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「会社を辞める権利」は労働者が持つ最強の武器である

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一昔前は、「会社を辞める」というとネガティブなことのように聞こえていた。上司や会社についていけずレールから脱落する、そのような姿をイメージする人が多かったのではないだろうか?

会社に忠誠を誓い、理不尽に耐え、上司を選べず、・・・、窮屈な思いをしながらもついていけば見返りがあった。大勢の人がそのようにしていた。

しかし、時代は変わり、今はそのようなことはなくなってしまった。

転職が当たり前となり、副業・フリーランス等、働き方の多様化が進んでいる。「会社を辞める」ことをポジティブに捉えたのが、この記事のタイトルだ。

この記事では「会社を辞める」ことをポジティブに捉えた考え方と、周到な準備が必要であることをお伝えしようと思う。


1.労働者は上司を選べない

私は昔、下請けを中心としたIT企業に勤めていたころ、説教好きな管理職から


「上司は選べないからね!」

と言われたことがある。

もう、今から10年以上前の話だ。

当時は


「だから何?」

と思った。今も変わらない。

この管理職は何が言いたかったのだろうか?

続きを色々推測してみる。

  • 「上司の言うことには従え!」
  • 「会社でうまくやっていくためには、上司とうまくやっていくことだ!」
  • 「そのためには、多少の理不尽にも耐えるべきだ!」
  • 「自分がどうしたいかではなく、会社・上司の方針のもと何ができるかだ!」
  • 「与えられた環境でうまくやっていくのが美徳だ!」
  • 「会社・組織とはそういうものだ!」
  • (特にそれ以上深い意味は無い。)

未だにわからない。

忠誠心を求めたかったのだろうか?

洗脳したかっただけなのだろうか?

昭和の高度成長期は、それで良かったのかもしれない。決められたレールの上をひたすら走り、脱落せずに耐え抜いたものに見返りがあるのであれば、全面的にとはいかないが、ある程度当てはまっていたのだろう。

残念ながら会社には理不尽なことが少なからずある。未熟な上司、時代遅れの上司も実際にいる。でも、会社にいる限りこれに従わなければならないと言われている。

はっきり言って、正しいか否かよりも、力関係による影響を受ける。「優秀かどうか」よりも「会社にとって都合が良いか」どうかが会社生活においては鍵となる。

「労働者が上司を選べない」ことは今も変わりないのだが、ご存知の通り労働事情は大きく変わった。

2.労働者は会社を選べる

上述の管理職から言われた言葉に対して、私は思った。


「でも、会社は選べる!」

その通り、新卒でも中途でも、労働者は会社を選べる。

上司は選べないが、上司を変えたければ、会社を変えれば良い。

しかし、「簡単に言うな!」と言われることが目に見えている。

現実には会社勤めをしたことのない新卒には、会社の内情などわからない。就職活動だけでは、会社の全容などわからない。

中途採用にしても、転職するにはかなりの勇気がいる。若いうちは良いが、日本の場合(諸説あるが)年齢を重ねるほど不利になると言われている。

私自身も含めて、言うのは簡単だが、行動には勇気がいる。

でも、上司・上層部・会社に人生の全てを尽くす必要はない。終身雇用はもうとっくに終わっている。

3.労働者は会社を辞めることができる

一度選んだ会社に入っても、労働者は辞めることがてきる。

法律上の話では、大前提として、期間の定めのない雇用の解約、つまり正社員が会社を退職することは自由にできる。

民法第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

会社には組織として活動していくため、就業規則をはじめとする「ルール」があるが、「会社を辞めてはいけない」というルールはない

ただ、業務の引き継ぎ等を考慮して、「退職1ヶ月前までには申し出ること」と就業規則で定めているところが多いので、基本はこれに従うのが良いだろう。

会社にいれば組織である以上、色々と従わなければならないことがある。しかし、個人の不利益が大きすぎる理不尽、社会(コンプライアンス)的に不適切なことまで従うことは、傾いていく会社と一緒に自分も傾いていくということである。

どんなに会社内で力関係が弱くても、いくらブラック労働に巻き込まれても、理不尽な出来事を受け入れてなければならなくても、いくら会社内で偉くなっても、その会社内の話でしかない。会社を辞めればそのようなことは一切関係ない。

近年は転職が当たり前になり人材の流動性が高まってきた、副業・フリーランス等働き方が多様になってきた、人手不足で会社としても人材獲得が困難になってきた、組織よりも個人を重視するようになってきた、コンプライアンスを重要視され組織に対する世間の目がますます厳しくなった。

労働者が会社を辞めることができるのは、労働者にとって最強の武器である。会社内のあらゆる制約・関係性から解放され、リセットすることができるのである。ほかの会社に移っても、また同じような結果になるという意見もあるが、未来のことはわからない。現時点、自分が会社を辞めたいと思っている原因が会社にあるならば、自分自身が消耗し、潰れる前に辞めた方が良いのではないか。

会社が引き留めようとも、辞めることができる。これまで散々組織内の力関係を元にして労働者に強気に接していた上司でも、力関係が逆転することさえある。ブラック企業でさえ、労働者がいなくなれば事業継続できない。人手不足の時代、人材流出は企業にとっては大きなダメージだ。

私は新卒で入社したとき、まだまだ「会社を辞める」ことや「転職」をリスクと考え、できれば一社に居続けようとしていた。そのうち長年が経過し、様々な理由から、会社に居続けることの方が多大なリスクとなった。私は下請け中心のIT企業を辞め、大手メーカーに転職し、状況が大幅に改善した経験がある。
o08usyu7231.hatenablog.com

また、「会社を辞める」ということは、

  • 「他のことに注力する」
  • 「他の仕事に興味を持つ」
  • 「現在の状況をより改善する」

ということでもあることを考えれば、冒頭に述べたネガティブなイメージから、ポジティブなイメージへ転換できるだろう。
o08usyu7231.hatenablog.com

4.現実的に労働者が会社を辞めるには周到な準備が必要

しかし、現実には辞めることができない労働者が多い。最強の武器でありながら、その武器を使えない労働者がまだまだ多いし、その武器を使うにはハードルが高すぎる。その理由はいくつか考えられる。

  • 会社を辞めることよりも、会社を辞めた先の生活に不安がある。
  • 他の会社に移っても、また同じことが起きるであろうと想像してしまう。
  • 少しくらいのことなら我慢しようとする。
  • 「一度やると決めたら、途中で諦めたり、やめたりすることはいけないことだ!」という幼少期からの教育の賜物。
  • 「せっかく苦労して会社に入ったのだから、簡単に辞めるべきではない!」という旧態依然の日本的風潮。

このような我慢の先には、更に悪化するケースが少なくなく、会社に居続け、会社に酷使され、心身の健康面を損ない、再起不能になり、最悪の場合過労死や過労自殺まで起きている。

過労死は英語で表現しても"KAROSHI"である。これは日本にしかない概念であり、外国人から見ればあり得ないことの象徴である。第3者から見れば「過労死や過労自殺するぐらいなら、会社を辞めればいいのに!」と思うだろうが、当事者からすればそれすらも実行できないほど判断力が低下してしまっているのかも知れない。なので、心身が正常なうちから準備をしておき、異変に早く気付くことの重要性を、全ての労働者に申し上げたい。

また、労働者個人でなく社会的な観点から見ると、労働者が会社を辞めないことでブラック企業が生き永らえたり、ブラックとまではいかなくても会社に内在する問題・悪い体質が放置され、従業員が辞めないことに漬け込んで、ますます体質が悪化することがまかり通る等、生産性が低下し、社会的な害悪にもなり、国力を奪う結果にまでなる。

労働者最大の武器を活かすには、計画的で周到な準備が必要だ。転職、フリーランス、副業、起業、手段はいくつかある。スキルや実績は必要だが、まずは転職サイト等に登録するところと、世間の労働事情、各個人が自身の興味がある業界に関する情報収集からはじめようではないか。それぞれの人の行動が、未来を変える。

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