ソフトウェアエンジニアが労働について情報発信するブログ

ブラック労働からホワイト労働まで経験したソフトウェアエンジニアが世の中にとって役立つことを情報発信していく。

転職を含めた私のエンジニアとしてのキャリアを振り返る

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

私はソフトウェアエンジニアとして、世の中に出ている製品開発の一端を担い、実績を挙げてきた。経験とともに成長し、多くの方々から高い評価をいただいていることは大変ありがたい。

しかし、必ずしも良いことばかりではない。これまでの実績が正当に評価されないこともあれば、そもそも労働環境や管理職に恵まれず不利益を受けることもあった。

これらを総括して振り返るとともに、スキルアップが必要である一方で、おかしなことを見抜くことの重要性にも触れているので、この記事を読んで参考にしていただければ幸いである。


1.元々下請け中心のIT企業に属するエンジニアだった

私は、下請けを中心としたIT企業から、大手メーカーへ転職している。年齢も30代半ばの頃だ。転職前後ともソフトウェアエンジニアである。IT企業にいた頃に客先常駐も含めて様々な現場でメーカー向けのソフトウェア開発に携わった。その後、ソフトウェア開発を内製で行っている大手メーカーへ転職したため、転職前のキャリアを活かすことができている。

転職前のIT企業は、ホームページを見れば様々なソリューションに取り組んでいるイメージを受ける。しかし、同社についての口コミサイトを見ると、

  • 「同業他社と比べて給料が安い。」
  • 「業務内容の割には給料が安い。」
  • 「自社製品や研究開発も行っているがそれはごく一部でしかなく、大半は下請けか派遣を含めて客先常駐である。」
  • 「プロジェクトによっては悲惨なことになっている。」
  • 「キャリアアップは運次第。」
  • 「上司に従順な人間が出世する」
  • 「転勤を余儀なくされる。」
  • 「優秀な人が辞める。」

など、良くないことが少なからず書き込まれている。実際、私の周りでも一定数の人が退職しており、多いときは私が所属していた100名程度の事業所だけで10名以上が退職した年もあった。

最初は私は、「辞める社員の問題」なのか、「辞められる企業の問題」なのかわかっておらず、漠然と「辞める社員の問題」ではないかとの見方が強かった。しかし、今は転職して本当に良かったと思っている。「辞められる企業の問題」と確信を持って断言できる。もう少し深掘りしていこう。

2.大手メーカーでの長年の客先常駐で多々実績を出した

転職前のIT企業にいた頃、客先常駐を含めいくつかの開発現場を体験した中、最も在籍期間が長かった開発現場は、某大手メーカー(客先常駐)である。ここで長年ソフトウェア開発に携わり、その現場に長年かけて馴染み、システムの中核を成すソフトウェア開発の担当のみならず、サブリーダー、リーダーとして、他の実務担当者が作成したソフトウェアのレビューや、常駐先企業の顧客企業の窓口対応、立ち会い試験出張、常駐先の社員を含めて実務担当者の指導・教育をしてきた、珍しい(?)立場だ。

普通は客先常駐となると、常駐先でできる業務は限られ、常駐先の社員と比べてもキャリア面で圧倒的に不利であるイメージだが、この現場では社員と外注との分け隔てが無いところが、私にとって良いと感じた点だ。私がその現場の中でも例外だったという説もある。

ここでのキャリアが以降すべての現場でのベースとなった。この客先常駐の開発現場は、私が新卒で入社して研修を終え、最初の業務である。自社の先輩も同じ現場のフロアに居たが、一緒に仕事をすることはなく、常駐先の社員やその現場へ投入されている他社の人達と一緒に仕事をしていた。

私がここで最も意識したのは、

「今の作業現場は、自社ではないのでいずれはここを出なければならない。従って、他でも通用するスキルを身に付けなければならない。」

ということである。

この常駐先には10年以上在籍した。最初は多々苦労し、酷いときは毎日終電帰りのブラック労働に巻き込まれていたが、段々とスキルもアップし面白味が増し成長し、ソフトウェアの品質も向上し、業務の効率化も進んでいった。努力の甲斐あってソフトウェアの品質向上や業務改善の取り組み等を常駐先の方々から高く評価していただけた。前述した通り「いずれはここを出なければならない」し、年齢を重ねるとこの現場でのキャリアアップも限界がきていたため、「次のキャリアを!」と考えて、自社社内での開発(自社開発)へ現場を移った。

3.自社開発プロジェクトでは無理が祟りキャリアを見直すことにした

自社開発プロジェクトは、先程述べた長年常駐していた大手メーカーと勝手が違い、扱うシステムも開発環境も労働環境もすべて違っていた。私のような自社開発プロジェクトに慣れていない場合でも、業務は丸投げが基本で、大手メーカーと比べれば粗悪な扱いだった。私はこの状況にかなり違和感を感じていた。この違和感は後に正しいことがわかる。

それでも

  • 「慣れるまでは辛抱だ。」
  • 「最初の常駐先でも、当初は苦労して慣れればパフォーマンスを発揮できるようになり長年かけて成功した。だから、ここでもそうなるはず。」
  • 「環境が変化してもやっていけるだけの、環境適応能力をつけなければならない。」

と思っていた。この一見謙虚とも思える誠実な姿勢が、後にこの開発現場においては大間違いであることに気付く。

また、

  • 「長年常駐した大手メーカーでの成功体験を活かし、そのノウハウを社内に展開しなければならない。」

という思いと、

  • 「社内は社内のやり方があるからそれにも従わなければならない。」

という思いがぶつかっていた。

やがて私は、長時間労働や過負荷な作業に巻き込まれ、無理が祟り、体調に異常をきたしてしまった。うつ病のような症状であるが、正確な原因が分からず、過去に無いほど眠れず、普段以上に汗をかき、頭がまともに回らず、発熱が続いた。過去に無い大ごとである。内科では解決せず、心療内科神経内科を探し周り、しばらく通院となった。

長年常駐した大手メーカーでは成功したが、自社開発プロジェクトに移ってから1年程度でダウンしてしまった。過去の成功実績からすると落差が大きかった。普通に考えて「自分のスキル不足」では全く説明がつかない。「環境適応能力の不足」のためか慣れるのに時間がかかってしまったと思っていた。

大手メーカー常駐のときに高い評価を受けていた、

  • 品質重視の考え方
  • 仕事の丁寧さ
  • 真面目さ
  • 謙虚さ
  • 人柄の良さ

全部裏目に出た。組織の為に尽力したが、結局自分が被害を受けてしまった。

一方で、自社社内に対する劣悪な労働環境や自分の苦労に対する当時の上司の理解の無さ等の面での不満も大いにあった。これらを総合的に捉え、このような体調不良が発生した原因を何年もかけて徹底的に分析する必要があった。

私はこのような健康被害を受けたにも関わらず、この時点でまだ「転職したい」とは考えなかった。上述した通り「環境適応能力の不足」と考えていたため、転職しても慣れない開発現場だとまた同じことが発生すると考えていたからだ。よく、転職サイトや人事のインタビュー等で、次のようなことが言われている。

「不平不満ばかり言う人材、他人や環境のせいにする人材は、別の現場へ移ってもまた同じことを繰り返すものである。そのような人材は結局どこへ行っても通用しない。」

私が転職するにためには、私がこれに該当しないことを証明しなければならないと考えた。

少なくとも、大手メーカー常駐で10年以上も実績を出し続けてきたのだから、「どこに行っても通用しない」訳ではないことが既に確定している。とはいえ、他の開発現場でも通用することを証明しておきたいと考えた。

その後、体調が回復しないまま別の客先常駐に場所を移した。この常駐先は、中堅規模の産業機器メーカーであり、残業禁止という当時は珍しいホワイト企業だった。ここで毎日定時に退社し、健全な生活を送り、序盤から作業の進捗が順調であり、プロジェクトに成功し、常駐先からも高い信頼を得た。このホワイトなプロジェクトの半ばに体調が回復した。そして、終盤に気づく。

「最初の常駐先であった大手メーカー以外にも、自分が通用する開発現場があることを証明した。」

結局、このホワイト企業常駐期間に携わったプロジェクトが序盤から順調に進んだ実績を考慮すると、前述した「環境適応能力の不足」についても説明がつかなくなった。

この「自社開発プロジェクトで体調不良」~「ホワイト企業への常駐で体調回復」一連の出来事までは、自社組織内で昇進することばかり考えていた。しかし、この出来事を通して自社への愛社精神と信頼を大きく失い、上位企業への転職を視野に入れるようになった。このホワイト企業への常駐経験が以降のキャリアに大きく影響を与えることになると同時に、組織内での昇進一点張りから徐々に視野を広げることになった。
o08usyu7231.hatenablog.com

一時は、この常駐でお世話になったホワイト企業に転職できないかとも考えた。
o08usyu7231.hatenablog.com

体調回復の後もいくつかのプロジェクトを経験した。その結果、私はある傾向を掴んだ。

「優良企業ほど私を高く評価している」

ということだ。自分の能力不足ならこれとは逆の結果になるはずである。なぜ、このようなことが発生するのか?

「優良企業」は業務に不慣れな人への対応や各職場にユニークな内容の伝授がとても丁寧であり雰囲気が良く、逆に新たに加わった仲間からその人が保有している経験・事例・ノウハウ・観点を吸い上げようとする。この結果、同じ職場内の既存の人たちと新しい仲間ともに成長につながる。

逆に「粗悪な企業」は、業務に不慣れな人への対応も不親切で丸投げが当たり前であり、新たに加わった仲間に対しても自分たちの価値観を押し付けようとする。

このような大きな違いがあり、後者の企業にいくら優秀な人材を投入しても、思うようなパフォーマンスを発揮することができず投入された優秀な人材が勿体ない思いをする。一方で、周囲の人間は「自分たちの職場にあまり馴染めない人材」「スキルの低い人材」と勘違いする。もう、転職しない手はない。

元々私はどこに行っても通用する人材を本気で目指していた。優良企業からブラック寄りの企業まで色々経験したが、ブラック寄りの企業で辛抱するのではなく、優良企業と関わる時間の割合を多くし、ブラック寄りの企業は捨てるという考え方に変わっていった。モチベーションを高く保つことのできる時間の割合が多いほうが、自分にとっても所属する組織にとっても良いと断言できる。キャリアを活かし、生活面とのバランスを確保するためには、優良企業へ転職するしかなかった。自社を退職することのハードルは次第に下っていった。そして大手メーカーへ転職した。もう、年齢も若くなかった。

4.正しく見抜くべき「前段の粗悪さ」

転職後は、転職前のキャリアを活かして貢献できていることが何よりも嬉しい。収入は転職前より微増程度でしかないものの、労働環境、通勤距離、生活面とのバランスは大幅に改善された。転職は大成功である。下請け中心のIT企業を辞めて本当に良かったと思う。

結局、「他人や環境のせいにしてはいけない。」と一般的には言われるが、私のケースは違っていた。転職前のIT企業で色々苦労していたとき

  • 「自分に問題がある」
  • 「なぜここではうまくいかないのか?」

と考えて続けていて何も解決しなかった。

  • 「なぜここではうまくいかないのか? かつ、なぜ別の開発現場ならうまくいくのか?」

まで考えることで解決に向かっていった。

優良企業とブラック寄りの企業との違いを徹底比較したら、やはり色々と違いが出てくるものだ。
o08usyu7231.hatenablog.com


私が転職前の企業で、健康被害に遭ったのは当時の上司のマネジメントの未熟さであるとわかった。他社との比較、自分のマネジメント経験、世間やセミナーからのインプット情報からトータルでの判断だ。重要なのは「自責思考が良くて他責思考が悪い」のではなく「何が問題なのか正しく見抜く」ことである。
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com

劣悪な労働環境、多重下請け構造、上司の未熟なマネジメント、要求元からの理不尽な要求、開発内容の割には短すぎるスケジュール、慣れないプロジェクトでの異常な丸投げなど、自分のスキル云々以前の問題、すなわち「前段の粗悪さ」を正しく見抜くことなく自分が頑張り続けたところで、結局自分が被害を受けるだけである。自分が頑張って何とか成し遂げたとしても「前段の粗悪さ」を理解できない人と長期的に良好な関係を築くことは無理があるだろう。「前段の粗悪さ」を正しく見抜けなかったことが、「自分のせい」であることに気付いた。

特に私の転職の場合、個人レベルでへ多重下請け構造からの脱却が大きい。多重下請け構造は個人の努力だけでは解決することは困難である。この転職においても一人のエンジニアが転職したにすぎないが、同じソフトウェア開発を行うエンジニアが、下請けを中心としたIT企業から、ソフトウェア開発を内製で行っているメーカーへ転職することは、多重下請け構造からの脱却、即ちあるべき姿に近づいたと言って良いだろう。

労働環境の問題に代表される「前段の粗悪さ」は、優秀な人材を台無しにする。ハラスメントも同じである。テクニカルスキルをいくら一生懸命身に付けるよう努力しても、これを阻害する要因を取り除かなければ、本当に優秀な人材が勿体ない。ここを努力不足、根性なしなどと勘違いしてはいけない。

会社を辞めることは「逃げ」ではない。転職によって環境が良くなったならば、その「判断力」「決断力」「行動力」はその人の能力だ。私も、長年かかって「前段の粗悪さ」を見抜くことができ転職できたからこそ今があるのだ。転職前の企業に居れば、今頃どうなっていたかわからない。会社を辞めることは、クローズドな組織内の悪いしがらみから逃れるための「最大の武器」である。
o08usyu7231.hatenablog.com

このような経緯を元に、私はソフトウェアエンジニアでありながら、「労働」について着目するようになった。「労働のスキル」という言葉があるのかどうか知らないが、労働者に必要な共通の要素だ。労働法や労働問題を勉強すれば、それもその人の付加価値になるのだろうなと思う。最近どこでも起こりうるパワハラへの対策にもなるだろう。ソフトウェアエンジニアならテクニカルスキルやマネジメントを勉強しなければならない。しかし、もっと大切なのは「労働のスキル」だと思っている。
o08usyu7231.hatenablog.com

私が転職してからも、世間はものすごいスピードで変化している。終身雇用の時代から転職が当たり前の時代へ、更には副業が当たり前になり、フリーランスという働き方が出てきた。新型コロナウィルス感染拡大でテレワークが浸透した。コンプライアンスに対する世間の目はますます厳しくなった。このような変化に会社の体質が追い付けないなら、再びキャリアを見直す必要があるのではないだろうか。

キャリアに関する相談なら【coachee】にお任せ!

【coachee】は転職・副業・仕事の悩み相談の売買ができるキャリア相談プラットフォームです。転職エージェントとは異なり、転職がゴールではありません。副業相談、仕事の悩みなど、業界・職種のプロにキャリア全般について相談できます。また、目的に合わせて専属のキャリアコーチの比較選択ができます。オンラインでの匿名個別相談のため、プライバシー面・安全面に関して安心して利用が可能です。会員登録無料、1回の相談から気軽に行えますので、活用してみてはいかがでしょうか?


「Tecgateエキスパート」はITエンジニア経験者で転職希望者の方に向けた、ITエンジニア向け転職サイトです。スキルや実績はあるのに、リターンがいまいちというITエンジニアの方、今よりも更にハイクラスのSEを目指したい方は必見。希少ポジション、非公開求人多数の同サイトは、是非とも登録しておきたい転職サイトです。


フリーランスで働きたいエンジニアやデザイナーはこちら!

独立したい。業務委託で働きたい。そのようなフリーランスのための求人サービスです。上場企業のクラウドワークスが運営するので安心。報酬額、職種、スキルなど、ワーカーの希望を専属キャリアサポーターが伺い、登録社数約14万社のなかから最適なお仕事をご提案いただけます。支払いは最短で15日後。さらに社会保障や福利厚生も充実。ケガや病気で、収入が途絶えてしまうリスクもサポート。あらゆる手をつくし、フリーランス個人事業主の働き方を支援いただけます。とても心強い!