ソフトウェアエンジニアが労働について情報発信するブログ

ブラック労働からホワイト労働まで経験したソフトウェアエンジニアが世の中にとって役立つことを情報発信していく。

「仕事のパフォーマンス」と「労働環境」は切っても切り離せないと知るべきだ!

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タイトルだけを見ると、誰でもわかる当たり前のことを書いているのだが、旧態依然の組織や人にとっては、仕事において業務上のトラブルを「労働環境」のせいにすることを、「言い訳」「甘え」などとと称し、都合が悪いと感じる。

理不尽を我慢し、苦痛にも耐える社員が偉いなどという価値観は、もうとっくに過去のものとなってしまったことを受け入れ、認識を改めなければならない。

長時間労働やハラスメントをはじめとする労働環境の問題は、ニュースにまで取り上げられ、社会問題化している事実は、多くの人が認識しているはずだ。

私の普段の業務であるソフトウェア開発も知的労働であり、気力、体力、努力、根性だけでは、良いプロダクトは作れない。人手不足が深刻化する中、「労働環境」はあらゆる職種において真正面から向き合わなければならないことを、いくつかの業界における事故やトラブル等の事例とともに述べていきたい。


1.運輸業界は運転士の疲労が事故に直結する

長距離夜行バスやトラックドライバーを想像してみてほしい。長距離の運転は、心身共に疲労が蓄積し、最悪の場合、注意力が低下し、重大事故に繋がる。一般の人が旅行で長時間移動するのとはワケが違う。

時々ニュースで目にするのは、長距離バスが事故を起こし、不幸にも怪我人や犠牲者が出てしまう事例である。まず、事故が発生したこと、事故の状況や影響について報道される。誰が見ても、目に見える結果だ。

ここまででも悲惨なのだが、真の問題はこの「前段」にある。

「運転士の不注意」や「事故車両の不具合」という可能性もゼロではないが、よくあるのは下記のような実態について、後から報道されることだ。

  • 運転士の過労が原因だった。
  • バス会社が人件費を削るため、本来二人体制で勤務するところを一人体制とした。
  • 背景にはバス会社の杜撰な労務管理の実態があった。
  • 更にその背景には、バス会社を下請けとする旅行会社が過剰な値下げ要求をしていた。

旅行会社にせよ、バス会社にせよ、自分達の利益を優先する行為が、運転士の労働環境を悪化させ、最悪の場合乗客の命を落としてしまうことになる。

運転士の注意力や根性といったことを真っ先に挙げ、その「前段」、そして根本問題を放置することほど、企業としてリスク以外の何物でもない。

2.医療機関における劣悪な労働環境は患者にまで影響する

医療ミスも上述の事故と同様に、絶対に起きてはならない事故である。事故が起きてしまえば、医療機関のトップが会見を開き、

「再発防止に努めます。」

と、報道陣を目前にしてコメントするのだが、この言葉通り再発防止に努めなければならない。

問題はその先だ。医療スタッフへの注意喚起や教育だけでは不十分だし、組織的に仕組みを整えるだけでも不十分だ。もちろん、ソフト面、ハード面の両面からアプローチしなければいけないことはその通りなのだが、医療機関の労働環境を軽視してはならない。医療現場はスタッフの負担が大きい。いくら教育されようが、仕組みを整えようが、医療スタッフが心身限界に達してしまうと、崩壊の懸念がある。

医療現場の過重労働もニュースで報道されることがある。世間の人達に知ってもらいたいのだろう。困っている人が声を挙げ、周囲の人が問題点を知ることは、問題解決の入り口だ。私も報道を通して知ることができていなければ、このような記事を書いていない。

このような問題を知ることで次に何ができるかを考える。我々ができるだけ医療機関にお世話にならなくていいようにすることだ。そのためには、健康でいることだ。自分が健康でいることは、何も医療機関のためではなく、自分が幸せに生きるためなのだが、結果的に医療機関の負担軽減にも繋がる。コロナ禍でも我々一般人が、徹底した感染対策をすることで、医療機関に余計な負担をかけなくて済むのである。

周囲ができることはすべきであり、医療事故の責任を医療機関のスタッフのみに押し付けてはいけない。我々も医療機関にはいつお世話になるかわからない立場だ。医療機関に頼るべき時には頼らなければならない。

医療機関側が受け入れ患者を制限することも致し方ないのかもしれないが、これは医療機関側が取る最終手段だ。医療機関もスタッフの増員、医師を増やすことを国策とするなど、何かしらの取り組みは必要であり、現場任せではいけない。

3.教員・保育園における劣悪な労働環境は子供に影響する

学校の教員も労働環境が悪い。朝早くから出勤して、授業の準備をして授業に臨み、放課後は部活の顧問や生徒指導、職員会議、保護者の対応など心身共に休まることがない割には、給料が低い。教員を辞める人が増えた結果、クラス担任が不足しているから専科の先生が担任を受け持つといった事例もあるようだ。

そして最近時々耳にするのが、保育園での保育士による園児への虐待だ。一般の人から見ればあり得ないことであり、前述の交通事故や医療ミスと同じく絶対にあってはいけないことだ。

このようなニュースが報道されれば、

「虐待はダメだ!」

と、目に見える部分を非難する人が大半だろう。

確かにあり得ないことであるのだが、ここだけを吊るし上げて、現場を叩いたところで、解決にはほど遠い。

しかし、これについても保育士の負担が大きすぎることに起因しているのではないかと、情報番組の中で専門家が解説している。それどころか、一部の園児の保護者からも同様の意見が出ている。

園児の面倒を見なければいけないのは、当然のことながら保育士の仕事だが、保育園の建物内の壁への飾り付けなど、不要な業務を減らし、保育士の負担を減らすべきだと指摘している専門家もいる。視座が高い専門家ほど「前段」に着目していることがよくわかる。

4.ソフトウェア開発も同じ!日本企業の経営陣や管理職は労働環境改善に向けて意識を変えるべきだ!

私が長年携わっているソフトウェア開発も同じだ。ソフトウェア開発は知的労働である。ブルーカラーではない。ソフトウェア開発には体力が必要とか、理不尽に耐えるだけの忍耐が必要とか、過酷さを横目にそれでも自分にできることをなどど、それっぽいことがまかり通るのは、昭和的負の遺産だ。

ソフトウェアで品質問題が出ると、真っ先に開発部門に対して、発生原因、流出原因、再発防止といった言葉が飛び交う。そして、技術やプロセスに関する面に着目し、労働環境の要因を出すと、「思考停止」とか「それ以外で!」などと言う人がいる。現場に丸投げすることは、根本的な解決にならず、管理職や経営陣に都合が良いだけだ。
o08usyu7231.hatenablog.com

技術やプロセスの面での原因や対策は、無いとは言わない。しかし、私の経験上まず労働環境から疑う

ソフトウェア品質問題とは、ソフトウェアエンジニアが、開発規模や難度に見合わない納期、リソース、仕様追加・変更等、業界構造の問題、あらゆる「前段」のしわ寄せを受け、目に見える形となって表面化した事象の一つに過ぎないと考えている。

だがら、品質問題という見える部分のみを吊し上げてソフトウェアエンジニアを叩いても、根本が変わらなければ変わらないのである。このことを管理職や経営陣は認識しておくべきである。単にソフトウェアエンジニアに再発防止を求めるだけでなく、「前段」全てについてアプローチする必要がある。

これまで紹介した、運輸業界、医療機関、教員・保育士のように、報道されている世間一般の状況をキャッチし、過酷な実態をより多くの人が知り、理解すること、理不尽には正当に声を挙げることが重要だ。

  • 「自分のできることをやれ!」
  • 「他責思考はダメだ!」
  • 「言い訳をするな!」

旧態依然の人達は、このようなもっともらしいことを刷り込んで、生産性が上がるとでも思っているのだろうか? たいていは、押し付ける側にとって都合が良いだけだ。

「仕事のパフォーマンス」と「労働環境」は切っても切り離せないのだ。人間である以上限界がある。努力、気合い、根性がいくらあっても、生物学的に不可能なことはある。逆に良い「労働環境」が「仕事のパフォーマンス」に良い影響を及ぼしたケースを、私自身が経験している。
o08usyu7231.hatenablog.com

労働人口は減り、社会は複雑化し、もっともらしい根性論ではもう通用しない時代になった。「代わりの人材などいくらでもいる」などという時代は終わった。人材の流動性はますます高まってきた。無理な労働によって成り立たせる企業は、まともな人材から辞められる時代になった。

自分のできることをやり、自ら主体的に動き、劣悪な環境に言い訳をすべきでないという主張をする上司世代は少なくない。それも一理ある。それならば、今すぐ転職活動を開始するという行動を起こし、劣悪な環境から抜け出すための努力をすべきだ

「仕事のパフォーマンス」と「労働環境」は切っても切り離せないということを前提においた、業務の進め方や働き方ができる企業こそ、優位性があることを管理職・経営陣が理解し、労働者はそのような企業を選ぶべきである。労働者の犠牲の上に業務が成り立つという仕組みそのものに無理があった今までと比べて、ようやく『労働環境に配慮しないと、働き手に選んでもらえない』というまともな状況になってきたのだ。

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