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【保存版】個人でできる現実的なパワハラ対策をまとめた!

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昔は当たり前のように行っていた「厳しい指導」と称した理不尽なやり方は、コンプライアンスや多様性を重視する今の時代に合わなくなった。様々な「ハラスメント」が定義され、世の中に情報があふれ、労働者がおかしなことに対して声を挙げやすくなった。「ハラスメント」に対する世間の風当たりも厳しくなった。

数あるハラスメントの中で、この記事では、職場で最も起きやすいパワーハラスメントパワハラ)の被害者、もしくはその可能性のある人が、個人でできる対策についてまとめた。

パワハラは自然災害と同じで、自分に非がなくとも被害を受けるケースが少なくない。加害者に責任があるのに、被害者に責任を擦り付けようとする。数年前の厚生労働省の調査では、過去3年間の間にパワハラを受けたことのある人は3人に1人。そのうち4人に1人は何も行動を起こさなかったとのデータがある。

それだけ動きたくても動けない。パワハラ防止法が制定されても、全くなくならない。そのような悩みを持つ被害者の方々に対しては本当に気の毒だ。

責任は加害者にありながら、迷惑を受けるのは被害者だ。しかも、組織によっては波風立てないよう、隠蔽したりしようとして、更に炎上する。本来加害者が是正するのが当たり前と確信をもって断言できるのだが、被害者の方々、被害経験のある方々に、普段から準備していただきたいことがある。

この記事は、パワハラ対策として個人でてきることについて語っている。周囲の人達や上司、社内外の相談窓口に頼る方法もあるが、必ずしもうまく行くとは限らないどころか、被害者の期待通りにいかないことの方が多い。弁護士に相談したり、法的措置、訴訟を起こすとなるとハードルが高い。まずは、パワハラに関する正しい知識を身に付けることと、自分を守ること、いざというときに普段から備えることを意識していただきたい。


1.パワハラの「定義」と「類型」を理解する

まず、パワハラに関する知識の第一歩として、パワハラの定義と類型をしっかりと押さえていただきたい。加害者の多くは、

などと、いかにも正論を取り繕い、加害者側にとって都合の良いように言いくるめる。よって、何がパワハラなのか、何がパワハラでないのかを押さえておく必要がある。

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは6類型といって、6つのパターンに分類されている。項目だけ紹介しておく。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

www.no-harassment.mhlw.go.jp

この中で多いのが、「(2)精神的な攻撃」、「(4)過大な要求」だ。業務上の指導と思い込んだり、使命感が強すぎるとパワハラパワハラと気付かなくなる。前述の「パワハラの定義」とあわせて正しく理解してほしい。

2.パワハラに関する対策の基礎知識と応用知識をつける

パワハラの定義と類型を理解したら、次は基礎知識と応用知識だ。いずれも加害者を攻撃するものではなく、自分を守るためのものだ。

まずは基礎知識から。ここで言う基礎知識は、多くのネット情報にも記載されているので、簡単な紹介に留める。

この章で紹介する知識を、活用するか否かは別の話であるが、知らないよりは知っている方が心理的にも救われる。前述の定義や類型と合わせて、知識を付けておくことで、確実に「加害者が悪い」と言える状態にするのである。

【基礎1】我慢せずに早めに兆候を検知する

まず、基本中の基本。長時間労働でもハラスメントでも我慢は最もいけない

その状況が許されるものと勘違いされたり、前列ができて以降当たり前となったり、エスカレートする懸念があるからだ。前述の定義・類型や、後述する事例を踏まえ、なるべく早く兆候を検知することだ。

あらゆる業種、職種に当てはまることだが、このブログではソフトウェア開発現場でのパワハラ兆候をまとめた記事があるので、リンクを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

そして、労働者全体に言えることだが、パワハラ加害者が行う未熟な行為であることを理解し、被害者がパワハラ発生に対して責任を取ったり、自分を責めたりすることを避けるべきだということを知ってもらいたい。

そのためにもまずは、自分が被害者であることに『気付く』ことはパワハラ対策の入り口といっても過言ではない。
o08usyu7231.hatenablog.com

【基礎2】証拠収集を確実に行う

パワハラを実証するには証拠が必要である。訴訟を起こすか否かは、被害者の意向次第だが、証拠を収集しておいた方が良い。

具体的には、無理な要求や嫌がらせ、被害者が不快だと感じるメールやチャット、LINEの文面を残しておくこと。更には会話の中で録音が可能なら録音しておくことをお勧めする。

また、証拠に残りにくいパワハラを受けているときは、無理をして闘っても勝ち目がないため、無理をせずに、その環境から離れる等、まずは自分の身の安全を守るための行動を優先すべきである。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


【基礎3】被害者が複数いるなら味方を作る

被害者が複数いるなら、そのような人達を集め、味方を作り、事実に関する情報を集めておくことが有効だ。あと、社内外のパワハラ相談窓口に相談するときも、個人よりも集団で相談したほうが、相談された側により動いてもらいやすくなる。全てのケースに当てはまるとまでは言えないが、被害者が複数人いることは、組織としてより対策を迫られることになるだろう。

しかし、被害者が自分一人だけというケースもある。被害者が自分一人だけだからといって諦める必要はない。それどころか、被害者が少ないからと言ってパワハラ発生を軽視してはならない。2022年4月以降は全ての企業を対象に、パワハラ防止法が定められている。被害者が多いか少ないかの問題ではない。一人でもパワハラによる被害者が出ればアウトだ。

味方を作るときは、作れるときのみで良い。パワハラ被害を適切な人に相談しなければ、かえって状況が悪化することさえある。慎重に行動していただきたい。

【応用1】パワハラの事例を収集する

パワハラ対策の基礎を知ったなら、次はその応用として、パワハラの事例を知ることが有効である。

厚生労働省が管轄する「あかるい職場応援団」というハラスメントに関するサイトがある。これは国が提示している公的な情報であるため、個人のサイトよりも信頼性が高い。

ただ、ここに載っている事例は裁判まで発展した氷山の一角にしか過ぎない。水面下に埋もれた事例を含め、

  • 「裁判を起こすことはハードルが高く、現時点まだその段階ではない」
  • パワハラかどうか微妙だが予兆を早めに検知したい」

というニーズをお持ちの方もおられるだろう。

そのような方々に対しては、私のサイトで紹介している事例集がある。このような水面下の事例をインプットしておくことで、あなたがパワハラ被害者であることに気付くためのヒントにしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

あとは、世の中のパワハラに関するニュースをインプットすることも、事例収集に繋がる。自分自身が所属している社内という狭い空間ではなく世間を知ることで、世の中で起きていることと、自分の身の回りで起きていることが、類似事例だったということは少なくない。程度の大小はあっても何かしらの共通点を見つけることは可能であるし、パワハラ対策ができていなければ、ニュース報道される事態にまで至るということを肌で実感できる。

【応用2】加害者や第三者コンプライアンス窓口のあるべき対応を事前にチェック

前述のパワハラの事例を収集すると、どこに問題があって、加害者や周囲は本来どのようにすべきなのかといことも合わせて解説されている。

他にも、加害者向けの教育内容や、コンプライアンス窓口の相談員を養成する内容の書籍や記事があるため、前もってこのような内容に目を通しておき、先に答えを知るという方法が有効である。

これにより、加害者に改善を求めたり、第三者に相談したときに、その相手がどのように対応すべきなのか、先に答えを持っておく。そして実際に加害者や第三者の振る舞いを見て、その人や組織のレベル感を感じることができる。

【応用3】関連する労働法や行政機関を知る

パワハラに関連する法令や相談機関を知ることで、労働者が手厚く守られていることを知ることだ。反面、残念ながら期待通り機能せず、泣き寝入りに至る実態もあることを知っておいてもらいたい。

パワハラに関連する法令は、近年整備が進められている。

パワハラ防止法」は、加害者を直接取り締まるためのものではないが、企業や組織が普段から、あるいはパワハラ発生時のために、対策を取っておくことを義務付けるためのものである。これを怠っていると、厚生労働省がその企業名を公表することとなる。

安全配慮義務」(労働契約法第5条)は、従業員が快適に業務ができるよう、安全を守るための法律である。抑えておきたいのは、工場や現場における危険作業のみがこの義務の対象ではない。長時間労働やハラスメント被害という、身体的な安全に加えて心理的な安全も含むところである。

行政機関としては、加害者が属する企業を管轄する「労働局」や、自分の市町村にある「総合労働相談コーナー」、労働問題に強い「弁護士」をチェックしておくとよい。

一点よくある誤解を紹介すると、パワハラ被害に遭った方が「労働基準監督署」に駆け込むケースである。残念ながら、「労働基準監督署」が加害者や加害者の所属企業を直接取り締まることはできない。なぜなら、「労働基準監督署」は「労働基準法」に違反した企業を取り締まるための機関であって、「労働基準法」の中にパワハラに関する条項が存在しないためである。「労働基準監督署」が得意としているのは、「サービス残業」等に見られる賃金未払いだ。

3.個人の価値を高め、会社への依存度を下げる

大前提として、優秀な人材だからといって絶対にパワハラを受けないという保証はない。私自身もパワハラの被害経験がある。自分が優秀であっても、そうでなくても、分野によっては何か強み、スキルはあるはずだ。

スキルを存分に発揮できる環境にないなら、無理やり今の環境に自分が合わせようとせず、自分に合う環境を探して移ることを考えるべきである。今所属している会社が全てではない、世間はもっと広い。加害者は自分の方が「偉い」、「力関係が上だ」と思っているだろうが、所詮その程度の人材でしかないのだ。

重要なことは、「個人の価値を高め、会社への依存度を下げる」ことだ。

「業務に対して手を抜く」「仕事をさぼる」ことではない。会社への依存度を最小限にしつつ、会社に関わる時間を減らし、自分の興味のあること、得意なことに時間を割いていく、会社内の業務であれば他の企業でも通用するスキルを身に付けることをお勧めしたい。今は、ネットで情報があふれている、個人で稼ぐことのハードルが段々と下がりつつある時代だ。今の会社にしがみつく必要はないし、自分の興味のあることに注力していった方が、自分の成長も早い。会社に命綱を握られると身動きが取れない。

「会社以外に居場所がない」と思うから苦しいのであって、居場所を変えたり作ったりすることで、加害者から離れることができると、被害に遭う確率も少なくなる。「会社の人間とうまくやっていく方法・・・」なんていう、被害者側をマインドコントロールするような情報や書籍もあるが、これを鵜呑みにする必要はない。

「自分ファースト」で良いのだ。

昔は、会社を辞めることをネガティブに捉える人が多かった。しかし、この価値観はもう完全に過去のものとなってしまった。今は全く通用しない。

パワハラの被害者がパワハラ被害を理由に会社を辞めた場合、

「(被害者の)メンタルが弱いからだ!」

などと考えている人間が一定割合いる。そんな会社だから辞められてしまうのだということを理解していないのである。正しくは、被害者のメンタルが弱いからではなく、加害者が異常であるからなのだ。辞める側の恥ではなく、辞められる側の恥だ。

会社に属していると、ある程度上司・部下の力関係が作用してしまうが、これは同じ会社に属しているからである。会社を離れれば上司・部下は関係ないし、従業員に会社を辞められることが、会社にとって最大のダメージであり、会社を辞めることが従業員にとって最大の武器なのだ。このような状態にするためにも、準備は怠ってはいけない。
o08usyu7231.hatenablog.com

会社を辞めることは「逃げ」ではない。次のキャリアに向けた新しいスタートだと説明する人もいる。また、「逃げ」ても良いとの説明もある。嫌なことや危険なことからは「逃げ」ることが動物の本能であり、生存戦略なのだ。私としてはどちらも同感だ。

4.転職、副業、退職、状況や被害者のキャリアに合わせて取るべき行動を選択する

前章では、「個人の価値を高め会社への依存度を下げる」ことの重要性について説明した。ここからは具体的に取るべき行動である。

まず、複数の転職サイトに登録し、自分の市場価値を知り、キャリアについてプロのエージェントに相談することをお薦めする。エージェントに紹介してもらう求人と今の会社を比較すれば良い。私自身も経験があるのだが、会社の直属の上司からの人事評価と、市場価値は、全く別物である。会社の上司からの評価は、会社や上司にとって都合が良いかどうかが基準になっていることが少なくなく、個人的な感情も入る。転職を支援するエージェントならそのようなことはなく、より客観的に自分を見ていただける機会である。また、転職サイトに登録し、エージェントと面談を重ねることで、登録者にとっても所属している会社では得られないような情報が得られるため、結果的に転職する/しないに関わらず、是非ともお薦めだ。
o08usyu7231.hatenablog.com
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転職以外にもフリーランスという働き方がある。フリーランスは特定の会社に属さず個人で活動するため、時間的な自由度が高い点がメリットである。上司というものは存在しないのである。その代わりに全てにおいて自分個人の責任で進めなければならないし、これまで会社の人事・総務部門が行ってくれていた税金関係の処理等も全て自分で行わなければならない。しかし、最近はフリーランスにもエージェントが存在し、様々なサポートが得られる点がありがたい。


副業についても触れておく。副業はいろいろなものがあり、負担にならない程度で、情報を集め、お試しに始めてみると良い。注意したいのは、

  • スマホで簡単に稼げる!」
  • 「クリックするだけで、○○万円!」

等と謳っており、収益が発生する仕組みが説明されていないものは例外なく詐欺であると断言する。あと、居酒屋でアルバイトなと、時間を切り売りするような副業は体力的にしんどいだけなのでお薦めしない。是非とも、在宅でできるネット関連のものを選んでいただきたい。尚、副業を禁止している会社が未だに多いが、社内の就業規則等で副業を禁止できるケースは極めて限られており、本業に支障を与えたり、会社に不利益をもたらしたりしない限り、就業時間外の従業員の行動は自由である。会社がこれを不当に制限するのは、憲法第22条違反となる。
o08usyu7231.hatenablog.com

ここまでお伝えしてきたことのなかで重要なことをまとめると、

  • パワハラに関する知識・事例をインプットする
  • 会社への依存度を極力下げ、「自分ファースト」を心がける
  • 今の会社以外の働き方を準備しておく

である。

絶対に我慢してはいけない。加害者や会社への責任追及は、会社を辞めてからでもできる。まずは、自分の身を守るよう、自分なりのセーフティネットを充実していただきたい。

そして最後に退職の準備だ。会社を辞めるならば労働者としての権利をしっかりと使った上で辞めたい。これが簡単に実現できるなら個人で会社と交渉すれば良いのたが、なかなかそうはいかない場合が少なくない。そこでお薦めするのが「退職代行」だ。パワハラ被害を理由に退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。

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