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「正論」が通用しない組織は異常!基本は「正論」を貫くべきだ!

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「正論だけではやっていけない」、「正論を振りかざす」、「正論ハラスメント」などと称して、「正論」に対してネガティブなイメージを持たれることがある。

「正論」は、文字通り本来正しいはずなのに、ネガティブなイメージで捉えられるのは残念である。ただ、「正論」とされる主張でも、使われる場面や背景状況によってはマイナスに働くことがある。

原則として本来の意味の「正論」が通用しない組織は異常であるし、「正論」が通用しないことで困っている人が救われないのはおかしな話である。

下記は、ある管理職が発信したメッセージである。私には共感できる部分もあるが、違和感を感じる部分もある。

ビジネスシーンでは、どこで自分の主張を出すかがポイントである。相手の立場を考え、双方にとってメリットが出るようにする。一般的にはwin-winと表現される。良かれと思って「正論」を振りかざせば良いのではない。「正論」は誰でも分かることである。でも、うまくいかないからどうすれば良いのかを考えなければならないのである。「正論」を振りかざす人は思考を諦めた人なのである。

この記事では、「正論」とはどういうものか、「正論」が通用しなければどのような問題があるのか、上記管理職からのメッセージの中身を解説するとともに、これからの時代に必要なマインドについて語る。


1.「正論」と「正論を振りかざす」は全く異なる

「正論」についてネット上で調べると下記のような説明があった。

「正論」とは、道理を説く論について正しいものであると評価する呼び方である。事実に関する議論や認識論について用いられることはあまりなく、ほとんどの場合が「**であるべきだ」という当為についての論である。 そのため、論の対象は道徳、倫理や規範、政策など、公共的な要素をもつものが多い。

冒頭に「正論を振りかざす」という言葉が出ているが、この言葉は印象が良くない。せっかく、「正論」なのに何か悪いことをしているようなイメージを与えてしまう。

適切に言い換えるなら、

  • 「正論を貫く」
  • 「正論ベースに物事を進めていく」

というほうが自然だ。

「正論を振りかざす」に使われる「正論」とは、本当の意味での「正論」ではないことが多く、「正論」を自分に都合良く使い、結果として相手に迷惑をかけ、悪い状態になることを指す、というふうに私は理解している。

一番分かりやすい例が「納期を守れ!」。この言葉だけを切り取れば正しい。ビジネスパーソンである以上、納期を守ることはステークホルダーとの信頼関係を築くうえで必要なことである。しかし、この言葉を言う相手や場面を間違えてはいけない。これを使って良いのは、それを実現できるだけの「前段」が整っているときのみである。納期を守ることが無理な状況で、発注者側が力関係によって「納期を守れ!」と言い放つことは、中身が正論であっても、単なるパワハラ(6類型では「過大要求」)である。「正論を振りかざす」とはこのことである。

私の感覚では、純粋に受注側の怠慢により納期を守らず発注側からの信用を落とすケースというのはほとんどなく、受注側が納期を守ろうとして過重労働になり、健康面・生活面の支障、モチベーションの低下、メンタルトラブル、離職の発生、発注側の傲慢や無理難題に振り回されるといった受注側への弊害の方が圧倒的に多い。過重労働で健康面のリスクや、生活面の支障が出る状況や、困難が多く立ちはだかり大した協力も得られない状況で「納期を守れ!」の一言では、受け手には全く響かないし、守れるとは思えない。しかも、「納期を守れ!」そのものは正しいので言われた方は言い返せない。ブラック企業はこのことをわかっていながらやっている。

「納期を守れ!」自体を切り取れば「正論」なのに、良い結果にならない理由は、背景状況とミスマッチであるからである。納期を守ること自体が困難という背景状況において、「納期を守れ!」などと言い放つことは「正論」でも何でもなく、トータル視点では間違っているのである。この場合、スケジュールや業務量等、何かを調整するといった次のステップが必要である。

2.「正論」が通用しないことは「コンプライアンス」が欠落していると言い換えてよい

「正論」が通用しない組織は、「正しいこと」よりも「自分(達)にとって都合が良いこと」の方が重視されがちである。また、最近の世の中は変わりつつあるものの、日本は「和を尊重する」「組織文化を大切にする」と称して、「正論」の少数派よりも、組織にとって都合の良い、または上位者に従うべきと考えている多数派のほうが尊重されてきた。そして何よりも確実に言えるのは、コンプライアンス不祥事を起こす企業は、例外なくこれに当てはまる。

  • 製品の品質検査のデータを改竄し、製品をとにかく世の中に出して競争力を低下させないようにしようとする不正
  • ハラスメントの加害者を根本から是正せず、被害者が受けた被害に対して誠意をもって救済することを怠り、被害者側の問題点や改善点に目を付け「教育」「成長」などど称して被害者をマインドコントロールし、ハラスメントそのものから話を反らし、加害者を守るという不正
  • ステークホルダーからの要望で増加し続ける業務量に歯止めがかからず、過重労働の状況で、自分達の工夫や頑張りでは間に合わず危機感を持った社員が改善に向けて、まずその状況をコンプライアンスの観点からステークホルダーと丁寧に共有すれば、「ステークホルダーからの信頼を失う発言」などと称して、声を挙げた社員を一方的に低評価するという上司側の不正

自分達の利益を優先し、社会的に間違っていることを間違っているとわかっていながらする、もしくは組織の考え方に洗脳され、間違っていることを間違っているとは思わなくなる、いずれにしても恐ろしい結果である。

上述した不正の事例から言えることとして、「正論」が通用しないことは、ある意味コンプライアンス」が欠落しているといっても過言ではない。

このような「コンプライアンス」が欠落し、これによって迷惑を受けている人がいる中で、その状況に声を挙げた人が、「正論を振りかざす」などと称して批判を浴びるようなことがあると、声を挙げた人の心理的安全性」が損なわれてしまう。声を挙げた人は、身動きが取れず、迷惑に耐え続けるしかない。こうなると組織の自浄作用が働かなくなり、腐敗していく一方でしかない。

「正論が通用しない」ことで困っている人、迷惑や被害を受けている人が救われないのは本末転倒である。

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3.「正論」を振りかざす人は思考を諦めた人なのか?

冒頭で紹介した管理職からのメッセージについて考察してみる。

ビジネスシーンでは、どこで自分の主張を出すかがポイントである。相手の立場を考え、双方にとってメリットが出るようにする。一般的にはwin-winと表現される。

この内容は概ね共感できる。これ自体も「正論」であると言える。ただ、私自身の過去の経験を含め、現実に目を向けると、気になる点が二点ある。

一点目は、『相手の立場を考え』という点である。これ自体を切り取れば「正論」であり、ビジネスシーンやそれ以外でも必要なことである。しかし、自分にとって都合の良い時だけこれを使うケースが見受けられる。『相手』には『相手の立場を考える』ように求めるが、これを言う人自身が相手の立場を考えないといったケースである。例えば、ハラスメントの被害者に向かって第三者が「相手(=ハラスメント加害者)の立場を考えよ」などというふうに使われることがある。他の例では、短納期で過重労働に見舞われ疲弊しているエンジニアに対して「相手(=発注元・ステークホルダー)の立場を考えよ」というものである。結局、『相手の立場を考え』という割には、被害者側や困っている人の立場が考慮されることがなく、ここを無視して、起きている問題点の解決ではなく揉み消しに走っているだけである。この二つの例えは実話である。

二点目は、『win-win』である。これもこの言葉のみ切り取れば、双方にとって良い状態という聞こえの良い言葉である。しかし、自分が思っている『win-win』と、相手が思っている『win-win』が同じとは限らないし、相手は『win-win』と思っていないかも知れない。相手にとっての『win』が本当に『win』なのか、正しい認識が求められる。

このように、この管理職が発信したメッセージの中にも、一見「正論」でも、実は奥深い裏があり、本当に困っている人にとっても解決にならないことが少なくない。

良かれと思って「正論」を振りかざせば良いのではない。

これはせっかくの「正論」がネガティブに捉えられてしまう一文である。冒頭に示した通り、「正論を振りかざす」時点で、すでに「正論」ではないと考えている。基本的に「正論」を貫くべきだし、「正論」をベースとした思考や行動が求められる。

「正論」は誰でも分かることである。でも、うまくいかないからどうすれば良いのかを考えなければならないのである。

私に言わせれば「正論」は誰でも分かることではない。組織というのは恐ろしいもので、世間一般から見れば明らかにおかしいことでも、組織にとって都合が良いことが「正論」と組織内部の人達は勘違いを起こす。組織内の人は組織の考え方に洗脳され、本来の「正論」を見失っていることが多い。コンプライアンス問題を起こす企業の特徴がまさにこれであり、あるべき「正論」が分かっていない結果なのである。

また、「うまくいかないからどうすれば良いかを考えなければならない」という点については、共感できる面もある。課題解決の面から言えばまさにその通りだ。一方で「正論」が通用しないことで困っている人に対して更に負荷をかけ、追い詰め、困っている人が更に困るという事態になり、本末転倒となった事例もある。そのことを認識すべきだ。

「正論」を振りかざす人は思考を諦めた人なのである。

「正論」を突き詰めることこそ、必要なアクションであると考えている。「正論振りかざす」という言葉は良くないので、ここを冒頭で述べた

  • 「正論を貫く」
  • 「正論ベースに物事を進めていく」

と置き換えて考えると、何も『思考を諦めた人』ではない。それどころか、根本や核心を突いた、組織にとって非常に貴重な存在である。私自身も実際過去に、「正論」を突き詰めるマインドに対して「とても貴重な人財です。」と上司や同僚からコメントをいただいたことがある。本当に『思考を諦めた人』というのは、「正論」を忘れ、組織の意向通りにただ従っているだけの従順な社畜のことを指す。

4.「正論」が通用しない組織から優秀な人財は流出すべきだ!

この記事内で挙げた事例も含め、第三者視点であればおかしいことであるにも関わらず、これが意外と何かを言われた当事者にとっては「正論」に聞こえてしまい、言い返せないことが結構ある。でも、違和感がある。落ち着いて考えれば、その違和感の方が正しい。私にもその経験がある。「正論」に聞こえるものは、そのほとんどが組織側に都合が良いことであって「正論」ではない。「正論」でないことが「正論」に聞こえるのは、視野が狭く、閉じた空間で洗脳され、日常の労働による疲労で判断力が落ちているからである。 

組織で嫌がられる「正論」は、実行する側がハードルが高いだけである。そして、面倒さを理由に実行しない側にコントロールしたいだけである。そのために、今の状況を正当化することに注力しているのである。この「正論」が実現されないことで、誰も迷惑や被害を受けないならまだ良いにしても、誰かが多大な迷惑を受ける状況に対して、迷惑を受ける人の我慢によって成り立たせているならば、人間関係の悪化、メンタルトラブル、離職等によって、組織は高確率で腐敗していく。そして、腐敗しつつある組織を維持するためにブラックになってしまい、力関係を背景に立場の弱い人に理不尽を強要する結果となる。

そのような状況であなたが被害を受け、我慢してあげる必要性は全くない。被害が大きくならないうちにまともな環境に移る、またそのための準備をする等、自身のセーフティネットを充実させておくべきである。

その一つとして転職する予定がなくとも転職活動することをお勧めする。今のご時世で「正論」が通用しないとされる、閉じた世界ではなく、様々な情報を入手し視野を広げることで、特定の組織に洗脳されにくくするメリットがある。私自身も行き詰まった時、この考え方にとても救われている。実際に転職するかどうかは転職活動の先の話である。「正論」が通用しない組織は人財が流出し、いずれ衰退していくことになる。

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