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テレワークの普及で転勤はますます時代遅れに

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日本では昔から「転勤は当たり前」とされながら、転勤によって社員の家族も含めて人生に大きく影響を及ぼした人は少なくないはずだ。今は、個人個人の意識や価値観の変化、働き方の多様性が認められる中で、転勤は時代遅れのものとなった。更に、テレワークが普及することで、その流れはより一層拍車をかけた。

「組織の一員である以上、転勤には従わないといけないのかな・・・」

としつつも

「会社に人生を決められるのは理不尽だ!」

と思う人は、この記事を読んでますます転勤が時代に合わないことを感じ取っていただきたい。

企業としては

「転勤が無いほうが求人・採用における優位性が高い」

ことを理解し、

「転勤以外での組織運営や人材育成の方法を模索する」

ことに注力いただきたい。

個人としては

「転勤に対応できないなら、時代に合わない企業に在籍し続ける他に、転職などキャリアを模索する」

ことに注力いただきたい。


1.日本の「転勤」制度は異常、かつ時代遅れ

日本では大企業に勤めていると「転勤」は当たり前のように行われている。ここでいう「転勤」とは単身赴任を含めた「転居」を伴うもので、会社の意向により行われるものについて述べる。

  • 昇進していくには、様々な現場を経験しなければならない。
  • 現在の地域での仕事がなくなったため、他の地域へ移るなど、従業員の雇用を守るため柔軟に配置を変更する必要がある。
  • 一部では「左遷」として、見せしめや嫌がらせ的に行われる場合がある。

そして従業員も組織に属しているという自覚から、これに従っている。日本特有の雇用スタイルである「メンバーシップ型」の現れだろう。

従業員側の本音はどうだろうか?

全体の2割くらいは

  • 転勤してでも様々な現場を経験したい
  • 昇進するためにキャリアを積みたい
  • 色々な土地に住めるのが良い

という人がいるようだ。それも悪くない。

しかしほとんどの人は、以下を理由に転勤には否定的なのではないだろうか?

  • 世帯ごと転居なら、住宅ローンにも影響する、子供の学校も転校になる。
  • 世帯を転居しないなら、単身赴任することとなり、家族離れ離れになる。2世帯分の費用がかかる。

家族の運命を変えてまで、会社は何を成し遂げたいのか?

転勤することによるキャリア面のメリットがあろうと、生活が破綻すれば元も子もない。キャリア面のメリットがなければなおさらである。従業員本人・家族の負担が大きい割にはリターンが見合っていないケースが多いのではないだろうか?

従業員にも、育児等のライフステージのほか、介護をはじめとする家庭の事情がある。これを無視して進める企業、さらにこれを当たり前とする日本の風潮が異常である。

一方、海外(特に欧米)の雇用スタイルは「メンバーシップ型」であり、一般ワーカーは転勤がない。もし、転勤となる場合には従業員本人に十分な確認を取り、雇用契約書を立ち上げ直すくらいのことをする。日本は辞令一本で実現することができる。世界的に見れば日本が特殊なのである。

昔の日本は終身雇用制で、会社側の人事権が強く、一度会社に入れば転勤、長時間労働、滅私奉公、上意下達など理不尽なことはあった。しかし、これと引き換えに、安定した雇用は保証され、年功序列で昇進でき、福利厚生も充実していた。雇用を守る代わりに、転勤を含む人事異動によって、会社内で人をやりくりしてきた。経済の高度成長の他、男は働き女は家を守るという当時の一般的な考え方もあって、それで会社や世の中がうまくいっていた時代があった。

しかし、今の日本は終身雇用制が崩壊し、人材の流動性が高り、転職支援サービスも充実し、フリーランス・副業のような働き方が多様化し、夫婦共働きが一般化し、労働者の価値観も生活面とのバランスを重視するよう変化していった。そして、転勤は時代遅れのものとなってしまった。

2.強制転勤は人権侵害だが、当たり前に行われている

転勤をきっかけとしたトラブル、さらには不祥事により世間を騒がせたのは、化学メーカーであるカネカである。2019年6月に育児休暇明けの男性社員に即転勤命令を行い対応できず退職したことを、男性社員の家族の方がSNS告発した件である。詳しくは本件に関して記載された別記事を探してもらいたいが、新居を購入し、一人目の子供の保育園が決まり、二人目の子供を出産し、夫婦共働きで、妻も仕事復帰した矢先の出来事である。転勤は会社の意向で法律上問題無いとはいえ、カネカの行いは明らかに人間としてあるべき配慮に欠け、世間の常識と大きくずれていることから、ネット上で大炎上し、株価にまで影響を与えている。

この事例以外にも、強制転勤で家族に多大な影響を与えてしまった事例は多々ある。介護を抱えた従業員を強制転勤させることで、裁判を起こされたり、気に入らない従業員を嫌がらせ目的で地方に追いやることで自主退職をさせるなど様々である。企業としては、事業や雇用を守ることを大義名分として転勤を行っているのであろうが、人権侵害も甚だしい。会社に運命や人生を左右されてしまうことに、違和感を持つ人も少なくないはずである。

そもそもカネカだけでなく、日本の企業がこのようなことを当たり前にやってきたこと自体がおかしいのである。強制的に転勤させられるなら、転職を選ぶ人もおり、「転勤離職」と言われて問題になりつつある。「転勤離職」の問題は離職する従業員側ではなく、離職される会社側の問題である。

今の時代においては、転職支援サービスも充実し、フリーランス・副業のような働き方が多様化し、夫婦共働きが一般化し、労働者の価値観も生活面とのバランスを重視するよう変化した。終身雇用が崩壊したのだから、「転勤」するくらいなら「転職」しようと考える人がいても珍しいことではなく、普通なのである。

「転勤離職」のみならず、結婚、出産のようなライフステージの変化、介護等の家庭の事情によって、「過去に転勤で大変な苦労をした」「将来転勤のリスクがある」といったケースで退職するケースもある。
o08usyu7231.hatenablog.com

3.近年の日本企業の対応は配慮があるも完全ではない

近年では、少子高齢化により介護を必要とする従業員が増加傾向にある。介護を理由に企業からの転勤命令に応じることができず、離職するケースがある。ノウハウを持ったベテランが離職すると、企業にとっては痛手である。また、夫婦共働きの世帯も増えた。どちらか一方が転勤になれば、夫婦別々になるか、配偶者の一方が離職することとなり、配偶者側の企業にとって迷惑である。最近の若者は、生活面とのバランスを重視する傾向にあり、強制転勤を行う会社は就職先として敬遠されがちである。

企業側の対応としては、全国転勤ありの「一般社員」とは別に、「地域限定社員」の制度を設けているところもある。「地域限定社員」は転居を伴う転勤が無い。その代わりに、給与が一定割合下がる、昇進に上限があることである。家庭の事情などによって「一般社員」か「地域限定社員」かを選択できるようになっている。

「このような制度があるのはありがたい」という考え方もある。しかし一方で、おかしいと思う点もある。

給与や昇進は、従業員の能力や実績、貢献度によって決まるものである。転居を伴う転勤が可能か否かによって、給与の減額や昇進の上限があるならば、例えばいくら優秀な人材で貢献度の高い従業員でも、近くに住む親の介護を抱えていて転居できないなら、そうでない従業員と比べて報酬に差がつくこととなる。これでは「能力や実績、貢献度」ではなく、「企業にとって都合が良い」社畜の方が高収入となってしまうこともある。おかしな話である。

「家庭の事情を抱えるが、優秀な人材」が活躍するにはまだまだ道のりが遠いように思われていたが、企業によってはこの状況に危機感を感じ、転勤制度を見直す動きもあるようだ。。

4.企業側の対応の加速とテレワークの普及

損保大手「AIG損害保険」が2019年春から、会社都合の転居を伴う転勤廃止を目指した制度の運用を始めた。強制的な転勤は社員の負担が大きく、生産性にもマイナスの影響を及ぼしているといわれることもあり、良い取り組みである。この結果、新卒応募が10倍になったようである。そもそも、何のために転勤が必要なのかを根本から考え直し、女性活躍、共働き、育児・介護との両立を踏まえ、人手不足の時代でも長く働き続けてもらうためには会社に人員配置を見直す必要があることから転勤廃止に踏み切ったとのことである。

食品メーカーのカルビーは2020年猛威を奮った新型コロナウィルス感染拡大をきっかけにテレワークを推進し、単身赴任を廃止することが報道された。これもよい取り組みである。よく考えてみれば、テレワークが浸透すれば物理的な距離は関係なく、転勤させた社員を単身赴任先でテレワークさせるのはナンセンスである。だったら、自宅でテレワークしてもらうほうが良い。会社としては、単身赴任手当も、赴任先の家賃も、引っ越し代も従業員に支払う必要がなくなるので、コスト上のメリットもある。

他にも、テレワークを基本として働く場所は問わない、「出社」はすべて「出張」扱いとして、社員の負担とオフィスのコストを削減する企業も出てきている。

コロナ禍において働き方が見直される中で、もう転勤は完全に時代遅れと言わざるを得ない。コロナ禍以前に、「転勤が当たり前」というのはおかしい。時代錯誤である。今の時代に合わせて、個人個人が準備できることを進めていこう。強制転勤の無い企業へ転職するも良し、在宅勤務が可能な企業へ転職するも良し、副業を始めるも良し、フリーランスになるも良し、働き方の選択肢は増えている。

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働き方以外にも考えなければならないことがある。転勤は様々な現場を経験し、社内の様々な人とネットワークを構築し、人材育成の一環として行われてきた。しかし、今は違う。転勤以外の方法での人材育成や成果の最大化が求められる。組織のリーダー、管理職、経営陣には、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。転勤制度を廃止してもできるはずだ。

逆に今でも転勤・単身赴任が当たり前である旧態依然の企業や、そのような企業の社員は、下記の記事も参考にしてほしい。
o08usyu7231.hatenablog.com