企業に就職するとき、新卒でも転職でも、就職先企業がどれくらい残業があるのか、気になる人は多いのではないだろうか?
また、長時間労働が常態化していること自体異常なのだが、これを改善しようとしているのか、改善にむけてどのような取り組みをしているのかも気になるところだろう。
この記事では、企業が長時間労働是正の取り組みを対外的に堂々とアピールすべきであり、労働者や求職者もこうした企業を選ぶべきであることをお伝えしたい。
残念ながら、日本からなかなかブラック企業がなくならない。なぜなら、労働関連の法律が整備されているにもかかわらず、罰則が甘く、守られておらず、労働基準監督署も人手不足で取り締まりが追い付かない上、全社員出世の可能性がある代わりに責任が重い「メンバーシップ型」という日本独自の雇用スタイルによる悪影響、顧客が偉いという日本人に多い勘違いと行き過ぎたサービス、ブラック企業にしか入れない、ブラック企業から辞めることができない社員と、複雑な問題が絡み合って異常な事態に至っている。
ブラック企業から労働者がいなくなれば、ブラック企業であっても存続することは不可能である。よって、これが最も効果的と言っても過言ではない。そのためには、労働環境の良い企業がそれをアピールする、労働環境の改善に向けて取り組んでいることを対外的にアピールし、就職希望者がそのような企業へ就職することによって、ブラック企業からまともな企業へシフトすることができれば、ブラック企業は自然と消滅する。
1.転職サイトによる求人情報で残業0への取り組みを対外的にアピールする
下記の内容は、ある転職サイトによる求人情報の抜粋である。
- 残業全社平均0を目指す残業文化のない組織です
- 量産ではなく先行的な要素技術開発/上流工程メイン
- 残業文化のない組織 以下、求人詳細です。
- 企業名:(非公開)
- 職種名:ソフトウェア開発
- 想定年収:(非公開)
- 残業手当:有
- 標準的な勤務時間帯:9:00~18:00
- 休憩時間:60分
- 時間外労働:有
- 平均残業時間:30~40h/月(※全社として残業時間0時間に向けて活動中のため今後残業時間は減る可能性有)
月平均残業時間が30~40hといえば、ブラック企業の日常や過労死基準と比較すると少ないのだが、まともな企業にしてはやや多いイメージがある。特に、仕事とプライベートのバランスを重視する傾向にある若者世代では、残業が少ない企業を選びたいと思うだろう。
この求人が良心的なのは、今現在は30~40h/月という実態を明示した上で、これから残業0に向けて取り組んでいくことを明言している点である。
普通ならば、都合が悪いことは隠蔽したり、ポジティブな表現に置き換えたりするケースが少なくないのだが、この求人は都合の悪い現状とこれから改善していく意向を示しており、誠実さを感じる。
ただ、そうはいっても正直月平均残業時間が30~40hというと応募するには少し躊躇するだろう。
応募するならば、下記の点について応募者が面接で質問するなどして確認すればよいだろう。
- 「なぜ、ここまで残業が常態化しているのか」
- 「残業を0にするための具体的な取り組みはどのようなものか」
企業が求人でアピールしている内容について、応募者が興味を持つと、企業側としてもうれしい限りである。
上記のような前向きな求人、更に優良なと巡り合うためにも、転職サイトに複数登録し、求人をウォッチしておくことをお勧めする。
2.「働き方改革」関連セミナーで残業削減への取り組みを対外的にアピールする
「働き方改革」関連のセミナーが、全国様々な箇所で行われている。コロナ禍になってからは、WEBで行うようにもなった。
このようなセミナーで、長時間労働の是正や働き方改革の取り組みをしている企業が「モデルケース」「取り組み事例」として登壇し、講演している企業も狙い目である。
セミナー等で自社の取り組みを対外的に公表し、他社の事例をインプットし、互いに刺激を受けて良い影響を及ぼすのは良いことだ。
IT業界の働き方については、下記のサイトがあり、情報発信、セミナー(資料もアップされている)が行われている。
www.mhlw.go.jp
完全に残業が0にならなくても、取り組みの過程を社外に公表している時点で、世間からも注目を浴び、良い方向へ向かっていると考えて良い。
私は上記のセミナーで取り組み事例を拝聴した企業に、セミナーから数年後のある技術展でお目にかかり、
「御社は○○年の○○で実施された働き方改革のセミナーで登壇され、貴重なご講演を拝聴させていただきました。」
とご挨拶とともにお伝えしたことがある。技術展では名刺交換のみに終わり、それ以上取引等進展することは無かったが、その企業としても対外的な情報発信が確実にプラスに作用したのである。
3.ホームページ等のメディアで残業削減への取り組みを対外的にアピールする
夕方に行う朝礼「夕礼」をきっかけに、その副産物として産業をしなくなったという例がある。
president.jp
この内容の話は、ホームページのみならず私はニュースでも見たことがある。
長時間労働是正の取り組みが、このようなメディアで紹介されるのは、企業にとっても良いアピールになるし、労働者側にとっても他社の優良事例や世間の流れをインプットでき自社の改善に繋げられるという意味で、双方にとって効果が大きい。
「夕礼」は私自身もプロジェクトの進捗管理に取り入れたことがある。残業は減らないが、それ以外のメリットもあり、継続して取り組んでいきたいと感じている。
o08usyu7231.hatenablog.com
また、ニュースや公的なメディアのみに限らず、企業のホームページで長時間労働を是正する取り組みをアピールしている例もある。
IT企業である株式会社アクシアがその例である。IT企業といえば、長時間労働の温床、プロジェクト案件によっては炎上し優秀な人材でさえメンタルトラブルに見舞われることが珍しくない。しかし株式会社アクシアのように、ここまで「残業0」をアピールしている、そして実践しているIT企業は、少数派だ。
axia.co.jp
axia.co.jp
axia.co.jp
4.対外的にアピールできるレベルまで長時間労働是正の取り組みを行わない企業は、人手不足の時代において勝ち目はない!
ご存知の通り、「長時間労働は美徳」という昭和の頃の価値観は通用しなくなった。
これだけでなく、改善したい意向はあっても改善が進んでいない企業、「顧客第一」を大義名分として従業員に無理を強いることで従業員の犠牲や我慢の上にビジネスを成り立たせている企業は、今後労働者は集まらなくなるどころか流出する。労働人口が減少している人手不足の時代において人材流出は致命的だ。
改善が進んでいない企業ほど、
- 「他社と比べられると困る」
- 「ウチはウチ、ヨソはヨソ」
- 「ウチは特殊だ!」
- 「ヨソは知らんが、ウチではこうだ!」
- 「お前はウチの社員だろ!」
と言い訳をして、なかなか是正に取り組まないものだ。
長時間労働是正に向けた取り組みを対外的に行っている企業は、世間からも着目され認知されることで、改善を継続的に進めていくことになるし、他社も先行企業の後を追う形となり、労働者がそのような企業へ移り、ブラック企業が無くなることを願っている。
そのためにもより多くの企業が長時間労働是正に取り組み、その状況を対外的に発信し、世間一般の人達がこれらの情報をキャッチしていかなければならない。
最後に、労働者側が長時間労働をはじめとするブラックな状況を見抜くために有効な記事を紹介するので、こちらもお読みいただきたい。
まず、本記事で述べている内容と逆のケースがこれだと考えている。
o08usyu7231.hatenablog.com
あと、都合の悪いことは隠蔽したり、ブラック企業の求人広告に見られるようなネガティブな実態をポジティブに言い換えているケースがあるので、注意が必要だ。
o08usyu7231.hatenablog.com
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