアのように、なかなか自分自身で手を動かすことはない。中には、マネジメントを行う人でも、マネジメントが未熟な人も存在しており、プロジェクトメンバーに丸投げになっていることすらある。
それに対して、スペシャリストは自分で手を動かしている。年齢が高くても、数々の優秀な実績を出し、エンジニアとしての経験値が高ければ、特定の組織にしがみつく必要はないし、転職市場では強い。
年齢が高い方や、マネジメントに向いていないと思う方、マネジメント業務で挫折した方でも、諦める必要は全くない。
- 「自分の年齢では、もう管理職しか求人がないだろう。」
- 「自分はマネジメント経験が少ないから転職市場では不利になるだろう。」
- 「転職が実現するのは、若い人たちだけだ。」
このような感覚を持っておられる方こそ、まずは、転職サイトに登録し、生の情報を収集し、自分の強みを知っていただきたいと思う。あなたのキャリアは想像以上だ。
30代後半〜40代前半は、キャリアチェンジも容易ではなく、かつ家庭がある方が多く、自由度が低い、リスクが取りにくい、といったキャリアを築く上では、あまりに大きな課題を抱えています。RYOMEIのトレーナーも同じ世代であり、自身も子育てと仕事の両立に試行錯誤していたり、順風満帆にキャリアを築いているわけではないからこそ、受講者の痛みに共感しながら、一緒に考えていくことができます。
困難な状況にある方こそ、お勧めできるサービスです。是非、一歩踏み出し、人生を変えてみませんか?