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コロナ禍終息後に「テレワーク」からデフォルト「出社」にするのは「働き方改革」に逆行している!

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2020年春に新型コロナウィルス感染拡大により、国は緊急事態宣言を出した。この頃の新型コロナウィルスは感染症の分類上、結核SARSと同類の「2類」としている。しかし、2023年5月からは、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられる。

コロナ禍でテレワーク可能な企業は、テレワークを基本としていた。オンライン環境が整っていない人や企業も環境を整え、最初の時期は不慣れで戸惑うことがあるも、段々とスムーズに業務が進むようになった。この時、コロナ終息後もこの働き方は元に戻ることはないのではないかと言われていた。働き方のニューノーマルが構築されつつあるのだ。

しかし、最近は全体的に出社ベースに戻りつつある。従来のスタイルがなんとなく良いとの理由であまり深く考えず出社に戻しているようなイメージだ。

テレワークのメリット、働き方改革の意義を再認識すべきではないかということについて書く。


1.デフォルト出社に戻す企業が一定数存在する現実

まず最初に大前提であるが、全ての職種がテレワーク可能ではない。現場に出向かなければ業務がこなせない職種は少なからずあり、中には過酷な環境の中、業務に従事されている方も多くおられる。そのような方々には敬意を表するしかない。

テレワーク自体は働き方改革の一環として導入されたが、まだまだ出社が主流であり、私自身考えもしなかった。しかし、コロナ禍となると、半強制的にテレワークを実施しなければならない状況になる。

そして、アフターコロナとなりつつある状況では、企業によっての分かれ目だ。私が見ている限りでは、再び出社することが主流になりつつあるように思える。実際、そのような情報をよく聞く。

ソフトウェア開発も、分野によって異なる。アプリケーション開発やWebシステムの開発は企業によっては、コロナ禍以降もテレワークを継続する企業は存在する。一方、ハードウェアを伴う組み込みシステムを扱うメーカー企業においては出社が主流になりつつある。

出社して face to face でコミュニケーションをとった方が、業務効率が良いという意見もあるが、ケースバイケースだ。


「仕事は会社に来てやるもんだ」

このような考えもあるが、業務内容によりけりだ。

出社しないと業務が滞るという考えもあるが、工夫次第だ。

なんとなく今までのやり方に戻っているのだが、新しいやり方を取り入れた方が良い場合もある。


「テレワークだから業務が円滑に進まない」

このように思っていたら、実はそれはテレワーク以外の理由だったということは少なくない。


「テレワークにすればサボる奴がいる」

このような声もあるが、サボる奴は出社していてもサボる。

理由あって、デフォルト出社に戻すことについては一定の理解は示す。しかし、働く人の価値観が多様化する中で、一定の割合の人材流出のリスクを抱えていることを認識した方が良いだろう。

アフターコロナでどのように舵を切るかが、これからの企業の運命を決める と言っても過言ではない。

2.働き方改革の目的をおさらいする

ここで今一度働き方改革の目的について、おさらいをしたい。

働き方改革の一環として取り組まれている内容で、私がすぐに思い当たるのは以下の通りだ。

  • 長時間労働の抑止」
  • 「副業・兼業の推奨」
  • 「在宅勤務の拡大」

これらに共通することは何か?

私は、

国の労働人口減少、人材の多様化に対応し、人材配置の柔軟性を高めることで、生産性を上げること

と理解している。

1つ目の「長時間労働の抑止」は、日本では以前から進めなければいけない課題だ。もう昭和の働き方は通用しない。「企業戦士」と称して、過酷な環境に耐える働き方では、生産性は上がらない。昭和の「企業戦士」は、令和の「社畜」と言っても過言ではない。それくらい時代は変換している。

2つ目の「副業・兼業の推奨」はスキルを活かしたい働き手と、副業でもいいから労働力が欲しい企業側の要望とのマッチによって生産性を高めることだ。

そして、この記事に述べられている3つ目の「在宅勤務の拡大」は、働く場所や時間にとらわれないことや、通勤をしなくても良いというメリットがある。育児や介護を抱えた社員にとってはありがたい働き方である。それ以外の社員にとっても柔軟性が高まることは間違いない。

アフターコロナにおけるテレワークの継続は、働き方改革の面からも行うべきであると考える。形だけでなく実質的にだ。

3.「出社」・「在宅」を自由に選択できることこそ「働き方改革」だ!

この記事のタイトルとは矛盾するようだが、一概にテレワークが良くて、出社が悪いわけではない

前章に挙げたように、多様性を認めることが重要だ。

そのためには、「出社」・「在宅」を自由に選択できることが重要だ。

「出社」をデフォルトにすると、昔に逆戻りした感じがする。「在宅」がデフォルトだと、今の時代にマッチしている感じはあるが、直接現場に出向かないと不便だということもある。

同じ人間でも、ライフステージ、業務内容、業務状況によって「出社」・「在宅」が選べると、これはかなりありがたい。

こうした「選べる」、即ち多様性を受け入れられる企業ほど、社会から応援され、人材採用の面でも有利になるだろう。

働き方改革」を挙げる割には、「在宅」でできる業務をわざわざ「出社」したりすることにあまりメリットはないし、「出社」しなければ不可能な業務を洗い出すだけでも、自分が抱えているタスクが見えてくるのではないだろうか? 無駄な業務も見えてくるのではないだろうか?

「仕事は会社へ出社して行うもの」という固定観念を捨てるところが、「働き方改革」を前進させる大きな要素になると考えている。

4.テレワークは企業にとってのメリットの他、社会的意義が大きい

アフターコロナでデフォルト「出社」に戻す企業が少なくない中、テレワークの企業にとってのメリットや社会的意義に着目する。もちろん前章のように「選べる」ことは働き手としては、最高にありがたい。

テレワークの企業にとってのメリットは、

  • 制約のある人材の離職を防ぐことが可能
  • 全国から人材を集めることが可能
  • オフィスのコスト削減が可能
  • 悪天候、災害時でも業務が継続可能

1つ目の人材の離職防止は、容易にイメージが沸くと思うが、多様な働き方を認めることによる恩恵である。社員が育児・介護をしながら自社の業務を継続できることは、企業にとってもありがたい。

2つ目は、離職の逆で採用に関するメリットだ。最近の求人票には「勤務地:問わず」といったものも、まだまだ少ないが見受けられるようになった。これまで人材が集まりにくかった地方の中小企業でも、一発逆転が狙えるわけである。逆に、旧態依然の大企業も危うくなるというわけだ。

3つ目は、オフィスのコスト削減。あるWebシステム開発企業は、フルリモートにして、オフィスを廃止し、光熱費や電話代が節約できた事例がある。その分社員の自宅の光熱費が跳ね上がるのだが、これに対して手当てを与えても企業としてはコスト削減になるそうだ。

4つ目は見落とされがちだが、事業継続の観点で重要な観点である。台風・大雪の時に、社員に出社を強要するのは「ブラックだ!」などと言われるが、企業には 社員の健康・安全を確保する「安全配慮義務」(労働契約法第5条)がある。有給休暇を使って社員を休ませるのも良いのだが、テレワークできる環境が整っていれば 業務を継続できる。また、全国からリモートワークの社員を集めた企業ならば、ある地域に大きな災害が起きても、業務が滞るリスクは少ない。

最後に最も重要な社会的意味について述べる。

それは、出社しなければ業務ができない職種の人に、道路や公共交通機関等のリソースを優先的に割り当てることだ。通勤時間帯の渋滞や満員電車を緩和することもできるし、上述した悪天候や災害時の時は尚更だ。

医療、消防、警察、運輸、物流、その他インフラを支える方々なしでは、我々の生活は成り立たない。その意味では、テレワーク可能な企業や人がテレワークを行うことは、上述した職業の方々を含めて、社会に貢献しているし、逆に無理やり出社させて上述のリソースを奪うのは社会的害悪でしかない。

これらのことを踏まえて、我々一人一人、一社一社が、快適で安心できる社会を支えるべきだ!