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人事評価における過ちをいろいろ集めてみた!評価者が必ずしも正しいとは限らない!

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人事評価の結果に納得いかない人は多いのではないかと思う。実際、退職理由にもなる。

近年では、人材の流動性が高まりつつあるので、より一層この傾向は強まるものと思われる。

このようなとき、よく社会人経験が少ない若手や、上司が期待する成果を出していないにも関わらず人事評価の結果に対して不平不満を発する人に対しては、次のように言われることがある。

  • 「考え方が甘い」
  • 「上司の期待を理解しているか?」
  • 「上司との向き合い方を考えるべき」

これは間違いではないし、一部の人には当てはまる内容だろう。

しかし、なぜかリーダーや管理職といった評価者による評価が正しいことが前提となってしまっている。実際、成果を出している優秀な人材ですら、高く評価されないことがある。このことから、評価者側に至らない点があると考えられる上に、権限や力関係によって評価結果が決まり、評価者や会社にとって都合が良いか等が判断基準になっている可能性も考えられるのである。

また、評価者の評価スキルやモラル、コンプライアンスが、被評価者のキャリアを左右すると言っても過言ではないくらい、評価の重要性は高い。

この記事では、評価者側の過ちについて実在した事例を挙げ、解説していく。そして、最後に対策についても触れておきたいと思う。


1.そもそも人事評価結果が本人に伝えられず、上位者のみで共有されている。

これに当てはまる会社の口コミサイトを見ていると、

  • 「どうやって評価されているのかわからない」
  • 「上司に従順な人、上司と仲が良い人が出世している」

といった声がある。本人に伝えられない時点で、何が評価されているのか、評価されていないのかわからないのも当たり前だ。

そして、成果にもよるが、数年に一度の割合で上司から昇格試験の案内が来たりする。その時だけは、昇格させたい意図があることのみわかる。人によっては何年もの間、昇格試験の案内が無い人もいるのだろうが、そのような人が次に昇格しようとすれば、何が足りないのかが定量的にわからない。

疑問を持つ人が出てくるのは当たり前である一方、この会社にしかいない人は、これが普通だと思ってしまうのかも知れない。広く情報を集めた方が良いことは確かだ。

実際、このような実態に気付いた人は退職している。

2.期待していることを実現するための前段ができていない。

「期待していることを実現するための前段ができていない」、あるいは「前段ができていない実態を踏まえると期待している内容が現実的でない」というケースがある。

例えば、ある【社員】が【後輩】の指導・教育を期待されているにも関わらず、その【社員】と【後輩】それぞれに全く別の業務を与えているケースである。

もともと、【社員】と【後輩】は同じ案件の業務をアサインし、そのOJTの中で【社員】は【後輩】を指導・教育していくのだが、状況の変化により【上司】は【後輩】に別案件の業務をアサインしたというものだ。それによって【社員】が抱える業務がこれまで以上に増え、【後輩】を指導・教育する余裕もなくなってしまった。

しかも、「【後輩】を【社員】と別業務にアサイン」したのも、【社員】に「【後輩】への指導・教育を期待」しているのも同じ【上司】である。「期待」と「前段」がかけ離れ、【社員】は【後輩】に指導しづらい体制になってしまった。

「【後輩】への指導・教育」という【上司】の「期待」と、業務へのリソースアサインがミスマッチという状況にも関わらず、【社員】は「【後輩】への指導・教育を可能な限り実施」したどころか、組織全体に良い影響を与えるよう情報発信等数々の打ち手を実施した。それでも【上司】はあまり高く評価せず、評価結果への反映も見られなかった。

【社員】を評価した【上司】は、【社員】から【社員】と【後輩】を同じ業務にアサインするよう指摘とお叱りを受けた。翌年には再び【社員】と【後輩】が同じ業務となり、【社員】は【後輩】を指導・教育し、【後輩】は成長していった。

「【後輩】を【社員】と別業務にアサイン」すること自体は理由あって行われたものであり、致し方ないものである。後述するが、このように状況が変化したにもかかわらず、評価基準が状況変化前のままであるために、発生してしまった矛盾と言える。

3.評価期間中に背景状況が変化しているにも関わらず、評価基準が見直されていない。

前項の内容から続く。【上司】が【社員】に「【後輩】への指導・教育を期待」しているにも関わらず、【後輩】を別案件の業務にアサインしたのは、状況の変化である。更に、元々【社員】【後輩】2人で、【後輩】へのOJTを兼ねて行う予定であった案件は【社員】1人で行うこととなったため、【社員】の負荷は増大する。これも状況の変化である。

しかし、評価期間における評価基準(【上司】の期待)は、「【後輩】への指導・教育を期待」である。ここがミスマッチである。背景状況の変化は致し方ないにしても、これに伴って評価基準は見直すべきなのである。【上司】はここが出来ていなかった。

元々2人で行う案件は【社員】1人で行い、無事完了したのだが、これは【社員】の能力が高いためである。その分【社員】は過小評価されている。状況変化により【社員】がより高いパフォーマンスを出す必要があり、それを達成したにもかかわらず、評価基準が状況変化前のままであれば、状況変化による【社員】の負担増大分が搾取されたことになる。

これのみではない。前述の「【後輩】への指導・教育を期待」していることを達成できない体制にしておきながら、達成できなかったとしてこの分も過小評価されているため、この事例では二重に過小評価していることになる。

また、達成不可能な期待を提示し、達成できなかったことに対して過小評価することは、パワハラ6類型のうちの1つ「過大な要求」に該当する可能性があるため、十分な注意と細心の配慮が必要である。

4.業務内容がさほど困難なものではなかったという表面的な情報のみで過小評価する。

業務がさほど困難なものではなく普通にやり遂げただけならば、高い評価は期待できない。これはその通りである。

しかし、実際に起きた事例では、当該業務の中である【社員】は、業務改善や部下・後輩への指導・教育を行い、明らかに単に業務をやり遂げた以上の成果を出している。

また、業務がさほど困難ではない背景は、この【社員】が効率化(例えば、製品開発の場合は部品の共通化)を行ってきた背景があるからである。

これを【社員】の上司が、「業務がさほど困難ではない」という表面的な部分のみを見て、あまり高い評価をしないならば、上司は【社員】から不信感を持たれてしまう。以降も、【社員】は【上司】に「成果を挙げても軽視される」という印象を持ってしまい、エンゲーシメントが低下するリスクがある。信頼関係を築いていても崩れてしまう。これは紛れもなく【上司】によるマネジメントの失敗である。

上司が部下の成果や背景を含めて、着目し正しく把握しておくことは、マネジメント能力の一部である。

5.期待以上の成果を挙げているにも関わらず、まだ管理職にさせたくないという評価者の主観で進めている。

管理職にする/しないは、本人の向き不向き、本人の意向、組織における人事面での状況もあるため一概には言えないが、成果を挙げているならば、評価はすべきである。

しかも、成果を挙げている客観的なデータがありながら、評価者の主観で評価を決めてしまうと、「成果を挙げても正しく評価されない」という印象を持たれてしまい、エンゲーシメントが低下するリスクがある。

よくある話だが、高い実力と実績を持った人に転職(活動)をされてしまうのは、こうした背景があり、現職で期待しているキャリアを実現できないことによるものや、実績の割には給与が低いといった理由が多い。

6.期待以上の成果を挙げているにも関わらず、更にハードルを上げられる。

目標やハードルを上げることは、個人や組織の成長には必要なことではあるのだが、評価者の期待以上の成果を挙げたなら、高く評価した上でハードルを上げるのが筋である。

高く評価することなく、ハードルのみ上げてしまうと、「成果を挙げても正しく評価されず、ハードルのみ上げられる」という印象を持たれてしまい、「過小評価」や「搾取」と見抜かれてしまうリスクがある。また、組織・社員のモチベーションが低下するなどの悪影響が考えられ、マネジメントが適切に出来ているとは言い難い。

7.評価者のモラルが低下しており、低評価の根拠が事実と異なる。

これは最も論外であるが、絶対に発生してはならない人事評価における不正が発覚した事例である。

他社の管理職(パワハラ加害者)からパワハラを受けた被害者が苦痛により、体調を壊した。この件に関し、後日被害者からパワハラ加害者に対してクレームした。その結果、しばらく当人同士でトラブルになったものの、被害者が屈することなく労働問題に対する正論を発信し、パワハラ加害者が最終的に謝罪した。これは組織内どころか、企業間の垣根を超えた社会的優良事例である。
しかし、後に被害者の上司(被害者側組織の管理職)は被害者に対して、

  • 「他社の管理職(パワハラ加害者)の意図を理解していたか?」
  • 「被害者の体調不良は他社には関係なく、当社内部で解決すべき。」
  • 「会社対会社の関係を考えているか?」

などと被害者を責めた挙げ句の果てに、被害者の人事評価を低評価とした。
被害者の上司の行為は、明らかにパワハラ被害者を黙らせることを目的としていることが見えており、セカンドハラスメントにあたる。
o08usyu7231.hatenablog.com

被害者の上司による、被害者への人事評価を低評価とした内容をもう少し詳しく見てみる。

「他社の人間に対して自己中心的な発言がある」

とのコメントがある。被害者がパワハラを受けた背景を知らない人からすれば、被害者に問題があるように見えてしまい、第三者を誤認させてしまう表現である。

しかし、他社の管理職からパワハラを受けたときの証拠、上司がこれについての見解を述べているときの証拠を、被害者が保有しており、人事評価のコメントと上司の見解の内容が合致したことにより、パワハラ被害に対する正当防衛を「自己中心的な発言」と称していることが証明された。

ここでいう「自己中心的」は本当に「自己中心的」なのだろうか?

上述した通り、パワハラの正当防衛は、被害者にとって「自己を犠牲にしない」意味でも、会社にとって「信頼・評判の低下や、法的リスクの回避」の意味でも、社会的優良事例である。即ち「自己を犠牲にしない」ことを「自己中心的」と言い換えている典型である。

被害者の上司は、人事評価という土俵の上で、パワハラが発生していることを知りながら都合が悪いという理由でこれを隠蔽し、被害者が他社の管理職(パワハラ加害者)に対して何かやったことのみを吊るし上げ、低評価の根拠としている。被害者の上司の行為は、被害者を犠牲にしたうえで自らはパワハラ発生に対する不適切な対応に関する責任逃れでしかないため、この上司の方こそが「自己中心的」と言えるのである。よって、被害者の上司はコンプライアンス意識欠落を理由に、被害者から社会的に信頼を失ってしまって然りなのである。

被害者の上司は、責任を取ったうえで人事評価における表現を次のように改めるべきである。

×他社の人間に対して自己中心的な発言
○他社のパワハラ加害者に対する人間教育という、会社間の垣根を超えた社会的優良事例

o08usyu7231.hatenablog.com

8.評価者にとって都合が良いことを優先し、コンプライアンスが二の次になっている。

これも前章に続いて論外であるが、絶対に発生してはならない人事評価における不正が発覚した事例である。

被評価者であるソフトウェアエンジニアA氏は、システム開発プロジェクトをフロントローディングで主導し、成功を収めた。このプロジェクトは、製品仕様決定の遅れによるソフトウェア開発期間の短縮、製品内部のメカ構造、ハードウェアの問題をソフトウェアで解決する仕様追加といった外的要因により、ソフトウェアエンジニアがしわ寄せを受けたことに加え、更に納期の前倒しを要求されたという、鬼畜極まりないものとなった。

それでも、ステークホルダと密にコミュニケーションを取り、開発プロセスの創意工夫、テストの自動化等に加え、プロジェクト終盤は人員の追加投入と長時間労働という力技で乗り切った。ここまでは、いかにも逆境を乗り切った美談に聞こえる。しかしA氏は、長時間労働という力技で乗り切る業務スタイルに悩まされていると同時に、

「一部の人や組織の犠牲によってビジネス全体を成り立たせることはコンプライアンス上問題がある」

という危機感を持っており、この内容は過去にこのA氏が所属する企業で実施されたことのあるコンプライアンス教育の内容でもあった。

A氏はこの開発プロジェクトの終了後、「振り返り」の開催を主導した。「振り返り」では、上記のようにソフトウェアエンジニアが外的要因によるしわ寄せを受け、長時間労働に至るという労務管理上の問題を抱えている旨、ステークホルダに丁寧に共有し、理解を求めた。

「振り返り」といえば、普段は開発プロセスや業務の進め方についての内容が多い。本事例のように、労務管理コンプライアンスの面からアプローチすることは、当該プロジェクトの組織にとっては、珍しいのか、あまり好まれないのか、タブーなのか、ハードルが高いのか、労働リテラシーが低いのか・・・、あまり評判が良くなかったようだ。

その話がA氏の上司である管理職B氏に相談という形で寄せられた。B氏はステークホルダの言い分に一方的に同調し、この期のA氏に対する評価を低評価とした。

B氏はA氏に対して、

  • 「あのプロジェクトの開発振り返りはいかがなものかとみんな言っている」
  • ステークホルダーは困っている」
  • 「そのことを踏まえて、今期は低評価にする」
  • 「今期の自分の行いを振り返るべき」

などと発言したことで、A氏の心理的安全性を壊す結果となった。A氏はB氏への信頼を失い、以降のプロジェクトにおいても長時間労働に堪え続ける日々が続いた。同時にB氏を含むステークホルダのコンプライアンスに問題意識を持つこととなった。

これは結論から言うと、紛れもなくB氏の失敗である。

まず、「振り返り」の対象となったプロジェクトにおいては高い成果を挙げており、これだけでも高評価すべき内容である。これだけではない。更に、自ら「振り返り」を主導し、ステークホルダを巻き込み、「振り返り」の中にコンプライアンスの観点を入れるという、社会的に高い視座を持ってアプローチしたことは、管理職のポテンシャルを超えると言っても過言ではない。

B氏の失敗は、次のような点にある。

A氏の犠牲的労働が報われることはなかった。B氏の責任であるとともに、ステークホルダのコンプライアンスにも問題がある。B氏は管理職としてステークホルダのコンプライアンス徹底を推進していくべき立場にあるのだが、正反対のことをやってしまった。管理職がこのような失敗をすると、優秀な人材が流出するリスクを抱えるということを忘れてはいけない。
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最後に、評価を受ける人が取ることのできる対策に触れる。

ます、人事評価の結果が評価を受ける人(被評価者)自身の想定と異なった時は、その原因を突き止めることだ。そして、評価者が何を期待しているか、被評価者の想定とどこにどのように乖離があったのかを明確にすることだ。ここまでは、被評価者側に対してよく言われる一般論だ。

この記事で述べたのは、上述した事例にもある通り評価者側に過ちがあるケースだ。この記事で述べた内容以外にも、評価者が陥りやすい過ちとして、以下のようなケースがある。ここでは概要のみ紹介する。詳しくは他のサイトや関連書籍を参照いただきたい。

  • 「ハロー効果」:一つの良い面につられて全て評価しがちであること。
  • 「中心化傾向・極端化傾向」:当たり障りのない無難な評価になること。
  • 「期末評価」:評価時期直前の出来事に偏って評価すること。
  • 「寛大化傾向・厳格化傾向」:全体に甘い、あるいは評価者自信と比較して厳しく評価すること。
  • 「対比誤差」:評価者の得意分野に厳しく、苦手分野に甘くなること。
  • 「論理誤差」:事実よりも思い込みで評価すること。

被評価者も、評価者に求められる能力や姿勢を理解しておくことが望ましい。

そして、被評価者が正しく評価が行われていないと感じるのであれば、被評価者が持つ能力や実績を正しく評価される環境を探すことを視野に入れるべきである。

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