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エンジニアの犠牲の上に成り立つプロジェクト!声を挙げれば不利益!問われる組織のコンプライアンス!

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エンジニアにとって長時間労働によるパフォーマンス低下は深刻だ。しかし、製品/システム開発プロジェクトの納期を守ろうとすると、長時間労働になりやすいという製品/システム開発現場は、まだまだ少なからず存在する。

しかも、プロジェクトの内容に対して元々の納期が適切に設定されていないケース、当初の計画からプロジェクトの内容やスコープが増加するにも関わらず、納期はそのままといったケースさえある。

この記事では、一部の組織や人の犠牲の上に業務全体が成り立つ事業構造がコンプライアンス面で問題であること、何よりもコンプライアンスを優先すべきであること、それが出来ていない組織により被害や迷惑を受けているならば自分自身を守るべきことについて述べたい。


1.エンジニアへしわ寄せがくるシステム開発の実態

長時間労働は昔から日本で社会的に問題視されている割には、現在も人手不足や業界の慣習等によって、依然としてなくならないテーマである。

近年、ソフトウェアは製品の価値を生み出す重要ファクターとして認識されつつある。ソフトウェア開発部門に属するソフトウェアエンジニアは、製品・サービス企画部門、製品開発・ハードウェア開発部門等の様々なステークホルダーからの要求を受け、製品にとって頭脳とも言えるソフトウェアを開発する。

このような状況の中で、製品仕様決定の遅れによるソフトウェア開発期間の短縮、製品内部のメカ構造・ハードウェアの問題をソフトウェアで解決する仕様追加といった外的要因によって、ソフトウェアエンジニアがしわ寄せを受けた製品開発プロジェクトがある。

納期を延期することが許容されるなら良いが、このプロジェクトは納期は後ろにはずらせないどころか前倒しを要求され、しかもソフトウェアでの品質問題が起きればソフトウェア部門の責任という、ソフトウェアエンジニアにとっては鬼畜極まりない開発となった。

幸い、上記のようなプロジェクトでも、ソフトウェアエンジニアの工夫や力技で乗り切った。このプロジェクトのリーダーA氏は、ソフトウェア部門でリーダー業務をこなしながら、自らもソフトウェア開発の実務に携わった。その結果、前倒しされた納期を守り、品質にも大きな問題なく完遂した。ソフトウェアエンジニアが優秀であるおかげでステークホルダー全体が救われたのだ。

ここまではソフトウェアエンジニアの活躍により、逆境を乗り切ったという美談に聞こえる。

しかし、このような実態は大きな問題だ。

人手不足の状況下での労働環境悪化は、品質面のリスクにとどまらず、ソフトウェアエンジニア確保の面でも致命的である。このようなことがまかり通ると、次からこの状況が当たり前になり、多大な負担の中、高いパフォーマンスが求められる割には、そのリターンが見合わない状態となる。結果、ソフトウェアエンジニアとして貧しくなるという、業界・社会レベルでの問題となる。
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2.ステークホルダを巻き込み開発状況について丁寧に共有するも仇となる

このプロジェクトの終了後、上述した危機感を持ったプロジェクトリーダーA氏は、関連する一部のステークホルダーを召集し、プロジェクトの振り返りを主導した。

A氏は、製品開発においてソフトウェア部門に負担やしわ寄せが来る構造と開発スタイルについての実態をステークホルダーで共有し、すぐに改善することは困難ではあるものの、改善が必要である旨、ステークホルダーに丁寧に説明した。

説明を受けたステークホルダーからは、

「すぐに改善することは難しいが、ソフトウェア開発部門の思いを知ることができて良かった」

とA氏に対して前向きなコメントがあった。
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しかし、その裏側ではこのプロジェクトの振り返りに関して評判が悪かったようだ。

そして、この期におけるA氏の人事評価面談で、上司である管理職のB氏はA氏に対して、

  • 「あのプロジェクトの開発振り返りはいかがなものかとみんな言っている」
  • ステークホルダーは困っている」
  • 「そのことを踏まえて、今期は低評価にする」
  • 「今期の自分の行いを振り返るべき」
  • 「今後プロジェクトリーダーは任せられない」
  • 「今後これまでの振る舞いを反省し、改善する気があるならば、またチャンスを与える」

と、一方的に言い放った。

A氏はこの人事評価結果、その根拠、B氏の説明に対して違和感を感じていた。

人事評価システムにも、

  • 「A氏の立ち振る舞いについて上司へ相談が◯件寄せられた」
  • 「自分の考えを押し付ける形となった」
  • 「ステークホルダからの信頼を失う発言があった」

などと入力されていた。人事評価システムに入力された評価根拠が、行動事実ではなく、風評被害やB氏の主観が多い上、改善点が見えない。A氏は、前向きな行動が低評価に繋がったことで、以降何か行動を起こすにも、身動きが取れず、心理的安全性が失われ、組織へのエンゲージメントが大きく下落することとなった。

3.プロジェクトがエンジニアの犠牲の上に成り立つ構造はコンプライアンス面で問題だ!

このようなソフトウェア開発部門へのしわ寄せにより力技でプロジェクトを成り立たせたように、一部の部門の犠牲によって全体を成り立たせることは問題がある

このプロジェクトに関わったソフトウェア開発部門が属する企業では、過去に「ビジネスと人権」というタイトルで、このような題材を扱ったコンプライアンス教育が社内で行われている。

このコンプライアンス教育で扱われた内容は、

新製品の開発を低コストで実現できた。しかし、その要因を調べたところ、委託先企業が労働者に対し低賃金や無償労働を強いることで、低コストを実現していたことが明らかになった。

というものだった。

この事例はコンプライアンス教育用に作成された架空のストーリーではあるが、現実によくある類似事例として、短納期での完成を実現するために長時間労働となるケースが、同じく上記のコンプライアンス教育で紹介されている。

無駄を徹底的に見直し、創意工夫、効率化、自動化、材料や工程の見直しによってコスト削減を実現するならば良いのだが、労働者や下請け業者への低賃金、無償労働を強いるといったケースはあってはならない。

短納期での完成の実現のため、開発対象機能の絞りこみ、優先度の低い機能の搭載の先送りや廃止等、メリハリをつけたやり方を取るならば良いのだが、労働者や下請け業者に長時間労働を強いるといったケースはあってはならない。

この2つに共通して言えることは、一部の人や組織の犠牲によってビジネス全体を成り立たせている点が、コンプライアンス上問題であるということだ。

話を元に戻す。上述したプロジェクトリーダーA氏は、ソフトウェアエンジニアの力技で乗り切った製品開発プロジェクトの実態と、コンプライアンス教育の内容に基づき、社会的に高い視座をもって、エンジニアの労働環境悪化に繋がるプロジェクト上の問題点をステークホルダーと丁寧に共有した。しかも、A氏はエンジニアの労働環境のみならず各ステークホルダーにおいても何らかの困りごとがあることを想定し、その面のヒアリングにも努めた。第三者から見れば、管理職を上回るポテンシャルである。

しかし、このことがステークホルダーにとって都合が悪いのか、ハードルが高かったのか、周囲のステークホルダーが悪い評判を流すことや、上司の管理職B氏がA氏に対して人事評価で低評価とするなど、全くのお門違いどころか、前述のコンプライアンス教育の内容を実務に全く活かすことができていないのである。

コンプライアンスの観点から、管理職B氏の言動、立ち振る舞いにおける、問題点と改善点について解説する。

  • 「あのプロジェクトの開発振り返りはいかがなものかとみんな言っている」

悪い情報を伝えるときに、「みんな言っている」というのは相手の心理的安全性を壊す発言である。また、発言元を多数に分散させて、発言責任を取りたくない時に使う言葉だ。エンジニアの労働環境の問題をステークホルダーと共有するという、A氏の前向きな取り組みを否定する言動だ。
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元々、エンジニアが外的要因のしわ寄せを受けて、労働環境の面で困っているA氏が声を挙げたことによるものである。管理職B氏は、A氏が困っていることを気にかけるべきなのである。ステークホルダーの言い分のみを重視し、A氏の立場を考えず、一方的にA氏を低評価したことは、公平性を欠いたアンフェアな人事評価となり、コンプライアンス上のリスクを抱える。

B氏としては、A氏の取り組みに対するステークホルダーの反応等、悪い話を含めて事実を伝えることは必要だ。その上で、「エンジニアの労働環境の問題をステークホルダーに理解させるには、まだまだ時間がかかる」という現実をA氏と共有し、これからの方向性を伝えれば良いだけだ。低評価は不正であり不要だ。

  • 「今期の自分の行いを振り返るべき」
  • 「今後プロジェクトリーダーは任せられない」
  • 「今後これまでの振る舞いを反省し、改善する気があるならば、またチャンスを与える」

自分の行いを振り返り反省すべきなのは、管理職B氏のほうである。コンプライアンス意識の低いステークホルダーに同調し、A氏の心理的安全性を破壊した行為は、管理職としてあるまじき行為である。A氏に対して「今後のプロジェクトリーダーは任せられない」ではなく、B氏における管理職としての立ち振る舞いの問題なのである。

一方、管理職B氏はA氏に負担をかけないようにしたい意向がある。そして、「ステークホルダーとの関係性」を構築したうえで、エンジニアの労働環境の改善に取り組みたいと考えた。「ステークホルダーとの関係性」が十分でないまま、A氏がエンジニアの労働環境という、踏み込んだ話を持ち出したことが、B氏としては不本意であった。

しかし、「ステークホルダーとの関係性」の構築はすぐにできるものではない。その間、上記のプロジェクト完了後の次のプロジェクトでも、A氏をはじめとするエンジニアのメンバーは長時間労働に耐えなければならない状況であった。

管理職B氏が「ステークホルダーとの関係性」の改善に注力すること自体は良好な取り組みである。しかし、肝心の「コンプライアンス」が二の次になっていることが問題であり、A氏をはじめとするエンジニアの長時間労働の上に製品開発プロジェクト成り立つ状態は解消の目処が見えていない。

時々勘違いしている管理職がいるのだが、「コンプライアンス」は、他の何かと優劣をつけたり比較したりするものではない。このケースは、管理職B氏が「コンプライアンス」よりも「ステークホルダーとの関係性」を重視したことによって、A氏からのコンプライアンス面における信頼を失ってしまったのだ。

本来、「コンプライアンス」はあらゆる事業活動の土台となるべきであり、この土台があってこそビジネスが成り立つ構造である。「コンプライアンス」が崩れると何もかもが総崩れになるのだ。私が過去に管理職向けの「コンプライアンス」について学習したことがあるが、その教材にも同様のことが書かれていた。管理職B氏は、「ステークホルダーとの関係性」の良し悪しに関わらず、「コンプライアンス」を最重視しなければならない。「コンプライアンス」的に高い視座をもってステークホルダーを巻き込み、エンジニアの労働実態を共有したA氏のポテンシャルは管理職以上のものがある。B氏はA氏のこの姿勢を見習うべきであり、自分にとって都合が悪いからという理由で低評価するのはお門違いだ。

  • 「A氏の立ち振る舞いについて上司へ相談が◯件寄せられた」
  • 「自分の考えを押し付ける形となった」
  • 「ステークホルダからの信頼を失う発言があった」

これらについても同様で、いかにもA氏に非があるかのような表現であり、ステークホルダーコンプライアンスや、元々A氏が困り事の解決のために行動を起こしたという点、具体的にA氏のどのような行動が低評価に至ったのかという点について触れられていない。A氏としても、低評価を受けたものの、何を改善すればよいのかわからない。このようなケースでまず疑うべき点は、その触れられていない点について触れることがB氏にとって都合が悪く、何か後ろめたいことがあるという点である。つまり、触れられていない部分は触れたくない部分であり、不正が隠蔽されている可能性が高いのだ。

この時点でもうお分かりだろう。コンプライアンスよりも他の何かを優先することで、後ろめたさを感じるのが普通の人間だ。しかし、自分とって都合の悪いことをできるだけ隠蔽しながらも、力関係を武器に自分の思惑通りにコントロールすることは、後に不正が発覚し、大きな代償を背負うことになるとともに、組織のパフォーマンスが低下するリスクを忘れてはならない。

4.エンジニアが犠牲になる前に最優先で取るべき行動は自分の身を守ることだ!

残念ながら、A氏の高い視座に周囲のステークホルダーがついていけず、管理職B氏との力関係により、A氏は不正な低評価を受けた。それ以降もA氏は過重労働に巻き込まれるという結果になった。このような悲惨さを経験したエンジニアはA氏だけではなく、世の中に多くおられるはずだ。

また、A氏のように声を挙げなくても、過重労働に苦しむエンジニアは少なくない。上司との力関係で、行動を起こせば不利益扱いされ、状況は好転せず、身動きが取れず、耐えるしかなく、自分を取り巻く上司やステークホルダーはガチャみたいなものだと思われがちだ。

確かにその通りだと言える部分もあるだろう。しかし、いかなるエンジニアも、いかなる労働者も自分を犠牲にしてはならない。我慢しても何も解決しない。上司やステークホルダーは自分のキャリアや人生に対して、責任を取るかというと取らないだろう。組織に改善を求めても変わらないなら、自分が犠牲になる前に最優先で取るべき行動は自分の身を守ることだ!

上司やステークホルダーからの評価や評判は、あまり重視せず、自分が被害を受けることを避け、現在所属している会社への依存度を低くすることだ。会社への依存度を低くすることは、業務をサボったり、手を抜いたりすることではない。より汎用的なスキルを身に付け、自分の強み・弱みを知り、強みが活かせる分野へシフトする。組織にいる周りの人間と同じことをやっていては、周りの人間と同じだ。

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