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「セカンドハラスメント」に対する無知・無策は致命的である

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「セカンドハラスメント」に対する無知・無策は致命的なリスクを抱えることになる。

世間や組織において、あまり知られていないだけでなく、他のハラスメントと比べて特有の問題点を有している・非常に深刻な問題だ。いうまでもなく、加害者、組織、被害者、いずれにとってもリスクがある。

是非とも、知見や事例をインプットしていただき、解決・対策・回避してもらいたいものである。


1.「セカンドハラスメント」とは、ハラスメントに対する二次被害のこと

「セカンドハラスメント」とは、被害者が既に受けたハラスメントに対して、声を挙げたり、周囲に相談したことによって、被害を軽視されたり、被害者側の問題として扱われることによる二次被害のことであり、ハラスメント問題が解決・改善しないどころか状況が更に悪化することを指す。ハラスメント被害者を不利益扱いする行為の総称だ。略して「セカハラ」「二次ハラスメント」とも言われる。「セカハラ」は「セクハラ」とよく似た言葉ではあるが意味は全く異なる。

一方で、「セカハラ」は「セクハラ」の派生形とも言われている。

セクハラ被害者に対して、

  • 「なぜ、一緒に食事に行ったの?」
  • 「なぜ、断らなかったの?」
  • 「あなたのほうから誘ったんじゃないの?」
  • 「そんな格好をしているからではないか?」

といったように被害者を責めることがある。これがセクハラを元にした「セカンドハラスメント」の一例である。

セクハラだけではない。パワハラを受けた被害者に対して

  • 「被害者側も悪い!」
  • 「加害者の気持ちを考えたか?」
  • 「加害者の意図を理解していたか?」

といった言動も同様だ。

意外と知られていないのだが「セカンドハラスメント」は違法行為である。法的には元となったハラスメントの内容が引き継がれる形になる。「セクハラ」を元にしたものであれば男女雇用機会均等法違反、「マタハラ」であれば「育児介護休業法」違反、「パワハラ」であれば「損害賠償請求対象」となるほか、2022年4月から全企業へ適用されているパワハラ防止法」違反にもなる。

詳細説明は他のサイトも参照してほしい。
www-pro--bank-co-jp.cdn.ampproject.org
agent-network.com
bizuben.com

過去には、NHKの特集で放送されたこともある。
www.nhk.or.jp

2.「セカンドハラスメント」問題が深刻な理由4選

「セカンドハラスメント」の詳細説明については、上述したような他のサイトに記載されているので、ここでは省略する。ここでは、私が「セカンドハラスメント」の問題が大きく深刻であると考えた4つの理由を挙げ、解説していく。

(1)世間や組織に浸透しておらず、あまり知られていない

「セクハラ」「パワハラ」「マタハラ」あたりまでは世の中に浸透し、法律によって保護される、もしくは発生すればニュースにもなりうるほどにまでなってきた。しかし、「セカハラ」はなかなか聞き慣れない言葉であり、あまり世間や企業などの組織に浸透していない。企業の上層部やコンプライアンス相談窓口部門も知らないといったケースもあるほどだ。

(2)ハラスメント被害者の心理を考えず、善意の上での指導・助言と勘違いされやすい

「セカンドハラスメント」は他のハラスメントとは違い、被害者にも改善点があるところに着目し、被害者のためを思って指導するという意向を元に、善意の上での言動であると勘違いしてしまう。しかし、被害者からすれば、ハラスメント被害を受けたという事実を軽視され、被害者に寄り添わず、加害者に寄り添い、諸悪の根元である加害者を是正する姿勢が見られないことに絶望感を感じてしまうわけである。被害者と被害者以外の人間では、圧倒的に感覚が違うものだ。

「セカンドハラスメント」は加害者側に罪の意識が薄く、その大きな原因は加害者側の想像力の欠如である。当然のことながら、被害者の心理を最優先して考えるべきなのである。

(3)被害者にとっては二次被害であるため、他のハラスメントと比べて被害が大きい

被害者はただでさえハラスメントによる被害を受けている状態で、勇気を出して相談したり、声を挙げたりしている。ここまでは素晴らしいことだ。にもかかわらず、これを踏みにじるような言動を周囲が行うことで、ハラスメント解決からますます遠ざかる結果となる。

被害者は

  • 「泣き寝入りするしかないのか!」
  • 「声を挙げても無駄だ!」
  • 「ハラスメントを相談しにくい組織体質だ!」

という心理になってしまう。

(4)そもそも、被害者を黙らせることで大元のハラスメント撲滅から遠ざかり、「揉み消し」「隠蔽体質」という印象を与える

更に恐ろしいのは、加害者が是正されず、被害者が二重三重の被害を受けることで、被害者や周囲の人達に「相談しても無駄」ということを学習させてしまう。その結果、ハラスメント被害者を黙らせ、ハラスメントを相談しにくくし、大元のハラスメントも無くならないという悪循環に陥るところである。

ハラスメント被害を相談したところで、ハラスメント事実よりも被害者の振る舞いに着目され、被害者を叩くことで、大元のハラスメントに対して「揉み消し」「隠蔽体質」という印象を外部や世間に与えてしまう。

あるハラスメント外部窓口団体は、セカンドハラスメントを懸念し、事実の報告が挙げられず、調査や解決・サポートをはじめ、その団体の事業に支障をきたしているという状況だ。

3.「セカンドハラスメント」を発生させた企業の不祥事事例

「セカンドハラスメント」は、ハラスメント被害者による勇気ある行動を台無しにしてしまう。前章にて述べた4つの深刻な理由全てを網羅している事例を紹介する。

他社の管理職(パワハラ加害者)からパワハラを受けた被害者が苦痛により、体調を壊した。この件に関し、後日被害者からパワハラ加害者に対してクレームした。その結果、しばらく当人同士でトラブルになったものの、被害者が屈することなく労働問題に対する正論を発信し、パワハラ加害者が最終的に謝罪した。これは組織内どころか、企業間の垣根を超えた社会的優良事例である。

しかし、後に被害者の上司(被害者側組織の管理職)は被害者に対して、

  • 「他社の管理職(パワハラ加害者)の意図を理解していたか?」
  • 「被害者の体調不良は他社には関係なく、当社内部で解決すべき。」
  • 「会社対会社の関係を考えているか?」

などと被害者を責めた挙げ句の果てに、被害者の人事評価を低評価とした。

被害者の上司の行為は、明らかにパワハラ被害者を黙らせることを目的としていることが見えており、「セカンドハラスメント」にあたる。

上記のセカンドハラスメント加害者の行為について、被害者はパワハラ相談窓口に報告した。パワハラ相談窓口の担当者は「セカンドハラスメント」の言葉をこの時初めて知ったとのことであり、「違法である」との実感が沸いていないようだった。

また、人事評価の不利益について、「人事評価については上司が部下の一年間の行動を見てきて最もよく知る立場なので、パワハラ相談窓口が介入できない。」と述べ、セカンドハラスメント加害者が処分されることはなかった。

しかし、「セカンドハラスメント」の一般知識については浸透させていくとの回答があり、コンプライアンス部門から社内全従業員宛てに定期的に発信される情報に、「セカンドハラスメント」の一般知識について取り上げられた。

上記のセカンドハラスメント加害者の行為について、被害者はセカンドハラスメント加害者の上司(部門のコンプライアンス責任者)に報告した。コンプライアンス責任者はセカンドハラスメント加害者と被害者の両者からヒアリングした。コンプライアンス責任者は被害者に対して、セカンドハラスメント加害者の意図の説明や、教育と称するマインドコントロールが中心となり、

  • 「(被害者への)成長のためを思っている」
  • 「厳しい評価だが、これは(被害者への)期待を込めてのことだ」

といった内容を伝えた。パワハラやセカンドハラスメントから話を遠ざけようとしたり、セカンドハラスメント加害者が行った人事評価を正当化する姿勢が見られた。

被害者にとって、コンプライアンス責任者のこのような行動は責任逃れのように見えた。セカンドハラスメント加害者が処分されることはなかった。しかし、セカンドハラスメント加害者を含む部門内の主要メンバーへ「パワハラが発生することによる影響、重み」についての話が、コンプライアンス責任者より展開された。

上記のセカンドハラスメントについて、被害者はこれ以上、不利益を受けることはなかった。被害者に寄り添い、多大な協力をするメンバーもいた。

しかし、解決に向けて進展しなかった。被害者が受けた不当な人事評価は回復されることはなかった。セカンドハラスメント加害者からの被害者に対する謝罪もなかった。セカンドハラスメント加害者は、被害者からの社会的信頼を失った。

本来なら、セカンドハラスメント加害者による謝罪のほか、加害者の処分、被害者における不当評価結果の回復措置、本人・組織としての再発防止、損害賠償が必要なレベルである。

4.「セカンドハラスメント」に対するあるべき対応

(1)加害者は「自覚」第三者・企業側は「傾聴」が必須

多くの記事に記載されているが、まずは被害者からの「傾聴」である。決して被害者を否定したりしないこと。そして、セカンドハラスメント加害者は加害者であることの意識が薄く、「自覚」がない。被害者と被害者以外では心理状態が圧倒的に違うことを理解しておくべきだ。

一方、企業・組織側のニーズとして、

  • パワハラ被害者の改善点をセカンドハラスメントにならないように伝えるにはどうすれば良いか?
  • ハラスメント被害者に成長してほしい場合どのような対応をすればよいか?

という疑問がある。私自身色々調べたが、やはり

  • 「被害者に寄り添う」
  • 「被害者の話を聞く」
  • 「否定しない」

ということが言われており、明確な答えにはたどり着けなかった。

パワハラ被害者に成長してほしい」と考えるならば、組織として理解しておかなければならないことがある。パワハラ被害者に対して直接成長を求めたり、期待や要求を伝えるだけでは、肝心な「被害」に対して寄り添っておらず、ハラスメント対応への誠実さが薄れ、ハラスメントによるインパクトを薄めようとする隠蔽行為と判断されることがある。これでは、ハラスメントに対する取り組みが不十分だ。

重要なのは、「パワハラ被害者が成長する」ために、その「前段」を整えることである。

一般的にはパワハラが発生するような組織で成長などできない。被害者が成長するためには、「阻害要因の除去」が必要だ。被害者の成長にとって、パワハラは阻害要因である。即ち本記事で述べた事例に対しては、被害者に寄り添い、パワハラを無くすことに専念すべきである。そうすると、自然に成長や発展がみられるものである。関連する次の記事も参照いただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

「被害者のためを思って指導している」と言うが、そう言っておきながら被害者のためになっておらず、被害者を更に苦しめ、加害者、第三者、責任者が責任逃れをしているに過ぎない。
o08usyu7231.hatenablog.com
「被害者のためを思っている」のなら、まずハラスメントを無くすことが最優先であり、ハラスメントを許容しない体質作り、加害者への教育、ハラスメントに対して声を挙げやすくすること(但し、悪用、でっち上げは不可)など、真摯にハラスメントと向き合うことである。管理者にはこのような姿勢が必要だ。加害者側に問題があるのに、被害者への責任追及や指導を真っ先に行うべきではない
o08usyu7231.hatenablog.com

ハラスメントが起きる職場で、人材の成長など見込めるはずがないどころか、優秀な人材が辞めていく、優秀な人材が来ないといったマイナス作用しかないことは必然だ。ハラスメントが原因で被害者が退職すれば、管理者はどのように責任をとるのだろうか?

ハラスメントをせずに、被害者の気持ちを傷つけずに、被害者を成長へと導けるのが、本当の指導・育成のプロである。パワハラ問題の専門家が発信していた情報で、私が共感したのは、『指導者が最も指導法を学ばなければいけない』ということである。これができていないからハラスメントに至るのである。ハラスメントが発生し、成果が挙げられない組織のリーダー・管理職に必要なのは『指導法を学ぶ』ことだ。

(2)被害者側は「知識」のインプットを推奨

被害者もセカンドハラスメントの知識や事例をインプットしておいた方が良い。

ハラスメント専門家や、このブログにて発信する情報をインプットするのも良いが、公に国の機関が発信している情報がある。厚生労働省「あかるい職場応援団」というサイトである。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

ハラスメントを受けたことを、上司、同僚、コンプライアンス相談窓口へ相談するときは、その前に相談を受けた側がどのような対応をすべきか、あらかじめ知っておくと良い。

パワハラ相談窓口の相談員向けの教材やWebの情報、動画等で、相談を受けた人の対応として、良いもの、良くないものかあるので、それを一通り見れば素人でもある程度は分かる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

世の中には、コンプライアンス相談窓口の相談員がセカンドハラスメントをしている事例があるという情報を得たことがある。このようなことがあり得るので、相談相手は慎重に見極めよう。社内が信用できないなら、外部の相談窓口に相談するのも良い。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このように被害者側がある程度「知識」をインプットすれば、「ハラスメント」「二次被害」に気づくことができ、被害者自身の精神の消耗を早めに抑えることができる可能性が高い。同時に、転職の準備を進めておく、副業に関する知識を得ておく、労務トラブルに関する知識を増やしておく、といった普段からの取り組みをお勧めしたい。

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