職場では時々、何らかの期待や要求を受け入れさせるために「あなたのためを思って言っている」という言葉を耳にすることがある。
きっと多くの人が言われたという経験があるのではないだろうか?
一見するとこの言葉は「自分のためを思って言ってくれている。」と勘違いして受け入れてしまいそうであり、その裏側になかなか気付きにくい。
私の経験上ではこのように「あなたのため」とか言う人は、真面目に受け入れず、その裏側を正しく見抜くべきと考えている。その理由を事例を踏まえて書こうと思う。
1.「あなたのために」なっているかは受け手が判断すること
「あなたのために(言ってあげている)」という言葉を耳にすることがあるが、このような前置きをされて、相手からの要求や期待を受け入れる気になるだろうか?
「あなたのために」と言われて、本当に受け手が納得して受け入れるのであれば、それで良いだろう。納得して受け入れるということは、受け手が「自分のためになる」と判断した結果なのである。
では、納得できないことを受け入れた場合、受け入れることで弊害が出るような場合は、本当に「自分のためになる」のだろうか?
自分のためにならないどころか、それを受け入れることで弊害が出た場合、「あなたのために」と言った人はどのように責任を取るのだろうか? 責任を取ることなどまずないだろうし、責任を取ったとしても弊害が出ていること自体変わりはない。そうなると、いくら「あなたのために」と前置きをされても、受け入れることはないだろう。
つまり、「あなたのために」なっているかどうかは、受け手が判断することであり、言う側が決めることではないのである。
実際、「あなたのためだ」という前置きをされて、興味のないことを押し付けられたり、長時間労働を押し付けられたり、我慢や犠牲を強いられたりした経験がある人は多いのではないだろうか?
そして、実際に自分のためになったことは一つもないという人も多いのではないだろうか?
2.【事例】深夜残業を強要するために使われたことがある
あるシステム開発現場では、
「みんな22時まで頑張っているのだから22時までやれ」
と言う上位者がいた。
私自身は忙しくて仕方なく22時まで業務していたが、この上位者は若手他に対してこのように言っているのを複数目撃している。
その人によると、
- 「残業を多くしている人の方が成長しており、残業時間と成長の度合いが比例している」
- 「○○(受け手)のためを思って言っている。」
という。
本当だろうか? 少なくとも私は違う。
この人は良かれと思ってこのように言っているのだろうが、受け手からすると迷惑な話だ。
「22時まで残業する必要が無くても、22時まで残れというのか?」という声が挙がってもおかしくない。
22時まで残業することが目的になってしまっており、かつその強要によって周囲を不快にさせている事例だろう。
22時まで残業することで、健康面に支障が出たり、生活面に支障が出たり、業務の精度や生産性が落ちたり、弊害は少なくない。即ち「○○(受け手)のため」になっていないのである。22時まで残業しなくても、成長する人はする。22時までの残業が続いて、健康面や生産性に影響が出れば、言った人間はどのように責任を取るのだろうか?
「22時までやれ!」というのは、都合良く人を使いたいか、長時間労働を美徳とする企業体質かのいずれかである。即ち「○○(受け手)のため」ではない。言う側の都合であり、言う側の意図通りに動いてほしいだけである。
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受け手のためを思って残業を強要するのではなく、人気企業の働き方改革を参考にして、見習うのが良い。
3.【事例】パワハラ被害者を指導するために使われたことがある
「あなたのためを思って言っている」が、実際そのように使われていない事例がある。
他社の管理職(パワハラ加害者)からパワハラを受けた被害者が苦痛により、体調を壊した。この件に関し、後日被害者からパワハラ加害者に対してクレームした。その結果、しばらく当人同士でトラブルになったものの、被害者が屈することなく労働問題に対する正論を発信し、パワハラ加害者が最終的に謝罪した。これは組織内どころか、企業間の垣根を超えた社会的優良事例である。
しかし、後に被害者の上司(被害者側組織の管理職)は被害者に対して、
- 「他社の管理職(パワハラ加害者)の意図を理解していたか?」
- 「被害者の体調不良は他社には関係なく、当社内部で解決すべき。」
- 「会社対会社の関係を考えているか?」
などと被害者を責めた挙げ句の果てに、被害者の人事評価を低評価とした。
被害者の上司の行為は、明らかにパワハラ被害者を黙らせることを目的としていることが見えており、セカンドハラスメントにあたる。
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被害者の上司の言い分としては、被害者のためを思ってこのようにしているのだが、肝心の被害者の心理を全く考えていないと言える。
被害者のためを思っているのなら、被害者の上司はパワハラ被害による影響を重々認識し、場合によっては組織としてパワハラ加害者に対する是正の働きかけや、パワハラ再発防止の検討、被害者に対する心のケア等、様々なパワハラ対策の取り組みが求められる。
やるべきことは、被害者への責任追及・指導・教育ではない。普通であれば必要に応じて、
- 加害者の処分・教育
- 被害者のケア・回復
- 周囲のメンバーへの周知徹底
といったところである。被害者への責任追及はセカンドハラスメントの正当化にしかなり得ない。実際この事例で企業として出来ていたのは「周囲のメンバーへの周知徹底」のみである。ブラック企業であれば、これすらもしなかっただろう。
もう一つ被害者の上司は重大な過ちを犯している。それは、被害者への指導・教育と称して、加害者が行ったパワハラから話を逸らしていることである。このパワハラ事例は被害者が証拠を保有しているため、事実の隠蔽はできない。それでも
等、出来事そのものはパワハラが紐付いているにも関わらず、被害者への責任追及の内容や人事評価の根拠からはパワハラが切り離されており、組織や加害者にとって都合良く話が組み立てられている。この点が隠蔽体質であると見抜くべきである。
「あなたのため」の指導・教育ではなく、被害者の上司にとって「自分のため」「会社にとって都合が良いため」「隠蔽による責任逃れ」であることが容易にわかるだろう。
4.「あなたのため」と言うのは、言う側にとって都合が良いため
冒頭に記載したとおり、「あなたのためを思って言っている」というのに対して、「あなたのために」なっているかは受け手が判断することである。
上述した事例を見ても、言われた側が「私のために言ってくれたのだ」とは、到底思えない。
では、なぜ「あなたのために」等と言ってくるのか?
- 言う側の要求を飲み込ませたい
- 言う側が「あなたに気を使っている」とアピールしたい
- 言う側が仕方無く言っているという免罪符にしたい
- 言う側の主張が妥当であるかのように相手にマインドコントロールさせたい
全部言う側の都合である。
結局は押し付ける側が得しているだけであって、言われる側が得することはほとんどない。結局は言う側の利益誘導のために相手を洗脳してるようなものである。そのことを認識すべきてある。
相手に何かしら依頼、要求をする場合、相手を教育し成長を導きたいと思うならば、「あなたのため」ではなく、
- 「○○の理由で、私が困る」
- 「○○にとって、迷惑をかけることになる」
- 「○○について、将来このような問題が発生する恐れがある」
- 「会社(組織)全体にとってこのようなメリットがある」
と、正直に言えば良いのである。
本当に「あなたのため」を思っているのなら、相手の要望、困りごと、目標達成の阻害要因をヒアリングし、解決に向けて心から相手に寄り添うことだ。これができない人は、「あなたのため」などと言ってはいけない。
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一方、受け手側は「あなたのため」と言われると、真面目な人間ほど「自分のことを思って言ってくれている。」と勘違いして受け入れてしまいそうであり、その裏側になかなか気付きにくい。
また、その言い分が次から当たり前になり、ますます自分の首を締めてしまうことが多い。
自分が被害を受けないためにも、「あなたのため」の裏側を正しく見抜くべきと考えている。
ブラックな環境の職場ほど「あなたのため」と一見正論に思えるような論調で洗脳してくる人がいるが、受け手側は何が「自分のため」になるのかを見極め、「自分のため」になる行動を起こしていただきたいと願っている。
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