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パワハラ事例解説(32) - 取引先の目の前で担当者を叱る上司

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このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例32】取引先の目の前で担当者を叱る上司

私は当時、下請けIT企業X社に属するエンジニアであり、顧客である大手重工業メーカーY社における旧システムを新システムに刷新するプロジェクトに携わっていた。旧システムはY社内の別事業所で構築されたものであり、古い設計書類や資料は残っているものの、旧システムの詳細を知る人は、Y社内にはいない。

そこでY社は、新システムを構築するにあたり、旧システムを解析することにした。

旧システムの仕様書はY社独自の記述方法で記載されており、システムの制御内容を知らない第三者が読んでも、なかなか理解しにくいものである。また、X社もY社と未経験の古いプログラム言語で記述されたソースコードが残っている。

Y社は仕様書とプログラムコードをX社へ提供し、解析を依頼した。依頼というよりは丸投げそのものであり、それまで他のプロジェクトで実績を残してきた私ですら苦戦するものであった。

Y社の若手担当者A氏は、発注側が偉いと考えているのか、X社に対してスケジュール通りに進んでいないことに対して、高圧的に詰め寄り、更にX社に対して追加の調査依頼を行った。X社の業務はどんどん溢れていった。

ある時、X社とY社による打ち合わせが行われ、X社がY社に出向いた。打ち合わせメンバーは、X社が私と、プロジェクトメンバがもう一人、Y社が若手担当者A氏と、その上司でありリーダーであるB氏である。

Y社の若手担当者が以降のプロジェクトの進め方について説明したところ、B氏は、本来A氏が作業すべきことをX社へ依頼しようとしていることに気付いた。また、A氏はこれまでも多くの作業をX社に丸投げしており、プロジェクト予算の消化が予定よりも多めであることがわかった。

B氏はA氏に対して、

  • 「何でもかんでもX社に丸投げするな!」
  • 「これはお前がやれ!」

等、その他諸々説教が始まった。しかも、私を含めたX社のメンバがいる前でである。その後も、しばらくA氏とB氏のやりとりがあった。

また、別の日のに設定されたX社とY社の打ち合わせでも、同様のことがあった。このときは私自身は同席していなかったのだが、私はプロジェクトメンバから話を聞いた。この日は、B氏からA氏ではなく、Y社マネージャであるC氏からA氏に対してであった。

A氏がX社に作業を丸投げしているプロジェクトの進め方には、確かに私から見ても問題がある。本来ならばA氏を中心にプロジェクトを進め、Y社社内の協力を得て、更にX社の協力を得て進めるべきだ。X社に丸投げだけして、口だけ達者なのは私から見ても良いとは思えない。A氏は正当に叱責を受けるべきだ。

しかし、Y社B氏、C氏ともに、取引先であるX社の前で、A氏を吊し上げることは、叱責のやり方としては良くない。パワハラに当たる行為となるリスクを抱える。A氏を指導する際は、別室で回りの目に触れないように行うべきだ。さすがに私も見ていて気の毒だった。

他人の目の前で叱責することは、前述の通りパワハラとなるリスクがある。指導であれば、本人に対してのみで良い。

それなのに、一定割合の人は、人前で叱責することを次のような理由で正当化する。

  • 「叱責の内容を、周囲にも横通しするため!」
  • 「周囲の気を引き締めるため!」

いずれにしても、全く生産的ではないやり方だ。

類似のパワハラ事例のリンクも貼っておくので、是非ともこのような真似はしないでいただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com
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【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
o08usyu7231.hatenablog.com
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