転職活動における面接時等に、応募先の企業から、
- 転職活動を始めたきっかけ
- 現職の退職(検討)理由
を聞かれることがある。
応募先企業のみならず、転職を支援する人材会社のエージェントからも問われることがある。
エージェントには本音を話できても、応募先企業に本音を話すのは、ハードルが高いと感じる人もいるかもしれない。
世間一般におけるネット、SNS等で謳われている内容に目を向けると、大きく2つのパターンがある。
【A】ネガティブな理由禁止
【B】本音を伝えるべき
ネットやSNSではどちらか一方のみが謳われていることが多い。このことについて、ネットやSNSの他、エージェントからの情報等、様々な角度から私が集めた情報をこの記事にアウトプットする。
情報量が多すぎるかもしれないが、少しでもインプットしていただき、正解の無い時代でもある現代、自分自身の置かれた状況、世間の流れ、企業の体質に応じて柔軟に進めてほしいと考えている。
1.昔から存在するアドバイスは「ネガティブな理由禁止」
昔からよく言われているアドバイスに、
「ネガティブな理由禁止」
というものである。
現職への不満は無い人のほうが珍しいくらいだ。
「人間関係」の問題は退職理由なかでもトップにランクインされることが多い。
転職理由がネガティブなものであれば、応募先企業からすると、
- 単純に印象が良くない
- 同様の理由で、当社を退職されてしまう可能性が高い
- 応募者自身の問題を周囲や企業のせいにする傾向がある
- 当社の事業内容や業務に興味を持った人材がほしい
と感じるであろうことが、容易に想像できる。
応募先企業が求める人材と、応募者の志望動機がどのようにマッチするか見えてくることが望ましい。また、応募者が現職で実現できないことで、かつ応募先企業で実現できることが明確になれば、転職理由に納得しやすいと言われている。
次章にて後述するが、最近のアドバイスではこれとは違ったものもある。しかし、本章でのアドバイスは昔から言われてきたことであり、現代もまだまだ根強く残っている印象を受ける。
2.最近は「本音を伝えるべき」というアドバイスもある
最近目にするのは、こちらのアドバイスだ。
「うわべだけの面接ではなく、本当のことを話すべきだ。」
このアドバイスを推す理由には、以下のものがある。
- 内定率は下がるが、入社後のミスマッチの率も下がる。退職理由が応募先企業にも当てはまるならば、応募先企業が選考で落としてくれるため、ミスマッチを事前に検知できる。
- 面接官も本当のことを知りたい。応募先企業にマッチするか否かを判断できないことにストレスを感じる。
- 退職理由の元となる問題に対して、改善を試みたこと、改善に至らなかったことを説明できる。
入社後のミスマッチが発覚すると、企業側、応募者側双方にとって不幸である。応募者側にとっては、応募先企業の選考に通過しなかったことを残念に思う人もおり、これもわからなくもないが、その先を気にかけることが必要である。
「企業が人を採用する」という、企業の方が力関係が上であるかのような感覚の人が、まだ一定数いるようだが、本来、企業と応募者の立場は対等だ。
応募者としては、辞める(辞めた)理由と同じことが、転職先の企業で起きることは、絶対に避けたいと考えるのは当然のこと。
このような背景から、こちらの考え方が推されるようになってきたのではないかと考えるのである。
3.両者をハイブリッドしたアドバイスの数々を紹介する
前述した2つのアドバイスが、ネットやSNSで謳われている中で、エージェントからの情報をいくつか紹介する。エージェントの中でも、色々と人によって(もしくは人材会社によって)異なるようだ。
3-1.基本は「ネガティブな理由禁止」
このようにアドバイスするエージェントは現在でも存在する。
このネガティブな理由以外で、転職に至った理由(例:家庭の事情、会社の業績、キャリア形成)と転職先企業で何が実現できるか(例:勤務地、収入アップ、更なるスキルアップ、ポジション)が、これらにて話を組み立て、説明することができれば良い。ネガティブな理由以外で転職に至る説明が可能な状況で、わざわざネガティブな理由を出す必要はない。
3-2.両方とも重要である、伝え方次第
どちらも尊重することを基本とした考え方だ。尚且つ、伝え方が重要だ。
嘘を伝えるわけにはいかないし、本当のことを伝えなければならないが、面接官の印象が悪くならないようにする必要はある。
- 現職でかなえられなかった部分
- 信念、こだわり、重視する部分
- 改善を試みたが改善されない部分
このようなことを元に、退職に至った経緯、転職で重視する点、転職先でどのように活躍できるかについて、筋が通っていれば良い。
個別にエージェントと相談しながら進めるのが得策だ。
3-3.書類選考の段階では「ネガティブな理由禁止」、面接では「本音」で
選考過程によって変えるやり方を提唱している。
書類選考の段階では、応募者の経歴やスキル、考え方を文面でしか伝えることができない。そのため、ここで「ネガティブな理由」を伝えると、応募者の意図しない伝わり方をするリスクがある。
面接では対面で話することができ、応募書類に対する補足説明が可能である。ここで「本音」を説明し、応募先企業の社風とミスマッチが無いかを確認することが有効である。
3-4.企業側の面接リテラシーにより判断する
企業側における面接リテラシーが高いケース、人材コンサルタントが入る会社は「本音」を話し、採用に慣れていない企業であれば「ネガティブな理由」を避けるという、企業によって使い分ける考え方である。
また、ハイクラス人材向けの転職サイト「ビズリーチ」のように、企業が応募者を直接スカウトするケースがある。このような企業は、人材会社を経由せず、採用を内製化し、ノウハウを積み上げてきている。このような企業は、応募者の「本音」を聞き出そうとする動きがあると言われている。人材会社から企業向けのアドバイスとしても、なるべく応募者の「本音」を聞き出す面接を推奨しているとの情報だ。
ただ、応募者側としては基本は「本音」を伝えることが重要だが、ありのままの表現にしないこと、不満だけに焦点を当てないことが重要である。不満を改善しようとしたことも併せてアピールし、転職でかなえたいことを伝えると良い。
エージェントを経由する場合、特に応募先企業へ、過去に応募者を内定・入社まで導いた実績のあるエージェントなら、企業側の面接リテラシーをより熟知しているはずだ。個別にエージェントに相談して判断するのが良い。
4.結局、応募先企業や自身の状況によって柔軟に変えるべきだ!
前章で紹介したアドバイスは私が実際にインプットしたものだが、どれも取り入れることができる部分があり、良いアドバイスもあると感じる。
絶対的な正解がない状態だ。応募先企業、自分自身の志望度、状況によって柔軟に変えることが求められる。この記事の結論としてはまとまりがないが、まさにこれが結論だ。
自分自身の志望度が高く、ネガティブな理由を説明しなくても、十分事足りるような説明が可能なら、わざわざネガティブな理由を説明する必要はない。
内定をもらっても入社を迷っている企業であれば、企業をふるいにかける意味でも、ネガティブな転職理由を説明し、企業側の反応を見るも良し。
応募者自身にどうしても譲れない部分があって、ネガティブな転職理由に対して理解が得られないと入社を避けたいという応募者にとっては、思い切って話すも良し。
ただ、いずれの場合も共通して言えることは、ネガティブな転職理由に対して、自身でどのように変えていきたいか、応募先企業でどのように解決できると考えているのかといったところまで説明できる必要がある。それでも、選考で落とされたならば、それは応募者が応募先企業で実現したいことができないということなので、ミスマッチなのである。
「応募者が実現したいこと」と「応募先企業が求めること」がミスマッチな状態で入社すると、両者にとって不幸な結果を招く事態になるので、それよりかは落とされたほうがマシなのである。
最後に、人材会社やエージェントによって、本当に様々な視点からの情報が得られるので、自身で複数の転職サイトに登録し、様々なエージェントにアドバイスをもらい、自分自身の置かれた状況を踏まえて総合的に判断すれば良い。健闘を祈る。