ソフトウェアエンジニアが労働について情報発信するブログ

ブラック労働からホワイト労働まで経験したソフトウェアエンジニアが世の中にとって役立つことを情報発信していく。

終電繰り上げと労働環境改善の相乗効果を望む

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鉄道会社各社で終電繰り上げの旨のダイヤ改正が行われている。

新型コロナウイルス感染拡大による利用者減によるものと考えられるが、働き方改革によるもの、特に鉄道設備の安全を支えている保守作業員の労働環境改善によるものでもある。

この件について、ソフトウェアエンジニアである私の見解を書いてみようと思う。


1.ニュースでの報道内容より私は賛成

2021年3月13日(土)は、JRや一部の大手私鉄ダイヤ改正が行われる。例年春にダイヤ改正が行われ、列車の増発や運転区間の拡大など利用者にとって便利になることが多かった。しかし、今年は違う。以前からニュースで報道されているように、首都圏・関西圏を中心に、多くの鉄道会社で終電を繰り上げる改正が行われる。

線路や電気設備の保守作業時間を拡大することで、作業従事者の働き方改革推進や鉄道設備の設置・保守のスピードアップによるサービス向上、安全性向上を狙いとしたものだ。その他には、新型コロナウイルス感染症の拡大により、深夜時間帯の鉄道利用が減少したといった乗客の行動様式の変化に対応したものだ。

世の中では、この終電繰り上げに関して賛否あり、終電繰り上げをされると困ってしまう人もいるだろう。私は、この終電繰り上げに関しては賛成であるし、普段の生活の中でまず困ることがない。それどころか、近年働き方も変化していることから、より健全な方向へ相乗効果を期待したいものだ。

2.安全を支えるからこそ作業員の労働環境改善を望む

これはすごく大切なことである。まず、鉄道事業に安全は絶対である。線路や周辺の電気設備の点検(場合によっては設備の交換作業)は、終電は過ぎた後から次の日の始発までの間、すなわち列車が走行しない深夜時間帯に行われる。終電が遅ければ遅いほど、その作業時間に制約があった。

今回、終電が繰り上げられたことで、作業時間に余裕を持たせ、安全を支えるための重要な作業だからこそ、確実な点検を行ってもらいたい。

ただでさえ、安全を支える作業員には、深夜作業の中天候や気温の条件も様々な中で、確実な作業を行っていただいており、「感謝」の一言しかない。我々当然のように鉄道を利用しているが、まさにこのような人たちの努力が、安全を支えている。だから、作業員の労働環境を向上させる意味でも、ぜひ必要なことだ。

よく似た状況は、ソフトウェアエンジニアである私の仕事にも言える。ソフトウェアはまさに製品やシステムの頭脳ともいえる。製品によっては安全に関わるシステムも存在し、ミスが許されないものもある。当然労働環境が悪くては、ミスが発生し、その弊害は世の中へ及んでしまう。分野は違うが、品質・安全という意味では鉄道保守作業と求められることは同じだ。

終電繰り上げによって線路保守作業の時間を確保することで作業員にとって心理的に余裕ができることと、製品開発の期間に余裕を設けることでソフトウェアエンジニアにとって心理的に余裕ができることとは同じであり、どちらも高い質のアウトプットを出すことができる。
o08usyu7231.hatenablog.com

鉄道の利用客やシステムの発注者には都合が悪いかもしれないが、利用者や発注者さえ良ければその他のことはどうでも良いかというと、はっきり言って違う。

作業員やソフトウェアエンジニア等、一部の人に犠牲を強いるような進め方は、後に全体が破綻する。今回のダイヤ改正による終電繰り上げは、このようにならないための良い試みだ。
o08usyu7231.hatenablog.com

3.新型コロナウィルスにも関連

新型コロナウィルスに関しては、冒頭にも示した通り、感染拡大により深夜時間帯の鉄道利用が減少したことにより、利用実態を踏まえての対応と報じられている。利用実態を踏まえての対応とのことだが、この対応はやや新型コロナウィルスの対策に寄与しているとも考えられる。

終電が早くなることは、酒類を提供する飲食店へ「飲み」に行く客も早く帰宅せざるを得ず、飲食店での感染機会を減らせる。「大幅に」ではなく「少し」程度のものであり、「機会を減らす」程度に過ぎないことは確かである。

よく、「閉店時間を早くすること自体が感染対策にはなっていない。昼間でも飲食店内にて大声でしゃべると十分感染リスクがある。」との議論もある。これはその通りだ。

だが、コロナ禍で夜の繁華街を歩き回ることは敬遠されつつあり、そのような動きを控える風潮にあるなかで、この終電繰り上げはその風潮を加速させることが期待できると考えている。この点が終電繰り上げに賛成する理由の一つである。

今回は最大30分程度の終電繰り上げであるが、様子を見て次回のダイヤ改正では、さらに数十分終電を繰り上げるということを行っても良いのではないだろうか。

新型コロナウィルスの感染拡大により、出張・旅行の抑制、テレワークの普及・拡大で、ただでさえ鉄道会社にとっては経営が厳しい状況にあるなか、終電の繰り上げは投資対効果の面でも適切な判断と言えるだろう。

元々、終電繰り上げの話は、新型コロナウイルス感染拡大前から構想はあった。前項で挙げた線路・設備の保守作業以外にも、次項に示す働き方改革の進展である。

4.働き方改革が進んだ結果でもある

私が終電繰り上げに賛成する一番大きな理由が、働き方改革との相乗効果である。

新型コロナウィルスとは別に、終電を繰り上げた理由の一つは、働き方改革が進む中で全体的に退社時間が早くなり、終電を含めた深夜帯の時間に鉄道を利用して帰宅する人が少なくなった実態を踏まえているともいえる。

普通に仕事をし、普通に帰宅し、普通に生活している人にとっては、終電が30分早くなっても、ほぼ無関係といって良いだろう。

しかし、終電繰り上げのニュースを見ていて、「終電が早くなると、仕事上困る」とインタビューに答えていた人がいた。私はこれを見て、何に困るのだろうかと思った。普通に考えれば、終電の時間帯に帰宅しなければならないような仕事をしているか、単に毎日帰宅が終電間際になるブラック企業のいずれかであると想像している。

終電の繰り上げがブラック企業撲滅に寄与してほしいと思う。そうでなくても、日本の国レベルでの問題である長時間労働の是正につながってほしいと思う。

終電を30分程度繰り上げたこところで、長時間労働が解消されるのかという意見も考えられるが、世の中がじわじわと変わりつつあるということを認識させられる出来事である。

逆に終電が30分繰り上げたところで困るようなブラック企業は、もう脱落するしかない。まさに、ここの相乗効果を期待したいところだ。