ソフトウェアエンジニアが労働について情報発信するブログ

ブラック労働からホワイト労働まで経験したソフトウェアエンジニアが世の中にとって役立つことを情報発信していく。

問題社員の正しい辞めさせ方

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

問題社員を「クビ」にしたい、「解雇」したいと思ったときにおすすめの書籍がある。

その書籍は、企業の経営者、管理職、人事担当をはじめ、あらゆるビジネスパーソンに向けた書籍であり、2021年4月に発売された。

「問題社員の正しい辞めさせ方」という厳ついタイトルではあるが、人気が高い著書である。


1.書籍「問題社員の正しい辞めさせ方」についての前置き

この書籍のタイトルのような悩みを持つビジネスパーソンは少なくないのではないだろうか?

例えば、以下のような社員である。

  • 「ハラスメント加害者」
  • 「職務怠慢」
  • 「協調性なし」
  • 「成果を出さない割には、労働者として権利のみ主張」

この書籍は、上記のような「問題社員」の扱いについて、悩みを解決するためのノウハウが詰まっている。

「問題社員」の「解雇」をテーマにしたものではあるが、他書では「解雇」に関する法律上の解釈について記載されたものが多い。しかし、本書では詳しく扱っていない。なぜなら、問題社員の「解雇」が最終目的ではなく、本来は問題点を是正し、職場でパフォーマンスを発揮して活躍してほしいという考え方があるからである。

また、「問題社員」に限らず、指導やコミュニケーションの在り方について述べられているので、参考にできれば良いと考えている。

2.書籍「問題社員の正しい辞めさせ方」の概要(1)、筆者お薦めの「太陽方式」

今すぐにでも辞めさせたい「問題社員」を抱えておくのは企業にとって多大なリスクである。しかし、日本の法律や判例では、このような社員であっても「クビ」にすることが極めて難しい。

拙速な対応により、「問題社員」に対して「クビ」「解雇」などと言ってしまうと、後から「パワハラ」「退職強要」「不当解雇」「不当労働行為」などとして、訴訟のリスクがあり、企業にとって不利な結果となるばかりでない。それどころか、労働行政からの指導・是正勧告、企業のネガティブイメージの拡散、解決金等金銭面での損失、事業機会の損失等、壊滅状態に陥ることがある。

それならばとうするか?

「退職勧奨」という方法がある。この方法にて「問題社員」を辞めさせるには、周到な準備(例:就業規則の整備)と粘り強いコミュニケーション(例:口頭・書面での指導、人事評価、段階的な懲戒)が必要である。

しかし、それでもうまくいかないときに筆者がお薦めしているとっておきの方法がある。それは「太陽方式」(徹底的改善指導)である。

能力の低い社員や問題社員であっても、「クビ」「解雇」という言葉を一切使わず、積極的にコミュニケーションを取り、暖かくポジティブに指導することで、当該社員の改善に向けた手厚いフォローに応じざるをえない面倒さ故に「問題社員」自ら辞めるように仕向ける方法である。時間や手前がかかり粘り強さが必要だが、企業が抱えるリスクが極めて低いと説明されている。

尚、「太陽方式」とは、イソップ寓話の「北風と太陽」の例えから来ているので、イメージが湧かない方はそちらを参考にしていただきたい。

「太陽方式」によって問題社員を辞めさせることに成功した事例、侮辱を含めた「北風方式」によって問題社員に圧力をかけて失敗した事例も参考になる。

3.書籍「問題社員の正しい辞めさせ方」の概要(2)、「問題社員」混入の予防

「問題社員」を正しく辞めさせることと並列して重要なのは、問題社員混入の予防である。

普段から労働環境を良好にし、充分な報酬を与え、コンプライアンス意識を高め、現代のニーズに対応できる多様な働き方を可能にすることで、それが実現可能になる。

その理由は、これにより「全国の優秀な人材からの応募が殺到し、その中から更に上澄みを採用する」ことで、「問題社員」が混入する隙間がなくなるからである。

逆に、これができていないと、優秀な人材は労働環境の良い他社に獲得されてしまい、自社に必要な人員補充を急ぐあまり「応募してきた人の中から相対的にマシな人材を採用する」という形を余儀なく強いられる。それ故、「問題社員」混入の隙間を作ってしまい、企業にとってリスクを抱え続けることとなる。

また、普段からのコミュニケーション等、風通しの良い職場作りはもちろんのこと、「問題社員」の有無に関わらず、やるべきことをやっておくことは言うまでもない。

4.書籍「問題社員の正しい辞めさせ方」を読んだ感想

まず、前半の「太陽方式」について。この本を読む前の私のイメージは「純粋に能力の低い社員」には「太陽方式」(暖かく)、「問題社員」には「北風方式」(厳しく)だった。「問題社員」に「太陽方式」を実践できる自信が持てず、また実践する機会があるかわからないが、まずは「太陽方式」である必要性をインプットした。粘り強く向き合うことが必要だ。

次に、後半の「予防」について。労働環境やコンプライアンスが極めて重要であることを再認識させられる内容である。多くのビジネスパーソンは、目の前の業務に気を取られ、目の前の課題解決に精一杯で、コンプライアンスについて深く考えることが少ないのではないかと感じる。

また、管理職ぼど組織内におけるウェイトが高く、本来必要な「社会目線」に至らず、「会社目線」でしかないという事態も珍しくない話だ。
o08usyu7231.hatenablog.com

ここでコンプライアンスとは、「法令遵守」のみならず「時代とともに変化する社会的要請を正確に把握し、それに応じた行動を取ること」としている点について、私は共感している。「法令」のみで片付けるのではなく、「人」「社会」をカバーするだけの視座が求められる。

労務トラブルにおける具体的な事例も多く載せられており、冒頭に示したように「解雇」に関するトラブル以外にも、指導やコミュニケーションに関する様々な知見が得られる。是非とも、多くのビジネスパーソンにお薦めしたい一冊である。