ソフトウェアエンジニアが労働について情報発信するブログ

ブラック労働からホワイト労働まで経験したソフトウェアエンジニアが世の中にとって役立つことを情報発信していく。

すぐに転職を考えていなくても、転職サイトに登録すべき理由を語る

転職が当たり前の時代になり、様々な転職サイトが出現し、転職をサポートするエージェント(キャリアコンサルタント)という職業すら珍しくなくなってきた。

今の時代、新卒で社会人になり、定年を迎えるまで、1社で過ごすことが悪いとは言わないが、こちらの方が珍しくなってきた感覚もある。しかし、まだまだ世界の中における日本では、終身雇用の感覚が根強く残っており、人材の流動性が低いという見方もある。

人生100年時代と言われる現代において、自分のキャリアを考えるにあたって、転職するつもりがなくとも転職サイトに登録し、情報収集することの有効性について語りたいと思う。


1.現在の自分の「市場価値」をエージェントに見てもらう

まず、1社の社内にずっと居続けている限り、これは実現できない。エージェントは多くの転職案件を扱ってきておられる。転職者も多く見てこられ、企業側も多く見てこられている。

これまでの自分のキャリア・実績を棚卸し職務経歴書に簡潔にまとめた上で、エージェントに見ていただくだけでも、「市場価値」がわかるだろう。

ここで重要なのは、可能ならば複数の転職サイトに登録し、複数のエージェントに職務経歴書や面談を通して見ていただくことである。転職サイトによって、エージェントによって強み/弱み、得意分野/苦手分野がある。

あなた自身が自分で自己分析するのも良いが、時間が足りないし、視点がどうしても偏ってしまいがちである。あなたが強みだと思っていなくても市場から見れば強みかも知れないし、あなたが強みだと思っていても市場から見れば強みではないかもしれない。自分ではわからない強みを引き出してくれる可能性もあるため、是非とも複数のエージェントを活用していただきたいと思う。

あと、

「社内における上司からの評価」と「市場価値」はイコールではない

と考えた方が良い。「社内における上司からの評価」は一概に軽視しても良いとまでは言わないが、上司との相性、上司の主観によって決まるケースが多く、「社内」という空間に限られた話であり、「社内」から一歩外へ出れば1ミリも関係ないのである。あなたが、これまでどのような考え方で、どのような実績を出してきたかを説明できることが重要だ。

過去の実話だが、私の場合、職務経歴書をエージェントに見ていただいた結果、

「この実績で、この忙しさで、この収入は、正直低いですね!」

と言われたことがある。正直恥ずかしかった。自分の実力不足であるならば、その程度だと納得できるのだが、実績にしてはリターンが少ない。一方、それまで何となくモヤモヤしていたのだが、

「自分の感覚は間違っていなかった!」

という安心感があり、これだけでも転職サイトに登録した甲斐があったのではないかと感じている。社内に閉じこもっていれば絶対に気づかないことだ。

2.どのような求人があるか市場動向を知る

これは、企業名をネットで検索すれば公開求人を見ることができるのだが、エージェントに登録すると非公開求人が見られるので有効だ。一点注意したいのは、「非公開求人」=「良い案件」とは限らない。個人個人に向き/不向きがあるので、各々で見極めていただきたいのだが、条件が良く人気のある求人はすぐに充足して、応募が締め切られる可能性が高い。

仮に、自分が転職したいような企業が見つからなくとも、だいたいどれくらいの年収で提示しているかなどの肌感覚もわかるだろう。逆にこれを掴んでおかないと、業界や同一職種・同一業種に対する自社の水準に無頓着になり、気付けば

「業務内容の割には、世間一般と比べても、都合よく安く使われていた」

などということになる可能性も十分にある。

また、どのような企業がどのような業務内容か、どのようなレベルの人を求めているかを知ることができるので、自分がどのようなキャリアへ進むべきか、考えるきっかけになる。

エージェントに色々と尋ね、お話を伺うことで、業界の動向や地域ごとの動向についても知ることができる。業界や企業の動向、求人票からではわからないことでも、エージェントから情報を入手することができるので、情報収集にエージェントを活用しない手はないのである。

転職希望者が転職サイトに登録するのは、基本的に無料である。一部有料のものもある。エージェントが報酬を得る仕組みは、転職希望者と企業側がマッチ(中途採用で企業へ入社)したときに、エージェントが企業側から報酬を得ることで成り立っている。なので、転職希望者は積極的に活用したいところだ。

3.今後のキャリアを考える手段の一つとする

ある程度情報収集できれば(情報収集しながらでも構わないが)、今後のキャリアを社内外で考えることができる。

必ずしも転職しなければいけないわけではなく、現在の企業に留まることも選択肢の一つである。

現在の企業より総合的に条件が良いと感じたら、転職すれば良いのだ。

ここで重要なのは、在職中であるため心理的に余裕を持って、今後のキャリアを考えることができる点である。

  • 「すぐに今の会社を辞めたい」
  • 「急いで転職先を見つけないといけない」

このような心理状態で転職活動を行うと、焦りがあるゆえ、少しくらい条件が悪くても妥協してしまい、入社後にミスマッチとなりやすいリスクを抱えてしまう。なので、転職先に贅沢な条件を求めるほど、余裕を持って、最悪現職に留まるくらいのマインドで行ったほうが、良い活動ができるのではないかと思う。

転職が絶対ではなく、キャリアを考える手段の一つに、転職サイトに登録し、情報を集めるのである。

転職以外に、副業やフリーランスについて調べるのも同じである。それらを目指す前から、事前に調べておき、選択肢を増やしておくことで、心理的余裕を保ち続けることができるのである。

4.いつでも転職できる状態にしておく

「いつでも転職できる状態にしておく」ことは、今後どのビジネスパーソンにおいても重要になる。

昔、私の職場でも「いつでも転職できる状態にしておく」ことの重要性を、公の場で堂々と語る管理職がいた。素晴らしいと思う。ただ、裏の意味では「いつでも転職できる状態にしておく」くらいのスキルを身に付けて、会社に貢献してほしいという意味合いが強いものと思われる。優秀な人材が転職により流出してしまうと、会社にとって困るからである。

私が言う「いつでも転職できる状態にしておく」は、これとは意味合いが違う。エンジニアに限らず、「いつでも転職できる状態にしておく」だけのスキルを付けておくことは必要なことであるが、スキルを付けておくだけでは不十分である。

転職市場を知り、市場価値を知り、転職するかしないか選べるようにし、転職したいときにできるように準備をする。本当に「いつでも転職できる状態にしておく」のである。

企業に限った話ではないが、自分がコントロールできない範囲で、自分が不利益や被害を受けることがある。世間一般でよくある企業の不祥事や、経営悪化による人員削減、ハラスメント被害諸々である。理不尽ではあるが、被害者側でもある程度対策は可能だ。その第一歩として、転職サイトに登録することだ。

転職に限った話ではない。副業、フリーランスも同様だ。あるパワハラの専門家も被害者側ができる対策として、推奨している。

自分のキャリア、自分が所属する企業の状況を高い目線から俯瞰して見ることで、自社の立ち位置を認識し、自社から洗脳されにくくなるメリットは大きい!

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副業禁止は憲法違反!これからの時代、副業は当たり前!

日本では多くの企業で未だに副業を禁止している。

昭和の終身雇用の感覚が未だに残っていて、会社に忠誠を誓い、1つの会社で働き続けることを美徳としているのではないかと思えてしまうのだが、時代は変わった。時代の変化に対応している企業もある。時代の変化に対応できていない企業もある。

終身雇用は崩壊し、転職が当たり前になり、フリーランスという働き方があり、副業も当たり前になろうとしている。働き方改革の一環で、政府が推奨しているのが「副業・兼業の解禁」である。2018年には厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、同じタイミングで「モデル就業規則」から副業禁止規則が削除された。これにより大企業でも副業を解禁しつつある。

この記事では副業について、ハードルを感じている方に、私が収集した情報や感じていることを語りたいと思う。


1.民間企業が労働者に対して副業を禁止することは憲法22条違反!

そもそも民間企業の場合、副業禁止は憲法違反である。これは日本国憲法第22条「職業選択の自由にて規定されている。

第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

ここには副業が自由にできることも含まれている。憲法において「職業選択の自由」が保証されているため、民間企業が労働者に対して原則として法律上副業を禁止できないのである。ただし、公務員については例外であり「国家公務員法第103条、第104条」、「地方公務員法第38条」で副業が禁止されている。

民間企業が、原則として副業を禁止することができないとしながらも、就業規則によって副業について定めている。副業についての定めやその論調も様々である。

  • 「許可なく他社に雇用される」ことを禁止しているもの
  • 「会社外から報酬を得ること」を禁止しているもの
  • 「業務に対する精力が分散されること」を禁止しているもの
  • 「会社(例:人事部長)の許可」を必要とするもの

いずれも憲法では許可されており、当然のことながら副業自体が(公務員を除けば)違法行為にはならない。過去の判例では、「就業規則」で副業を禁止されていながら副業を行った場合でも、「副業を行った」ことを理由とする懲戒処分は基本的には無効とされている。

一般的に、企業の「就業規則」と「憲法・法律」が相反する場合は、「憲法・法律」の方が上位であり、「就業規則」が無効であると判断される。

2.会社が副業を禁止するのは本業に支障が出ることを懸念しているため

一方で、企業が副業を禁止できる、もしくは副業禁止の企業で副業を行った場合の懲戒処分が有効となるのは、一部のケースに限られる。このことを企業側も労働者側も知っておきたい。会社が副業を禁止するのは本業に支障が出ることを懸念しているためであり、副業を禁止できるケースもおおむねこれに沿った形となる。

厚生労働省が2018年に発表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には次のように記載されている。

副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、例えば、
労務提供上の支障がある場合
② 業務上の秘密が漏洩する場合
③ 競業により自社の利益が害される場合
④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
に該当する場合と解されている。

即ち、本業への支障が出ることを含めて、企業に不利益が出ないことが重要であり、ここさえ満たせば、企業は業務時間外の労働者の行動を制限することなどできないのである。

事実上、

  • 副業を禁止する
  • 副業禁止にも関わらず副業をしたから懲戒処分となる

のではなく、

  • 本業におけるパフォーマンスが低下する等、支障をきたすことを防止する
  • 機密情報の流出を防止する
  • 企業に不利益を与えたため、それに応じた懲戒処分を行う

と語られるべきである。

労働者が企業に不利益を与えることを防止する目的で禁止するべき行為の対象は、「副業」に限った話ではない。業務時間内、プライベート全般に言える話なのである。よって、「副業」を禁止すること自体がナンセンスだと言えるのである。

他にも、企業側としては

  • 「社員に副業で稼がれると、労働者から会社への忠誠心が損なわれる」
  • 「社員に副業で稼がれると、会社を辞められ、人材が流出する」

等と嘆くことが予想されるが、これも全くナンセンスである。「会社への忠誠心が損なわれる」「会社を辞められ、人材が流出する」ことは「副業」に限った話ではない。転職において他社が魅力的な求人を出して来たならば、労働者はそちらに流れるかもしれない。しかし、「転職活動」を「就業規則」で禁止するなど、聞いたことが無い。「会社への忠誠心が損なわれる」「会社を辞められ、人材が流出する」原因は「副業」にあるのではなく、全く別次元のところで企業側に問題がある可能性が極めて高いため、そちらを是正するべきなのである。

3.最近は副業を認める企業が増加、副業をすることの本当のメリットを語る

冒頭にも説明したとおり、副業を認める企業が増えてきている。

一般的には労働者が長時間労働になることや、企業側の労務管理の面でのデメリットが語られている。これも一部当てはまるかもしれないが、私のようなシステム・ソフトウェア開発の業務では、そもそも副業する余裕がないほど残業が常態化しているのが現実だ。企業としても、この点を改善すべきである。

副業には、デメリットよりもメリットの方が多くあると感じている。私自身がすぐに思い当たるものでも次のようなものがある。

  • 収入源が複数になる
  • 転職しなくとも会社外の業務を経験できる
  • 本業、副業の互いの経験・人脈を他方に活かせる

厚生労働省が2018年に発表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には次のように記載されている。

【労働者側のメリット】
① 離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる。
② 本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる。
③ 所得が増加する。
④ 本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる。

【企業側のメリット】
① 労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる。
② 労働者の自律性・自主性を促すことができる。
③ 優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する。
④ 労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる。

これだけではない。転職が当たり前となり、人材の流動性が高まり、企業に忠誠を誓わせるマインドが旧態依然のものとなりつつある今、あるパワハラ解決専門家は、

「『副業』はパワハラ対策としても有効」

である旨のメッセージを発信している。私自身も同感である。それまで「副業」には全く興味が無かったのだが、段々と「副業」に着目するきっかけになったくらいである。副収入があることは、経済的にも、心理的にもプラスであり、個人対企業という力関係を背景に個人が企業にコントロールされている状況と比べると明らかに良い。これを機にパワハラが無くなれば、「副業」がもたらす効果はハラスメント対策の面でも絶大であり、結果的に企業のコンプライアンス意識の向上に繋がる。逆に、これを都合が悪いと考えるのは、旧態依然の企業かブラック企業のみである。

企業が「副業」を解禁することは、働く人の価値観の多様化にも対応でき、人材の流動性が高まる現代において、より優秀な人材の定着率を高めるための道標と言っても過言ではない。

4.これからは副業が当たり前の時代になる!禁止している会社は時代遅れだ!

このようないきさつを考えると、これからは「副業」が当たり前の時代になる。冒頭に述べた通り、そもそも禁止すること自体憲法違反であるが、この認識すらない企業は、他の面でよほどの魅力がない限り、衰退していくものと思われる。

昔は、労働者は企業に忠誠を誓い、多少の理不尽にも耐えて、手厚い福利厚生やリターンを得ていたものだ。それは昭和の話であり、今は全く異なる。既に、終身雇用が崩壊しているのだが、企業にとって都合が悪くなると「希望退職」「セカンドキャリア」「構造改革」という名のリストラを行い、その割にはいまだに多くの企業が副業禁止を継続している。「企業は労働者を守る気が無いけど、労働者には企業を守ってほしい」という意図があからさまに見える状況だ。

一方、副業解禁に向けて次のように就業規則を見直そうとしている企業もある。

  • 【見直し前】副業は人事部長の許可を得た場合のみ可とする。
  • 【見直し後】副業は、スキルや人脈を本業に還元できる場合のみ可とする(単に収入増が目的の場合は不可)。

副業解禁に向けての動きは良いのだが、これは本質を理解していない例だ。冒頭でも述べた通り禁止すること自体憲法違反である。

  • 「スキルや人脈を本業に還元できる場合のみ可とする」
  • 「(単に収入増が目的の場合は不可)」

このような制約は一切通用しない。「本業への支障」や「企業への不利益」を出さないようにすることを企業から労働者へ要求することができるのみである。この例では、副業解禁という表面的な流れに乗っかるだけで、一部の条件下ではあるが、憲法違反の状態が【見直し前】から【見直し後】にわたって継続しているのである。憲法違反の他にもこのような思想の企業は、労働者を不当に縛り、会社にとって都合の良いことを重視する傾向にあり、他にも違法性やグレーゾーンを抱えている可能性が高いと考えて良い。

前章で述べた「パワハラ対策のための『副業』」についても、「収入アップのための『副業』」についても、「副業」自体を禁止するのではなく、「副業」をするに至る「前段」を解決すべきであり、「パワハラ対策」の例で言うならば、「パワハラが発生する企業においては、パワハラを無くす」というのが、ズレのない答えなのである。本業の収入だけで生活することが困難なほど十分な給与を支払っていない企業であれば、十分な給与を支払うか、「副業」を認めるかのいずれかである。これらのいずれの対策も怠り、ただ「副業」を「禁止」するなど、企業にとって都合が良すぎるだけの時代遅れと言っても過言ではない。

これからの時代の企業の就業規則のあり方として、私が考えている内容をまとめると、

  • (1) 労務提供上の支障がないこと
  • (2) 業務上の秘密を漏洩させないこと
  • (3) 競業により自社の利益が害されないこと
  • (4) 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がないこと
  • 上記(1)~(4)に反した場合は、その程度により懲戒処分となることがある

となる。つまり企業は「副業」には一切口出しせず、

  • 会社に不利益を与えないこと
  • 社会的な秩序を乱さないこと

のみを労働者に要求するのが、最もシンプルで理にかなっている。

民間企業の労働者は、副業について知識を付け、自分のキャリアの一部として欲しいと思う。

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社内に設けているハラスメント相談窓口はほとんど機能しない!

パワハラ防止法」を全社に適用することで、企業はパワハラ発生の対策を講じることが義務となった。多くの企業は、その一環としてハラスメント相談窓口を設けている。そして「社内でハラスメントが発生した際には相談窓口に相談するように」と、全社員に対して周知される。

しかし、現実には相談者が納得するほどの結果が得られることや、解決までたどり着くことのほうが少ないと考えて良い。

まだまだ、ハラスメント相談窓口は本来の機能を果たすことなく、被害者が泣き寝入りするケースもある。理不尽ではあるが、加えて個人での対策が必要であることをお伝えしたい。


1.事例から見るハラスメント相談窓口の無力さ

まずは、ハラスメント相談窓口へ報告したにもかかわらず、解決に至らなかった事例から紹介する。ここで紹介するのは一例であり、世の中にはこれより更に酷い事例は多く存在する。

他社の管理職(パワハラ加害者)からパワハラを受けた被害者が苦痛により、体調を壊した。この件に関し、後日被害者からパワハラ加害者に対してクレームした。その結果、しばらく当人同士でトラブルになったものの、被害者が屈することなく労働問題に対する正論を発信し、パワハラ加害者が最終的に謝罪した。これは組織内どころか、企業間の垣根を超えた社会的優良事例である。

しかし、後に被害者の上司(被害者側組織の管理職)は被害者に対して、

  • 「他社の管理職(パワハラ加害者)の意図を理解していたか?」
  • 「被害者の体調不良は他社には関係なく、当社内部で解決すべき。」
  • 「会社対会社の関係を考えているか?」

などと被害者を責めた挙げ句の果てに、被害者の人事評価を低評価とした。

被害者の上司の行為は、明らかにパワハラ被害者を黙らせることを目的としていることが見えており、「セカンドハラスメント」にあたる。

上記のセカンドハラスメント加害者の行為について、被害者はパワハラ相談窓口に報告した。パワハラ相談窓口の担当者は「セカンドハラスメント」の言葉をこの時初めて知ったとのことであり、「違法である」との実感が沸いていないようだった。

ハラスメント相談窓口は、被害者から「加害者の行為の違法性」に関する相談を受けても、この話を避けて「人事評価のやり方」に着目していた。ハラスメント相談窓口としても、この一連の内容に問題があるという意識を持っているようだが、事を平穏に済まそうとしている意図が見えている

また、人事評価の不利益について、

「人事評価については上司が部下の一年間の行動を見てきて最もよく知る立場なので、パワハラ相談窓口が介入できない。」

と述べ、セカンドハラスメント加害者が処分されることはなかった。

しかし、「セカンドハラスメント」の一般知識については社内に浸透させていくとの意向を示し、後日コンプライアンス部門から社内全従業員宛てに定期的に発信される情報に、「セカンドハラスメント」の一般知識について取り上げられた。

上記のセカンドハラスメントについて、被害者はこれ以上、不利益を受けることはなかった。しかし、解決に向けてもこれ以上進展することはなかった。被害者が受けた不当な人事評価は回復されることはなかった。セカンドハラスメント加害者からの被害者に対する謝罪もなかった。セカンドハラスメント加害者は、被害者からの社会的信頼を失った。

本来なら、セカンドハラスメント加害者による謝罪のほか、加害者の処分、被害者における不当評価結果の回復措置、本人・組織としての再発防止、損害賠償が必要なレベルである。
o08usyu7231.hatenablog.com

2.社内のハラスメント相談員は専門家ではない場合が多く、事を平穏に済ませたいケースが大半

社内のハラスメント相談窓口は、人事部門や総務部門といった企業内の管理部門が、本来抱えている業務と兼務するケースが多い。近年は人手不足もあり、ハラスメントに関する専門的な知見を持つ人材を社内で確保することが現実的に困難である。

また、ハラスメントに関する相談を受けた相談員は、自社でハラスメントがあったことをできるだけ認めたくないというのが人間としての心理でもある。できることならなるべく平穏に済ませたいだろう。社内の就業規則の解釈等により、なるべく会社に都合がいいように、最終的な落とし所を決めたい意図はあるだろう。

しかし、相談者の心理を汲み取れず、解決に至らないことで、かえって相談者からの信頼を落とし、相談者が外部の専門家や公的機関に相談する等の事態に発展する恐れがある。最悪の場合、裁判に発展する恐れがある。社内のハラスメント相談窓口の相談員は、ハラスメント案件を弁護士や外部の相談窓口に相談されるのが大変都合が悪いと考えているのである。

例えば、経費の不正な申請や業務中の私的な行為等、明らかに会社にとって都合が悪いことについては厳しい処分の対象となる会社でも、ハラスメントについては必ずしも厳しいとは限らない。ハラスメントを「指導」と称して被害者側に原因があるという扱いにしたり、ハラスメント加害者が実績を挙げてきた社員であるケースが多いため、ある意味これまで業務に貢献してきた社員を厳しく処分することが痛手と考え、対応が甘くなりがちとなってしまうのである。しかし、これが会社全体が衰退に向かっていく原因となることは、難なく想像できるだろう。

ハラスメントから話は逸れるが、近年企業の不祥事が相次いでいる。ハラスメントにしても然り、製品の検査における不正にしても然りである。「企業にとって都合の悪いことを隠蔽したい」という思いがあると、いつかは発覚し大事になると思った方が良い。

3.企業はハラスメント相談窓口を外部専門機関へ委託することを推奨する

社内にハラスメント相談窓口を設置し、社内内部通報制度を設ける理由は、ハラスメント問題が発生した時に、社内で解決したいためである。ハラスメントの事実が社外に漏れると、企業イメージの低下、ブランドの失墜を招き、新卒採用・中途採用にも苦戦を強いられ、最悪の場合事業継続すら危ぶまれる。

一方、パワハラ防止法」の適用(大企業は2020年6月~、中小企業は2022年4月~)により、パワハラ対策が全企業に義務付けられた。ハラスメント相談窓口の設置義務化もその一つだ。

しかし、特に中小企業など社内で十分な体制を整えられない場合があり、大企業であっても同様のところもあるだろう。

ここで企業側にとって手堅い方法が、「外部専門機関へ委託する」方法である。社内で専門知識を持った人材を確保するよりも効果的であるし、中小企業に限らず大企業であっても、人事部門や総務部門の社員による兼務をやめて、本来の業務に専念する方が企業にとっても良い。

中には、ハラスメント相談窓口を「社内窓口」と「社外窓口」という方法を取っている企業もある。「社外窓口」とは、例えば会社の所在地近くの法律事務所と会社が提携しているケースがある。このような形でも有効である。しかし、ハラスメント問題が法律だけで全て片付くものではないことを考えると、ハラスメント専門機関への外部委託が最も有効であると考えている。

ここが不十分であれば、社員の退職を招いたり、人材確保も難しくなる等、リスクを抱える時代となってきた。また、労働者は、「ハラスメント相談窓口を外部専門機関へ委託している企業」を選ぶのが良いだろう。

4.労働者は会社に頼りすぎず個人で対策することを推奨する

ハラスメント事案が発生した時は、企業が望む手順としては、まず上司に報告してほしいというのが本音だろう。次に、社内のハラスメント窓口や人事部門等、社内のしかるべき箇所に相談し、ハラスメント発生の事実を可能な限り社内にとどめ、社内で押さえ込みたいというのが本音だろう。

ただ労働者としては、これで本当に解決するかどうか不安である。解決に至らないどころか、ハラスメント被害者側をマインドコントロールして終わらせる場合も十分考えられる。社外のハラスメント相談窓口、弁護士、労働組合へ相談という手もあるが、ここに至るにはかなりハードルが高いのではないかと思う。一方で、社内のハラスメント相談窓口は信用できないから、社外の相談窓口の方が良いという考え方もある。

労働基準監督署パワハラの報告や告発することはお勧めできない。労働基準監督署労働基準法違反を取り締まる機関である。一方、労働基準法にはパワハラに関する条項がないため、労働基準監督署が取り締まることができない。被害者へのアドバイスくらいはしてくれる可能性はある。労働基準監督署は残業代未払い等に関する取り締まりの方を得意とし、こちらを優先しているのが現実である。

このような現実を踏まえながら、労働者はハラスメント被害を報告するときは、証拠を集め十分な準備をしてから、(1)上司、(2)社内のコンプライアンス相談窓口、(3)弁護士を含む社外の公的機関の順に、解決しなければ次のステップへ進めるというのが良いだろう。

ハラスメント相談窓口が適切な対応が出来ているかどうかは、相談者が判断しなければならない。そのためには、ハラスメント相談窓口が本来どのような対応を取るべきかを、あらかじめイメージ出来ていた方が良い。相談をする側も、受ける側も、是非インプットしておきたい内容だ。

本来、ハラスメント被害を受けるであろう労働者側に対して要求しなければならないことは社会的に非常に残念であり、私としても不本意ではあるが、転職、起業、フリーランス、副業など、あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。

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パワハラ事例解説(30) - セカンドハラスメント対応が甘すぎるコンプライアンス責任者

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
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パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
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このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
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【事例30】セカンドハラスメント対応が甘すぎるコンプライアンス責任者

パワハラは社内で発生するだけでも大きな問題であるが、取引先の従業員に対して行われるパワハラは更に深刻だ。
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まず、登場人物を整理する。

X社:システム開発企業。
Y社:X社の取引先で、商品開発・製造・生産を行う。
A氏:パワハラ被害者。X社のチームリーダー。
B氏:パワハラ加害者。Y社の管理職。
C氏:パワハラ発生時の、被害者A氏の上司。X社のマネージャ。
D氏:X社のコンプライアンス責任者。C氏の上司。

システム開発を行っているX社のA氏はチームのリーダーを担当している。Y社はX社の取引先で、商品開発・製造・生産を行っており、管理職のB氏が組織を統括している。

X社A氏の部門で設計したソフトウェアが原因でシステムの品質問題が発生した。品質問題対応の中で、B氏は終始A氏に対して高圧的であった。B氏はA氏へ品質問題に至るメカニズムの説明を求め、これに対してA氏が誠意をもって丁寧に説明したところ、B氏はA氏の話の腰を折り罵倒した。A氏はB氏のパワハラを原因として、体調を壊してしまった。早急な対応で大事には至らず、1日休養したのみで済んだ。

以降、B氏の対応はA氏の上司であるマネージャC氏が行った。

X社とY社はロケーションが離れていたためA氏とB氏、C氏とB氏のやりとりは、電話、メールがメインであった。ここまでの詳細は過去の記事を参照いただきたい。

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更に、パワハラ被害者A氏は、後日勇気を出して加害者B氏に対して、パワハラを受け体調に影響した旨のクレームとB氏の行動に対する是正要求を行った。しばらくトラブルになったものの、被害者A氏が労働問題の観点から正論を主張し続け、最終的に加害者B氏は被害者A氏に謝罪している。A氏の行動は、社会的優良事例である。この部分についても詳細は過去の記事を参照いただきたい。

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A氏は上司であるマネージャC氏に対して、この一連の話を共有している。このときのC氏の対応についての記事はこちらである。C氏からA氏へ、品質対応や顧客対応の一般的な内容に関して指導するものばかりであり、パワハラから話を反らし、被害者に寄り添っていないと思える内容だ。

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更にC氏は、A氏がパワハラを受け、声を挙げた時期に対するA氏への人事評価の一部を低評価とした。具体的には、「人間関係」に関する項目の評価を低くし、理由(根拠)を、

「他社(Y社)に対して、自己中心的な発言あり」

としていることが発覚した。この内容は被害者A氏からコンプライアンス相談窓口へ報告したが、

「人事評価に関する相談はときどきあるものの、評価対象者をよく知るのは直属の上司であり、コンプライアンス相談窓口は介入していない」

というのがコンプライアンス相談窓口の見解であった。

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A氏は、A氏自身の不当な人事評価からの被害の回復、C氏に対するしかるべき措置をすべきと考えており、社内のコンプライアンス窓口が対応できないなら、組織内のコンプライアンス責任者に説明することにした。

1.被害者がコンプライアンス責任者へ話のいきさつを説明

パワハラの加害者であるY社B氏に是正を要求し、上司であるX社C氏から不当に低評価されるセカンドハラスメントの被害を受けたA氏は、C氏の上司であり、かつ組織内のコンプライアンス責任者であるD氏にいきさつを説明した。

具体的な説明の内容は、上述の内容や、関連する過去記事の内容を参照いただきたい。特に、Y社B氏からのパワハラは解決済みであり、X社C氏からの不当な低評価を問題点の中心という扱いで、話を進めた。

また、A氏は同じ内容の説明を、コンプライアンス相談窓口にも説明済みであること、コンプライアンス相談窓口は個別の人事評価には応じられないことを明かした。

A氏はD氏に対して、C氏からの評価根拠に関するコメント

「他社(Y社)に対して、自己中心的な発言あり」

には、具体的にどのような意図があるのか、D氏からC氏にヒアリングするよう依頼した。

D氏はA氏の話を真剣に聞いた上で、後日改めてC氏からもヒアリングすることとした。A氏は、D氏がC氏からヒアリングするに先立ち、コンプライアンス相談窓口に提出した証拠(B氏からのパワハラを含むメールのやり取り、C氏からA氏へ向けたC氏の見解を記載したメール)をD氏にも開示した。

D氏はC氏へヒアリングする際、メール文面から読み取れる内容を中心に進め、A氏がC氏の件でコンプライアンス相談窓口に相談したことは伏せたうえで行うこととした。

後日、A氏とD氏は再び個室で面談し、D氏はC氏からヒアリングした内容をA氏に伝えた。

2.コンプライアンス責任者は被害者の成長を期待していると称するも、ハラスメントから話を遠ざけたいだけ

D氏の説明によると、C氏がA氏を低評価としたのは、品質問題の対応時におけるA氏とB氏のやりとりの場面で、否定的な意味はなく、今後のA氏の能力開発のためのものであり、A氏に対して期待を込めてのことであった。

D氏からA氏に向けて説明した内容は、ほとんどがA氏への指導的なもので、C氏からA氏に対して示した見解とほぼ同じ内容であった。D氏からは具体的に以下のような発言があった。

  • 「(パワハラ加害者である)Y社B氏の意図を理解しようとしたか?」
  • 「評価根拠の記載内容は重要でない。面談を通して意図を伝えることが重要だ。」
  • 「評価結果のコメントは短く分かりやすく書く必要があり、ちょっと厳しいかもしれない。」
  • 「A氏の成長を期待し、A氏のためを思って言っている」
  • 「(A氏の成長を期待したいが)今回の評価根拠の元となった出来事には、パワハラが含まれる点が話をややこしくしている」
  • 「とりあえずパワハラの話は置いといて・・・(以下略、A氏への指導内容)」
  • 「C氏の対応は問題ない」
  • 「C氏はもう(役職定年で管理職を外れるため)人事評価を行うことはない」

D氏はA氏のためを思って指導しようとしたものだが、これがどのように問題があるのかについては、後述にて解説する。

A氏はD氏からこのようなコメントを受けて、C氏が犯した過ちとあまり変わらないと感じた。A氏はD氏に、次の内容を指摘した。

  • 「元々、この話を私から行ったのは、組織内で起きているハラスメントが背景となっている」
  • 「C氏からの評価根拠コメントの意図をヒアリングするよう依頼したが、その先にはC氏を是正する目的がある」
  • 「今回、お話している案件は私(A氏)自身の行動、能力云々ではなく、C氏のコンプライアンスの問題として扱うべきである」
  • 「私(A氏)自身の成長のためなら、あのような表現はあり得ない」
  • 「私(A氏)自身の成長のためと称して、ハラスメントから話を反らしている隠蔽体質との印象を受ける」
  • 「今回のようなことがまかり通ると、この組織からハラスメントは絶対になくならない」
  • 「今回の不正な人事評価の結果について回復措置が必要である」
  • 「C氏からは未だに謝罪すらない」

D氏はA氏からの指摘を受けて、A氏の要求を一部受け入れ、以下のように回答した。

  • 「組織内のリーダー以上の社員、およびC氏に、人事評価結果を伝える際の表現に気を付けるべきことと、ハラスメントによる悪影響について展開する」
  • 「近年パワハラに関する世間の目は厳しく、少しの言葉やニュアンスが相手にとっては心理的ダメージとなる可能性がある。認識を高めることが重要だと思う」

最終的にD氏からC氏と部門内のリーダー以上の社員に、上述の内容が展開された。しかし、C氏からA氏に対する不当な人事評価は修正されず、A氏が受けた被害は回復することはなかった。

3.コンプライアンス責任者の言動に関する問題点とあるべき対応を解説

これまでにあるコンプライアンス責任者D氏の発言や対応に、A氏は納得していないようである。D氏の具体的な問題点を解説していく。

  • 「(パワハラ加害者である)Y社B氏の意図を理解しようとしたか?」

この発言のみを切り取れば、何も問題ない。組織や会社間で業務を進める以上、相手の意図を読み取り、理解することは必要なことであり、同時にそれができるだけの視座を高める必要もある。

しかし、これは一般的な指導であり、パワハラの被害を受けた人間の心理を無視した対応だ。パワハラを受けた状態ではパフォーマンスが下がるのは当然であるうえ、そもそもパワハラが発生していること自体が許容されるべきことではないのは明らかである。

このことを踏まえれば、被害者からすると話が飛躍しているのである。加害者や第三者はそのことに気付くべきである。行き過ぎた要求は、パワハラ6類型の一つである「過大要求」に該当する。本来、このケースにおいては加害者側(Y社B氏)がパワハラにならないように意図を伝えることが求められる。こちらを徹底して行う方が組織にとって健全だ。

「視座を高める」こと自体は必要だが、その手段は他にもあり、必ずしもパワハラを含むこの出来事をきっかけにする必要は無い。この出来事から、相手(加害者)の意図を理解するよう被害者側に要求することは、逆に加害者を庇い、パワハラそのものから話題を遠ざけようとする責任逃れの姿勢や、隠蔽体質が見破られ、ハラスメント対応としての不誠実さが目立つ。被害者にとって成長に繋がらず、不信感が増大するのも然りだ。

  • 「評価根拠の記載内容は重要でない。面談を通して意図を伝えることが重要だ。」
  • 「評価結果のコメントは短く分かりやすく書く必要があり、ちょっと厳しいかもしれない。」

「記載内容は重要でない」とあるが、記載内容が「重要」か「重要でない」かは関係ない。「記載内容」が被害者を傷付けてしまったことに着目すべきである。当然のことながらこのことをC氏が反省し、責任を取るべきである。また、D氏はこのような観点でC氏に対してこれに見合った処遇と指導をすべきである。

「意図を伝えることが重要」というのは間違いないが、評価結果として残る(人事システム等に登録される)のは、「他社に対する自己中心的な発言」という事実と異なる内容だ。「厳しい」という表現は、許容されるべきでない「不正」「ハラスメント」を組織にとって都合良く正当化しただけなのである。

また、評価者から被評価者へは面談等を通して意図を伝えるだけで済むかもしれないが、第三者が評価根拠の表現を見たときに、「他社に対する自己中心的な発言」がある人間であると誤認する懸念がある。あるいは被害者に対してネガティブイメージを植え付ける悪質な印象操作とも考えられる。このような理由からも「厳しい」では済まされないハラスメントである。

  • 「A氏の成長を期待し、A氏のためを思って言っている」

パワハラ/セカハラの隠蔽と責任逃れを目的に、被害者への改善指導を表向きとした意図的な論点ずらしと捉えられる。「A氏のためを思っている」なら成長するための「前段」を整えるべきである。ハラスメントが起きる環境で成長できるはずがない。本例では「ハラスメントを無くす」のみが正解だ。

そもそも「あなたのためを思って言っている」というのは、「あなたに気を使っている」という善意であるかのように見せかけて「あなた」をコントロールしたい意図があり、その言っている人にとって都合が良いだけなのである。そこを見抜くべきた。
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  • 「(A氏の成長を期待したいが)今回の評価根拠の元となった出来事には、パワハラが含まれる点が話をややこしくしている」
  • 「とりあえずパワハラの話は置いといて・・・(以下略、A氏への指導内容)」

認識が全く逆である。A氏は「パワハラ」を発端として、その二次被害を含めてコンプライアンス責任者であるD氏へ報告している。
話の中心は「パワハラ」であり、それ以外が枝葉なのである。

被害者A氏の成長のための人事評価と称して、パワハラを隠蔽したい意図が見えており、被害者の立場を無視した発言である。このような発言は、コンプライアンスが二の次になっていることが即座に読み取れると発言と断言できる。

  • 「C氏の対応は問題ない」

人事評価におけるC氏のモラルの低さや、コンプライアンス意識の低さが諸悪の根元である。パワハラ被害者を不利益扱いするセカンドハラスメントは、安全配慮義務(労働契約法第5条)違反等の法令違反であり、損害賠償請求の対象にもなりうる。加害者を擁護する言動もセカンドハラスメントに含まれる。そもそもC氏の対応は問題だらけであり、その上司であるD氏にも管理責任があるのだ。

  • 「C氏はもう(役職定年で管理職を外れるため)人事評価を行うことはない」

これもD氏が根本を理解しているのか疑わしい発言である。C氏が今後(役職定年で管理職を外れるため)人事評価を行うことがないことは事実だ。しかし、ハラスメント問題に対して無策で良いわけではない。本事例はC氏におけるコンプライアンス意識の欠如が人事評価の場面で顕在化しただけであり、放置すると今後他の業務を含めて悪影響が予想されるということまで意識が及ばなければいけない。

  • 「組織内のリーダー以上の社員、およびC氏に、人事評価結果を伝える際の表現に気を付けるべきことと、ハラスメントによる悪影響について展開する」

コンプライアンス責任者D氏が、管轄組織内のリーダーや一般社員に、管轄組織内でハラスメントが発生したことの展開(詳細はプライバシーを考慮して伏せる)、ハラスメントに関して意識を高めるよう啓蒙する対応ついては良好である。これは本事例に関与していない組織内の社員に対しての話である。問題なのは「C氏に」「展開する」という点である。はっきり言って対応が甘すぎるのである。C氏に対しては何かしらの処分、もしくはC氏が人事評価という管理職としての職務に不備があったことを考慮して、C氏自身の人事評価へ反映させるべきである。

  • 「近年パワハラに関する世間の目は厳しく、少しの言葉やニュアンスが相手にとっては心理的ダメージとなる可能性がある。認識を高めることが重要だと思う」

この内容自体は全く問題ない。その通りである。ただ一般論過ぎて、どれだけの人が自分事として捉えられるかが疑問に感じるところである。


これまで、X社内の管理職の対応等見てきても、C氏の人事評価は不当であり、D氏もC氏に同調する面においては不適切である。ポイントを大きくまとめると以下の2点だ。

  • 「被害者における人間関係・能力の問題」ではなく、「加害者におけるコンプライアンスの問題」による被害であること
  • 「他社の人間に対して自己中心的な発言」ではなく、「他社のパワハラ加害者に対する人間教育という、会社間の垣根を超えた社会的優良事例」であること

4.パワハラ被害者の改善点をセカンドハラスメントにならないように伝えるには?

万が一、パワハラ被害者に改善点があるとしても、管理職であるC氏、コンプライアンス責任者であるD氏ともに、今回の対応に私は合格点を与えることができない。仮に、パワハラ被害者の改善点をセカンドハラスメントにならないように伝えるにはどのようにすれば良いか、被害者を指導したい側にとっては非常に悩ましい限りである。

セカンドハラスメントについては、私自身ネット等で調べた限りでは色々解説されている。多くの記事に共通して記載されているのは、ハラスメント被害者に対して、「指摘」、「指導」、「責任追及」はいずれもNGであるとのことである。必要なのは「傾聴」だ。セカンドハラスメントにならないような被害者への指導方法はないと考えた方が良い。

パワハラ専門家によると、「あなたにも悪いところがある」という人は相談相手として不適格であるとしている。即ち、相談を受ける能力を持っていないということである。確かに、C氏もD氏も組織内の管理職であって、ハラスメント問題の専門家ではないため致し方ないかもしれない。

それでもパワハラ被害者の改善点について指導したいなら、加害者には(セカンドハラスメント加害者も含めて)しかるべき厳しい処分が必要だろう。その処分の内容を被害者にも説明し、その上で被害者の改善点に触れることだろう。ハラスメントを揉み消し、被害者に問題があるかのようにマインドコントロールするなどもってのほかである。

コンプライアンスの重要性は年々高まり、世間の目は厳しくなっている。その流れに乗り遅れると企業にとって大きなマイナスとなるリスクを抱えており、将来取り返しのつかない事態になることを忘れてはならない。組織はパワハラに対して対策を取る義務がある。

最後に、被害者にとっては本当に残念無念でしかない。真っ当なことを主張したにもかかわらず、相手との力関係で不利益を受けるなど本来あってはいけないし、そもそも正論が通用しない組織などあり得ないのである。しかし、残念ながらこのような問題がある企業は少なくないのが現実だ。最悪の事態に備えて、自分が壊れる前に、自分のことは自分で守る術を身につけておかなければならない。不健全な組織に尽力してあげる必要があるのか、考えるべきだ。

【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
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いざというときの退職も安心!

そして準備が整った後、いざパワハラ被害を理由に退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。

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人事評価における「中心化傾向」はそれほど問題でない!「中心化傾向」を避けることのリスクを語る!

人事評価に納得いかない人は多くいるだろう。その原因の一つに人事評価をする側における、以下のことが考えられると一般的には言われている。確かにその通りだと思う。

  • 「ハロー効果」:一つの良い面につられて全て評価しがちであること。
  • 「中心化傾向」:当たり障りのない無難な評価になること。
  • 「期末評価」:評価時期直前の出来事に偏って評価すること。
  • 「寛大化傾向・厳格化傾向」:全体に甘い、あるいは評価者自信と比較して厳しく評価すること。
  • 「対比誤差」:評価者の得意分野に厳しく、苦手分野に甘くなること。
  • 「論理誤差」:事実よりも思い込みで評価すること。

この記事で着目したいのは「中心化傾向」である。

よく、「メリハリのある評価をしましょう」と言われることがある。

その結果、できるだけ「中心化傾向」を避け、もしかしたら必要以上に優劣をつけようとする傾向にあるかも知れない。

ただ、この傾向にはリスクがあるということについて、語ろうと思う。人事評価を行う管理職、および低い評価をつけられて困るという一般社員に読んでもらいたい。


1.それぞれの個性を活かし、組織の成果を最大化することが、人事評価の目的の一つ!

まず、「中心化傾向」とはどのようなものかを考えてみようと思う。冒頭の説明にあるように

「当たり障りのない無難な評価になること。」

は、個人の強み・弱みを明確にすることができず、今後の成長の方向性が見えない。これは問題である。

一方、組織にはそれぞれの個人が個性を持ち、それぞれ異なる個性がミックスして、組織として最大の成果を挙げることができればよいわけである。

例えば、Aさんは〇〇については強みがあるが、□□については苦手としている。Bさんは逆に□□については強みがあるが、〇〇については苦手としている。そしてその結果、組織としては成果を挙げることができており、Aさん、Bさんともトータルでは優劣をつけがたいが、どちらも組織に貢献しており、組織にとって貴重な人材だというケースがある。

このような例の時に、それぞれをしっかり評価し、今後の成長に向けたポイントを明確にすること自体は良い。ただ、「中心化傾向」を避けるためにトータルとして優劣をつけなければならないとなると、人事評価を行う管理職は非常に悩ましいのではないだろうか?

ここで勘違いしてほしくないのは、「中心化傾向」を避け、メリハリのある評価を行うために、Aさん、Bさんの優劣をつけることが目的となってはいけないということである。

本当に目指したい姿は、「それぞれの個性を活かし、組織の成果を最大化すること」である。管理職が全うしなければならない職務でもある。ここを見失ってはいけない。誰も異論はないだろう。

従って、「無難な評価」を目指した「中心化傾向」は問題にしても、それぞれの人に強み・弱みがあり、

「トータルで判断すれば、結果的に『中心化傾向』になってしまった」

のであれば、そこまで問題視することではないのである。

2.「中心化傾向」を避けるための低評価は、トラブル発生のリスクを抱えるのみ!

上述のようなケース、

「トータルで判断すれば、結果的に『中心化傾向』になってしまった」

に対して、さらに上位の管理職が「もっとメリハリを付けるべきだ!」等と煽るケースがある。

ここで、「中心化傾向」を避けるために優劣をつけるとなると、それは大きなリスクを伴うと考えた方が良い。

優劣をつけるために、低い側に評価された人は、

  • 「本来低評価される必要が無いにも関わらず、低評価された」
  • 「理由の妥当性を伴わないまま、不利益を受けた」
  • 「他の人と変わらない、もしくは他の人よりも成果を挙げているにもかかわらず、なぜ自分だけ・・・」

と感じてしまい、評価がどのようなプロセスで行われているのか疑問に感じたり、場合によってはトラブルに発展する恐れがある。

「中心化傾向」どころか、これを回避するために発生させたトラブルの方が、後々リスクになることを忘れてはいけない。

個人個人が同じようなアウトプットを出していても、

  • 「評価者との価値観の一致/不一致で判断すること」
  • 「正しいかどうかよりも、組織にとって都合が良いかどうかで判断すること」
  • 「行動事実よりも、評判や噂を鵜呑みにすること」

により、優劣をつけることは大変危険だ。しかし、残念ながらよくある話なのである。

3.低評価の結果、個人および組織に悪影響を与える!

一般的に低評価をする場合は、評価者は通常よりも細心の注意を払うべできであり、被評価者に対して納得できる理由の説明が必要である。

「中心化傾向」を避けるための低評価は、本来被評価者の成長のために必要でないことであるケースが多い。

説明がつかない不正や、行動事実とのつじつまが合わないことは、早かれ遅かれバレてしまうのである。

ここで、低評価を受けた人は、

  • 「成果を挙げても評価されない!」
  • 「更に頑張っても、ハイリスク・ノーリターンだ!」
  • 「評価者の好みや、感覚の一致/不一致ではないか?」

と疑念を持つようになり、パフォーマンスに影響が出てくる可能性がある。

上述した例の、Aさん、Bさん双方が、組織に欠かせない貴重な人材だったとしても、不要に優劣をつけることで、片側の人のパフォーマンスが低下し、それが組織のパフォーマンス低下につながる恐れがある。

人事評価による不満は、世の中一般でも多く発生しており、優秀な人材になればなるほど転職・退職理由になる。優秀な人が退職すれば、周囲の人の負担が増えたり、退職者の穴埋めのためのメンバの採用コストや教育コストがかかり、ただでさえ人手不足の時代である中、組織にとって痛手となることは間違いない。当該組織の管理職のみならず、周囲のメンバにとっても悪影響だ。「中心化傾向」よりもこちらのリスクの方が極めて高いことがお分かりいただけるだろう。

4.組織に悪影響を与えると、結局管理職の責任だ!

退職者を出す等、組織に悪影響を与えるとなると、結局管理職の責任である。

「中心化傾向」を避けるために、「中心化傾向」より大幅に悪い結果を招いてしまうと、管理職の行いとしては失敗である。退職者のせいにするなどもってのほかである。

冒頭に記載したように、それぞれの個性を活かし、組織の成果を最大化することが、管理職の使命だ。

この点がわかっている管理職であれば、メンバに対して気を使い、敬意を表するはずだ。力関係で人を動かすなどもってのほかだし、人事評価の場面で、管理職が好き勝手できるわけではない。

また、管理職の責任であっても、被害を受けるのは不要な低評価をされたメンバ、およびその周囲のメンバだ。

逆に被害を受けたメンバは、低評価の根拠は理解しておく必要があるが、必ずしも自分に非や落ち度があるわけではないことも理解しておくべきだ。ただ、厄介なのは被害を受けたメンバでも対策をしなければならないということだ。
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パワハラ事例解説(29) - パワハラ被害者に対して人事評価で不利益扱いする違法行為

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
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【事例29】パワハラ被害者に対して人事評価で不利益扱いする違法行為

パワハラは社内で発生するだけでも大きな問題であるが、取引先の従業員に対して行われるパワハラは更に深刻だ。
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まず、登場人物を整理する。

X社:システム開発企業。
Y社:X社の取引先で、商品開発・製造・生産を行う。
A氏:パワハラ被害者。X社のチームリーダー。
B氏:パワハラ加害者。Y社の管理職。
C氏:パワハラ発生時の、被害者A氏の上司。X社のマネージャ。

システム開発を行っているX社のA氏はチームのリーダーを担当している。Y社はX社の取引先で、商品開発・製造・生産を行っており、管理職のB氏が組織を統括している。

X社A氏の部門で設計したソフトウェアが原因でシステムの品質問題が発生した。品質問題対応の中で、B氏は終始A氏に対して高圧的であった。B氏はA氏へ品質問題に至るメカニズムの説明を求め、これに対してA氏が誠意をもって丁寧に説明したところ、B氏はA氏の話の腰を折り罵倒した。A氏はB氏のパワハラを原因として、体調を壊してしまった。早急な対応で大事には至らず、1日休養したのみで済んだ。

以降、B氏の対応はA氏の上司であるマネージャC氏が行った。

X社とY社はロケーションが離れていたためA氏とB氏、C氏とB氏のやりとりは、電話、メールがメインであった。ここまでの詳細は過去の記事を参照いただきたい。

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更に、パワハラ被害者A氏は、後日勇気を出して加害者B氏に対して、パワハラを受け体調に影響した旨のクレームとB氏の行動に対する是正要求を行った。しばらくトラブルになったものの、被害者A氏が労働問題の観点から正論を主張し続け、最終的に加害者B氏は被害者A氏に謝罪している。A氏の行動は、社会的優良事例である。この部分についても詳細は過去の記事を参照いただきたい。

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A氏は上司であるマネージャC氏に対して、この一連の話を共有している。このときのC氏の対応についての記事はこちらである。C氏からA氏へ、対Y社B氏への「品質問題対応」や「顧客対応」の一般的な内容に関して指導するものばかりであり、A氏が受けたパワハラから話を反らし、被害者に寄り添っていないと思える内容だ。

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この記事で解説するのは、この出来事が発生した時期に対する、C氏が行ったA氏に対する人事評価である。Y社B氏に対して、A氏がパワハラ被害を訴えたことによる不利益と感じる内容だ。

1.人事評価による不利益な扱いが発覚する

C氏は、A氏がパワハラを受け、声を挙げた時期に対するA氏への人事評価の一部を低評価とした。具体的には、「人間関係」に関する項目の評価を低くし、理由(根拠)として、

「他社(Y社)に対して、自己中心的な発言あり」

と入力していることが発覚した。

このことを知ったA氏は、疑問に感じた。本来、低評価の項目は今後の成長に繋げるべきポイントである。「自己中心的な発言」という、具体性がなく、心当たりのない根拠に対して、具体的にどの出来事のことを指しているのかを、A氏自身で出来事ベースで分析し、振り返った。

結果、この出来事以外に人間関係におけるトラブル等問題はなかった。更に、この評価の対象期間以外の時期にもトラブル等は発生していない。それどころか、A氏はY社から丁寧な仕事ぶりを評価されており、周囲のメンバとも良好な人間関係を構築できている。

更に、「評価根拠の文面」と、「A氏が証拠として保有していた、パワハラ被害を受けた当時のC氏の見解を記載したメール文面」(詳細は過去記事参照)の内容が一致していることから、低評価の元となった出来事はY社B氏から受けたパワハラに声を挙げた結果であると特定した。根拠の文面からは、A氏の発言にあたかも問題があるかのような印象操作であるのだが、実態は全く違う。

A氏は、C氏が実施した不正な人事評価について、X社内のコンプライアンス相談窓口に連絡し相談した。同時にA氏が保有しているこれまでのハラスメントの証拠を、コンプライアンス相談窓口に開示した。

2.人事評価による不利益な扱いは回復されなかった

A氏はパワハラ相談窓口の担当者と面談した。面談の対象となる出来事は大きく2点あり、1つは「Y社B氏から受けたパワハラ」、もう1つは「A氏の上司であるC氏からの不正な人事評価」についてである。

後者を説明するための背景として、前者の説明が必要だ。前者はY社B氏から既に謝罪を受けており、コンプライアンス相談窓口への報告のみに留めた。

問題は後者だ。A氏は当時、まずは相談程度のアプローチで、一旦C氏には通報があったことを知らせない方向で進めた。

A氏は、コンプライアンス相談窓口の担当者に、C氏の行為は安全配慮義務違反」パワハラ防止法違反」、および「セカンドハラスメント」にあたる可能性を伝えた。コンプライアンス相談窓口の担当者は、確かに人事評価の根拠の妥当性や被害者が納得いかないことについては問題視しているものの、法律面の話となるとこれを反らし、人事評価面談のやり方に関する問題点を挙げてきた。

また、コンプライアンス相談窓口は

「人事評価に関する相談はときどきあるものの、評価対象者をよく知るのは直属の上司であり、コンプライアンス相談窓口は介入していない」

としている。

コンプライアンス相談窓口の対応としては、(A氏が通報したことをC氏に知らせないため)C氏に対しては何もせず、全社員に対して「セカンドハラスメント」の一般知識に関する情報発信をした。また、コンプライアンス相談窓口により通報者のプライバシーは守られた。

しかし結局、これ以上は何も進展せず、A氏に対して行われた不当評価は修正等の回復がされることはなく、C氏に対しても懲戒処分がなされることはなかった。人事評価プロセス等の見直しや、特段の再発防止策もなかった。

3.パワハラ被害者に対する人事評価の不正について解説

この案件は、C氏が評価者としてのモラルに問題がある。コンプライアンス相談窓口の対応も一部疑問がある。C氏が行ったような、被害者に更に被害を与えるハラスメントのことを、「セカンドハラスメント」という。

A氏を低評価にした、根拠の文面をもう一度ここで確認しておく。

「他社(Y社)に対して、自己中心的な発言あり」

C氏がこの人事評価を行うにあたって、X社A氏がY社B氏からパワハラを受けていたことは既にわかっていたはずである。そのことを知りながら「他社に対して」のキーワードのみを切り取り、あたかも被害者に問題があるかのように見せかける印象操作であることがわかる。評価根拠の文面から「A氏のパワハラ被害が背景にあった」ことなど全く触れられておらず、会社側(評価する上司側)に都合の良いパワハラ揉み消し行為であると捉えられるだろう。

パワハラ被害者にとって、パワハラ被害を訴えたことが人事評価上の不利益に繋がるならば、安心して働くことができない、即ち安全・安心な職場環境とは言えず、安全配慮義務(労働契約法第5条)違反と言えるだろう。並びに、パワハラ被害に対して適切な対策を取っていないことからもパワハラ防止法違反と捉えられ、企業イメージが大きくダウンするリスクがある。パワハラ被害者へ、不利益を与えるセカンドハラスメントは社会的にも深刻な問題だ。
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また、後半の「自己中心的な発言」であるが、X社A氏がY社B氏から受けたパワハラ一連のやりとりのことを指しているならば、加害者にパワハラの是正要求を行うことが「自己中心的な発言」なのだろうかという疑問が生ずる。これは被害者が「自己を犠牲にしない」、即ち自己防衛のためのアクションであり、「自分の身勝手で他人に迷惑をかける」という「自己中心的」とは全く内容が異なるものだ。
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パワハラ被害者であるA氏の行いは、先の記事でも述べた通り社会的優良事例である。それにもかかわらず、今回C氏が行った人事評価は、A氏の勇気ある行動を踏みにじるものであるとともに、「社会的に正しいか」(社会目線)よりも「会社にとって都合が良いか」(会社目線)が基準になるという、不祥事の起きやすい体質であるどころか、この出来事自体がすでにこの企業の不祥事である。
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管理職が認識しておかなければならないのは、人事評価で低評価をする場合は、細心の注意が必要であるということだ。人事評価は評価対象者の処遇を決めるのみならず、今後の成長に向けた方向性の認識合わせや、改善課題の洗い出しが必要である。今回の場合は、このパワハラ一連の出来事以外でA氏に改善点があるなら、そこを明確にした根拠でなければならない。

もし、このパワハラ一連の出来事に関してA氏の改善点を挙げるとすれば、「他社の人間から受けたパワハラ被害に対して、個人ではなく組織での解決を試みる行動を期待する」旨のコメントが妥当であろう。これならば、背景としてA氏がパワハラ被害を受けたという事実が第三者から見ても明確である。

また、「会社対会社の関係性を考え、他社からのパワハラ被害を受けても、そこは空気を読め」という旨のコメントでも、都合が悪いことを隠蔽したい意図があからさまに表れて問題だ。しかし、今回の「他社に対して、自己中心的な発言あり」のコメントは、より最悪な結果である。なぜなら、人事評価という舞台の上で「A氏がパワハラ被害を受けた」ことを揉み消し、「A氏がY社に対して何かやった」という部分のみを切り取り印象操作した、X社にとって都合の良すぎる結果であるからだ。本来ならばC氏は、懲戒処分や損害賠償が必要な程度の不祥事である。不祥事以外にも、管理職が行う重要な業務の一つである人事評価と評価対象者の育成という職務を果たせていないという問題点もある。再発防止策の検討は当然必要だ。

4.企業のコンプライアンスとしても不十分

コンプライアンス相談窓口の対応については、社員に対して「セカンドハラスメント」の一般知識に関する情報発信をしたことや、通報者のプライバシーを守っている点に関しては良好な対応であると考えている。

しかし、問題点もある。「安全配慮義務違反」と「パワハラ防止法違反」等、法律面での話を反らし、人事評価面談のやり方に関する問題点に話の内容をシフトした点である。一見、会社にとっては無難な対応のようにも見える。いくら社内のコンプライアンス相談窓口とはいえ、自社の社員が違法行為をしたことを認めたくないというのが、人間としての心理だろう。しかし、C氏の行為は違法行為であることには変わりないのだ。そのことに、真摯に向き合うべきだ。更に、人事評価面談のやり方の問題の前に、C氏自身の人事評価に対するモラルが根本の問題であることを、第一に述べられなければいけない。

コンプライアンス相談窓口が

「人事評価に関する相談はときどきあるものの、評価対象者をよく知るのは直属の上司であり、コンプライアンス相談窓口は介入していない」

としている点については理解できるが、これを放置しておくことは、

「今回のようなハラスメントが起きても人事評価ならば介入できないからノータッチ」

というスタンスを貫くことになり、被害者にとっては自分の実績を正しく評価されないという不安を抱えることになる。

この案件は、人事評価の問題ではなく、人事評価という土台の上で起きたハラスメントであるため、C氏および組織のコンプライアンスの問題なのである。この意識を持っておくことが重要だ。コンプライアンスの問題に対する無策は、許容できるものではない。

コンプライアンスの重要性は年々高まり、世間の目は厳しくなっている。その流れに乗り遅れると企業にとって大きなマイナスとなるリスクを抱えており、将来取り返しのつかない事態になることを忘れてはならない。組織はパワハラに対して対策を取る義務がある。

最後に、被害者にとっては本当に残念無念でしかない。真っ当なことを主張したにもかかわらず、相手との力関係で不利益を受けるなど、本来あってはいけないことであるが、残念ながらこのような問題がある企業は少なくないのが現実だ。最悪の事態に備えて、自分が壊れる前に、自分のことは自分で守る術を身につけておかなければならない。不健全な組織に本当にあなたがいてあげる必要があるのか、考えるべきだ。

【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
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いざというときの退職も安心!

そして準備が整った後、いざパワハラ被害を理由に退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。

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あなたの悪い評判に対して「みんな言っている」という人は信用できないと考えて良い

仕事などにおいて、何かしらの業務、活動、行いに対して、悪い噂や評判が発生し、ある特定の人が対象者に対して、

「みんな言っている」

と言うことがある。

対象者は、何か自分の行いについて思い当たることがあればそこを是正すれば良いのだが、そうでもなければ、なぜ自分が良かれと思っている行いについて悪い噂や評判が発生しているのか、不安に感じることがある。

この記事では、あなたがこのようなことを言われたときの対処法について、自分の経験を踏まえて語りたいと思う。


1.まずは謙虚に自分の行いを振り返る

これは基本である。まず、あなたが謙虚になって自分自身の行いを振り返ることだ。

自分自身に是正できること、気を付けるべきことがあれば気を付ければいい。一方、あなたにも考えがあって行っている行動で、譲れない部分もあるだろう。どの部分に食い違いがあるのかはっきりさせるアクションが必要だ。

しかし、この先が重要だ。必ずしもあなたに原因があるとは限らない。冷静に真の原因を突き止めることだ。

「自責思考」「他責思考」関係ない。根本の問題を突き止めるのみである。「他責思考」を非難している人ほど「他責思考」であるどころか、被害者もしくは叩きやすい人に責任を擦り付ける傾向がある。見抜くべきところは正しく見抜くべきだ。
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あなたの行いを振り返った結果、あなたの行いに問題はなく、価値観の違いであったり、他者の原因であったりすることは十分ある。

「みんな言っている」と言っている人は、あなたに原因があるという結論を出し、責任を認める、あなたが変わってくれることを期待している

期待しているだけであって、それ自体が正しいかどうかは別の話だ。

「みんな言っている」と言っている人にとって都合よくあなたの責任にしたい、あなたに責任を擦り付けたいという可能性は少なからずあるのだ。

「みんな言っている」という言葉を、あなたが真面目に受け取り、真の原因がわからないまま余計なことに神経を消耗し、悪い評判を恐れて何もできなくなることが、本末転倒である。

2.実はあまり大したことが無くて、不安を煽らせたいだけの行為

あなたの悪い噂や評判に関して「みんな言っている」と言っている人は、あなたに

  • 「そうなのかな」
  • 「みんな言っているということは、その可能性が高いのかな」

と不安を煽らせ、あなたをマインドコントロールしただけなのである。

特に、「みんな」の部分を強調し、数で勝負し、あなたを従えさせようとするやり方に、あまり効果は無い。「大人数がやることが正しい」と思考停止しており、その中身を考えることを放棄し、あなたに同調圧力をチラつかせる、陰湿なやり方だ。
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そうではなく、

「あなたの行いが、どのような場面で、どのような人たちが、どのように困っているのか」

と中身を分かりやすく伝える方が効果的であることは間違いない。

そして、後になって分かるのは、実はあまり大したことはなく、「みんな言っている」と言っている人が拡大解釈していたり、周囲の人からすると、あなたほど気にしていなかった程度のものであるということが少なからずある。

3.「みんな言っている」と言う人が責任を持ちたくないだけ

そもそも「みんな」というのは、どの範囲の「みんな」なのか?

全社員なのか、特定事業部の全社員なのか、部門内の全社員なのか、チーム内の全社員なのか、チーム内の一部社員+部門内の一部社員なのか・・・?

一人ひとり、全員に聞いたのか?

このことからわかるように、大変曖昧であり、前述した通り不安を煽らせてコントロールしたい意図が見え見えなのである。肝心の中身を問うと、かなり曖昧にぼかすことが多い。

「みんな言っている」と言う人は、あなたに何か言いたい、指摘したい、自分の主張を正当化したいと思っているものの、その人が発言に対して責任を持ちたくない意向から、発言元を不特定に分散させたいだけなのである。

本当にあなたに伝えたい困りごとがあれば、「みんな言っている」ではなく、しかるべき人が責任をもって言うべきだ。ただ、立場や力関係を気にして言いづらいこともあるだろう。しかし、そのしかるべき人が責任を持って言えないということは、責任を持って言うほどの内容ではない可能性もある。もしそうでないならば、「みんな言っている」とか数を持って圧力をかけるのではなく、責任を持って内容を丁寧に伝えるべきだ。

4.管理職が人事評価面談の場面でこれを言うと、そもそも管理職としての適性が無いと断言する

「みんな言っている」
「〇〇の部門も、△△の部門も、・・・」

このようなことを、管理職が評価者として、人事評価面談の場面で被評価者に言うとなると、これまでとは桁違いに問題である。

人事評価面談は被評価者の行動事実に基づいてその結果をフィードバックするものであり、公平性の確保と、説明責任を必要とする。

しかし、行動事実よりも風評被害を元に、低い評価を付けるとなると、信頼関係が崩れ、心理的安全性を壊し、最悪退職を招き、組織にとってダメージが大きくなる。

さらに酷い場合、被評価者が評価者に対して具体的な内容を問うと、

  • 「具体的なことは言えない」
  • 「自分で考えろ」
  • 「言われなければ気づかないのか」
  • 「いつも伝えている」(伝えているつもりで実際は伝わっていない)
  • 「〇〇の立場で、1から10まで言わないといけないのか」
  • 「(被評価者)のことについて相談やクレームがあった」
  • 「証拠は持っているが開示できない。上層部や人事部には必要に応じて開示する」

などと、評価結果のフィードバックが不十分であるどころか、一部脅迫めいた発言が見られた事例もある。伝える内容が抽象的、感覚的で伝わらない、なぜ低評価となっているのか理由が分からない、被評価者が容認できる程度を超えたものであれば、最悪の場合、パワハラと認識されてしまう傾向がある。

内容にもよるが被評価者に納得してもらう、もしくは事実の誤認識、価値観の違いがあれば明確にするなど、評価結果のフィードバック面談の目的を達成できておらず、被評価者に不安と不満を与えるこのようなケースでは、管理職が管理職として機能しておらず、適性が無いと断言できる。

人事評価一般の話であるが、低評価をする際はトラブルになりやすいので慎重を要する。上記のようなクレームを受けたとしても、事実関係を明確にし、双方からの言い分をヒアリングし、総合的に判断すべきである。片方の言い分のみを聞いて、一方的に低評価を行うことは、人事権の濫用にあたるリスクもあるので注意が必要だ。よって、「みんな言っている」と数や規模で脅し、同調圧力をチラつかせるのではなく、できるだけ中身にフォーカスし、お互いの言い分について対話を重ねることが重要であることをお伝えしたい。そうすれば、実は「低評価にする必要がなかった」ということも十分ありうる。

このように、管理職として機能していない管理職の管轄にあるメンバにとっては、とてつもないストレスになる。そのようなメンバが、ストレスや心理的負担を軽減するためにまず最初に行動してほしいことの1つは、「転職サイトに登録する」ことである。転職エージェントは、転職サポートの他、数多くのキャリア相談に携わっており、社内の上司、同僚よりも、より客観的にあなたを評価してくれる可能性が高い。閉鎖的な組織の中で「みんな言っている」といった内容を信用するよりかは、別の角度からあなたの可能性を見出し、キャリア面における選択肢を提供してくれる可能性がある。あなたの可能性を知ることで、「みんな言っている」などと言う言葉に流されず、閉鎖的な組織からの洗脳を防ぐことができる。あなたにとってより良い可能性を見出し、より良いキャリアを歩んで欲しい。

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エンジニアが「ソースコード」を書くことにネガティブなマインドを持つ必要はないと断言する

日本の場合、ITエンジニアと言えば、新卒でIT企業へ入社し、「プログラマー」としてプログラミングの経験を積む。そしてその経験を積むとプログラミングだけでなく、要求元から要求をヒアリングしたり、システムを設計する「システムエンジニア」(SE)となる。

そして段々と「下流工程」の業務から「上流工程」への業務とステップアップしていく。

更には、マネージャー、管理職と昇進していくのが、日本の企業における一般的な「レールの上を走る」イメージだろう。

このような一般的に言われていることに目を向けると、あたかも「ある程度年齢を重ねたエンジニアがソースコードを書くこと」に対してネガティブなイメージを持たれてしまうことが多い。

このことについて、そうではない考え方があるので紹介しようと思う。


1.当たり前だが「プログラミング」がなければ、システム開発が成り立たない

まず当たり前のことであるが、システムやソフトウェアを伴う製品開発には、「プログラミング」という工程があり、ここがないと全体が成り立たないのである。いくら、製品やサービスの企画部門が良いアイデアを出したところで、何も実現しないのである。今の世の中があるのは、「プログラマー」を含めた「ソフトウェアエンジニア」のおかげだと言っても過言ではない。

システムや製品開発には、各工程を表す「V字モデル」というものがある。詳しくは他のページや情報処理技術者試験の参考書等を見てほしい。

「(1)企画・構想」~
「(2)システム設計」~
「(3)ソフトウェア設計」~
「(4)プログラミング(実装)」~
「(5)単体テスト」~
「(6)結合テスト」~
「(7)システムテスト(総合テスト)」~
「(8)運用テスト」

詳細は書籍やWebサイトによって異なるも、概ね上記のような形で紹介されているだろう。

そして(業界の人間でなければ馴染みのない言葉だが)「上流工程」「下流工程」という言い方があり、概ね次のようなイメージだ。

  • (上流工程)「(1)」>「(2)」>「(3)」>「(4)」(下流行程)
  • (上流工程)「(8)」>「(7)」>「(6)」>「(5)」(下流行程)
  • 「(1)」~「(4)」は企画・設計・作成側、「(5)」~「(8)」はテスト・検証側

ソースコードを書くのは上記工程の「(4)」、そのためのソフトウェア設計は「(3)」にあたる。ソースコードを書く工程「(4)」や、その対となる単体テスト「(5)」は、「下流工程」に位置付けられる。

2.「プログラミング」は高いスキルを必要とする!「下流行程」などと軽視すべきではない!

私はこの、「上流工程」「下流工程」の呼び方をあまり快く思わない。

前述したように、システム・製品開発には、「プログラミング」は避けて通れないどころか、ソフトウェア設計やプログラミングは高いスキルが必要である。「上流」「下流」などではなく、各工程をフラットに捉えられるような呼び方が良いのではないかと思う。

システム・製品企画ばかり行っている人が、「プログラミング」できるかというと、そうでない人の方がほとんどだし、「下流工程」を下請け企業に丸投げなどというケースもある。

ソフトウェアがシステム・製品の価値を提供するにも関わらず、そのことを未だに理解していない企業も多いことが、日本の製造業が衰退し、海外に差をつけられてしまった結果に繋がっている。

逆に「プログラミング」をやっていた人が、「エンジニア」となり、「システム設計」、「仕様提案」、「企画」と「上流工程」へスキルの幅を広げることは、歓迎されている。でも、「ソフトウェア設計」「プログラミング」を軽視してはいけない。

技術的な話になるが、システム・製品に何が求められるかによって、あるべき設計が変わってくる。処理速度なのか、プログラム容量(サイズ)なのか、移植性なのか、拡張性なのか、わかりやすさなのか、・・・。様々な制約の中、このあたりを最適に仕上げていくことは、至難の業である。「ソフトウェア設計」「プログラミング」の腕の見せ所、即ち高いスキルを必要とするのだ。だが、エンジニア以外の多くの人たちにはこのことがあまり知られていない。

「上流工程」のほうが「下流工程」よりも、待遇が良いことが多いのだが、「下流工程」はスキルは必要だが待遇は良くないというケースが珍しくない。まだまだ「下流工程」が軽視されている証拠だ。下流工程」こそ良い待遇が必要なのではないかと思うくらいだ。

3.日本の一般企業以外では、「プログラミング」を軽視することはない

前述した通り、「プログラミング」はスキルが必要な仕事だ。ソフトウェア設計、システム設計と「上流工程」をカバーできるエンジニアは尚良いというだけであって、「プログラミング」を軽視して良いわけではない。

海外では「プログラミング」は専門職として扱われ、熟練したスキルを持つエンジニアが職務にあたり、高い報酬を得る。日本企業のように、「提示された仕様書通りにプログラムを書く」という位置づけではない。昔、海外では管理職でもソースコードを書くのが当たり前だという話も聞いたことがある。日本の管理職は、上位になればなるほど実務から離れていく。英語ができて、海外で生活してもいいという人にとっては「プログラミング」のプロとして生きていくのも十分ありだと思う。

また、副業での「プログラミング」はスキルアップするほど収入が増えていくとの情報もある。扱う言語が増えれば個人で受注できる案件も増えてくるし、頑張れば頑張るほど収入が増えると言われている。対して、日本の企業で頑張れば頑張るほど収入が増えるかというとそうではない。

「プログラミング」に限った話ではないが、よく「収入を増やしたいなら、スキルをアップせよ!」と言われることがある。スキルアップは重要だが、それよりも重要なのは「収入を多く得られる環境へ身を移すこと」である。転職でも、副業でも、フリーランスでも良い。スキルのみアップしてもそれが正当に評価されなければ意味がないのである。評価されても、企業に属している以上、給与が大幅に上がることはない。「プログラミング」スキルや「エンジニア」を軽視するような体質の組織であれば、それがおかしいと見抜くことが必要なのだが、そのような環境にしか身を置かない人にとっては「そんなもんだろう」と思ってしまうのである。

4.最近は「スペシャリスト指向」や「プログラミング」への理解が得られつつある

私自身も開発チームのリーダーを担当していた頃は、プレイングマネージャーとしてソースコードを書いていた。周囲からはどのような目で見られていたかわからないが、私はそれほど苦痛ではなかった。元々、自分でコードを書くことも好きな方だから、そうなのかも知れない。

最近は、「プログラマー」→「システムエンジニア」→「プロジェクトリーダー」→「プロジェクトマネージャ」→「管理職」のようなキャリアプランのみならず、技術のスペシャリストとして「生涯エンジニア」というキャリアプランもある。「ソフトウェアエンジニア」が必要とされている時代だけあって、以前は「プロジェクトマネージャ」や「管理職」が中心であった40代以降の求人も、今では技術のスペシャリストといった求人も出てきている。フリーランスという働き方もある。働く人の価値観も多様化しており、企業側もそれに対応する必要がある。

「プログラミング」に関しては、最近「プログラミングスクール」というものが現れてきている。必要なスキルの一つと認識し始めたのだろうか?

スカイマークの社長が「プログラミング」を学んだという話は有名だ。航空会社の社長が「プログラミング」を学んだ理由は2つ。

  • データ収集をしたいと思うが、実現可否や難度を見極めたいため。
  • 自分でアプリを作りたいという思いがあり、まずは基礎から勉強したい。

意識が素晴らしいと思った。
tech-camp.in

自分で考え、自分で手を動かして、自分で学ぶ、これができる人材は本当に強い。「ソフトウェア開発」や「プログラミング」を軽視して下請け企業に丸投げする企業や、「ソースコード」を書くことにネガティブなマインドを持つ人とは大きな違いだ。

更に、現代ではご存じの通りエンジニア不足がより一層深刻になっている。少し前ならば、30代後半、40代になってもマネジメント経験のない人は転職市場では厳しいと言われていた。しかし、状況が変化する速度には驚くものがある。40代のエンジニアを確保することが困難になってきている。50代のエンジニアを採用した成功事例がある。若手のエンジニアが不足し、働き方や働く人の価値観が多様化してきた現在、製品・システム開発現場から離れたマネジメント層(管理職)よりも、現場での実務経験が豊富で高いスキルを持った40代、50代のエンジニアが重宝されているとのことである。システム開発の実務が出来て、ソースコードも書けて、スキルのあるエンジニアは、やはり市場から声がかかるものだ。自分の市場価値が知りたければ、まずは転職サイトに登録することだ。

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パワハラ事例解説(28) - パワハラ加害者に寄り添った間違いだらけのパワハラ対応

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例28】パワハラ加害者に寄り添った間違いだらけのパワハラ対応

パワハラは社内で発生するだけでも大きな問題であるが、取引先の従業員に対して行われるパワハラは更に深刻だ。
o08usyu7231.hatenablog.com

まず、登場人物を整理する。

X社:システム開発企業。
Y社:X社の取引先で、商品開発・製造・生産を行う。
A氏:パワハラ被害者。X社のチームリーダー。
B氏:パワハラ加害者。Y社の管理職。
C氏:パワハラ発生時の、被害者A氏の上司。X社のマネージャ。

システム開発を行っているX社のA氏はチームのリーダーを担当している。Y社はX社の取引先で、商品開発・製造・生産を行っており、管理職のB氏が組織を統括している。

X社A氏の部門で設計したソフトウェアが原因でシステムの品質問題が発生した。品質問題対応の中で、B氏は終始A氏に対して高圧的であった。B氏はA氏へ品質問題に至るメカニズムの説明を求め、これに対してA氏が誠意をもって丁寧に説明したところ、B氏はA氏の話の腰を折り罵倒した。A氏はB氏のパワハラを原因として、体調を壊してしまった。早急な対応で大事には至らず、1日休養したのみで済んだ。

以降、B氏の対応はA氏の上司であるマネージャC氏が行った。

X社とY社はロケーションが離れていたためA氏とB氏、C氏とB氏のやりとりは、電話、メールがメインであった。ここまでの詳細は過去の記事を参照いただきたい。

o08usyu7231.hatenablog.com

更に、パワハラ被害者A氏は、後日勇気を出して加害者B氏に対して、パワハラを受け体調に影響した旨のクレームとB氏の行動に対する是正要求を行った。しばらくトラブルになったものの、被害者A氏が労働問題の観点から正論を主張し続け、最終的に加害者B氏は被害者A氏に謝罪している。A氏の行動は、社会的優良事例である。この部分についても詳細は過去の記事を参照いただきたい。

o08usyu7231.hatenablog.com

A氏は上司であるマネージャC氏に対して、この一連の話を共有している。この記事で述べるのはC氏の対応についてだ。

1.パワハラ被害者における主張の内容をおさらい

まず、パワハラ被害者A氏から加害者B氏へ、最初にメール送信した内容がこちらである。

【被害者A氏から加害者B氏への送信内容概要】

  • 「私(A氏)に対して高圧的であった。C氏への対応とは全く異なる。なぜここまで差が出るのか?」
  • 「『品質問題』についてメカニズムを説明するも、話を途中でぶった切るなど、聞き手としてのマナーに問題がみられる」
  • 「説明内容が理解されないのみならず、罵倒され、大変心が痛む。」
  • 「体調の異変に気付き、あの翌日発熱し、1日休暇した。一歩間違えれば大きな『労働問題』。」
  • 「今後、このようなことが二度と無いよう是正していただきたい。」

この内容は後程、被害者A氏から上司であるC氏へ転送したのだが、その前に加害者B氏からC氏へも転送されている。

その後、C氏はこのメールの内容に対する見解をA氏に返信し、A氏とC氏はその内容を基に話し合った。

2.パワハラ一連について被害者に対する上司の対応

A氏からB氏へパワハラ被害に対するクレームのメールをC氏が確認し、A氏へ向けた見解の概要は以下であった。

【被害者の上司C氏から被害者A氏へ向けたC氏の見解】

  • 「両者の意志疎通に不備がある。」
  • 「品質問題の対応にあたり、Y社が知りたいことを理解していたか?」
  • 「A氏とB氏における視座の違いだ!」
  • 「品質問題に対する社外への対応だが、例えば相手が『○○(Y社からの更に先の製品提供先)』『今回品質問題が発生した製品を使っていただくエンドユーザー』に対しても同じ対応をするのか?」
  • 「(健康被害を受けた件を他社に)『言う』という行為が残念である。」
  • 「A氏の体調不良はY社には関係なくX社内の問題」
  • 「会社対会社の関係をどう考えている?」
  • 「不満があればまずは私に言うべき」

これに対して、A氏はC氏との話し合いの中で、口頭で回答した概要は以下であった。

【上司C氏の見解に対する被害者A氏の回答】

  • 「いくら顧客・取引先であっても、パワハラ含め理不尽な対応をされたときの話は全く別物である」
  • 「人間である以上、被害を受けた旨の意思表示はすべきであり、『会社対会社』以前に『人間対人間』レベルの話である」
  • 「『顧客の方が偉い』、『発注元の方が立場が上』という考え方は誤り」
  • 「B氏は私に対してパワハラのリスクとなる行為に及んだが、私は今回の品質対応を含めてメンバーに丁寧に接しているし、圧力をかけずともメンバーはよく動いてくれている。私とB氏の違いがここにある」
  • パワハラ加害者へのプライバシーに配慮し、最小人数での解決を試みた」

また、これ以外にもA氏はB氏から受けたパワハラについて、パワハラの定義や事例を調べパワハラの可能性があるとしながらも、最小人数での解決を試みる意向から、パワハラ相談窓口には報告しない意向を示した。

3.パワハラ一連について加害者に対する上司の対応とその後

A氏とC氏が話し合った後、その結果を踏まえて、C氏からB氏へメールで下記のように連絡した。

【被害者の上司C氏から加害者B氏への送信内容概要】

  • 「今回のA氏とB氏のメールでのやり取りについて、私の見解を元に、A氏と話をしました。全面的に、私の見解に納得してもらい、A氏も反省しています」
  • 「今回、品質問題発生により逼迫し、意思の疎通に不備が生じたと考えます」
  • 「結局、品質問題の発生が根元であるという認識は皆一致する点ですので、今回のA氏とB氏のやりとりの件はこれで終了して、以降の円滑な開発を目指し協力をお願いします」

これに対して、B氏からC氏には、次のように連絡があった。

【加害者B氏から被害者の上司C氏への送信内容】

  • 「いろいろとお手数をおかけし申し訳ございませんでした。」

先の記事にもあるとおり、B氏はA氏に対して謝罪があった。A氏とB氏とは、これ以降トラブルになることはなかった。

A氏はB氏とのやりとりに疲弊し、しばらくの間元気をなくしていた。第3者としてC氏が入ったことによって一時は安心感を覚えたものの、正気を取り戻す度にC氏の対応に疑問を感じていた。B氏からのパワハラに声を挙げたことに対しても丸め込まれた感覚を受けており、A氏とC氏との打ち合わせでは、C氏からA氏へ、品質問題の対応や対外的な対応に関して指導する内容が中心であった。

この時点で本出来事を知るのはA氏、B氏、C氏の3名のみである。A氏はB氏からのパワハラについて、話を大きくすることなく最小人数で解決したい意向であった。そのため、この時点ではパワハラ相談窓口に報告する等のアクションを起こしていない。

4.パワハラ一連について上司の対応・マインドに関する問題点ついて解説する

ここで着目するのはC氏の言動だ。被害者A氏に対して、加害者B氏に対して、それぞれにおける問題点について解説する。

  • 「両者の意志疎通に不備がある。」
  • 「品質問題の対応にあたり、Y社が知りたいことを理解していたか?」
  • 「A氏とB氏における視座の違いだ!」

まず、パワハラか否か明確でない状況であっても、A氏からB氏に向けたクレームの内容は、B氏の言動によりA氏が被害を受け、健康面に影響したことである。C氏はここを無視し、矛先がA氏に向けられている点から、アプローチの入り口が既に間違っていることが容易にわかる。パワハラ発生の揉み消しを意図していると疑われても無理はない。

C氏からA氏に向けて発したメッセージは、A氏がパワハラを受けていないことを前提とした一般論に終始している。A氏自らがパワハラ解決に向けて動き出した社会的優良事例にも関わらず、このような対応をされたのでは、A氏の気持ちは絶望的なものだろう。

ハラスメント被害者からの訴えや相談に対して、更に不利益を与える行為を「セカンドハラスメント」という。被害者にとっては、勇気ある行動の結果の二次被害だ。
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  • 「品質問題に対する社外への対応だが、例えば相手が『○○(Y社からの更に先の製品提供先)』『今回品質問題が発生した製品を使っていただくエンドユーザー』に対しても同じ対応をするのか?」

今回のY社B氏以外に、『○○(Y社からの更に先の製品提供先)』『今回品質問題が発生した製品を使っていただくエンドユーザー』といった相手を出すことで、立場や力関係を利用して、恐怖でもって被害者を黙らせるための誘導と捉えられる。上述のとおり、パワハラ被害者に対するセカンドハラスメントであり、これ単独でもパワハラとなる。

  • 「(健康被害を受けた件を他社に)『言う』という行為が残念である。」

更に「『言う』という行動が残念である」と明示していることから、やはり被害者を黙らせることが目的と解釈される。本来、パワハラ被害者を守り、パワハラ発生に対する対策を取り、労働者の安全を確保し、快適に働ける環境を作ることが管理者の仕事である。都合が悪いことを理由に被害者を黙らせるのはコンプライアンス上問題であり、安全配慮義務(労働契約法第5条)違反にあたる。

  • 「A氏の体調不良はY社には関係なくX社内の問題」

A氏の体調不良に関しては、B氏のパワハラ関係なく発生したものであれば、「A氏が稼働できないことで(Y社のような)他社へ迷惑をかけている」と言え、X社内の問題であると言える。しかし、本ケースはパワハラの加害者はY社に属するB氏である。被害者側組織が「パワハラを受け、体調を崩し、申し訳ございませんでした」などとなるだろうか? 常識で考えてもらいたい。明らかに、X社内の問題ではなくY社の問題である。A氏のように体調を崩し、不利益を被った人を更に叩くなど、お門違いも甚だしい。

  • 「会社対会社の関係をどう考えている?」

これもパワハラ被害者を黙らせるための一言である。
「会社対会社の関係」とは、悪事で迷惑をかけたことによる影響が、チーム内、部門内といった社内で留まる場合よりも大きいといった意味で、本来パワハラ加害者に対して言う言葉である。しかし、このケースでは、他社から理不尽な言動等を受けても、波風立てないよう黙らせる意味で、パワハラ被害者に向けて使われている。安全配慮義務違反(労働契約法第5条)違反および、パワハラ防止法違反にあたる。こちらの記事で解説している内容についても参考にしてもらいたい。
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  • 「不満があればまずは私に言うべき」

このケースのように「パワハラを受けた場合は、まず上司に相談する」というのが王道だと言われている。上司側の立場からもまず自分に知らせてほしいはずである。しかし、もう一段深く考えなければならない。「上司」は「上司」であって、「パワハラ専門家」ではない。パワハラ対応がまともにできないどころか、「教育」と称して被害者に対して責任追及をし、更に苦しめる上司もいるから残念だ。あるパワハラ専門家は、「被害者に対して『あなたにも問題がある』という人は、相談を受ける能力を有していないということである」とコメントしている。全くその通りだ。

この事例では、A氏がB氏からパワハラを受けたことを、B氏へクレームする前に、C氏へ報告したならば、最悪の場合C氏はB氏へクレームの内容を伝えることなく、A氏をマインドコントロールしていた可能性があるのだ。

ここで被害者側にとって重要なのは、パワハラを相談する相手を見極めることはもちろん、不適切な対応をされたときの次の手を考えておくことだ。理不尽な話であることは重々承知の上だが、正しいパワハラ対応ができる人材が少ないのが現実だ。

  • 「今回のA氏とB氏のメールでのやり取りについて、私の見解を元に、A氏と話をしました。全面的に、私の見解に納得してもらい、A氏も反省しています」
  • 「今回、品質問題発生により逼迫し、意思の疎通に不備が生じたと考えます」

これはC氏が加害者B氏へ向けた内容である。A氏はC氏の見解に納得していないし、反省するはずがない。C氏がB氏にただ忖度しているだけなのである。品質問題の発生についてはX社の問題なので、そのことを含めれば、C氏からB氏への気遣いがあるのだろうと考えられる。ただ、「意思の疎通に不備が生じた」ことはパワハラをして良い理由にはならない。

  • 「結局、品質問題の発生が根元であるという認識は皆一致する点ですので、今回のA氏とB氏のやりとりの件はこれで終了して、以降の円滑な開発を目指し協力をお願いします」

「品質問題」を根絶することはそのとおりである。確かに、「品質問題」が発生しなければ、B氏からA氏へのパワハラは発生しなかったと思われる。しかし、このコメントには致命的な過ちがある。

「A氏とB氏のやりとりの件はこれで終了して、・・・」の部分だ。「品質問題」さえ発生しなければ、パワハラ対策やコンプライアンスの啓蒙を行わなくても良いのかという話である。加害者側組織、被害者側組織ともにパワハラ対策に向けた取り組みが必要であるが、実際にパワハラが発生しているにもかかわらず、管理者としてコンプライアンス意識が、とてつもなく低い状態にある。

管理職は自部門の業績を最優先し、コンプライアンスが二の次になる傾向がある。しかし、これでは更に大きなマイナスとなるリスクを抱えており、将来取り返しのつかない事態になることを忘れてはならない。組織はパワハラに対して対策を取る義務がある。

【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
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そして準備が整った後、いざパワハラ被害を理由に退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。

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ソフトウェア開発が逼迫している状況を依頼元に丁寧に説明すれば理解していただけた!

日本の製造業はソフトウェアを軽視し、ITエンジニアのブラック労働で成り立っている。

全てとは言わないし、また開発現場によって程度は異なるが、この傾向は概ね当てはまっている。

私自身の過去の経験、他社の状況、専門家の見解にて合致する点は多い。

しかし、これによる問題点を理解していない人が多い。

  • ソフトウェアによる価値を創出できない
  • 労働環境を理由にエンジニアの退職を招く
  • 残りのエンジニアに負荷がかかる
  • ソフトウェア開発は「キツイ仕事」というイメージを与える
  • エンジニアを目指す人が少なくなる
  • IT技術者不足

等々、負のスパイラルだらけだ。

このようなときこそ声を挙げるべきであり、まともな組織なら是正へ向けたスタートとなる。粗悪な企業であれば、声を挙げた人を叩き、誰も声を挙げなくなり、いつまでも是正されず、衰退していく。

この記事では、まずは逼迫した状況について「声を挙げよう」という内容、および幸いにも依頼元に理解していただけたという事例についてお伝えする。全ての依頼元がこのような結果になるとは限らないので、慎重な見極めを要するところである。


1.システム開発の前行程のしわ寄せをソフトウェアエンジニアの犠牲で賄う現状

本来、システム開発の前行程に遅れが生じたり、システム開発中における機能追加が発生することは、スケジュールを変更しなければ後行程にしわ寄せが行くのである。ソフトウェア開発などまさに該当する。

普通はスケジュール延期、人員の増員で賄える場合は人員の増員、優先度が低い機能の搭載見送り等何かしらの調整が行われる。しかし、現実には、ソフトウェアエンジニアの犠牲で賄うことが少なくない。ソフトウェア開発組織内の調整や工夫で凌げるならまだ良いのだが、これが間に合うレベルではないから問題になるのである。

そして、ソフトウェアエンジニアの長時間労働という、犠牲の上で開発が成り立ってしまい、以降もそれが当たり前になってしまい、またその状況を

  • 「ビジネスとはこのようなものだ!」
  • 「業界の常識!」
  • 「甘い考えはを排除し、己に厳しく・・・」

等と称して、間違った考え方で洗脳しようとする者まで出てくる。

実際に過去に対応した開発業務で、前行程のしわ寄せを受けたにも関わらず、前行程の進捗促進・サポート、開発製品群での機能仕様共通化、ソフトウェア開発組織への人員追加投入、長時間労働で賄い、納期を変更せず対応した案件がある。
o08usyu7231.hatenablog.com

2.この状況を変えるべく、まずは開発プロジェクト全体を振り返る

開発プロジェクトの「振り返り」を行う組織は少なからずあるだろう。良かった点、悪かった点を洗いだし、次の開発に活かしていくというスタイルである。「振り返り」の対象とする要素内容では、技術面、開発プロセス面、プロジェクト運営面が多く、品質(quality)、コスト(cost)、納期(delivery)の観点から行われる。

先程のリンクの記事にあるプロジェクトは、品質、コスト、納期、いずれも問題なく達成しており、一見なんの問題もなさそうに見えてしまうが、色々と紆余曲折があったプロジェクトである。ソフトウェア開発部門で実施した「振り返り」の結果、良かった点が多くあるものの、一部改善点があるというものだった。

しかし、本当の問題はそこではない。当該プロジェクトは、開発序盤からソフトウェア開発部門から要求元部門へ積極的にアプローチし、フロントローディングを行ったにも関わらず、

  • 要求仕様決定の遅れ
  • 開発中の追加仕様
  • 納期の延期なし
  • 対応機能の削減を申し入れたが、受け入れてもらえない
  • ソフトウェア開発部門内での調整以外になす術なし

といった、前工程のしわ寄せを全てソフトウェア開発部門が受けてしまい、開発終盤にソフトウェア開発部門の業務が逼迫し、最終的には、

  • ソフトウェア開発部門内での人員増強(により、他のプロジェクトへの進捗に影響が出た)
  • 一部メンバの長時間労働(により、心身の負荷がかかるという犠牲の上に成り立たせる)

ことで、プロジェクトを完了させたことである。

このようなことがまかり通り、

  • 「業界の常識」
  • 「いままでもやっていた」

と称して当たり前の状況になるから、ソフトウェア開発部門内外関わらず、「労務」や「コンプライアンス」に対して感覚が鈍り、麻痺してしまい、気付いたら

  • 「品質に影響が出ていた」
  • 労務問題に発展していた」
  • 「人材が流出していた」

となるのである。幸いにも、このプロジェクトは

  • 「品質不良が市場に流出する」
  • 「メンバが体調を崩す」
  • 「メンバが流出する」

といったことは発生していないが、リスクや予兆こそ早目に捉えて手を打つべきであり、問題が顕在化する前に改善していく必要がある。

ソフトウェア開発部門内で、個々のプロジェクトでの反省点を洗い出し、次に繋げることは有効である。その一方、多くの開発プロジェクトに共通してみられる、業務過多による労務問題といった根本的な問題と向き合い、本気で是正しなければ未来はないと言っても過言ではない。特に、経営層や管理職にそのような姿勢が求められる。企業によっては、これすらも現場に丸投げしているのが実態だ。

それでもまず、ソフトウェアエンジニアができることとして、このプロジェクトでは「振り返り」を、従来から行ってきたソフトウェア開発部門内で行うものに加え、要求元部門を交えて合同で「振り返り」を行うことを、ソフトウェア部門のメンバから要求元部門へ提案した。

3.発注元を巻き込んで本音ベースで語ろう!何かが見えてくるよ!

要求元部門と合同で「振り返り」を行うにあたって重要なことは、本音で語ることだ。うわべだけ、形式だけの実施では、根本的な問題は解決しない。

ここで気を付けなければいけないのは、ソフトウェア部門は正直に、

  • 「前工程のしわ寄せを受け、ソフトウェア開発が逼迫して困る」
  • 「このような状態が改善されないと、品質(quality)、コスト(cost)、納期(delivery)に対するリスクのみならず、長時間労働をはじめとする労務トラブルに繋がるリスクがある」
  • 「一部の人や組織の犠牲の上に全体を成り立たせることが問題であることは、コンプライアンス教育の場面でも語られている」

という感じで、自分たちが困っていることを明確に伝えたうえで

  • 「要求元部門としても、短納期での依頼に至るには、更に前段階からのしわ寄せを受けている可能性がある」
  • 「我々ソフトウェア開発部門も、要求元部門のすべてが見えていない」
  • 「要求元部門にも何か困りごとがあるはずだ」

という感じで、要求元部門に対して気遣いを見せることだ。

そして、ソフトウェア開発部門、要求元部門が、

「開発中のあのときの〇〇の場面で、□□となったが、もう少し妥当な進め方はなかっただろうか。」

という問いに対して、Win-Winとなるよう落としどころを決めることである。Win-Win以外はビジネスは成り立たないと思ってほしい。

一例を挙げると、システムのある機能仕様が2パターンあり、この2パターンのうちどちらにするかなかなか確定しない場面においては、

  • 【方法A】仕様確定まで、ソフトウェアの設計・作成に着手せず、確定へ導く
  • 【方法B】2パターンの仕様の両方のソフトウェアを設計・作成し、最終的に要求元に選んでもらうだけにする

という方法が考えられる。ソフトウェア開発の総工数(=コスト)を最小にすることや、作業の手戻りを発生させないことを重視する人は【方法A】を選ぶ(要求元やマネージャがこの考え方ならメンバに【方法A】を指示する)だろう。一方、ソフトウェア開発の総工数(=コスト)は増えるが、開発期間の早い時期に【方法B】を実践し、開発終盤にソフトウェア開発部門の業務が逼迫することを回避するという選択肢もある。ソフトウェア開発業務を逼迫させると、品質に影響が出てかえってトータルのコストが膨れ上がるリスクさえある。アーキテクトの一般論としては、仕様が未決の部分の設計を局所化する(=未決部分がどちらに決定しようとも、作成済みの部分のソフトウェアに影響を与えないような設計とする)ことが語られている。システム開発のプロジェクトで何を重視するのかは各案件によって異なるが、【方法A】【方法B】の一方に固定するのではなく、適宜協議するということを、ソフトウェア開発部門と要求元が合意するに至っている。

結果、このような本音で語る合同の「振り返り」によって、要求元も学ぶことが多かったようである。

  • 「ソフトウェア開発部門が、しわ寄せを受け、逼迫している状況を理解できた」
  • 「ソフトウェア開発部門の思いを聞くことができて良かった」
  • 「コミュニケーションを大切にし、良いシステム開発に繋げたい」

要求元部門からは、このような前向きなコメントが出ている。本音で語る合同の「振り返り」は、良い取り組みであったと考えている。

4.言ってみる価値はある。発信することは大切だ!

この開発プロジェクトを見てもわかることだが、やはり「現状」「困りごと」を発信することは大切だ。このプロジェクトの要求元部門は、ソフトウェア開発の大変さをわかる、理解のある人たちである。丁寧に発信すれば、理解してもらえる。

一方、この開発プロジェクトとは異なり、要求元にはソフトウェア開発を下請けに丸投げし、ソフトウェア開発部門が抱える困りごとを発信したにもかかわらず

  • 「ソフトウェア開発部門内で解決すべきだ」
  • 「ソフトウェア開発部門の労働環境など、我々要求元が知ったことではない」
  • 「ソフトウェア開発部門の技術の問題だ」

などと、高圧的な対応を取る要求元もいる。これではWin-Winにはなりえないし、健全なビジネスではない。要求元もソフトウェア開発を含めたシステム開発や製品開発の責任を背負っていることを自覚し、ソフトウェア開発部門や、ソフトウェアエンジニアを犠牲にすることなくビジネスを成り立たせるべきである。コンプライアンスが厳しくなる中、これができない要求元は、まともなソフトウェア開発組織から相手にされず、衰退していくことになるだろう。

なので、やはり発信することだ。発信しなければ何も始まらない。発信したことに寄り添えなければ、相手は所詮そのレベルだ。

世間一般に目を向けると、

  • 元々の過労に加えて、新型コロナウィルス対応で更に疲弊している医療機関
  • 過酷なトラックドライバー・夜行バス会社をはじめ、安全を脅かす事態になっている運輸業
  • 通常授業に加え、放課後・休日の部活指導、保護者対応で長時間労働になりやすい学校教員
  • 多重下請け構造という構造上の問題により、高いスキルが求められる割には激務で低賃金なIT業界
  • 国会・もしくは国会議員の非効率なやり方のしわ寄せを受けて、次々と辞めていく若手のエリート官僚

といったことを、誰かが発信し、メディアによって広く報道されるからこそ、我々一般の人たちがその実態を知ることになるのである。
o08usyu7231.hatenablog.com
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発信されなければ、問題はいつまでたっても実態が見えず、重要な問題点も水面下のままだ。