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管理職はコンプライアンス意識が低下しやすい!その理由とあるべき姿について語る!

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本来、管理職こそが高いコンプライアンス意識を持たなければならない。しかし、管理職による不祥事が後をたたず、筆者も目の当たりにしたことがある。

恐ろしいのは、管理職という立場上の力関係で、おかしなことに声を挙げたメンバが不利益を受けやすく、段々と周囲が声を挙げなくなり、コンプライアンスの是正から遠ざかることである。そして、メンバが去っていき、組織力がダウンするか、大きな問題が顕在化してニュース報道の対象になるかのいずれかである。

この記事では、管理職におけるコンプライアンス意識の低下のしやすさについて、そして当たり前ではあるものの意外に出来ていない本来あるべき姿について述べる。


1.管理職によるコンプライアンスの不正が起きやすい領域とは?

世間一般では、長時間労働、ハラスメントをはじめとする労働問題、法令違反、不正行為、不祥事が後を断たない。コンプライアンス面が正常な組織であれば、管理職でなくともいけないこととわかっている。しかし、なぜかコンプライアンスの不正は起きてしまう。

管理職によるコンプライアンスの不正が起きやすい領域とはどのような領域か?

例えば、経費の不正といったことは、純粋に企業にとって都合が悪い。私利私欲を満たすために、組織を犠牲にしているのだ。管理職か一般社員か経営陣かに関わらず、モラルの低い人が起こすことであり、管理職が特別起こしやすいとは考えにくい。

管理職が起こしやすい不正は、大きなイメージで言うと、以下のような感じである。

  • 自分および自分の組織を守るために、他の個人を犠牲にすること
  • 上層部や取引先を守るために、社会面への関心が薄れること

具体的な事例で言えば、納期を守ることを優先して長時間労働に文句を言わないメンバーを重宝する体質、他組織(取引先を含む)からの評価の低下を恐れるあまりメンバーへの指導と称するパワハラが代表的なものである。しかし、このような長時間労働パワハラについては、世間、社員、取引先からの目が厳しくなる一方である。でも、無くならない。

更に、世間や他人の目に触れることのない陰湿な不正がある。人事評価である。管理職の権限の範囲内なら、極端な話、好き勝手できてしまう。不正な低評価も根拠を捏造してできてしまう。不正な低評価は他者の目が入ろうとも、直属の上司が一番評価対象者のことを良く知るとして、不正を不正として検知しにくい。そこを利用して、被評価者が評価する側の不正を訴えても正当化されてしまい、社内にはそれが正しいもの扱われるどころか、被評価者が注意を受ける対象となり、根本的な問題解決よりも組織にとって無難な結果となるよう落としどころを決める。その結果、被対象者に与える影響は、賃金、キャリア、モチベーションの面において大きい。結局、どのような人事制度にしても、評価者のモラルに左右され、被評価者がコントロールできない部分となる人事評価こそ、最も不正が起きやすいと考えれる。実際、人事評価でのトラブルは多い。

2.管理職は組織内での責任範囲が広く自己保身に走りやすい

管理職は一般社員と比べて、仕事の質が変わり、仕事の量が増え、責任範囲が拡大し、報酬も上がる。目の前の業績、自部門のパフォーマンス、ステークホルダーとの関係性等、気にかけなければならない箇所が多くある。別の表現をすると、『範囲が広い目の前のこと』を気にかけなければいけない。よって、段々と心理的余裕がなくなり、それ以外のことが疎かになる。組織のメンバーのことよりも、更なる上位者や、他部門等のステークホルダー、顧客企業の顔色を伺う。

何か問題があれば管理職が責任を取るのが当たり前だが、潔く責任を取る管理職がどれほどいるだろうか?

実態はのらりくらりと責任上逃れをし、自己保身に走る。自分や組織の利益を優先し、メンバーの犠牲の上に成り立つ組織は珍しくない。ニュース等で不祥事に関する報道がされるのを見るが、あれは氷山の一角である。水面下には多くの不祥事が潜んでいる。

上述の人事評価のケースでいえば、

といった問題に対して、迷惑や被害を受け、かつコンプライアンス意識の高い人間が、勇気を持って是正が必要である旨の声を挙げた結果、

「自己中心的な発言」
ステークホルダーからの信頼を失った」

などとして、声を挙げたメンバーに対して不正な低評価を行い、「声を挙げる場や相手を考えるように」と注意したりするようであれば、その組織の感覚は異常だ。コンプラ意識が完全に欠如している。
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com

管理職は組織内における責任範囲が広くなるため、自分や組織、会社を守る「会社目線」となり、個人の人権、世間一般からのイメージにも繋がる「社会目線」を忘れがちである。これこそがコンプライアンス問題発生への発端である。一般社員やメンバーが「社会目線」であるのに対して、管理職や経営陣が「会社目線」となる構図は、よくあることだ。
o08usyu7231.hatenablog.com

管理職は会社全体のために責任を持って、時には理不尽なこともしなければならないなどと語られる場面をたまに見るが、これも正当化と管理職の自己保身が目的だ。

3.組織内での力関係の優位性が仇になる!周囲や組織へ与える影響を考えるべき!

管理職と一般社員の違いは、昔は

「上下関係」
「管理職は命令、一般社員は実行」

などと言われていた。

最近では「役割の違い」という説明がなされる。「上」や「下」という概念はない。これ自体はその通りだ。管理職と一般社員、どちらが欠けても業務が成り立たなくなるからだ。

しかし、管理職は一般社員と比べて協力な権限を持つため、いまだに

「力関係では管理職の方が上」
「管理職が偉い」

などと勘違いされていることが少なくない。そしてこれが仇になる。

管理職が判断や行いを誤れば、そのしわ寄せや迷惑が一般社員に押し寄せる。力を持っている分、管理職の日々の行動やマインドは、管理職自身が思っている以上に、他のメンバーへ与える影響が大きい。

周囲から声を挙げにくいのも事実だ。何かおかしいことがあって、声を挙げた人に対して叱責したり、注意したりする。人間対人間、同じ労働者(「管理職」=「管理監督者」ではない)として、力関係とは関係ないところにまで力関係でねじ伏せようとする。

このような組織では、メンバーからコンプライアンスに関する問題点や指摘が挙がってくることはなくなってくるだろう。管理職にとっては、それが心地よく快適なのだろうが、問題に気付くチャンスを失い、エンゲージメントが低下し、組織は崩壊に向かっていくことに気付かなければならない。

4.管理職が力関係を使う場面を間違えるとメンバーからの信頼を失う!未然防止のためにすべきたった一つのことを伝授する!

管理職は「権限」が一般社員よりも強い。言葉に違和感があるかもしれないが、「力関係」とも言える。残念な管理職はこの「力関係」の使い方を間違える。そして、その被害を受けた社員からの信頼を一瞬にして失う。残念ながら、世の中にはそのような管理職がいる。

上述の人事評価のケースでいえば、事実と異なる理由、捏造した理由をつけて、一方的に不正な低評価をする。管理職自身にとって都合が悪いという表向きにできない理由があっても、被評価者の粗を探し、低評価できてしまう。組織の自浄作用がないから、間違ったことでもそれが正しい前提で進められてしまう。

最初は、おかしなことに声を挙げる社員もいるだろう。しかし、これが放置されるとそのうち声を挙げなくなる。何も言われなくなったら終わりだ。声を挙げなくなったことは、改善されたという意味ではない。見切りを付けられたということだ。

モラルがない、コンプライアンス意識が低い、不正行為をやってしまう管理職を見てきた。そのような人に限って心の底では自分は悪くないと思っている。コンプライアンス上問題があるという自覚がない。

犠牲になったメンバーは、退職するか、メンタルトラブルに見舞われるかである。ここまで陥っても、勘違いしている管理職は、「素直さがない」「打たれ弱い」などと、更に勘違いが増して、犠牲になったメンバーのせいにするケースが少なくない。自己保身に走るために力関係を使うのである。当然、間違った使い方である。

メンバーを含めて信頼失墜を防ぐために管理職がすべき唯一のことは、至ってシンプルである。コンプライアンスを最優先することである。組織の利益や経営効率、コスト削減や納期を最優先する人はよく居そうだが、これが行き過ぎて肝心なことを見失ってはいけない。コンプライアンスを最優先してやっていけなくなる会社なら、潰れた方が良い。管理職、一般社員とも共通して言えるが、コンプライアンスを最優先する姿勢を貫いて居心地が悪くなるような企業には、居る価値がない。コンプライアンスはそれくらい重要で、管理職がそのことを認識しなければならないのだ。