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副業禁止は憲法違反!これからの時代、副業は当たり前!

日本では多くの企業で未だに副業を禁止している。

昭和の終身雇用の感覚が未だに残っていて、会社に忠誠を誓い、1つの会社で働き続けることを美徳としているのではないかと思えてしまうのだが、時代は変わった。時代の変化に対応している企業もある。時代の変化に対応できていない企業もある。

終身雇用は崩壊し、転職が当たり前になり、フリーランスという働き方があり、副業も当たり前になろうとしている。働き方改革の一環で、政府が推奨しているのが「副業・兼業の解禁」である。2018年には厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、同じタイミングで「モデル就業規則」から副業禁止規則が削除された。これにより大企業でも副業を解禁しつつある。

この記事では副業について、ハードルを感じている方に、私が収集した情報や感じていることを語りたいと思う。

目次


1.民間企業が労働者に対して副業を禁止することは憲法22条違反!

そもそも民間企業の場合、副業禁止は憲法違反である。これは日本国憲法第22条「職業選択の自由にて規定されている。

第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

ここには副業が自由にできることも含まれている。憲法において「職業選択の自由」が保証されているため、民間企業が労働者に対して原則として法律上副業を禁止できないのである。ただし、公務員については例外であり「国家公務員法第103条、第104条」、「地方公務員法第38条」で副業が禁止されている。

民間企業が、原則として副業を禁止することができないとしながらも、就業規則によって副業について定めている。副業についての定めやその論調も様々である。

  • 「許可なく他社に雇用される」ことを禁止しているもの
  • 「会社外から報酬を得ること」を禁止しているもの
  • 「業務に対する精力が分散されること」を禁止しているもの
  • 「会社(例:人事部長)の許可」を必要とするもの

いずれも憲法では許可されており、当然のことながら副業自体が(公務員を除けば)違法行為にはならない。過去の判例では、「就業規則」で副業を禁止されていながら副業を行った場合でも、「副業を行った」ことを理由とする懲戒処分は基本的には無効とされている。

一般的に、企業の「就業規則」と「憲法・法律」が相反する場合は、「憲法・法律」の方が上位であり、「就業規則」が無効であると判断される。

2.会社が副業を禁止するのは本業に支障が出ることを懸念しているため

一方で、企業が副業を禁止できる、もしくは副業禁止の企業で副業を行った場合の懲戒処分が有効となるのは、一部のケースに限られる。このことを企業側も労働者側も知っておきたい。会社が副業を禁止するのは本業に支障が出ることを懸念しているためであり、副業を禁止できるケースもおおむねこれに沿った形となる。

厚生労働省が2018年に発表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には次のように記載されている。

副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように
利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限する
ことが許されるのは、例えば、
労務提供上の支障がある場合
② 業務上の秘密が漏洩する場合
③ 競業により自社の利益が害される場合
④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
に該当する場合と解されている。

即ち、本業への支障が出ることを含めて、企業に不利益が出ないことが重要であり、ここさえ満たせば、企業は業務時間外の労働者の行動を制限することなどできないのである。

事実上、

  • 副業を禁止する
  • 副業禁止にも関わらず副業をしたから懲戒処分となる

のではなく、

  • 本業におけるパフォーマンスが低下する等、支障をきたすことを防止する
  • 機密情報の流出を防止する
  • 企業に不利益を与えたため、それに応じた懲戒処分を行う

と語られるべきであり、労働者が企業に不利益を与える行為を禁止するべき対象は「副業」に限った話ではない。業務時間内、プライベート全般に言える話なのである。よって、「副業」を禁止すること自体がナンセンスだと言えるのである。

他にも、企業側としては

  • 「社員に副業で稼がれると、労働者から会社への忠誠心が損なわれる」
  • 「社員に副業で稼がれると、会社を辞められ、人材が流出する」

等と嘆くことが予想されるが、これも全くナンセンスである。「会社への忠誠心が損なわれる」「会社を辞められ、人材が流出する」ことは「副業」に限った話ではない。転職において他社が魅力的な求人を出して来たならば、労働者はそちらに流れるかもしれない。しかし、「転職活動」を「就業規則」で禁止するなど、まともな企業ならあり得ない。「会社への忠誠心が損なわれる」「会社を辞められ、人材が流出する」原因は「副業」にあるのではなく、全く別次元のところで企業側に問題がある可能性が極めて高いため、そちらを是正するべきなのである。

3.最近は副業を認める企業が増加、副業をすることの本当のメリットを語る

冒頭にも説明したとおり、副業を認める企業が増えてきているのはご存知だろう。

一般的には労働者が長時間労働になることや、企業側の労務管理の面でのデメリットが語られている。これも一部当てはまるかもしれないが、私のようなシステム・ソフトウェア開発の業務では、そもそも副業する余裕がないほど残業が常態化しているのが現実だ。企業としても、この点を改善すべきである。

副業には、デメリットよりもメリットの方が多くあると感じている。私自身がすぐに思い当たるものでも次のようなものがある。

  • 収入源が複数になる
  • 転職しなくとも会社外の業務を経験できる
  • 本業、副業の互いの経験・人脈を他方に活かせる

厚生労働省が2018年に発表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には次のように記載されている。

【労働者側のメリット】
① 離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる。
② 本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる。
③ 所得が増加する。
④ 本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる。

【企業側のメリット】
① 労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる。
② 労働者の自律性・自主性を促すことができる。
③ 優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する。
④ 労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる。

これだけではない。転職が当たり前となり、人材の流動性が高まり、企業に忠誠を誓わせるマインドが旧態依然のものとなりつつある今、あるパワハラ解決専門家は、

「『副業』はパワハラ対策としても有効」

である旨のメッセージを発信している。私自身も同感である。それまで「副業」には全く興味が無かったのだが、段々と「副業」に着目するきっかけになったくらいである。副収入があることは、経済的にも、心理的にもプラスであり、個人対企業という力関係を背景に個人が企業にコントロールされている状況と比べると明らかに良い。これを機にパワハラが無くなれば、「副業」がもたらす効果はハラスメント対策の面でも絶大であり、結果的に企業のコンプライアンス意識の向上に繋がる。逆に、これを都合が悪いと考えるのは、旧態依然の企業かブラック企業のみである。

企業が「副業」を解禁することは、働く人の価値観の多様化にも対応でき、人材の流動性が高まる現代において、より優秀な人材の定着率を高めるための道標と言っても過言ではない。

4.これからは副業が当たり前の時代になる!禁止している会社は時代遅れだ!

このようないきさつを考えると、これからは「副業」が当たり前の時代になる。冒頭に述べた通り、そもそも禁止すること自体憲法違反であるが、この認識すらない企業は、他の面でよほどの魅力がない限り、衰退していくものと思われる。

昔は、労働者は企業に忠誠を誓い、多少の理不尽にも耐えて、手厚い福利厚生やリターンを得ていたものだ。それは昭和の話であり、今は全く異なる。既に、終身雇用が崩壊しているのだが、企業にとって都合が悪くなると「希望退職」「セカンドキャリア」「構造改革」という名のリストラを行い、その割にはいまだに多くの企業が副業禁止を継続している。「企業は労働者を守る気が無いけど、労働者には企業を守ってほしい」という意図があからさまに見える状況だ。

一方、副業解禁に向けて次のように就業規則を見直そうとしている企業もある。

  • 【見直し前】副業は人事部長の許可を得た場合のみ可とする。
  • 【見直し後】副業は、スキルや人脈を本業に還元できる場合のみ可とする(単に収入増が目的の場合は不可)。

副業解禁に向けての動きは良いのだが、これは本質を理解していない例だ。冒頭でも述べた通り禁止すること自体憲法違反である。

  • 「スキルや人脈を本業に還元できる場合のみ可とする」
  • 「(単に収入増が目的の場合は不可)」

このような制約は一切通用しない。「本業への支障」や「企業への不利益」を出さないようにすることを企業から労働者へ要求することができるのみである。この例では、副業解禁という表面的な流れに乗っかるだけで、一部の条件下ではあるが、憲法違反の状態が【見直し前】から【見直し後】にわたって継続しているのである。憲法違反の他にもこのような思想の企業は、労働者を不当に縛り、会社にとって都合の良いことを重視する傾向にあり、他にも違法性やグレーゾーンを抱えている可能性が高いと考えて良い。

前章で述べた「パワハラ対策のための『副業』」についても、「収入アップのための『副業』」についても、「副業」自体を禁止するのではなく、「副業」をするに至る「前段」を解決すべきであり、「パワハラ対策」の例で言うならば、「パワハラが発生する企業においては、パワハラを無くす」というのが、ズレのない答えなのである。本業の収入だけで生活することが困難なほど十分な給与を支払っていない企業であれば、十分な給与を支払うか、「副業」を認めるかのいずれかである。これらのいずれの対策も怠り、ただ「副業」を「禁止」するなど、企業にとって都合が良すぎるだけの時代遅れと言っても過言ではない。

これからの時代の企業の就業規則のあり方として、私が考えている内容をまとめると、

  • (1) 労務提供上の支障がないこと
  • (2) 業務上の秘密を漏洩させないこと
  • (3) 競業により自社の利益が害されないこと
  • (4) 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がないこと
  • 上記(1)~(4)に反した場合は、その程度により懲戒処分となることがある

となる。つまり企業は「副業」には一切口出しせず、

  • 会社に不利益を与えないこと
  • 社会的な秩序を乱さないこと

のみを労働者に要求するのが、最もシンプルで理にかなっている。

民間企業の労働者は、副業について知識を付け、自分のキャリアの一部として欲しいと思う。