ソフトウェアエンジニアが労働について情報発信するブログ

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残業時間・残業代に関する違法・グレー状態からの改善と、見抜くべきポイント

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私はソフトウェアエンジニアとして、新卒で【下請けIT企業】に就職し、その後【大手メーカー】へ転職している。その中で残業時間や残業代に関して、遭遇してきたことを書いていこうと思う。

違法性の有無を含め、あなたの勤務している会社が怪しいと思ったら、この記事を参考にしていただき、今後どのようにアクションするか検討していただきたい。

昔、私が勤務していた【下請けIT企業】は、違法もしくはグレー状態から、改善した部分もあれば、グレー状態が残ったままの部分もある一方、私自身も知識が無く、違和感を持っても

  • 「会社に指摘するのは申し訳ない」
  • 「周りの社員も同じなので足並みを揃えなければいけない」

という思いであった。

また、【大手メーカー】に転職してからわかったこともあり、私の知識もアップデートしているので、そのことも含めこれまでを振り返りながら書いていこうと思う。


1.【下請けIT企業】残業時間の計上が30分単位(アウト)

この企業では長年に渡り、残業代算出のための残業時間を次の方法で計上している。

  • 定時後、最初の30分は休憩時間扱い。
  • その後1時間経過時点で初めて1時間分が計上される。
  • 以降、30分単位で計上される。
  • 最初の1時間未満、以降の30分未満は切り捨て。

例えば18時が終業なら、19時30分まで残業して初めて1時間分計上される。それ未満は計上されない。

この企業において厳密なケースを考えると、18時終業で、19時29分まで残業した場合でも、残業代はゼロ。1時間29分の残業代が支払われないこととなる。1ヶ月の稼働日を20日とすると、1社員1ヶ月当たり29時間40分相当の残業代が支払われないことになる。

この企業のある管理職は適正な運用であることを次のように謳っている。

「残業代を払わない会社が多くある中で、ウチはちゃんと全額払ってるよ!」

そもそも残業代を払わないこと自体は違法である。しかし、この企業の例のように一見合法に見えるが、上記のような残業代が支払われない抜け穴があり、違法である。合法であるかのように見せかけて、じわじわと労働力を搾取する姑息な方法である。

労働基準法第24条に次の条文がある。

「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」

法律上は、原則として1分単位で残業代を支払わなければならない。つまり、1分単位で残業時間が計上されなければならない。

ただ、割増賃金を1ヶ月単位で計算する際、時間外労働、休日労働、深夜労働のそれぞれの時間の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数は切り捨てすることは、可能とされている。ただしこれは、給与事務の簡便化のための例外的な措置であり、原則的には1分単位の計算が望ましいとされている。

尚、定時勤務終了から時間外勤務開始まで休憩があること自体は合法である。しかし、この企業のように休憩時間があまりにも長すぎると、かえって不自然であり、残業代を得るよりも早く仕事を終わらせて退社したい従業員が休憩時間に仕事をすることで、この分の残業代の支払いを免れるという、会社側の意向があるようにも見受けられる。

昔の私は、一応残業代は貰えるので、そこまで深く疑わなかったが、企業によっては「15分単位」で計上するところもあると知り、「30分単位」はやや荒いイメージがあった。それでも「30分単位」や「15分単位」は企業によりけりと思っていた。また、この【下請けIT企業】における残業時間の計上方法は、就業規則にも明記されていたので、そのように取り決めているのなら問題ないものと思い込んでいた。

しかし、今は違う。このようなざっくりした時間単位で区切るのは、細かいながらも明らかな労働力搾取だ。

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2.【下請けIT企業】残業代は月最大45時間分まで(アウト→改善済み)

残業時間が月45時間というのは、36協定上の時間であったり、この時間を超えると健康面でのリスクが増加傾向にあると言われることが多い。

私が若い頃のある時、月残業が50時間だったので、そのまま勤怠に入力すると、当時の管理職から、

「残業(の計上)は、月45時間まで。36協定で決まっている。それ以上は(計上)できない。」

と言われ、当時は「そんなものか」と思っていた。45時間を超えた分は泣き寝入りである。

45時間以上残業をしようが、45時間以上は計上させないという労働基準法違反と、36協定上馴染みのある数字とを絡ませて、分かりにくくしているのだが、はっきりいって違法である。当時は、「ブラック」という言葉が現在ほど流通していなかったが、明らかに「ブラック」である。また、違法行為を強要されるのはパワハラである。

残業時間には従業員の健康面を考慮して法律や36協定により上限を設けているが、残業代に上限を設けているのは単なる「これ以上支払うと、企業内の財政が・・・」という会社都合である。

尚、この企業はある年からは改善され、月残業時間計上の上限は撤廃されている。

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3.【下請けIT企業】主任以上は残業代が出ない名ばかり管理職(アウト→改善済み)

一時、与えられる裁量や権限は一般社員とさほど変わらないのに、残業代の支払いを免れる目的から管理職という名目で働かせる「名ばかり管理職」が問題となった。

昔、この企業においては、入社して10年も経過しないうちに(早ければ7年程度)「主任」に昇格し、業務遂行における責任が「管理職」に準ずる「監督職」という位置付けになり、「監督職手当」が支払われる代わりに、「残業代」が一切支払われなくなる。

責任は重くなる割には、給料はあまり増えないという、会社側からすると目に見えた搾取である。

当時、私の先輩社員達の中には、「主任」に昇格する前は長時間労働により残業代で多くの給料を稼いでいた人が少なくなかった。そして、「主任」に昇格した後でも長時間労働が続くのだが、「主任」となることで新たに給与に上乗せされる「監督職手当」が、「主任」となる前の「残業代」を下回るということが起きる。「主任」になると「残業代」は支払われなくなるので、このような社員の給与総額は「主任」となる前よりも下がってしまうこととなる。

一方、「主任」になる前に残業をほとんどしていない社員は、「主任」に昇格することで、残業をしなくても「監督職手当」が給与に上乗せされるので、得をした気分になる、もしくはこれが普通なのだが、現実このような社員は少なかった。

「主任」に昇格することにより、(元々長時間労働せざるを得なかった社員は)責任は重くなるものの給与総額は下がるという、粗悪さに気付いた社員が、次々と退職していったのである。流石に会社側もこの状況を看過できず、給与体系の見直しが行われた。

具体的には、管理職にも「監督職手当」(=みなし残業代〇〇時間分)を超えた分の金額は、「残業代」として支払うというものだった。しかも、この給与体系の見直しに関する説明が、

  • 「主任」クラスにも残業代を支払うことにより、『過労』を抑えることが目的。社員の『健康』を重視する。
  • 「主任」クラスにも残業代を支払うこととなったため、『労務管理』がこれまで以上に厳しくなり、各人しっかりと管理していかなければならない。

といったものであった。このような内容を表向きにすることで、「名ばかり管理職」問題や「主任」クラスへの「残業代未払い」問題といった、これまでの違法行為に関する反省と是正といった内容に関しては表に出さず隠蔽するという姿勢が見えてしまっており、ここには疑問を感じる次第である。素直に、

  • 「主任」クラスに対して、これまでの「残業代未払い」という違法性や、「名ばかり管理職」問題を根本から是正します。

という、ストレートな説明の方が、誠実で分かりやすいのである。

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4.【大手メーカー】残業時間の計上が1分単位(合法)

私がこの【大手メーカー】に転職して、「素晴らしい」と感じた一つが、「残業時間を1分単位で計上すること」である。転職前に居た【下請けIT企業】では、「30分単位」や「15分単位」は企業によって異なるものと考えていたが、「1分単位」に遭遇したのはここが初めてである。

一般社員はもちろんのこと、チームのリーダー(プレイングマネージャ)となっても「手当」と「残業代」それぞれ給与に上乗せされる。

裏を返せば、自分自身知識が乏しかっただけである。企業としては、上述した労働基準法第24条

「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」

に従っているだけである。これが普通であり、違法状態を放置するほうがブラックなのである。

5.【まとめ】残業時間・残業代に関する誤りやすいポイントをお伝えする

ここまでお伝えしてきたような違法状態もしくはグレーゾーンの放置は、優秀な人材が流出するリスクがある。

その中の一つである、残業時間・残業代に関しては、企業側も従業員側も知らないという状況で行われていることが多く、特に従業員側は組織の一員として、会社側に従う傾向が強い。

ここで、残業時間・残業代に関して企業側が誤りやすく、かつ従業員も知らないケースご多いポイントを3点お伝えする。

  1. 残業時間は1分毎に計上しなければならない。
  2. 見なし残業代に相当する残業時間を超えて残業した場合、超過分は追加で残業代を支払わなければならない
  3. 36協定等により残業時間には上限があるが、残業代に上限を設けるのは単なる会社都合

企業側、労働者側ともに正しい知識を有していただき、健全な企業運営を期待している。その方が、優秀な人材が集まりやすい。また、コンプライアンスへの関心の高まり、人手不足の時代の中、必須の内容であると考えている。

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