ソフトウェアエンジニアが労働について情報発信するブログ

ブラック労働からホワイト労働まで経験したソフトウェアエンジニアが世の中にとって役立つことを情報発信していく。

下請け・客先常駐を中心としたIT企業を退職した多すぎる理由

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退職エントリをブログに書くことはよくあることである。私も転職経験があるので、転職に伴い、退職した企業における退職理由について書く。

退職理由にあたる悩みを持っている方にとって、勤務先に同様の傾向がないかの見極め等、参考になれば幸いである。

私は、新卒でIT企業に入社し、システム開発に従事してきた。その企業は、大手メーカー、メーカーのグループ企業等を多数の顧客を有しており、プロジェクト数がそこそこ多い。しかし、そのほとんどは下請け、孫請け、多重下請け構造の末端、派遣を含めた客先常駐(SES)であった。

私は、当該企業に在職中、社内での請負、客先常駐での請負、派遣とあらゆる業務形態を経験した。ブラック労働からホワイト労働まで経験した。良いことも悪いこともあった。成長にもつながることもあれば、苦労も被害もあった。

同社在職中は多く方々にお世話になった一方で、退職を回避することのできない理由があり、現在に至っている。

IT企業を退職した後は、大手メーカーに転職し、前職のキャリアを活かして、システム・製品開発に携わっている。

私がIT企業の退職に至った理由をひとつづつ紹介する。タイトルの通り多すぎる理由がある。


1.家庭の事情、ワーク・ライフ・バランス

まず、決定的な理由はこれである。個人や会社がいくら努力しても、こればかりは自分でコントロールできない理由である。当時、退職する企業の上司に家庭の事情を丁寧に説明し、「会社としては残念だが」としたうえで、引き留めに合う遭うこともなく退職を了承された。会社にとっても「退職もやむなし」という判断であった。

引き止めの隙を与えないことも、退職時のノウハウとして必要だ。

私は、若い頃は残業を多くしていた。一方で、昔からの自身の価値観やライフステージの変化により、生活面のバランスを確保しながらキャリアアップしていく必要があった。しかし、このIT企業では実現できなかった。

2.勤務地、通勤の負担

客先常駐、自社開発ともに経験したが、勤務地がこれに左右される。場合によっては通勤に長時間を要することもあった。

通勤時間を利用して、資格の勉強に励んだ時期もあった。

時には「長時間通勤」+「長時間労働」という大変なこともあり、継続していると健康面に影響が出るリスクがある。実際無理が祟ったこともあった。

「長時間通勤」よりも更に問題なのは、「長時間通勤」というデメリットを上回るだけの(スキル向上、やりがい等)メリットがないということである。

また、期間は短かったのだが、転勤(厳密には長期出張)を経験したことがある。これが私の重要なライフイベントの時期に近く、不本意ながらも仕方なく応じたものであった。今後はこのような転勤や長期出張の要請に対応できないというのが退職理由の一つである。前述の「家庭の事情、ワーク・ライフ・バランス」と関連する部分でもあり、このことも退職時に上司に説明している。

転職先企業では、勤務地や通勤に関する条件が良く、転職前と比べて大幅に負担が軽減されている。更に、新型コロナウィルス感染拡大により、テレワークが一気に加速した。テレワークは働き方改革の一環として、今後はコロナ関係なく浸透し、多様な働き方が選択できる企業に優位性が出るものと予想される。テレワークが普及し、転勤は時代遅れのものとなった

3.大手メーカー(常駐)での実績から他社で通用することを確認

私がこのIT企業に在職中、キャリアのほとんどは客先常駐であった。客先常駐期間の中には、常駐先社員の指示通りの業務だけでなく、常駐先社員と対等に、常駐先社員の指導・教育、作成されたソフトウェア設計・実装・テストの照査・レビュー、常駐先企業の顧客企業への対外窓口、開発プロジェクトリーダーを担当するなど、常駐先社員と区別ないキャリアを積むことができた。当該常駐先企業での業務期間中はあまり特別な感じを受けなかったが、長く広い目で見るとかなり珍しいことである。

また、ほかにも複数の客先常駐と自社開発を経験するなかで見えてきた傾向がある。

「優良企業ほど、私を高く評価している。」

ということである。ここで一つ、当たり前レベルで是正しなければならない、当たり前のことに気付いた。

✕「下請けIT企業の給料で、大手メーカーの業務に携わる」
○「大手メーカーの給料で、大手メーカーの業務に携わる」

それならば、「大手メーカーでキャリアを積んでいくほうが良い」と、視野を広めることができた点が、良い転職へ繋がったと考えている。

また、一時期は客先常駐でホワイト企業にお世話になったことが、以降のキャリアに影響を与えたという事実もある。

4.ブラック労働による健康被害経験

これはIT企業自社開発プロジェクトでの長時間労働や、人員リソース不足で高負荷状態になり、心理的圧迫からうつ病のような症状を発した時期があった。メランコリー型と呼ばれる、真面目で、仕事熱心で、他人や組織のために尽くすタイプの人が陥りやすいとされている。回復までに数ヶ月を要した、社会人史上最悪の出来事である。

この出来事の直後に退職したわけではなく、原因を分析し、このような被害を発生させる企業と、させない企業の違いを明確にし、自身が過重労働に巻き込まれる要因が、自分のスキル不足によるものではないことを証明したうえで、転職に至った。

『優秀な人材』がブラック労働に巻き込まれ、パフォーマンスを落とすことが、いかに勿体ないことであるかを身に染みて分かることとなった

5.自社開発における過重労働の遭遇率が高い

冒頭に「ブラック労働からホワイト労働まで経験」と書いた。最も過重労働で大変な思いをしたのは、自社開発プロジェクトであった。

一般的には客先常駐(SES)のほうが自社開発と比べて問題視されることが多い。その理由は自社で労務管理が出来ず、派遣または(違法である)偽装請負によって顧客企業が常駐エンジニアを都合良く酷使するケースが多いためである。確かにこのような客先常駐現場もあった。

しかし、私が遭遇したケースは逆だった。自社開発での管理職やキーマンは、人使いが雑であり、不慣れな担当者に対しても業務の丸投げが当たり前で、マネジメントが未熟である点が見受けられた。(当初は自分自身のスキル不足と考えていたが、そうではないことに気付いた。)

優良な大手メーカーに常駐していたときのほうが、常駐先の管理職によるマネジメントが優れていて、自社開発と比べて無理が祟ることが少なく、こちらのほうが普通という感覚であった。

優良企業は優良顧客との取引が多いため、過重労働に至るような、無理な要求をしてくる顧客に遭遇することは少ない。一方で、優良でない企業は少々の不良顧客であろうが、無理してでも業務を受注しないと、目標の売上が達成できなかったり、会社が回らないといったことになる。そもそも本来この時点で破綻しているのだが、過重労働にて賄うことで業務が回ってしまう。自社開発が後者のパターンであるため、従業員にそのしわ寄せが来るのである。このような劣悪な前段に対して、スケジュールを守るために長時間労働で賄うのは本末転倒である。

よって、技術者個人のテクニカルスキルに関係なく、(乱暴な言い方をすれば)運次第ということになる。したがって、過重労働に耐えることが美徳でもなんでもなく、過重労働の発生率が少ない優良企業を選び、環境を変える方が得策であることに気付いた。

6.リーダー、管理職のマネジメントが未熟

これも過重労働他、前述してきたことと重複する。自社開発における業務は、不慣れな担当者にシステムの解析を丸投げすることが当たり前といった感じである。丸投げする割には、進捗や出来が意図通りでなければ、偉そうに叱責か、冷遇か、いずれにしても受けた側が不快感を感じるようなものであった。

作業している人の苦労を分からず、業務内容や困りごとを詳しく把握しないまま口だけは達者で、いかにも簡単に達成できて当たり前といった感じで、マウントを取ろうとする。また、背景状況や外的要因による従業員へのしわ寄せ、これに伴う従業員の苦労を理解せず、進捗遅れや品質低下等、最終的に表面化した部分だけを吊るし上げて叩くといった愚行が行われる。「言うは易し、するは難し」である。

マネジメントを行うマネージャは、「メンバーが目の前の作業に全力で取り組めるよう環境を整える」ことが仕事であるとされている。自分が偉いと勘違いしているのか、メンバーに対してマウントを取るようなマネージャは、マネージャに向いていないのである。

私も指導やマネジメント経験があるが、よく「優しく、丁寧で分かりやすい」と言われることが多い。「自分が苦労してきたため、他の人も苦労するであろうという予想される中で、円滑に進めることができるようサポートしたい」という点がここに反映されている。逆に、ある程度優秀で、若いころから業務をサラッとこなしてしまう人は、他の人が同じ作業を行ったときに、どのような点が躓きやすいかといったポイントがわからず、作業する人の能力不足としてマウントするという、マネジメントが未熟なままとなりやすいケースもある。プレーヤーとマネージャに求められる能力は全く異なるが、プレーヤーとして実績を挙げた人材が、マネージャに昇進していくことが多い。

テクニカルスキルが優れているリーダーや管理職でも、マネジメントが未熟であれば、いくら優秀な人材がいても、そのような人達を有効に活用できず、優秀な人材が勿体ない思いをする。当然、優秀な人材の流出に繋がる。

7.プロジェクト・顧客の当たり外れという不安定要素

これも前述してきたことと重複する。管理職のマネジメントが優れていればこのようなことにはならないはずだが、プロジェクト・顧客の当たり外れによる影響は大きかった。

全てが悪いわけではない。冒頭に述べた通り「ブラック労働からホワイト労働まで経験」しており、良いプロジェクト、悪いプロジェクト両方ある。もちろん、良いプロジェクトは自分の成長へ繋げることができたと感じている。しかし、悪いプロジェクトが自分の健康やキャリアに大きく悪影響を与えてきたことを考慮すると、このIT企業に所属し続けるのはリスクでしかないという判断である。

8.多重下請け構造からの脱却

これは日本特有の業界の問題、更には社会問題と言っても過言ではない。下請け企業への丸投げが当たり前になっていることや、多重下請構造があるから、ブラック労働問題が依然としてなくならないのである。これを回避するために、個人単位でできることが、キャリア・実績を活かして、大手メーカーへ転職することだった。

製品・サービスに価値を生み出すのは「ソフトウェア」である。「ソフトウェア」が主流になりつつある。海外はそのようになっており、既に日本は遅れを取っている。ソフトウェア開発を下請けや外注に丸投げではなく、大手メーカー自身で行うべきであるし、優秀な人材がそのような企業に集まるべきである。

9.公的資格を保有していること

IT系の資格は、持っていてすぐに使えるものではなく、スキルを高めるには実務経験を積むほうが断然良いと思っている。しかし、公的資格を保有していると、「形に残る」「証明できる」というメリットがある。組織内の立場や役職は、退職すれば消えてなくなってしまう。公的資格は退職しても残る。転職の際にも優位性があると言われている。このことも転職を後押しした要因である。

10.昇進する人の偏り

部門にもよるが私が所属していた部門では、自社開発の社員と客先常駐の社員がおり、およそ半々だった。ただ、昇進しやすいのは自社開発の社員である印象を受けていた。客先常駐の社員でも、ある程度のところまでは昇進する。しかし、限界がある。

更に、声が大きい社員、部下には偉そうな社員、上司に従順な社員、・・・。優秀な社員、倫理観の高い社員が必ずしも昇進するとは限らない。実際、辞めていく人もいる。要は、「市場価値の高い人」ではなく「会社にとって都合が良い人」となる。

私は若い頃、頑張って昇進することばかりを考えていた。しかし、上記のことに気付いてからは、この会社で昇進することに魅力を感じなくなり「立場」よりも「価値」を高めることを重視するようになった。

11.市場価値に見合わない安い給料

このIT企業の口コミサイトを見ると、退職理由として「給料が安い」ことによるものが多い。

私は若い頃は「給料が安い」ことはあまり意識せず、実感もなく、業務に真摯に取り組み経験を積むことに尽力した。私の周りでは「給料が安い」ことを理由に、大手メーカーのグループ会社等へ転職していった。「私ですら、そのようなことを言わないのに、何を言っているのだ!」というのが当時の私の感覚だった。しかし、段々と世間の情報等吸収していく過程で、転職するという判断が妥当であることがわかってきた。

また、給料とは別に「業務を安すぎる価格で請けているのではないか」という疑問もあった。既出の項目に「不慣れな担当者に顧客のシステム解析を丸投げ」と記載した。本来、大手メーカーが扱う製品・システムの中身は大手メーカーが理解しておくべきことであり、大手メーカーの社員が行うべき業務である。少なくとも、下請けIT企業は協力・協業とするのが普通だが、大手メーカーの社員が行うべき難度の高い業務を、下請けの社員が安く請け負っている点が不自然であり、これを円滑に行えるほどのスキルを持つ人材は、本来大手メーカー社員より高い給料を貰うべきである。

私の場合は、これらの要因により、より上位の企業へ転職すべきことに気付いた。

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12.退職者が多いことによる退職ハードルの低さ

元々私は、「転職することはリスクが高い」と思い込んでいた。おそらく終身雇用が長らく続いてきたことから「安定が一番」とするマインドの影響だろう。しかし、これまで述べてきた様々な要因より「転職しないことのリスク」が上回った。

更に、周りに退職する人が多いことも、自分が退職するハードルを下げる要因になる。今更ではあるが終身雇用は終わり、転職が当たり前の時代になっていることを再認識させられる。私が退職した年は退職者が多かったように思う。

13.開発対象製品・技術分野、プロジェクトのサイクルと身に付くスキル

最後は技術的な内容である。IT・ソフトウェアといっても色々分野がある。技術分野ならネットワーク・セキュリティ・データベース・組み込みソフトウェア、業種で言えば金融・物流・インフラ・製造、プロジェクトの特徴で言えば納期重視のもの・品質重視のもの、短期のもの、長期のもの。

人それぞれに得意・不得意分野がある。すべての技術に精通した人など、探すほうが難しいだろう。今いる会社で困難に耐え、すべての技術を身に着けようとするよりも、より活躍できる場所を探すのが良い。完璧を目指すのではなく転換も視野に入れると良いだろう。

最後に

いかがだっただろうか?

同様の環境に置かれ、悩みを抱えている人、今の会社がブラックなのではないかと心配している人、将来のキャリアを見据えている人、さまざまな人にとって参考になれば幸いである。

私自身在職中は多くの方々にお世話になり、社内外の様々な方からの良い刺激や影響を受けた。一方で、ライフステージの変化をはじめとする家庭の事情のように、自分個人や企業の努力では解決できないこともある。

また、労務トラブルをはじめとする、倫理観の欠如を疑わざるを得ない一部の人間や出来事により、迷惑を受け、被害を受け、当方からの信頼を失い、健康面、生活面を脅かし、キャリア、人生に影響したと思われた。それでも、広い視野を持ち、「場所」を変えれば活躍の場があることに気付き転職した。

「優秀な人材」だからといって、絶対に被害を受けないという保証はない。世間でも、労務トラブルや企業の不祥事がよくニュースになるのを見る。しかし、これは氷山の一角に過ぎない。我々が思っているよりおかしなことはたくさんある。ここに気付かず被害を受けていることの認識ができないことが致命的である。様々なところにリスクが潜んでいる。

労働トラブルにフォーカスを当てた資格は、私自身これまでにあまり見たことがありません。「労働トラブル相談士」資格は、経営者、管理職、人事担当者、コンプライアンス研修担当者に限らず、全労働者が知っておいた方が良い知識であり、また現在ブラック労働環境に在職している方には必須の内容と言えます。

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ブラック企業対策のノウハウを知りたい」

このような方は是非、「労働トラブル相談士」資格取得をご検討されてみてはいかがでしょうか?

ライフステージの変化による制約、ブラック労働による被害、市場価値が高くても昇進できない等、自分の力でどうにもならないこともある。いつでも転職できるよう、スキルをつけ、そしてエージェントに登録しておこう。そして、良い人生を送ってほしいと思う。
o08usyu7231.hatenablog.com