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エンジニアにおける派遣先・常駐先企業への転職

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派遣先や常駐先企業に転職するのは、自分の所属企業との取引関係を考えると、困難なイメージがある。

一方で、派遣先や常駐先企業の方が自分の所属企業よりも労働条件や労働環境が良く、自分の頑張りや成果を見ている常駐先の上位者から、

「〇〇さんも良かったら、ウチの正社員としてのキャリアを考えられてみてはいかがですか?」

と声をかけられると、嬉しいものがある。

悩ましいが、ぜひ進めたいと思っている方、また派遣社員で優秀な方を正社員として迎え入れたい企業に一読いただきたい。


1.トラブルになりそうだが「職業選択の自由」がある

IT業界では、顧客企業へエンジニアを常駐させて業務を行う、「客先常駐」のスタイルが取られることがよくある。この「客先常駐」の中には、「請負」もあれば「派遣」もある。「派遣」契約の場合、常駐エンジニアを受け入れる企業の社員が、自社の社員と同じように、自社内で作業する常駐エンジニアに対して直接指揮命令することがある。

そして、「派遣先企業」と「常駐エンジニア」が合意すれば、「常駐エンジニア」が「派遣先企業」の正社員として働くこともありうる。「派遣元企業」にとっては、これまで「常駐エンジニア」として活躍してきた社員が、「派遣先企業」に引き抜かれた形となり気の毒であったり、「派遣元企業」と「派遣先企業」との間でトラブルになったりするのではないかと心配になる。「派遣先企業」も「派遣元企業」から何を言われるかわからないとビクビクしているというケースも多い。

しかし、この「常駐エンジニア」の正社員への「引き抜き」はよく行われているらしく、「引き抜き」と言えば聞こえは悪いが、法律としては全く問題ないどころか、職業選択の自由日本国憲法第22条で保証されている。

第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

例えば、ある企業で「退職後、○年以内に○○に就職してはならない。」というように定めていると、これは「職業選択の自由」を不当に侵害している。

次に示すソフトウェア開発を行うメーカーにおいては、「常駐エンジニア」が「派遣先企業」へ転職(「派遣先企業」が「常駐エンジニア」を引き抜き)するケースもある。また、エンジニアのキャリアや意思を尊重する企業もある。

2.自社でエンジニアを保有するメーカーにおける事例

「常駐エンジニア」は正社員と比べて賃金が安く、また業務量が多いときに「常駐エンジニア」を投入し、業務量が少ないときは解約することができ、「派遣先企業」にとっては融通がきくようなイメージがある。

定型作業や単純作業であればその通りかもしれないが、ソフトウェア開発のように専門性が求められている場合は事情が違うだろう。たた、「常駐エンジニア」を正社員として受け入れることについての考え方は、企業によって異なる。

ある企業は「常駐エンジニア」がどれだけ優秀な人材であっても、「派遣元企業」との間のトラブルを避けるために、一度「常駐エンジニア」として受け入れた人は正社員として採用しない方針を徹底している。

一方で、「常駐エンジニア」を正社員として受け入れている事例を複数持つ企業もある。その企業の開発現場の見解としては、次のようなものがある。

「ソフトウェア開発業務は専門性が必要。正社員であろうが、派遣エンジニアであろうが、技術は進歩するから常に教育が必要。しかし、派遣エンジニアはいつ派遣元企業の都合で引き上げられるかわからない。そのリスクを抱えながらソフトウェア技術者としての教育を続けても、投資に見合う効果が得られないこともある。よって、今後ソフトウェア開発部門から派遣エンジニアを廃止し、正社員のみとしたい。優秀な派遣エンジニアは本人の意思があるなら正社員として受け入れる方針としたい。」

私は、この見解は素晴らしいと思った。私なりに補足すると、この方法は、法律として問題ないどころか「職業選択の自由」に合致している。また、「派遣先企業」にとっても「常駐エンジニア」にとってもメリットがある。「派遣先企業」にとっては、新規のエンジニアを中途採用するケースと比べて「常駐エンジニア」の実績を直接見ることができ、スキルのミスマッチが起きにくい。「常駐エンジニア」にとっては、新規にエントリーする転職先企業と比べて「派遣先企業」の開発現場をわかっており、同様にスキルのミスマッチが起きにくい。普通にゼロから転職するよりもはるかに良いことの方が多い。また、「派遣先企業」から派遣エンジニアを廃止し正社員に統一することで、関わる企業数を減らし、ソフトウェア開発を進めるにあたって全メンバーに同じように教育を行い、一体感を醸成しやすいメリットがある。

3.エンジニアの意思を尊重する企業も

「派遣先企業」が「常駐エンジニア」を正社員として引き抜くことは、「派遣元企業」との間でトラブルにならかねないとの心配がある。その通りだろう。「派遣元企業」からすれば、せっかく自社で育成したエンジニアが退職し、他の企業へ行ってしまうのだから、残念な気分になる。

しかし、逆にエンジニアの意思やキャリアを尊重する企業もあり、最初は「常駐エンジニア」で実績を積み、将来は大手メーカーへ転職というキャリアを尊重している。代表的な例が、パーソルキャリア(旧:インテリジェンス)社である。特徴的なのが、「人材派遣業」と「転職支援業」の両方を行っている企業だからである。形態は異なるにせよ、どちらも「人と仕事のマッチング」というビジネスには変わりない。

昔は終身雇用制で定年まで会社に務めるのが一般的だったが、今は終身雇用制は崩壊し、人材が流動的となった。更に、「組織」よりも「個」を重視する時代になった。これにマッチしたビジネスであると感じる。

4.エンジニアに限らず結局キャリアを決めるのは個人次第

「引き抜き」というとネガティブなイメージがある。しかし、「常駐エンジニア」自身が「派遣先企業」へ転職したい、正社員になりたいという意向があるのなら、全く問題ないのではないかと思う。個人には「職業選択の自由」があるし「派遣元企業」がそれを阻止するのはおかしな話である。「派遣先企業」と「派遣元企業」でトラブルになるなど本来おかしな話だし、これを避けて「派遣先企業」のグループ企業へ転職するとか、それでも会社間でトラブルになるとか普通は考えられない。

今の時代、転職自体は誰でもありうることだし、転職は「転職先企業」と「転職希望者」のマッチングで成立するものである。「転職先企業」がたまたま「派遣先企業」だったというふうに考えてもおかしくないと思う。ここに「派遣元企業」が介入することは普通はない。

ソフトウェアエンジニアの中には、自分でソフトウェア設計やプログラミングをすることが好きで、年齢を重ねてもエンジニアとして現場の第一線で活躍したいという人もおり、マネージャー(管理職)になることを避けるために、あえて派遣という働き方を選ぶ人もいる。「派遣元企業」から「常駐エンジニア」が、(転職先が「派遣先企業」か全く別の企業かに関わらず)次々に転職していくということは、「派遣元企業」の労働条件・労働環境に問題を抱えており、転職先企業と比べて魅力が乏しい可能性が大であり、このような根本的な部分を改善していく必要があるのではないだろうか。

結局、キャリアを含めてその人の人生を決めるのはその人自身である。「派遣先企業」の正社員を目指すも良し、それ以外の転職先を探すも良し、「職業選択の自由」の基本に立ち返ろう。

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