誰が昇進したとか、誰が出世したとか、気になる人は少なくないのではないだろうか。
昇進する人たちってどのような人なのか?
また、昇進する人によってその組織や企業がどのような体質・文化なのかがわかるというケースがよくある。
本記事では、昇進する人について私が見た限りの印象や、なかなか昇進できない場合の考え方について書こうと思う。
1. 昇進するかどうかは「組織」と「求める要素」に依存する
身近な人が昇進すると、次のようにと感じることがある。
- 「すごいなー」
- 「頑張ったなー」
- 「実績を出したんだなー」
- 「期待されているんだなー」
確かに、組織の中で一定レベルの実績を出すとそのようになる。これはその通りである。
しかし、冷静に見極めると、どんな人が昇進するかで、その会社がどんな会社なのかがよくわかる。昇進するには、その組織がそのポジションに求める要素を有することが大前提である。
しかし、「組織」と「求める要素」に依存するため、ここが必ずしもポジティブなものとは限らないし、社会的に正解でない可能性も視野に入れるべきである。
優良企業で昇進しようと思えば、各々の職場で必要な能力、リーダーシップ、人格、組織力、・・・、色々と思い当たることがあるだろう。
極端な話だが、これがブラック企業でそのまま通用するだろうか?
そんなことはありえない。ブラック企業なら、長時間労働に耐え、家庭を顧みず、上意下達、滅私奉公、どのような困難でも乗り切る気合と根性が求められるのではないだろうか。
優良企業、ブラック企業以外にも、上司に従順、素直、イエスマン、アピール上手、・・・、このような人が昇進するケースもあるだろう。
どのような人が昇進しているか?
昇進した人がどのような振る舞いをしているかよく観察すると良い。
2. あなたの職場ではどのような人が昇進しているか見てみよう
あなたの職場ではどのような人が昇進しているだろうか?
以下のような人が昇進していないだろうか?
- 一部の領域で一定の実績を残した人
- 会社にとって都合が良い人材
- 上司に逆らわず従順な人材(≠優秀な人材)
- 上司と仲が良い人材
- 口が達者な人
- 成果の横取りをした人
- 部下や後輩に厳しい人
- パワハラ加害者
- 声が大きくパワフルな人
- 偉そうな人(≠偉い人)
- 長時間労働に耐えた人
- 何らかの優位性を感じさせる人。これを目的にマウントを取ろうとする。
- あるポジションに就いている人が退職し、そのポジションが空いた
- 特定のポジションに対して他に適切な人がいない
- その職場に長期間在籍しているだけ
- 体力があり、自分の時間のほとんどを仕事に費やしている独身男性
- 会社目線の人
以下のような人は昇進しているだろうか?
- 部下や後輩への面倒見が良い人
- ハラスメント被害経験者で被害者の気持ちがわかる人。または、コンプライアンス意識が強い人。
- ハラスメント加害者に是正要求した人、またはパワハラ相談窓口に相談した人
- 長時間労働による体調不良者。休職や長期休暇者を含む。
- 純粋に能力が高い
- 真面目に業務に取り組み実績を残している
- 仕事と生活面のバランスを重視している
- 時短勤務者
- 介護など何らかの家庭の事情を抱えている
- 社会目線の人
私は、色々と思い当たることがある。若いうちは単純に真面目に業務に取り組んでいれば昇進していた。そして中堅になれば、実績を認められ昇進したこともある。一部の領域で一定の実績を残しているが、全ての技術に精通しているわけではない。
私の上司であるリーダーが退職し、私がリーダーになったこともあった。ある程度の実績はあったものの、上司が退職するといった周囲の環境との巡り合わせによるところも少なくないのではと感じるのが正直なところである。
上司との相性もある。そもそも会社によっては評価制度があいまいで、何を基準に評価されているのかよくわからないこともあった。不公平感を感じることもある。
世間に目を向けてみよう。
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パワハラ加害者が昇進する組織もある。職員の4割以上がパワハラを受けた経験があると回答した厚生労働省自体もその一つのようだ。「なぜあの人が昇進したのかわからない。」との声もある。本当に昇進するに値する適切な人が昇進しているのだろうかと疑問に思う。
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3. 客先常駐エンジニアより社内開発エンジニアの方が昇進しやすい現実
私は、新卒で下請けを中心としたIT企業に入社し勤務していたが、そのほとんどの期間が客先常駐である。顧客企業である大手メーカーでの構内請負、同じく派遣、一方で社内一括請負、一人プロジェクトもあった(※厳密には「プロジェクト」とは目的を達成するために複数人が集まって行う業務のことを指す)。
特に、新卒入社後初めての業務が顧客企業である大手メーカーへの客先常駐が長期間に渡っていた。私のキャリアのベースはここで構築されたといって良い。最初は苦労し、スキルアップもしたし、資格取得にも励んだ。長年かけて信頼関係を構築し、気づいたら常駐先社員と同化しているも同然で、製品開発における品質向上・業務効率改善に貢献し、常駐先社員の指導・教育も行い、この現場での実績には自信を持っていた。
その後、社内での一括請負プロジェクトに移った。このIT企業の私が所属していた部門では、社員の半分くらいが社内作業で、半分くらいが客先常駐だった。協力会社の技術者も受け入れていた。これまで常駐先の大手メーカーでの自分の実績には自信を持っていたが、社内プロジェクトは勝手が違い、慣れていない業務においても丸投げが当たり前で長時間労働の発生率の高いブラックな状態だった。長時間労働で体調を崩したこともある。元々社内にいるメンバーはこれが慣れているのであろう。
一見社内にいるメンバーは優秀であるかのように感じるし、社内に馴染んでいる人のほうが昇格の面では有利になっている傾向が伺えた。私は、このIT企業で大手メーカーへの客先常駐の期間中はある所まで順調に昇格していった。しかし、社内プロジェクトに移ってから以降は一度も昇格していない。周りからも社内に馴染んでいない私と比べて、社内に馴染んでいるメンバーのほうが優秀に見えるのだろう。
私は社内プロジェクトに馴染むよう努力はしたものの馴染めなかった。その後も客先常駐、社内作業の経験を積んでいくうちに、ある傾向を掴んだ。
「優良企業ほど私を高く評価している」
ということである。
ここで冷静に考える必要がある。「社内作業メンバー」が「メジャー」な位置付け、「客先常駐作業メンバー」は「マイナー」な位置付けに見える。スキルは関係ない。業務に必要な技術の分野など様々である。「社内作業メンバー」「客先常駐作業メンバー」それぞれそれなりに実績を出していることには変わりない。実績を出した場所が違うだけだ。つまり、配属と運次第。システム開発の世界では「案件ガチャ」、一般の職場でも「職場ガチャ」「上司ガチャ」と呼ばれることがある。
私は、元々昇進することばかり考えていたが、「転職」を視野に入れ始めた。視野を広げることは重要だ。社内には馴染んでいないが、実績には自信があった。優秀な人材がこの会社に残るのは勿体ないと感じた。「昇進」することを諦めたのではなく、この会社で「昇進」すること自体に魅力を感じなくなっていることに気付いた。
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実際、このIT企業は一定の割合で辞める人がおり、なかには優秀な人材が辞めている。よって、私がこの会社を辞めるハードルは低かった。そして転職へ。転職したときの年齢はもう若くはなかったが、大手メーカーで、給与は転職前より微増で、労働環境や通勤面の条件が転職前より大幅アップした。転職後のほうが転職前よりも私の周りに優秀な人材が多い。
そしてここが大事。転職前のIT企業の部長以上の人事異動がその企業のホームページで公開されるのだが、私が転職後これを閲覧して本当に辞めて正解だと思った。
このIT企業の口コミサイトには
- 「上司に従順な人が昇進する」
- 「優秀な人は退職する」
- 「昇進は運次第」
- 「給料が異常に安い」
といった旨の記載があった。同感だ。
4. 昇進が困難なら昇進以外にも視野を広げてみる
昇進する際には上司から評価されていることが必要だ。ただ、評価するのは上司であり、100%自分でコントロールできない。自分が頑張ればそれなりに実績を出すことはできる。場合によっては、長時間労働問題、ハラスメント問題により、実績を出し成長するための前段が破綻しているケースもある。
特に、私の経験上、要職の上司が退職するなど、職場における背景事情や人事的な巡り合わせによって大きく左右される。昇進すること自体はこれまでの実績が認められたからなのかも知れないが、重要なのは「昇進してから組織にどのような影響を与えたか」である。
個人のプレイヤーとしては一定の力量があるものの、マネジメントが未熟、周囲に厳しくパワハラ体質等の理由から、優秀な人材がモチベーションを落としたり、退職したりすれば、その人は管理職を外すべきなのだが、意外にもこのことに気づかない企業が多い。
昇進したことで傲慢になり、パワハラ加害者となるケースも少なくない。このような場合、昇進が適切に行われたとは言い難いだろう。そのような組織に優秀な人材が居るだけの価値があるだろうか?
昇進したからといって人間として偉いわけではない。役割が変わっただけだ。一般的によく言われることである。
残念ながら、いくら優秀でも、いくら良い実績を出したところで昇進できない人もいる。それを正しく見抜く人や正しく評価できる人がいなければ意味がない。
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スポーツの世界でも、優秀な選手が居るだけでは強いチームにはならない。監督やコーチが選手の特性や強みを見抜き、パフォーマンスが最大限発揮される最適な配置をしなければ意味がない。ビジネスも同じだ。人はみな違う。多様性を持っている。多様性を受け入れられない企業は、同じ性質の人間ばかりが集まりイノベーションは生まれない。
一方で、正しく評価されず理不尽にも昇進できない優秀な人は、昇進以外に目を向けてみてはどうだろうか?
最近は働き方の多様性が増している。スペシャリスト、転職、起業、副業、フリーランス、・・・、それ以外にもどのようにパフォーマンスを発揮し、何を自分の強みとするかを考える。自分のキャリアプランを複線化することで、理不尽な理由で昇進できなかったとしてもダメージが少なくて済むよう準備しておくのも良いだろう。
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人や企業を見抜く目もスキルの一つだ。視野を広げ、情報を収集し、業務以外でも経験できることを経験した結果、それがまた業務にフィードバックし、結果的に企業に貢献していく。このような姿が理想的ではないだろうか。スキルをつけていつでも転職できるようにしておこうというのが今風の考え方である。