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組織における人事評価の現実から紐解く「コミュニケーション」と「マインドコントロール」

この記事では組織における人事評価が正しく行われず、結果に不信感を持つケースが少なからず発生する現実と、これをきっかけとして、「マインドコントロール」「コミュニケーション」について考えてみた。「コミュニケーション」と「マインドコントロール」は組織としてやっていく中でよくどちらも語られる類似する言葉だ。特に「マインドコントロール」を「コミュニケーション」と称することを見抜く重要性について認識していただきたい。

目次

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1.組織における人事評価の現実

「人事評価の結果は、上司から部下にフィードバックし、面談等にて『コミュニケーション』を重ねて、両者で納得感あるものにしていきましょう。」

あなたの職場では、このような言い回しを聞いたことがあるだろうか?

このような言い回しの通りになれば全く問題ない。また、人事評価の結果に納得できるなら問題ない。問題がない場合は、この記事を読む必要はない。

しかし、現実のところ納得できないケースの方が圧倒的に多いのではないだろうか?

そのような場合でも、人事評価の結果そのものが修正されるという話を今まで聞いたことがない。

上司による人事評価が正しく行われており、本当に部下に問題がある、あるいは部下が人事評価基準を理解していないなら、部下はそのことを認識すべきだろう。ここまでは一般によく言われる。

問題は、人事評価が正しく行われていない、人事評価をする上司のモラルに問題がある、人事評価にてパワハラが行われている場合、人事評価の基準が曖昧であるといった理由で、部下が正しい不満を抱く場合である。

建前上は「部下はなぜ上司がそのような評価をしたのか、上司と十分なコミュニケーションを取り、しっかり理解しましょう。」という論調が多く、なぜか上司が正しい前提で語られている。人事評価をする上司も人間なので、間違えることは少なからずある。間違えているなら、どの部分をどのように、なぜ間違えているのかを突き止める必要がある。

それでも、人事評価の結果そのものが修正されるという話を今まで聞いたことがない。

結果、正しく行われたか、間違った方法で行われたかに関係なく、上司が決めた結果で進められ、部下はそれを飲み込まされるのが現実である。

すなわち、

「人事評価の結果は、上司から部下にフィードバックし、面談にて『マインドコントロール』を重ねて、部下に受け入れてもらいましょう。」

という流れが、現実なのである。大きな問題である。

これが「コミュニケーション」と「マインドコントロール」の違いを考えるきっかけになったことである。

この人事評価の話は、「マインドコントロール」を「コミュニケーション」と称している例の一つである。しかし、これは「コミュニケーション」ではない、「マインドコントロール」である。

2.「コミュニケーション」の説明

「コミュニケーション」とは、辞典類ではまず、「人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達」と説明されている。

ただし、一般に「コミュニケーション」というのは、情報の伝達だけが起きれば充分に成立したとは見なされておらず、意志の疎通によって心や気持ちの通い合い、「お互いの認識が一致する」「お互いに理解し合う」ところまで到達してはじめて「コミュニケーションが成立した」と言えるのである。

昔は、上意下達が当たり前で、職場における上司から部下への「意思決定」「命令」と、部下から上司への「実行」「報告」を、「コミュニケーション」と説明されている教材を見たことがある。

しかし、今は意思の疎通が双方向で行われることが「コミュニケーション」と言って良い。

まとめると次のようになる。

  • 「コミュニケーション」は、基本は意思の伝達。
  • 一般的には、両者認識の一致で成立したと言われる。
  • 双方向で行われることを指すことが多い。

3.「マインドコントロール」の説明

「マインドコントロール」とは、本人が気づかないうちに他者が本人の心理を操作し、他者の都合に合わせた特定の意思決定・行動へと誘導することと説明されている。

元々「マインドコントロール」という言葉は、「潜在能力を引き出すためのトレーニング法」という自己啓発的でポジティブな意味合いで使われていた。自らの心を平静に保ったり、集中力を高めるなど、心理状態を制御・調整する意味で、この言葉が使われることもある。

一方、「マインドコントロール」と聞くと、「宗教」「犯罪」「洗脳」のように、他者を騙す性格を持つものという悪いイメージを持ってしまう。日本ではオウム真理教事件などで1990年代から、「マインドコントロール」という言葉が注目され広まっている。数々の詐欺事件においても被害者の「マインドコントロール」を悪用したものである事実がメディアでも取り上げられた。

このように、良い「マインドコントロール」と悪い「マインドコントロール」がある。「マインドコントロール」そのものが悪いわけではない。「コミュニケーション」とは異なり、どちらにしても一方的な心理操作であることには変わりない。

まとめると次のようになる。

  • 「良いマインドコントロール」と、「悪いマインドコントロール」がある。
  • 「マインドコントロール」を悪用することは社会問題になりかねない。
  • 「マインドコントロール」自体を批判することは間違い。

4.組織における人事評価のあるべき姿

冒頭の人事評価に話を戻そう。

まだまだ多くの組織において、人事評価が「コミュニケーション」ではなく「マインドコントロール」で成り立っていることは事実だ。人事評価は部下の成長のために行われることの一つである。部下に不満を持たれるようでは、上司の能力不足である。

人事評価における「コミュニケーション」とは、人事評価結果が確定する前に、面談によってお互いの認識をすり合わせすることである。企業全体でそのような仕組みがなくても、上司のユニークな判断でこのような運用をしているケースもある。これは良い取り組みである。

人事評価結果が確定した後に、その結果を伝達するだけなら「コミュニケーション」とは言い難く、単なる(一方的な)伝達である。

人事評価結果が正しい前提で、次年度の目標設定や改善点についての話し合いは「コミュニケーション」であり、期待するアウトプットを伝え、上司の期待や意図の通りに部下を動かし、部下の成長に繋げることは「良いマインドコントロール」である。

人事評価結果が正しくない場合、それを飲み込ませようとすること、人事評価においてパワハラ(達成できない過大な目標設定、成果に見合わない過小評価、不正なプロセス、嫌がらせ)が行われているにも関わらず「こういうものだ」と刷り込ませることは「悪いマインドコントロール」である。

何をもって「人事評価が正しく行われている」というのかは、ここでは述べず、また別の記事に書きたいと考えている。

人事評価における「コミュニケーション」と「悪いマインドコントロール」の見極め方として覚えておきたいことがある。

部下の成長のために上司はどのような協力ができるのか部下に明確に伝えること、部下は自身の成長のために上司にどのような協力をお願いしたいかを含め、部下から上司・組織への期待を伝えることも必要である。これが「コミュニケーション」である。

上司が部下に対して期待や要求ばかりを一方的に伝えているだけでは、上司・組織にとって都合が良いだけの「悪いマインドコントロール」であると疑って良いだろう。

よく問題になっている「やりがい搾取」も、「悪いマインドコントロール」の一つだろう。これを「コミュニケーション」「良いマインドコントロール」にするための一つとして、次の記事を参考にしてほしい。
o08usyu7231.hatenablog.com

この記事では、人事評価について扱った。人材の流動性が高まり、正当に評価されないと、部下はモチベーションを落とし、業務に影響が出たり、最悪の場合退職理由になる。組織・上司側はこのことを当然理解していないといけないが、これができていないから退職者を出してしまうのである。こうなると組織・上司側が未熟であるとみなされる。人事評価に限らず、コーチングや指導を学び、「コミュニケーション」が「(悪い)マインドコントロール」とならないようにする必要がある。


そして、「悪いマインドコントロール」のことを「コミュニケーション」と称しているケースがあるので、人事評価結果に納得できない部下は、ここを正しく見抜く必要がある。部下自身に課題や改善点があるのであれば、真摯に取り組まなければならない。しかし、人事評価に限らず「悪い」ことを「悪い」と見抜く能力も必要である。それができるだけの、視野を広め、いつでも転職できるようにしよう。