このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。
自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。
- 【最初に】パワハラの定義と6つの類型
- 事例一覧リンク
- 【事例1】周りに聞こえるように叱る
- 【事例2】会議で出席者全員の前で否定
- 【事例3】PCスキルの低いIT企業の部長からの「逆テクハラ」
- 【事例4】頭をコツく
- 【事例5】2時間程度立たせての理不尽な説教
- 【事例6】不具合報告書類認識違い指摘すると大声でキレる
- 【事例7】客先常駐で帰社の頻度が多いと文句をつける
- 【事例8】新規投入要員服装に不要なクレーム
- 【事例9】加害者の叱責により被害者が体調不良で休暇したことを嬉しそうに語る未熟な加害者
- 【事例10】みんな22時まで頑張っているから22時までやれ
- 【事例11】従業員の出身地による差別発言
- 【事例12】「常時不機嫌な振る舞い」と「人間関係の切り離し」で優秀な人材に対して悪影響
- 【事例13】フロア中響く声で叱責
- 【事例14】杜撰なマネジメント・危機的状況軽視・メンバへの冷遇によりメンバのメンタルトラブルが悪化
- 【事例15】進捗遅れに対する公開パワハラ
- 【事例16】隠蔽体質強要の疑い?
- 【事例17】システム開発における過重労働未然防止妨害
- 【事例18】システム開発におけるレビュー時に自分の価値観押し付け
- 【事例19】システム開発における過剰要求未達時のレビュー会議の場で「詰問」
- 【事例20】納期逼迫による残業時間増加への圧力
- 【事例21】「お前SEやろ!」余計な一言
- 【事例22】「キャリアカウンセリグ」と称する根性論の刷り込みと洗脳
- 【事例23】残業代の上限超過分の請求を禁止する違法行為の強要
- 【事例24】ソフトウェア設計に対する会議の場での否定
- 【事例25】特定人物を名指しした苦言を関係者全員に向けてメールで送る
- 【事例26】製品の品質問題対応の最中、他社管理職からの高圧的な言動が人的リソースを潰す
- 【事例27】パワハラ被害の訴えと是正要求に対して追加のパワハラ
- 【事例28】パワハラ加害者に寄り添った間違いだらけのパワハラ対応
- 【事例29】パワハラ被害者に対して人事評価で不利益扱いする違法行為
- 【事例30】セカンドハラスメント対応が甘すぎるコンプライアンス責任者
- 【事例31】客の前で従業員に偉そうな命令口調の飲食店店長
- 【事例32】取引先の目の前で担当者を叱る上司
- 【事例33】話が長すぎて聞いている側の負担が大きい!
- 【事例34】情報セキュリティ違反への誘発は絶対に許されない!
- 【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ
【最初に】パワハラの定義と6つの類型
パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。
パワハラの定義
- ①優越的な関係を背景とした言動であって、
- ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
- ③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp
パワハラの6類型
パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。
- (1)身体的な攻撃
- (2)精神的な攻撃
- (3)人間関係からの切り離し
- (4)過大な要求
- (5)過小な要求
- (6)個の侵害
「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp
このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例
ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。
ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。
- グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
- 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
- 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの
いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。
事例一覧リンク
【事例1】周りに聞こえるように叱る
【事例2】会議で出席者全員の前で否定
【事例3】PCスキルの低いIT企業の部長からの「逆テクハラ」
【事例4】頭をコツく
【事例5】2時間程度立たせての理不尽な説教
【事例6】不具合報告書類認識違い指摘すると大声でキレる
【事例7】客先常駐で帰社の頻度が多いと文句をつける
【事例8】新規投入要員服装に不要なクレーム
【事例9】加害者の叱責により被害者が体調不良で休暇したことを嬉しそうに語る未熟な加害者
【事例10】みんな22時まで頑張っているから22時までやれ
【事例11】従業員の出身地による差別発言
【事例12】「常時不機嫌な振る舞い」と「人間関係の切り離し」で優秀な人材に対して悪影響
【事例13】フロア中響く声で叱責
【事例14】杜撰なマネジメント・危機的状況軽視・メンバへの冷遇によりメンバのメンタルトラブルが悪化
【事例15】進捗遅れに対する公開パワハラ
【事例16】隠蔽体質強要の疑い?
【事例17】システム開発における過重労働未然防止妨害
【事例18】システム開発におけるレビュー時に自分の価値観押し付け
【事例19】システム開発における過剰要求未達時のレビュー会議の場で「詰問」
【事例20】納期逼迫による残業時間増加への圧力
【事例21】「お前SEやろ!」余計な一言
【事例22】「キャリアカウンセリグ」と称する根性論の刷り込みと洗脳
【事例23】残業代の上限超過分の請求を禁止する違法行為の強要
【事例24】ソフトウェア設計に対する会議の場での否定
【事例25】特定人物を名指しした苦言を関係者全員に向けてメールで送る
【事例26】製品の品質問題対応の最中、他社管理職からの高圧的な言動が人的リソースを潰す
【事例29】パワハラ被害者に対して人事評価で不利益扱いする違法行為
【事例30】セカンドハラスメント対応が甘すぎるコンプライアンス責任者
【事例31】客の前で従業員に偉そうな命令口調の飲食店店長
【事例32】取引先の目の前で担当者を叱る上司
【事例33】話が長すぎて聞いている側の負担が大きい!
【事例34】情報セキュリティ違反への誘発は絶対に許されない!
【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ
パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない
パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない。
一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。
パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。
パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。
パワハラ対策の第一歩は証拠集め
パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。
自分を守るための準備も並行して進める必要がある
パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
o08usyu7231.hatenablog.com
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そして準備が整った後、いざパワハラ被害を理由に退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。
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