我々人間の感覚として、昇進・出世する人は「すごい」と思ってしまうし、他人が昇進・出世すると羨ましく思ってしまう。確かにそうかもしれない。一方で、それは表面的に捉えた結果だけなのかもしれない。
昇進・出世することが「幸せ」「満足」に繋がることもあるだろうが、必ずしもそうではないという現実もある。
昇進・出世に対してどう向き合うか?、自分にとってどのようなキャリアがベストか?、本記事を読んで参考にしていただければ幸である。
目次
1.昇進したときの一般的な反応
身近な人が、リーダー、課長、部長、役員等、昇進していくのを見ると、次のように感じることがある。
- 「すごいなー。」
- 「実績を出したんだなー。」
- 「これからは更に影響力のある立場になるんだなー。」
- 「責任も大きくなり収入も増えるんだろうなー。」
- 「周りからも一目置かれるんだろうなー。」
確かに、組織の中で一定レベルの実績を出すとそのようになる。
私もある時期、リーダーに昇進することが決まったとき、「頑張ってください。」と複数人から声をかけていただいたことがある。これは嬉しいことだ。
しかし、冷静に考えてみたい。これは良さそうなところを、表面的に見ているに過ぎない。現実には良いことばかりではない。
2.場合によっては昇進のデメリットも知っておく必要がある
私は昔、下請けを中心としたIT企業にいた。新卒から10年以上は昇進することばかり考えていた。今は違う。視野が広がったからだ。
そして、私はその下請けを中心としたIT企業に定年まで在籍することはなく、キャリアを活かして大手メーカーへ転職した。結果的に良かったと思っている。
転職せず昇進を期待して頑張り、結果昇進したとしても、良いことばかりではない。
- これまで以上にハードワークになるかもしれない。
- 自分がこれまで見てきた管理職と同じような管理職となるかもしれない。
- 自分が嫌なこともしなければならないかもしれない。
- 従業員が嫌がることもしなければならないかもしれない。
- 責任だけ重くその割には報酬はあまり上がらないかもしれない。
- 生活面とのバランスが取れないかもしれない。
- 自分の管理下の従業員が次々と退職していく姿を目の当たりにしなければならないかもしれない。実際に、私の転職前の企業ではこれが発生している。今後人材の流動化や働き方の多様化が進み、この傾向はますます強くなっていく可能性が高い。
また、昇進を目指して頑張っても運悪く昇進できないかもしれない。定年まで都合良く会社に使われるだけかもしれない。
昇進して振り回されるのも、昇進せずに都合良く使われるのも、どちらも良いとは思わない。やはり、自分のパフォーマンスが発揮できるところが良い。昇進するために何かを犠牲にしたいと私は思わない。
3.昇進すること自体が「価値」ではない
昇進することよりも、
- 市場価値を高めておく
- いつでも転職できるようにする
- 会社との関係を対等にしておく
- 「会社」ではなく「社会」に貢献する人材になる
ことも、キャリアのありかたの一つではないだろうか。
一つの会社に縛られるのではなく、「いつでも会社を辞めることができる」だけのフットワークを軽くしておくのも良さそうだ。実際私自身が、
「下請け・派遣を中心とした条件が良くないIT企業で、辛いことにも耐えて、昇進を目指す」
よりも
「条件の良い大手メーカーへ転職し、前職の経験を活かしてソフトウェアエンジニアとして活躍する」
方を選択して良かったと考えている。万が一、今後のキャリアチェンジを考えるにしても、後者の方が確実にステップアップできると考えている。フットワークの軽さはその人にとって強みでもあるし、私の転職経験からも当てはまる。そんな私でも、フットワークの更に軽い人達が羨ましいと思う。
昔のサラリーマンは頑張れば頑張るほど昇進し、10人中9人は部長になれるというふうに言われていたようである。でも、もう今は違う。
「この組織で昇進できるところまで頑張ろう」と思う組織もあれば、「この組織では昇進したくない」と思う組織もある。どのような組織で昇進したかも見所ではないだろうか。
普通の企業なら考えにくいが、パワハラ加害者が昇進する組織もある。
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職員の4割以上がパワハラを受けた経験があると回答した厚生労働省自体もその一つのようだ。
www-asahi-com.cdn.ampproject.org
これ以外でも地位の高い人や歴史ある組織が不祥事を起こして報道されるケースがよくある。このような報道を見るたびに
- 「地位が高い」
- 「役職が上」
- 「立場が上」
の人達が
- 「人間として偉い」
- 「価値がある」
とは思わなくなってきた。
それでも「立場が上」だから「偉い」と勘違いする人が少なくないようだ。「立場が上」だからこそ謙虚である必要がある。「どこまで昇進したか」とその人の「価値」はイコールではないことがわかるだろう。
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4.自分の経験を活かしてどのように貢献するかを意識する
「どこまで昇進するか」が重要ではなく、「どのように貢献するか」が重要である。
「昇進して影響力のある立場になり経営の意志決定に携わる」というのは、「どのように貢献するか」と聞かれたときの手段の一つである。これからは働き方が多様になる。
誤解しないでほしいが、昇進がダメと言っているわけではない。昇進を目指している人は、昇進に向けて頑張ってほしい。組織内でどのような人が昇進しているのか、見極めてほしい。
実績を挙げた人なのか、
人望の厚い人なのか、
アピール上手な人なのか、
口だけ達者な人なのか、
声の大きい人なのか、
長時間労働に耐えた人なのか、
パワハラ加害者なのか、
会社にとって都合の良い人なのか。
ここを見極めることで、自分が進むべき方向性が見えてくる。そして、どのように貢献するかイメージしてほしい。
働き方は多様化している。働き方に関わらず、実績を挙げている人はいる。世間でも、組織でも、地位の高い人が不祥事を起こす人はいる。批判を集める人もいる。
どのような実績を挙げ、どのように貢献するかが重要である。昇進でも、転職でも、フリーランスでも、起業でも、副業でも、どれも同じだ。
私は新卒で入社した下請けを中心のIT企業で昇進するのではなく、大手メーカーへ転職して良かったと思っている。キャリアを活かして貢献できるからだ。更に転職前と転職後では、収入は微増であるものの、労働環境、地理的条件、生活面とのバランス等、何を取っても転職前企業よりも改善されている。私は一度、出世よりも転職による旨味を味わった人間だ。
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