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パワハラ事例解説(27) - パワハラ被害の訴えと是正要求に対して追加のパワハラ

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例27】パワハラ被害の訴えと是正要求に対して追加のパワハラ

パワハラは社内で発生するだけでも大きな問題であるが、取引先の従業員に対して行われるパワハラは更に深刻だ。
o08usyu7231.hatenablog.com

まず、登場人物を整理する。

X社:システム開発企業。
Y社:X社の取引先で、商品開発・製造・生産を行う。
A氏:パワハラ被害者。X社のチームリーダー。
B氏:パワハラ加害者。Y社の管理職。
C氏:パワハラ発生時の、被害者A氏の上司。X社のマネージャ。

システム開発を行っているX社のA氏はチームのリーダーを担当している。Y社はX社の取引先で、商品開発・製造・生産を行っており、管理職のB氏が組織を統括している。

X社A氏の部門で設計したソフトウェアが原因でシステムの品質問題が発生した。品質問題対応の中で、B氏は終始A氏に対して高圧的で、A氏はB氏のパワハラを原因として、体調を壊してしまった。早急な対応で大事には至らず、1日休養したのみで済んだ。

以降、B氏の対応はA氏の上司であるマネージャC氏が行った。

X社とY社はロケーションが離れていたためA氏とB氏、C氏とB氏のやりとりは、電話、メールがメインであった。ここまでの詳細は前回の記事を参照いただきたい。

o08usyu7231.hatenablog.com

この記事で述べるのはこの続きの話だ。

1.まずはパワハラの定義や類似事例について被害者自身が調べる

厚生労働省の調査によると、パワハラ被害者のうち約4割が「何も行動を起こさない」という結果が出ている。被害者の多くは、ここで泣き寝入りしてしまうのではないだろうか?

しかし、A氏は違った。A氏はB氏の振る舞いにどうしても納得がいかなかった。当たり前である。

A氏は、B氏の行為はパワハラに当たる可能性があるのではないかと考え、パワハラの定義やパワハラ事例を調べた。平日の業務時間外や休日もとにかく調べた。この当時は、パワハラの定義が曖昧であり、A氏はB氏の行為がパワハラだと断言することを躊躇していた。それでも

  • パワハラに発展する恐れがある
  • 何もしなければ将来また同じことが起きる
  • B氏が原因で体調と業務パフォーマンスに影響した
  • 今回の件だけでも加害者B氏を許容することができない

と判断し、B氏に対して直接クレームすることにした。

A氏がB氏からパワハラを受けたことは、A氏の上司であるC氏や、周囲のメンバは知らない。A氏は話を大きくすることを避けるために、最小限の人数で解決することが狙いだった。

2.パワハラ被害者が勇気を出して加害者にクレームする

前述のとおり、X社の品質問題に対してA氏が懸命に取り組むもB氏は高圧的で、A氏の説明を理解せず途中で話をぶった切り、罵倒し、A氏が健康被害を受けた旨のクレームと、B氏が是正すべき旨を要求するメール文面をA氏からB氏に対して送信した。

【被害者A氏から加害者B氏への送信内容概要】

  • 「私(A氏)に対して高圧的であった。C氏への対応とは全く異なる。なぜここまで差が出るのか?」
  • 「『品質問題』についてメカニズムを説明するも、話を途中でぶった切るなど、聞き手としてのマナーに問題がみられる」
  • 「説明内容が理解されないのみならず、罵倒され、大変心が痛む。」
  • 「体調の異変に気付き、あの翌日発熱し、1日休暇した。一歩間違えれば大きな『労働問題』。」
  • 「今後、このようなことが二度と無いよう是正していただきたい。」

すると、B氏からA氏へ返信があった。

【加害者B氏から被害者A氏への送信内容概要】

  • 「言い方は悪かった。」
  • 「品質対応の方法については、Y社として意図があった。」

この後、B氏から(被害者A氏の上司である)C氏へ次の内容をメール送信したが、これがB氏による宛先設定を誤り、被害者A氏のところへ届いてしまった。

【加害者B氏から被害者の上司C氏へ送信するはずだったが被害者A氏に誤送信した内容】

  • 「貴社のA氏から、〇〇(転送メール)のようなメールが届きました。」
  • 「今回の件は許しがたいですが水に流します。A氏への教育のほどお願いいたします。」

これを受けたA氏は、B氏に対して宛先誤りであることのみを伝え、内容には触れることなく辛抱した。B氏はこの時点でかなり動揺していたものと思われる。B氏は更にA氏へ下記の内容を送信した。これが火に油を注ぐ結果となった。

【加害者B氏から被害者A氏への送信内容概要】

  • 「宛先誤り失礼しました。この際にA氏へ言っておきたい。」
  • 「Y社内でもこの『品質問題』を発見できなかったことで、他部門に多大な迷惑をかけている。他部門から圧力を受けている。」
  • 「『品質問題』を出している状況で、『ストレス』とか『労災』とか、そのようなことを言っても良いと思っているのか!」
  • 「体調不良なら他の人へ交代するなどX社の組織内で解決し、他部門に迷惑をかけないことを最優先すべきではないのか!」
  • 「〇〇(A氏)はチームリーダーとしてまだまだ不慣れであるのは仕方ないが、甘ったるいことは言うな!」

A氏にとって、B氏のこの内容は許せるものではなかった。B氏としては、当初「言い方」の悪さについては言及したものの、『品質問題』で迷惑を受け、その対応についての厳しさを、どうしても被害者A氏へ伝えたかったようだ。しかし、これが裏目に出た。パワハラ被害者A氏から見れば、『労働問題』による健康被害を受けたにもかかわらず、B氏から追加でパワハラを受けるという、あり得ない状況を間に当たりにしたのだ。

3.最終的にはパワハラ加害者が被害者に謝罪することに

A氏は先程の返信を受け、更に被害者としての言い分を加えて返信した。

【被害者A氏から加害者B氏への送信内容概要】

  • 「当社(X社)が発生させた『品質問題』により、多々迷惑をかけている。そのことは重々承知している。」
  • 「私が言いたいのはさらにその先である。『品質問題』と『労働問題』は全く別物である。」
  • 「『健康被害』や『パワハラ』はもってのほかである。『品質問題』およびその説明などの対応が『パワハラ』をしても良い理由にはならない。」
  • 「『パワハラ』による『健康被害』という、人身に影響を与えたことをさらに重くとらえるべき。」
  • 「『(リーダーだから)甘ったるいことは言うな!』ではなく、上位者が『労働問題』や『ハラスメント』を理解していないことが致命的な問題である。ブラック企業によく見られる根性論は通用しない。」

B氏は上記に対して、翌日次のように返信した。

【加害者B氏から被害者A氏への送信内容概要】

  • 「A氏の考えを理解した。A氏の言うことが正しいと思う。」

B氏は自分自身の言動がパワハラである可能性に気付いたためか、それまでとはがらりと様子が変わった。逆に被害者A氏が『労働問題』に関して言い返しようのない正論を主張し続け、かえってB氏を追い詰めてしまったようだ。

最終的にB氏がA氏に謝罪した。被害者A氏が声を挙げたことで最小人数で自力解決に至った。A氏はB氏から謝罪を受けたことと、この話を大きくしたくない意向があることを理由に、当時この件をパワハラ相談窓口に報告することまではしなかった。

A氏とB氏のやりとりは後に、被害者A氏の上司であるC氏にも共有されることになる。この件に関するC氏の対応については、別記事で述べることにする。

4.パワハラ加害者の発言・マインドに関する問題点、被害者の行動について解説する

システムの『品質問題』を発生させてしまったこと自体はX社の問題であるが、その解決や対応についてはX社とY社は協力関係でなければいけない。A氏、B氏、そしてC氏についても同様に互いが歩み寄り、協力して進めるべきだ。『品質問題』が背景にあるとはいえ、『パワハラ』の発生はもってのほかだ。

B氏はソフトウェア発注側組織の管理職という立場上の力関係を背景に(①)、後述する通り、業務に必要相当な範囲を超えた言動(②)が散見され、『健康被害』を受けたA氏を更に追い込むという就業環境を悪化(③)を招いた。よってパワハラの定義を満たしている。パワハラ6類型では、(2)精神的な攻撃に分類される。

加害者B氏の発言内容について、何が問題なのか一つずつ述べていく。

  • 「今回の件は許しがたいですが水に流します。A氏への教育のほどお願いいたします。」

「許しがたい」という言葉は被害者の口から出るのが自然であり、加害者の口から出るところがすでにおかしいと断言できる。「水に流します」としているが、パワハラ加害者であることの自覚が全く感じられない発言である。パワハラがなくならない原因の一つは、加害者の無自覚にある。決して水に流してはいけない、重く捉えるべき内容であると同時に、教育を受けるべきなのは加害者のほうである。

  • 「宛先誤り失礼しました。この際にA氏へ言っておきたい。」

問題は宛先誤りではなく、未だに被害者A氏に問題があり、教育が必要だというマインドを持ち続けていることだ。宛先誤りをきっかけに開き直り、加害者から被害者へ「この際どさくさに紛れて言ってやれ!」という意図さえ感じる。

  • 「Y社内でもこの『品質問題』を発見できなかったことで、他部門に多大な迷惑をかけている。他部門から圧力を受けている。」

この内容自体は正しい。しかし、これはパワハラをしても良い理由にはならない。B氏がA氏からクレームを受けているのはパワハラに対してである。また、被害者A氏も『品質問題』の重大さをわかっているし、だからこそ迅速で懸命な対応だったのだ。その最中にA氏はパワハラ被害に遭ってしまったのだ。

  • 「『品質問題』を出している状況で、『ストレス』とか『労災』とか、そのようなことを言っても良いと思っているのか!」

これは、被害者A氏の発言にもあった通り、『品質問題』と『労働問題』は全く別物であり、『品質問題』を理由に『労働問題』を黙らせて良いわけではない。とくに『労災』を黙らせるということは、『労災隠し』という犯罪行為に当たるため絶対にあってはいけない。(労働安全衛生法 第100条、第120条)

  • 「体調不良なら他の人へ交代するなどX社の組織内で解決し、他部門に迷惑をかけないことを最優先すべきではないのか!」

これは一見正しそうに見えるが、パワハラ加害者が被害者に向かって言うのは正気の沙汰ではない。業務と関係ない内容での病気や体調不良では、これによる周囲への迷惑を最小限に抑えるべきというのはわかる。しかし、このケースではパワハラ加害者の行為が元凶であり、パワハラ加害者が改めるべきことである。パワハラ加害者が被害者に迷惑をかけている状況で、被害者に対して迷惑をかけるななどというのはお門違いである。

パワハラ被害者を他の人に交代させても、パワハラ加害者が改めなければ、また交代した人を潰す結果になりかねない。社員は使い捨てや消耗品ではないことを意識し、根本原因であるパワハラ加害者が改めるべきである。

更に、『人身』に影響を出していることへの認識が薄いことが問題である。パワハラ加害者の言い分は、交通事故に例えると、『人身』より『物損』を優先しているようなものである。あり得ない対応である。

  • 「〇〇(A氏)はチームリーダーとしてまだまだ不慣れであるのは仕方ないが、甘ったるいことは言うな!」

「リーダーとして慣れていない」とか、このようなことは全く関係なく、問題は加害者の振る舞いだ。また、「甘ったるいことは言うな!」というのも業務上必要のない根性論を押し付けるパワハラ発言である。加害者が被害者に向かって言うことではない。


私は、被害者A氏の行動は社会的優良事例であると考えている。世の中で起きる多くのパワハラ問題は、被害者が二次被害を受けることを懸念し泣き寝入りするか、社外の相談窓口や労働局やメディアに告発されニュース報道されるかのどちらかであると感じている。これのどちらにも当てはまらず最小人数で自力解決したことが素晴らしい。「会社対会社」という関係以前に「人間対人間」としての在り方に着目した、視座の高さがわかる一例だ。

一方、被害者A氏としてはまず上司に相談するなど、他の解決方法もあったのではないかと思われる。ただ、ここは非常に難しい。パワハラの相談相手は慎重に選ばなければいけない。パワハラの相談を受ける人は相当高いスキルが求められる。自組織の上司は、ほとんどの場合ハラスメントの専門家でないことの方が多い。被害者A氏としては「加害者のプライバシー」「最小人数で解決する」という思いが、この選択肢を採らなかった理由になるだろう。一般的に言われていることは、パワハラは組織で解決・対策していくということである。組織はパワハラに対して対策を取る義務がある。

【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
o08usyu7231.hatenablog.com
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体調不良でドクターストップを受けたメンバに対して業務の引き継ぎのために出社させる管理職とは関わりを避けるべきだ!

日本は少子高齢化により労働人口が減少し、多くの企業が人手不足に悩まされている。IT業界も長年にわたって技術者不足と言われている。

私は昔属していた、下請けを中心としたIT企業で、技術者不足と過重労働に見舞われた末、「体調不良でドクターストップを受けたメンバに対して業務の引き継ぎのために出社させる」という、とんでもない管理職を見たので、その異常さについて語りたいと思う。

ブラック企業では、

  • 「体調不良でも普通に出社し、業務をこなしていた。」
  • 「血尿が出て一人前。」
  • 「体調不良という概念はない。」
  • 「入院先の病院にパソコンを持ってきた人がいた。」

など、まだまだ酷いエピソードがネット上で語られていたりするのだが、本記事のような「業務の引継ぎを優先する」という時点で、ブラックの底辺であることを見抜くべきと警笛を鳴らしたい。

労働者それぞれの人生を潰さないために、このような情報発信が必要だ。

この記事では、過重労働が常態化している職場において、体調不良でドクターストップを受けたメンバに対して業務の引き継ぎのために出社させる管理職とは関わりを避けるべきということに事例を含めて、語りたいと思う。


1.過重労働が常態化している時点で既に破綻している

IT業界に限らないが、そもそも過重労働が常態化しているということは、下記の状態にあることが多い。

  • 処理しきれない業務量を必要とする無理なプロジェクトや案件を要求され、受注している。
  • 必要とする業務量に対して、リソースが不足しているにも関わらず、業務量を減らすか、リソースを増やすか、スケジュールを延期する等の調整ができていない。
  • そのしわ寄せが末端の従業員に押し寄せ、従業員の健康面、生活面における犠牲の上に業務が成り立っている不健全な構造である。

状況に対して、経営陣や管理職が何も手を打っていない結果なのである。

労働基準法では、1日8時間までと決められており、本来これが労働時間上限である。1日8時間の業務で会社か難なく回り、従業員の生活が成り立たなければ、そもそもその時点で会社が破綻しているという厳しい意見を持った人もいる。厳しいどころかこれが普通だ。

その破綻した会社を、従業員の犠牲的労働によって賄われており、救われているだけなのである。その意味では、「ブラック企業」のことを「ゾンビ企業」(本来既に死んでいるはずだが、まださまよい続けているという意味)と呼ぶこともある。

また、使用者と労働者が締結する「36協定」という例外的扱いもあるが、残業削減に取り組んでいる健全な企業のうちの一社は「36協定は逃げ道でしかない」とセミナー等で公言している。その通りだ。

このような状況を放置している管理職は要注意だ。

2.管理職が原因で複数の社員が体調不良に至り、退職してしまった!

私がかつて所属していたIT企業のあるプロジェクトでは、過重労働が蔓延しており、そのプロジェクトには時々ストレスで胃の調子が悪くなるメンバA氏がいた。

A氏は、このプロジェクトのリーダーを努めていた。A氏は過重労働を理由に、上司である管理職B氏に退職を願い出たが、プロジェクトの状況が状況であるため、頑張ってほしいとB氏から引き留めに遭った。

A氏が頑張り続けるうちに体調が悪化し、限界に達して病院に行ったところ、2週間休業するようにドクターストップがかかった。

その後、ドクターストップにより休業しなければならない期間の1日を引き継ぎのために出社してほしいと、B氏からA氏に依頼があった。A氏は出社し、業務の引き継ぎを行った。

次に、このプロジェクトメンバであった私に無理が祟り、体調不良になった。時期が真夏であり、いつも以上に汗をかき、のどが渇き、夜は眠れず、発熱が続き、うつ病のような症状であり、これまで経験したことのないメンタルトラブルである。

私は管理職B氏に体調不良を訴えたが、最初は軽視され、耐え続けた。そして発熱が続き、悪化し、限界に達したところで、B氏から引き継ぎの指示があった。

私は引き継ぎすらまともにできない状況であるほど、体調が悪化しているにも関わらず、B氏は私に対して、

「A氏はしっかり引き継ぎをやってから休んだ!」

と言い放った。私はフラフラの状態で引き継ぎを行い、早退した。丁度、一週間程度の夏休み直前のことであり、私は夏休みの全てを休養に費やすこととなった。私の場合は、異変に気付くのが早かったため、数週間や数カ月の休業・休職までには至らなかった。

今思えば、健康面より大事な仕事はない。A氏にしてもなぜ、ドクターストップがかかるほどにまで、仕事をしてしまうのか? 第三者から見れば明らかにおかしいことなのに、なぜ本人は気付かないのか? 管理職B氏は、健康面を損なうのは自分自身でないからと他人事のように考えているようだ。

A氏は、ドクターストップによる2週間の休業の後、職場に復帰し、担当プロジェクトも変わったが、その後も半年程休職した末、退職した。

私は、上記の体調不良から数年後に、このIT企業を退職し、大手メーカーへ転職した。退職理由は多すぎる程あるが、このメンタルトラブルや管理職の未熟さがその理由の一つだ。また、「ドクターストップを受けたメンバが引継ぎのために出社しなければならないほど余裕のないリソースで業務を進めている」という「前段」が既に破綻していると考えて良い。
o08usyu7231.hatenablog.com

3.社員の健康への配慮よりも、業務の引継ぎが優先という異常さがまかり通る「安全配慮義務違反」

先程の事例からわかるように、そもそも余裕のない人員で業務を回している管理職にこそ問題があるのだが、これによって休養、休職、後に退職という形で犠牲となったのは、中堅社員2人である。

このIT企業では、退職者が毎年発生しており、社員数や平均年齢の推移を見ると、違和感を感じる。管理職B氏の管轄組織内でも次々と退職者を出している状況だ。

管理職B氏は技術力があり、長時間労働を乗り越え、この企業内で実績を挙げてきている。しかし、管理職としては、A氏に対する対応を見てのとおり、

  • 過重労働が改善されない状況での退職の引き留め
  • ドクターストップという異常事態でも業務引き継ぎを理由に出社させる

という異常さだ。

社員の健康への配慮よりも業務・業績が優先という姿勢がまかり通ることと、これを誰も指摘しないところが、コンプライアンス的に異常だ。

企業が従業員に対して果たさなくてはならない義務のひとつに、安全配慮義務がある。「安全配慮義務」は労働契約法第5条で定められている。

労働契約法 第5条

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

具体的な対策については、職種、業種、企業によってそれぞれ考え、実施しなければならない。

安全配慮義務」とは、企業や組織が従業員の健康と安全に配慮する義務のことである。「企業は従業員が常に安全で働きやすい環境で仕事できるよう配慮しなくてはならない」ということが定められている。企業や組織が安全配慮義務を負うべき従業員の範囲についても、法律で定められている。違反した場合には損害賠償請求を受けるのリスクがある。企業の健全な運営に欠かせない知識だ。

A氏から退職の申し出があったにも関わらず、B氏はプロジェクトの忙しさを理由にこれを受け入れず、ドクターストップを受けるまでA氏を過重に労働させただけでも大問題であるのだが、更にドクターストップを受けた後も、いつA氏が再起不能に陥ってもおかしくないくらいのリスクを抱える状況で、業務の引継ぎを理由にA氏を出社させる行為は、「安全配慮義務違反」にあたり、管理職にあるまじき行為である。

私も、このような事例を目の当たりにしたことが、自分の異変に早く気付いた理由の一つかもしれない。私もこの管理職B氏の至らなさにより、A氏と比べると被害は小さいものの、キャリア上初めてで最も大きな被害を受けたのである。転職して正解である。

B氏は私が退職してから数年後に、管理職から役員に昇格している。組織自体の異常さを表している。被害を受けないためにはかかわりを避けるべきだ。転職して尚更正解である。

4.異常な指示・要求を達成してもメリットがないどころか「前例」として残る害悪

このような状況の中で、管理職B氏の期待に添い、尽力したところで、評価されることはなく、都合よく使われ続けるだけである。ここに気づいた人が退職していく。A氏も体調面以外にも、このような理由で退職を検討し、実際に退職したのだろう。

更に害悪なのは、このような状況で異常な指示・要求を達成してもメリットがないどころか「前例」として残ることである。

今回の事例で言えば、A氏はドクターストップを受けたにも関わらず、B氏からの指示で業務引継ぎのため出社し、引継ぎを行った。これが悪い意味での「前例」となり、管理職B氏は私に対して、

「A氏はしっかり引き継ぎをやってから休んだ!」

と言い放ち、私もフラフラのなかで業務引継ぎを行ったのだ。危険極まりない指示であり、二重三重の「安全配慮義務違反」である。

それでも、「前例」を盾に、「業務」や「責任」を盾に使い潰そうとする。並びに「安全配慮義務」を果たす「責任」は、どこかへ行ってしまっている。

社員は会社にとっての使い捨てのパーツでもないし、消耗品でもない。一般の人なら誰でもわかることなのだが、実際に管理職がこのようなことを(意図的ではないにしても)やってしまっている。だから、自分を大切にし、このような管理職との関わりを避けるべきなのである。

残念ながらまだまだ世の中にはブラック企業が多い。一方、働き方は以前と比較して多様化している。スキルを付けるのみならず、自分のキャリアを見つめなおし、視野を広げ、いざというときに備えなければならない時代になったといえる。

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パワハラ事例解説(26) - 製品の品質問題対応の最中、他社管理職からの高圧的な言動が人的リソースを潰す

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例26】製品の品質問題対応の最中、他社管理職からの高圧的な言動が人的リソースを潰す

パワハラは社内で発生するだけでも大きな問題であるが、取引先の従業員に対して行われるパワハラは更に深刻だ。
o08usyu7231.hatenablog.com

まず、登場人物を整理する。

X社:システム開発企業。
Y社:X社の取引先で、商品開発・製造・生産を行う。
A氏:パワハラ被害者。X社のチームリーダー。
B氏:パワハラ加害者。Y社の管理職。
C氏:パワハラ発生時の、被害者A氏の上司。X社のマネージャ。

1.品質問題への対応状況、およびパワハラ発生に至るまでのいきさつ

システム開発を行っているX社のA氏はチームのリーダーを担当している。Y社はX社の取引先で、商品開発・製造・生産を行っており、管理職のB氏が組織を統括している。

X社A氏の部門で設計したソフトウェアが原因でシステムの品質問題が発生した。A氏は状況を社内の関係者に丁寧に説明し、チームのメンバの協力を得て、早急に原因究明を行った。また、A氏はY社B氏への説明も対応していた。

X社とY社はロケーションが離れていたためA氏とB氏のやりとりは電話、メールがメインであった。

A氏は懸命に対応を進めるも、B氏はA氏に対して高圧的な言動が目立っており、B氏自身もY社内各部門から追い詰められた状態である。

X社は製品の品質を最優先する方針を掲げている企業である。品質問題の対応に関して、X社はA氏が担当メンバと話し合った上で、品質を最優先した対応を行った。

B氏はA氏に製品の品質問題の原因(不良に至るメカニズム)の説明を求め、A氏がX社の見解を説明した。すると、B氏はA氏の説明をぶった切り、

  • 「××違うやろ!〇〇やろ!」
  • 「しっかりせえよ」
  • 「おい!お前、ちゃんと理解しとんか!」

と全面否定し、A氏を罵倒した。

電話でのやりとりでもあり、A氏は大声を出すわけにもいかず、B氏の言動を指摘したい気持ちを抑えながら、懸命に対応した。

2.パワハラ発生による人的リソースへの悪影響

B氏はA氏に対して、A氏の上司でありマネージャであるC氏に電話を代わるように要求した。この品質問題の原因を一番よく知るのはA氏自身であるのに、C氏に代わって大丈夫かと心配しながらも、やむなくA氏はC氏に電話を代わった。その後はそのまま進行した。

A氏はC氏の電話対応を近くで見ていると、A氏からB氏に説明した内容と、C氏からB氏に説明した内容と大きく差がなかったと感じた。従って、A氏は、B氏は説明の中身でなく相手によって態度を変えていること、B氏における話を聞くときのマナーについて、不信感を抱いた。
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A氏はB氏から受けた理不尽な言動を受けたことにより、以降の業務のパフォーマンスに影響した。それでもA氏は品質問題対応に懸命に取り組んだ。B氏からパワハラを受けたことにより、A氏の体調面に影響し、翌日にA氏は発熱に至った。早急に異変に気付いたA氏は、品質問題対応という大変な状況にも関わらず1日休養した。そして、1日休養しただけで済み、翌々日には再び出社した。

後に判明したことは、B氏はY社内の生産工程の都合を重視した対応をしたい意向があり、その対応方法から逆算した品質問題のメカニズムの説明を求めていたということだ。

3.パワハラの定義に基づいた検証

もし前述の意向があったならば、B氏はA氏を否定することなく、パワハラ以外の方法でA氏に寄り添う姿勢が必要だ。B氏はソフトウェア発注側組織の管理職という立場上の力関係を背景に(①)、品質問題のメカニズムの説明を受ける側の態度の面において業務に必要相当な範囲を超えた言動(②)が散見され、A氏を体調不良に追い込むことでX社のリソースを潰すという就業環境を悪化(③)を招いた。よってパワハラの定義を満たしている。パワハラ6類型では、(2)精神的な攻撃に分類される。

尚、品質問題対応におけるB氏とのやりとりを、A氏からC氏に代わってからは、そのまま進んだ。B氏とC氏は年代が近く、B氏はC氏に対してパワハラを行うことはなかった。A氏のみがパワハラの標的となった。A氏に対しては、圧力をかければB氏の思惑どおりに動くだろうと甘くみていた結果である可能性が高い。

4.品質問題の対応の最中にもかかわらず・・・

本事例は、品質問題対応という重要で緊急の場面で、加害者B氏のパワハラにより、X社の人的リソースであるA氏を潰したことで、X社の人的リソースおよびA氏のパフォーマンスに悪影響を与え、労働問題にまで発展させた最悪の部類だ。品質問題を発生させてしまったのはX社の問題であるが、このような緊急対応の場面では、X社とY社の協力関係や連携が求められる。A氏の品質問題の懸命の対応にも関わらず、B氏はパワハラによる加害という品質問題以下のことをやってしまったのである。

加害者であるB氏から見れば、品質問題の原因(不良に至るメカニズム)の説明が期待していたのと違っていたのかもしれない。「説明が悪い!」と被害者のせいにできてしまいそうだ。しかし、これはパワハラをして良い理由にはならない。当たり前だ。

また、品質問題の原因(不良に至るメカニズム)を最もよく知るのはA氏である。B氏はA氏からの説明を理解しなければならない立場である。A氏の説明をぶった切り、

  • 「××違うやろ!〇〇やろ!」
  • 「しっかりせえよ」
  • 「おい!お前、ちゃんと理解しとんか!」

とA氏を否定し罵倒するというB氏の行為は、お門違いなのである。

被害者であるA氏にしてみれば、『品質問題の原因(不良に至るメカニズム)を問われたことに対して、品質問題の原因(不良に至るメカニズム)を説明したら、パワハラを受けた』、このように目に映るのである。加害者B氏に都合が良いかどうかは関係なく、A氏は事実を説明して、回避することのできないパワハラ被害を受けたのだ。加害者B氏がこのことを理解できていないと、絶対にパワハラはなくならないと断言できる。相手の立場に立って考えるとはこういうことだ。

普通パワハラを受けた被害者は、精神を崩壊し、翌日から出社しなくなるということは、残念ながらよくある話である。数日、数週間、数ヶ月などざらである。最悪、命に関わることさえある。しかし、A氏は体調の異変に早い段階から気付き、1日休暇しただけだったのだ。この異変に対する判断の早さと、パワハラを受けた状態にも関わらず、チームのメンバーをまとめながら品質対応に尽力し、緊急対応をひととおりこなしたということは、それだけA氏が優秀である証拠なのだ。

パワハラの専門家によると、パワハラを受けると一般にはパフォーマンスが下がり、それでも一定の成果を挙げる被害者は優秀な人材であるそうだ。全くそのとおりだ。

優秀な人材でもパワハラ被害は避けることはできない。なぜならパワハラは加害者がやることだからだ。

品質問題の対応にも、人材育成にも、パワハラはいらないし、百害あって一理なしである。

【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
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いざというときの退職も安心!

そして準備が整った後、いざパワハラ被害を理由に退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。

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「お前はどこに行っても通用しない!」このようなパワハラ発言は無視してよい理由を語る!

退職を予定している従業員に対して、上司や役職者が


「お前はどこに行っても通用しない!」

などと言うことがある。言われた人もいるのではないだろうか?

真面目な人ほど


「ここで頑張らないと、他では通用しないのだろう。。。」

と、真に受け取ってしまう。

中には本当に頑張ってしまい、神経を消耗し、心身を崩し、再起不能になるといったことも考えられる。

結論から言うと、


「お前はどこに行っても通用しない!」

と言うような人がいるような組織は、無視して辞めるのが正解である。

この記事では、その理由について語りたいと思う。

退職後のキャリアについて、転職、フリーランス、独立など、検討しておくことは、前提条件である。しかし、それすらできていない場合でも、健康や命の危険がある場合は、まず抜け出すことだ。


1.転職先で通用するかどうかは転職先が決めること!辞められる企業が言うのはお門違い!

退職を予定している従業員に対して、上司や役職者が言う


「お前はどこに行っても通用しない!」

は、せいぜい言えたとしても、


「お前はウチでは通用しない!」

くらいに留めておくべきだと言ってしまいがちであるが、本来はこれすら不要な言葉であり、パワハラに当たる言葉だ。リンクを参考にしていただきたい。

harasumentt.jimdofree.com


「お前はどこに行っても通用しない!」

というのは、裏を返せば、


「ウチではお前を有効に活用できない程、我々組織側のマネジメントが未熟である!」

と言っているようなものである。

ましてや、少なくともイチ社員が他社で通用する/しないは、その職場の上司や同僚が決めることでもないし、口を挟むことでもない。

その社員が退職し、転職先で通用するかどうかは退職元の会社には関係なく、転職先との相性でしかないのだ。

私自身は、これまでの転職実績や、新卒で入社したIT企業に在籍していた頃の客先常駐経験からすると、ブラック企業では通用しないが、ホワイト企業では通用している。それどころか、


「優良企業ほど私を高く評価している」

という傾向さえ掴んでいる。

よって、


「お前はどこに行っても通用しない!」

などと言われた時点で、その会社を辞めて正解なのである。

2.本来退職してほしくない意向に基づいた退職者への脅し、もしくは最期の力を振り絞った嫌がらせ!


「お前はどこに行っても通用しない!」

この言葉には、退職者への脅しや嫌がらせの意味が含まれている。

企業の中核を担うと言っても過言ではない管理職にとっては、退職者が出ることで、管理職自身の評価に影響することを懸念している。退職者と仕事を共にしてきた現場の同僚にとっても単純に人的リソースの減少に拍車をかけ、そのしわ寄せが自分達の負担へと上乗せされる。

退職者自身のことを思って、留まってほしいのではなく、辞められると管理職を含め、他の人が困る、後任となる人材の採用や教育コストが新たに上乗せされる等、自分たちにとって都合が悪いから、辞めてほしくないのである。

もし、本当に「どこへ行っても通用しない」のであれば、辞められる企業でも通用しないのだから、辞められる企業側としてもそのような人材にコストをかけるよりも即座に手放すはずである。よって、「どこへ行っても通用しない」人材を引き留め、退職を阻止することは、「どこへ行っても通用しない」発言と退職を阻止する行動が矛盾しており、論理が破綻している。

本来、このような時は会社側が退職者に頭を下げ、退職者が退職検討に至る根本的な問題と、根本的な解決策を、誠意を持って提示すべきであり、それをもってしてもすでに手遅れ状態である。ましてや、脅しや嫌がらせなどもってのほかである。

仮に、本当に退職者自身に問題があり、会社として去ってほしい場合であっても、このような脅しや嫌がらせのような言葉は、後々退職者から

  • パワハラを受けた!」
  • 「退職強要だ!」

として、訴訟を起こされるリスクがある。

「問題社員の正しい辞めさせ方」については、こちらの書籍を参考にしていただきたい。

本来退職者には、その人が最大限のパフォーマンスを発揮できる別の職場で、新たな気持ちで活躍してほしいという思いを込めて、丁寧に送り出すべきである。

よって、


「お前はどこに行っても通用しない!」

などと言われた時点で、その会社を辞めて正解なのである。

3.そもそも退職される企業側に問題があるにも関わらず、責任転嫁のために使われる!

イチ社員が他社で通用しようが、そうでなかろうが、その社員に辞められる職場にとっては関係ない話である。

その社員に「辞められる」ということのみが関係するのである。

そして「辞められる」時点で、何らかの原因があるのであり、辞めてから他の職場で通用するかしないかは、その先の話である。

しかし、なぜか「辞められる」真の原因からは目を背けようとすることが多々ある。「時流」「人材の流動性の高まり」などと称して、自組織の問題とは全く捉えようとしない。
o08usyu7231.hatenablog.com

そもそも、前述したように


「お前はどこに行っても通用しない!」

という企業ほど、マネジメントの面で未熟であり、ブラックであることが多い。それなのに、企業側はそのことを認めず、


「退職者が通用しないのは、自社だけではない」⇒「退職者の問題」

と言いたいために、「どこへ行っても」などと言うのである。

本当に「どこへ行っても通用しない」人というのは、犯罪等社会的に何か問題を起こしたり、よほど人間として問題があって組織の中でやっていけず、トラブルを起こす人という、ほんの一握りくらいでしかない。

よって、大抵の場合、企業側の問題である。

業界構造の問題や企業の期待と退職者の適性と合わないのであれば、


「あなたは、○○よりも、□□のほうが、合っていると思う。」

という言葉をかけるものだ。

私自身、下請けを中心としたIT企業から大手メーカーへ転職したことがあるのだが、このときは


「あなたは、○○よりも、□□のほうが、合っていると思う。」

と言われた。それでも


「企業側の問題を認識できていないか、表に出したくないだけだろう。」

ということが私にはばれている。私が下請けを中心としたIT企業を退職した理由は、多すぎるほどある。

o08usyu7231.hatenablog.com

また、私がこの下請けIT企業に在籍していた頃、他の退職予定者のことを


「○○(退職予定者)は、他でやっていけるのか? (いや、どこへ行っても通用しないだろう。)」

と陰口を言っているのを、見たことがある。私は全く同調しなかった。「お前が言うな!」という感じである。


「辞められて残念だ!」
「他の企業との人材獲得競争に負けて悔しい!」

このように正直に言えばよいのだ。

企業側の問題である可能性が高いにも関わらず、退職者に問題があるように責任転嫁しているのである。

よって、


「お前はどこに行っても通用しない!」

などと言われた時点で、その会社を辞めて正解なのである。

4.「どこへ行っても」の範囲が、そう言う人の知る狭い範囲での「どこへ行っても」にしか過ぎないため、根拠も説得力もない!


「お前はどこに行っても通用しない!」

この言葉の「どこへ行っても」という部分について、冷静に考えてみたい。

日本だけで見ると、存在する企業の数は、日本全国北海道から沖縄まで約450万社あると言われている。

「どこへ行っても」などと言う人は、本当にこれだけの数の企業の内部状況を分かっているとは思えない。

即ち、「どこへ行っても」というのは、そのように言う人の知る狭い範囲での「どこへ行っても」でしかない

しかも、そのような人に限って転職経験がないというケースが少なくない。転職もしたことが人が「どこへ行っても」などと言ったところで、全く根拠もないし説得力がないのである。

裏を返せば、そのように言う人の知る範囲が、退職者に辞められる企業と同レベルの企業しか社会に存在しないと勘違いしているのである。特にブラック企業でこのようなことを言う人は、ブラック企業にしか在籍したことが無い可能性が高いうえに、ホワイト企業というものがどのようなものか知らないし、そもそも自分の在籍している企業がブラックであることを知らない。

よって、


「お前はどこに行っても通用しない!」

などと言われた時点で、その会社を辞めて正解なのである。

それでも退職時のトラブルが心配な方は、ストレスなく辞めることができる方法があります!

これまでの章で述べてきたように、


「お前はどこに行っても通用しない!」

というパワハラ発言は無視し、そのような会社からは離れて良く、居てあげる価値がないことがわかるだろう。

無視して良いとわかっていても、退職時に、または普段の業務において


「お前はどこに行っても通用しない!」

と言われると、誰もがストレスにしかならないだろう。

できれば、退職予定者は退職予定企業に、関わりたくないだろう。

このようなときは、『退職代行』の活用だ!

ひと昔前は、「退職の意思など、自分で伝えればいいじゃないか!」と、私自身も考えていた。しかし、それすら言い出しづらいという方、退職時のトラブルに巻き込まれることを嫌う方がおられ、『退職代行』というビジネスが始まった。そして、参入してくる業者が増えた。やはり、ある程度の金額を払ってでも、退職予定企業との手続きを全て第三者が代行してくれて、退職者は面倒臭いことから解放され、ストレスなく退職できるところにメリットがあるのだろう。

頑張りすぎて再起不能となり、あなたの人生を潰される前に、是非とも活用を検討していただきたい。いざ退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。

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収入が少ない若年層の方々にとって、まず低費用、そして、簡単で確実に退職できることが最大のニーズであり、「退職代行ガーディアン」はスムーズな退職実現に向けて支援いたします。



あわせて、こちらの書籍もどうぞ!

パワハラ事例解説(25) - 特定人物を名指しした苦言を関係者全員に向けてメールで送る

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

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【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

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パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
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このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

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  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
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【事例25】特定人物を名指しした苦言を関係者全員に向けてメールで送る

本事例の出来事自体は、もう大昔の話なのだが、このパターンも最近パワハラの一種として認識されるようになってきた。

メンバ全員の前での大声での叱責が良くないことは、ハラスメント教育等でかなり周知されるようになってきた。メールでの特定人物を名指しして、残りの人全員にCCを入れて一斉送信する行為も同じだ。

一例を挙げると、ある職場のマネージャは、担当者にある確認依頼をした。担当者はこの件について、マネージャとは別のリーダーに相談したところ、そのリーダーはリーダー自身からマネージャに回答すると担当者に伝えた。担当者は、その旨リーダーと合意し、マネージャからの確認依頼の件については自分のタスク外とした。マネージャは、担当者に確認依頼した内容の報告がないため、事前に担当者へ口頭で状況を確認することなく担当者を名指しして、「何をやっている? ええ加減である!」などと人格否定とも受け取れる文面のメール関係者全員に一斉送信した。後に、担当者はマネージャに、リーダーから回答すると伝え、担当者からリーダーへマネージャへ回答するようフォローし、リーダーからマネージャへ回答した。

このケースは、担当者、およびリーダーの進め方やマネージャへの報告時期について問題があったものの、マネージャが発信するメールについては、パワハラに当たる可能性がある。マネージャという立場を活かして(職務上の力関係を背景に)(①)、担当者個人に伝えれば済む内容を関係者全員にメールを一斉送信し見せしめにする点が業務に必要相当の範囲を超えており(②)、周囲を不快にさせた(就労環境を悪化させた)(③)点から、パワハラの定義を満たしている。6類型では(2)精神的な攻撃に該当する。

マネージャはこの件以外にも、同様のことを度々繰り返しており不評を買っているにもかかわらず、本人は悪気が無いどころか「関係者への横通しが必要」と言って正当化しているくらいだ。これは「横通し」ではなく「見せしめ」「嫌がらせ」である。「横通し」「周知徹底」する必要があるならば、指摘対象の担当者を名指しする必要はない。それくらいの品位はほしいものだ。

この件のマネージャをはじめ、注意事項や是正要求を伝える際に気にかけるべき事項を挙げると、次のようなものになる。

  • メールでの苦言の前にその状況に至った背景の確認を怠らないこと
  • 送信先を限定すること
  • 行為に対する注意は必要だが、人格否定はNGと認識すること
  • 注意すべき件をピンポイントで伝え、そこから勝手に話を広げすぎないこと

最後に、この件だけでも十分問題があるのだが、このマネージャような人材は他の場面においてもパワハラ気質である傾向があり、小さな兆候は見逃せないのである。被害者になる可能性のある人に対して要求するのは理不尽であるが、大きな被害を受ける前に小さな兆候を検知し、未然防止に努めていただきたい。そのためにこのような記事を書いている。

実際、本事例のマネージャと下記事例の加害者は同一人物だ。また、この加害者が属する企業は様々な不祥事を起こしており、メディアでも話題になっている。やはり良くない兆候は昔からあったのだ。
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【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
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いざというときの退職も安心!

そして準備が整った後、いざパワハラ被害を理由に退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。

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人事評価に納得いかなければ納得しなくてよい!その理由を語る!

人事評価は自分の職務に対する処遇を決めること以外に、自分の成長に繋がるから意味があるのである。

しかし、人事評価に納得いかないことはよくあることであり、実際そのような経験をした人は少なくないはずだ。

また、人事評価が原因でトラブルを招いたり、上司のコンプライアンス意識の欠落が疑われたり、貴重な社員の退職を招いたりすることがある。

人事評価の結果に納得して成長に繋げられるなら良いのだが、そうでない場合無理に納得したところで、被評価者にとって何もメリットはない。その理由と考え方について書いていきたいと思う。


1.受け入れた時点で思考停止になる!

もし、納得いかない評価を受け入れたならば、それはそういうものと認めたことになる。評価者が被評価者に評価結果を説明し、「コミュニケーション」を取ろうとする姿勢がよく見られるが、これは「コミュニケーション」ではなく「マインドコントロール」である。
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想定より低い評価でも、「そういうものだ」と思ってしまうと、それ以上考えなくなってしまう。即ち「思考停止」であり、これが一番危険だ。

後述するが、評価者が間違っていてもそれに気付くことなく、無条件に正しいものとして話が進められるので、評価者の能力次第で被評価者のキャリアを決めてしまうということにもなりうる。

自分の成長に繋がるかどうかに関わらず、評価者の思惑通りになるだけであり、評価者から見るとこれを「成長」と称するケースもある。

思考停止に陥っては何も始まらない。

2.評価者側が間違っていてもその可能性に気付けない!

評価者が決めた内容が、正しくても間違っていても、評価者が決めた通りになる。

実際、評価者が間違っていることは少なくないどころか、評価者が低評価とした項目の根拠として事実と異なるものを挙げていたという評価者における不正行為が発覚した事例もあるくらいだ。
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被評価者が納得した上でならば良いのだが、評価結果をそのまま素直に受け入れることは、一見謙虚な姿勢に見える反面、評価者が間違っている場合であっても、それを見抜くことができず、間違ったまま進んでいくことで、不要に被評価者の価値を下げてしまう危険性がある。自分で考えることをやめてしまうことが一番危険だ。

被評価者は、評価者がどのような根拠で、自身が納得いかない結果になったかを理解しておくことは必須である。しかし、必ずしも評価者が正しいわけではないということを念頭に置いておくということも必要である。

大手企業を中心に行われている、社員満足度調査(ES調査)、エンゲーシメント調査で、評価、給与、待遇が低いと、納得していない人が多い証拠である。被評価者が職務に専念し、実績を挙げているにも関わらずこのような状況であれば、人事評価する側に何か問題がある可能性が高い。被評価者側へのマインドコントロールはご法度だ。

3.本来得られるべき評価よりも低い評価で都合良く使われ続ける!

上述した通り、被評価者が本来あるべき評価よりも低い評価となり、これが評価者側の誤りが原因で、かつそれを見抜くことができなければ、不要に被評価者の価値を下げてしまう危険性がある。

たとえ、自身の能力が正しく評価される場所が他にあったとしても、そのことに気付けないし、そういった環境に出会うことすらないのだ。

結果として、「成果や実績の割にはリターンが少ない」状態のまま、同じ職場、同じ上司に使われ続け、結果的に搾取されたことになる。これがまかり通ると、評価者は自身の誤りに気付く機会がなくなる。被評価者がどんなに頑張ったところで頑張り損ということになる。そして、組織の活力を失うことさえある。

「成果や実績の割にはリターンが少ない」事態を防ぐには、

  • 自分がどのような能力や強みを持っているか
  • どのような環境であれば強み発揮できるのか

という傾向を分析するところから始め、次に起こす行動を検討すると良い。同じ職場に居続けるならただ頑張り続けるのではなく尽力するポイントを変えてみる、転職や副業を検討するといった具合にである。

4.「自分が成長すること」と「会社にとって都合が良い人材になること」は別物!

「自分が成長すること」と「会社にとって都合が良い人材になること」が一致する場合もあれば、全く別物ということもある。「自分が描いているキャリア」と「会社(評価者)からの期待」と言い換えても良いだろう。

ただ、悪質なケースを取り上げると、「会社にとって都合が良い人材になること」とは、

「高いパフォーマンスを発揮してもらい、業績に貢献してほしい期待はあるが、報酬は抑え、安く長時間働いてくれて、上司に従順であってほしい。」

というのが本音ではないだろうか。極端ではあるが。

従業員としては、普通は安く働きたいとは思わないし、アウトプット相当のリターンはほしいと思うのが普通だ。リターンにはこだわらず使命感のみが強いのは、ボランティアか社畜のいずれかだ。

従業員が人事評価に納得いかないとき、転職を検討することも一手である。まずは、転職エージェントに複数登録し、これまでのキャリア・実績、現状の問題点をキャリアアドバイザーと共有し、広く客観的な視点でキャリアアドバイザーに見てもらうことが有効である。主観や感情、組織の都合が多く入りがちな上司とは、また違う角度からのアドバイスをいただける可能性がある。

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もし、引き続きその職場に居続けるならば、納得いかない人事評価を受けてもダメージが少なくなるようにコントロールするのが良いだろう。具体的には、


○○のスキルをつけることで
(1) (業務が効率化され)自分が楽になる
(2) ステークホルダーに対しても貢献できる
(3) 転職や副業の可能性が広がる

のように、複数のメリットが出るような取り組みを検討することだ。

その結果、例え評価されなくても、(1)自分が楽になるのはそうでない状態と比べてメリットがある。(2)は評価者が期待しているケースが多いが、ここに注力しすぎて自分自身が消耗し、犠牲になるのではなく、結果として貢献できたという形に持っていくことが望ましい。(3)は自分にとってのメリット(成長)であり、キャリアや居場所が他にも見出せるなら、心理的にも余裕ができる。一方、「転職や副業の可能性」というと、評価者(被評価者が属する会社)にとってはデメリット(リスク)と考えられることもあるが、被評価者にとってはそんなことは知ったことではない。会社側は人手不足の時代の中、従業員に留まってほしいなら、まともな評価を行い、魅力的な報酬と良好な労働環境を用意すべきなのである。従業員に会社を辞められたなら、(全てに当てはまるとは断言できないが)まず会社側の問題と考えた方が良いだろう。

「自分が成長すること」と「会社にとって都合が良い人材になること」は全く別物だ。

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パワハラ事例解説(24) - ソフトウェア設計に対する会議の場での否定

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例24】ソフトウェア設計に対する会議の場での否定

システム開発における要求仕様に対して、それを実現する手段はハードウェアとソフトウェアに大きく区別される。このうち、ソフトウェア設計にかかわる部分での事例である。パワハラと呼べるかどうかは微妙だ。

ソフトウェアの設計方法は、組織によって大枠の考え方を統一しているところもあるが、一般的には何を重視するかによって変わってくる。ソースコードの読みやすさなのか、作成するときの労力なのか、テストのやりやすさなのか、作成スピードなのか、汎用性なのか・・・。

あるシステム開発プロジェクトにて、リーダー(加害者)は、ベテラン社員(被害者)が作成したソフトウェアの設計が気に入らなかったため、チームのメンバー全員が集まっている会議の場で

「これは見にくい! あかんわ!」

と一蹴した。設計が複雑に見えてしまいリーダーの目にはそのように見えたのだろう。

その場では、メンバは萎縮し、リーダーに異を唱える人は居なかった。ベテラン社員はリーダーの発言に対して違和感を持った。理由は次の通りだ。

  • ベテラン社員を含め一部の担当者は、このベテラン社員の設計により、テストがやりやすいことの恩恵を受けている。
  • リーダーの言い分が全うな指導で、取り入れるべきところがあるならまだしも、ベテラン社員には参考にすらならなかった。
  • リーダーは表面的な部分のみを捉え、ベテラン社員の設計によるメリットを理解していないまま、短絡的に問題となる言葉を発してしまった。

リーダーという立場を活かして(職務上の力関係を背景に)(①)、周囲(主にベテラン社員)を不快にさせた(就労環境を悪化させた)(③)面は、パワハラの定義に当てはまるのだが、業務に必要相当な範囲を超えているかどうか(②)は微妙である。ソフトウェア設計に対する必要な指摘と捉えれば業務の範囲とも言えるが、このケースはほぼ否定に近い。

パワハラに当たるとは言い難くとも、リーダーの発言はもう少し周囲の人の心情を考えたものにすべきである。

具体的には、

  1. ベテラン社員の設計に対するメリット・デメリットを明確にする
  2. 該当する開発プロジェクトや更に将来的な展望にどのような要素が求められるかを明確にする
  3. 両者がマッチしている点、していない点を洗い出す
  4. 最終的な落としどころを決める。

という流れである。

また、内容によっては、ベテラン社員に任せておけば良いことも少なくない。

リーダーにはこのような姿勢が求められる。当たり前にできてほしい。でなければ組織に活気がなくなし、否定的な面が多くみられるリーダーに、ベテラン社員も良いアイデアを持ってくることはなくなるだろう。法律上パワハラとならなくても、職場にはデメリットをもたらすのである。

リーダーや管理職の発言は本人が想像している以上に周囲への影響が大きいものだ。組織の中で影響力のある立場であるから当然だ。しかし、リーダーや管理職自身がそのことを理解していないケースが少なくない。ソフトウェア開発に限らず、組織の活性化や成果の最大化に向けて、リーダーや管理職が学ぶべきことは多い。

最後に、この件一件だけであれば大した問題ではないのだが、このような人材は他の場面においてもパワハラ気質である傾向があり、小さな兆候は見逃せないのである。被害者になる可能性のある人に対して要求するのは理不尽であるが、大きな被害を受ける前に小さな兆候を検知し、未然防止に努めていただきたい。そのためにこのような記事を書いている。誰もが、加害者にも被害者にもなりうるのである。

実際、本事例のリーダーと下記事例の加害者は同一人物だ。
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【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

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自分を守るための準備も並行して進める必要がある

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人事評価における過ちをいろいろ集めてみた!評価者が必ずしも正しいとは限らない!

人事評価の結果に納得いかない人は多いのではないかと思う。実際、退職理由にもなる。

近年では、人材の流動性が高まりつつあるので、より一層この傾向は強まるものと思われる。

このようなとき、よく社会人経験が少ない若手や、上司が期待する成果を出していないにも関わらず人事評価の結果に対して不平不満を発する人に対しては、次のように言われることがある。

  • 「考え方が甘い」
  • 「上司の期待を理解しているか?」
  • 「上司との向き合い方を考えるべき」

これは間違いではないし、一部の人には当てはまる内容だろう。

しかし、なぜかリーダーや管理職といった評価者による評価が正しいことが前提となってしまっている。実際、成果を出している優秀な人材ですら、高く評価されないことがある。このことから、評価者側に至らない点があると考えられる上に、権限や力関係によって評価結果が決まり、評価者や会社にとって都合が良いか等が判断基準になっている可能性も考えられるのである。

また、評価者の評価スキルやモラル、コンプライアンスが、被評価者のキャリアを左右すると言っても過言ではないくらい、評価の重要性は高い。

この記事では、評価者側の過ちについて実在した事例を挙げ、解説していく。そして、最後に対策についても触れておきたいと思う。


1.そもそも人事評価結果が本人に伝えられず、上位者のみで共有されている。

これに当てはまる会社の口コミサイトを見ていると、

  • 「どうやって評価されているのかわからない」
  • 「上司に従順な人、上司と仲が良い人が出世している」

といった声がある。本人に伝えられない時点で、何が評価されているのか、評価されていないのかわからないのも当たり前だ。

そして、成果にもよるが、数年に一度の割合で上司から昇格試験の案内が来たりする。その時だけは、昇格させたい意図があることのみわかる。人によっては何年もの間、昇格試験の案内が無い人もいるのだろうが、そのような人が次に昇格しようとすれば、何が足りないのかが定量的にわからない。

疑問を持つ人が出てくるのは当たり前である一方、この会社にしかいない人は、これが普通だと思ってしまうのかも知れない。広く情報を集めた方が良いことは確かだ。

実際、このような実態に気付いた人は退職している。

2.期待していることを実現するための前段ができていない。

「期待していることを実現するための前段ができていない」、あるいは「前段ができていない実態を踏まえると期待している内容が現実的でない」というケースがある。

例えば、ある【社員】が【後輩】の指導・教育を期待されているにも関わらず、その【社員】と【後輩】それぞれに全く別の業務を与えているケースである。

もともと、【社員】と【後輩】は同じ案件の業務をアサインし、そのOJTの中で【社員】は【後輩】を指導・教育していくのだが、状況の変化により【上司】は【後輩】に別案件の業務をアサインしたというものだ。それによって【社員】が抱える業務がこれまで以上に増え、【後輩】を指導・教育する余裕もなくなってしまった。

しかも、「【後輩】を【社員】と別業務にアサイン」したのも、【社員】に「【後輩】への指導・教育を期待」しているのも同じ【上司】である。「期待」と「前段」がかけ離れ、【社員】は【後輩】に指導しづらい体制になってしまった。

「【後輩】への指導・教育」という【上司】の「期待」と、業務へのリソースアサインがミスマッチという状況にも関わらず、【社員】は「【後輩】への指導・教育を可能な限り実施」したどころか、組織全体に良い影響を与えるよう情報発信等数々の打ち手を実施した。それでも【上司】はあまり高く評価せず、評価結果への反映も見られなかった。

【社員】を評価した【上司】は、【社員】から【社員】と【後輩】を同じ業務にアサインするよう指摘とお叱りを受けた。翌年には再び【社員】と【後輩】が同じ業務となり、【社員】は【後輩】を指導・教育し、【後輩】は成長していった。

「【後輩】を【社員】と別業務にアサイン」すること自体は理由あって行われたものであり、致し方ないものである。後述するが、このように状況が変化したにもかかわらず、評価基準が状況変化前のままであるために、発生してしまった矛盾と言える。

3.評価期間中に背景状況が変化しているにも関わらず、評価基準が見直されていない。

前項の内容から続く。【上司】が【社員】に「【後輩】への指導・教育を期待」しているにも関わらず、【後輩】を別案件の業務にアサインしたのは、状況の変化である。更に、元々【社員】【後輩】2人で、【後輩】へのOJTを兼ねて行う予定であった案件は【社員】1人で行うこととなったため、【社員】の負荷は増大する。これも状況の変化である。

しかし、評価期間における評価基準(【上司】の期待)は、「【後輩】への指導・教育を期待」である。ここがミスマッチである。背景状況の変化は致し方ないにしても、これに伴って評価基準は見直すべきなのである。【上司】はここが出来ていなかった。

元々2人で行う案件は【社員】1人で行い、無事完了したのだが、これは【社員】の能力が高いためである。その分【社員】は過小評価されている。状況変化により【社員】がより高いパフォーマンスを出す必要があり、それを達成したにもかかわらず、評価基準が状況変化前のままであれば、状況変化による【社員】の負担増大分が搾取されたことになる。

これのみではない。前述の「【後輩】への指導・教育を期待」していることを達成できない体制にしておきながら、達成できなかったとしてこの分も過小評価されているため、この事例では二重に過小評価していることになる。

また、達成不可能な期待を提示し、達成できなかったことに対して過小評価することは、パワハラ6類型のうちの1つ「過大な要求」に該当する可能性があるため、十分な注意と細心の配慮が必要である。

4.業務内容がさほど困難なものではなかったという表面的な情報のみで過小評価する。

業務がさほど困難なものではなく普通にやり遂げただけならば、高い評価は期待できない。これはその通りである。

しかし、実際に起きた事例では、当該業務の中である【社員】は、業務改善や部下・後輩への指導・教育を行い、明らかに単に業務をやり遂げた以上の成果を出している。

また、業務がさほど困難ではない背景は、この【社員】が効率化(例えば、製品開発の場合は部品の共通化)を行ってきた背景があるからである。

これを【社員】の上司が、「業務がさほど困難ではない」という表面的な部分のみを見て、あまり高い評価をしないならば、上司は【社員】から不信感を持たれてしまう。以降も、【社員】は【上司】に「成果を挙げても軽視される」という印象を持ってしまい、エンゲーシメントが低下するリスクがある。信頼関係を築いていても崩れてしまう。これは紛れもなく【上司】によるマネジメントの失敗である。

上司が部下の成果や背景を含めて、着目し正しく把握しておくことは、マネジメント能力の一部である。

5.期待以上の成果を挙げているにも関わらず、まだ管理職にさせたくないという評価者の主観で進めている。

管理職にする/しないは、本人の向き不向き、本人の意向、組織における人事面での状況もあるため一概には言えないが、成果を挙げているならば、評価はすべきである。

しかも、成果を挙げている客観的なデータがありながら、評価者の主観で評価を決めてしまうと、「成果を挙げても正しく評価されない」という印象を持たれてしまい、エンゲーシメントが低下するリスクがある。

よくある話だが、高い実力と実績を持った人に転職(活動)をされてしまうのは、こうした背景があり、現職で期待しているキャリアを実現できないことによるものや、実績の割には給与が低いといった理由が多い。

6.期待以上の成果を挙げているにも関わらず、更にハードルを上げられる。

目標やハードルを上げることは、個人や組織の成長には必要なことではあるのだが、評価者の期待以上の成果を挙げたなら、高く評価した上でハードルを上げるのが筋である。

高く評価することなく、ハードルのみ上げてしまうと、「成果を挙げても正しく評価されず、ハードルのみ上げられる」という印象を持たれてしまい、「過小評価」や「搾取」と見抜かれてしまうリスクがある。また、組織・社員のモチベーションが低下するなどの悪影響が考えられ、マネジメントが適切に出来ているとは言い難い。

7.評価者のモラルが低下しており、低評価の根拠が事実と異なる。

これは最も論外であるが、絶対に発生してはならない人事評価における不正が発覚した事例である。

他社の管理職(パワハラ加害者)からパワハラを受けた被害者が苦痛により、体調を壊した。この件に関し、後日被害者からパワハラ加害者に対してクレームした。その結果、しばらく当人同士でトラブルになったものの、被害者が屈することなく労働問題に対する正論を発信し、パワハラ加害者が最終的に謝罪した。これは組織内どころか、企業間の垣根を超えた社会的優良事例である。
しかし、後に被害者の上司(被害者側組織の管理職)は被害者に対して、

  • 「他社の管理職(パワハラ加害者)の意図を理解していたか?」
  • 「被害者の体調不良は他社には関係なく、当社内部で解決すべき。」
  • 「会社対会社の関係を考えているか?」

などと被害者を責めた挙げ句の果てに、被害者の人事評価を低評価とした。
被害者の上司の行為は、明らかにパワハラ被害者を黙らせることを目的としていることが見えており、セカンドハラスメントにあたる。
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被害者の上司による、被害者への人事評価を低評価とした内容をもう少し詳しく見てみる。

「他社の人間に対して自己中心的な発言がある」

とのコメントがある。被害者がパワハラを受けた背景を知らない人からすれば、被害者に問題があるように見えてしまい、第三者を誤認させてしまう表現である。

しかし、他社の管理職からパワハラを受けたときの証拠、上司がこれについての見解を述べているときの証拠を、被害者が保有しており、人事評価のコメントと上司の見解の内容が合致したことにより、パワハラ被害に対する正当防衛を「自己中心的な発言」と称していることが証明された。

ここでいう「自己中心的」は本当に「自己中心的」なのだろうか?

上述した通り、パワハラの正当防衛は、被害者にとって「自己を犠牲にしない」意味でも、会社にとって「信頼・評判の低下や、法的リスクの回避」の意味でも、社会的優良事例である。即ち「自己を犠牲にしない」ことを「自己中心的」と言い換えている典型である。

被害者の上司は、人事評価という土俵の上で、パワハラが発生していることを知りながら都合が悪いという理由でこれを隠蔽し、被害者が他社の管理職(パワハラ加害者)に対して何かやったことのみを吊るし上げ、低評価の根拠としている。被害者の上司の行為は、被害者を犠牲にしたうえで自らはパワハラ発生に対する不適切な対応に関する責任逃れでしかないため、この上司の方こそが「自己中心的」と言えるのである。よって、被害者の上司はコンプライアンス意識欠落を理由に、被害者から社会的に信頼を失ってしまって然りなのである。

被害者の上司は、責任を取ったうえで人事評価における表現を次のように改めるべきである。

×他社の人間に対して自己中心的な発言
○他社のパワハラ加害者に対する人間教育という、会社間の垣根を超えた社会的優良事例

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8.評価者にとって都合が良いことを優先し、コンプライアンスが二の次になっている。

これも前章に続いて論外であるが、絶対に発生してはならない人事評価における不正が発覚した事例である。

被評価者であるソフトウェアエンジニアA氏は、システム開発プロジェクトをフロントローディングで主導し、成功を収めた。このプロジェクトは、製品仕様決定の遅れによるソフトウェア開発期間の短縮、製品内部のメカ構造、ハードウェアの問題をソフトウェアで解決する仕様追加といった外的要因により、ソフトウェアエンジニアがしわ寄せを受けたことに加え、更に納期の前倒しを要求されたという、鬼畜極まりないものとなった。

それでも、ステークホルダと密にコミュニケーションを取り、開発プロセスの創意工夫、テストの自動化等に加え、プロジェクト終盤は人員の追加投入と長時間労働という力技で乗り切った。ここまでは、いかにも逆境を乗り切った美談に聞こえる。しかしA氏は、長時間労働という力技で乗り切る業務スタイルに悩まされていると同時に、

「一部の人や組織の犠牲によってビジネス全体を成り立たせることはコンプライアンス上問題がある」

という危機感を持っており、この内容は過去にこのA氏が所属する企業で実施されたことのあるコンプライアンス教育の内容でもあった。

A氏はこの開発プロジェクトの終了後、「振り返り」の開催を主導した。「振り返り」では、上記のようにソフトウェアエンジニアが外的要因によるしわ寄せを受け、長時間労働に至るという労務管理上の問題を抱えている旨、ステークホルダに丁寧に共有し、理解を求めた。

「振り返り」といえば、普段は開発プロセスや業務の進め方についての内容が多い。本事例のように、労務管理コンプライアンスの面からアプローチすることは、当該プロジェクトの組織にとっては、珍しいのか、あまり好まれないのか、タブーなのか、ハードルが高いのか、労働リテラシーが低いのか・・・、あまり評判が良くなかったようだ。

その話がA氏の上司である管理職B氏に相談という形で寄せられた。B氏はステークホルダの言い分に一方的に同調し、この期のA氏に対する評価を低評価とした。

B氏はA氏に対して、

  • 「あのプロジェクトの開発振り返りはいかがなものかとみんな言っている」
  • ステークホルダーは困っている」
  • 「そのことを踏まえて、今期は低評価にする」
  • 「今期の自分の行いを振り返るべき」

などと発言したことで、A氏の心理的安全性を壊す結果となった。A氏はB氏への信頼を失い、以降のプロジェクトにおいても長時間労働に堪え続ける日々が続いた。同時にB氏を含むステークホルダのコンプライアンスに問題意識を持つこととなった。

これは結論から言うと、紛れもなくB氏の失敗である。

まず、「振り返り」の対象となったプロジェクトにおいては高い成果を挙げており、これだけでも高評価すべき内容である。これだけではない。更に、自ら「振り返り」を主導し、ステークホルダを巻き込み、「振り返り」の中にコンプライアンスの観点を入れるという、社会的に高い視座を持ってアプローチしたことは、管理職のポテンシャルを超えると言っても過言ではない。

B氏の失敗は、次のような点にある。

A氏の犠牲的労働が報われることはなかった。B氏の責任であるとともに、ステークホルダのコンプライアンスにも問題がある。B氏は管理職としてステークホルダのコンプライアンス徹底を推進していくべき立場にあるのだが、正反対のことをやってしまった。管理職がこのような失敗をすると、優秀な人材が流出するリスクを抱えるということを忘れてはいけない。
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最後に、評価を受ける人が取ることのできる対策に触れる。

ます、人事評価の結果が評価を受ける人(被評価者)自身の想定と異なった時は、その原因を突き止めることだ。そして、評価者が何を期待しているか、被評価者の想定とどこにどのように乖離があったのかを明確にすることだ。ここまでは、被評価者側に対してよく言われる一般論だ。

この記事で述べたのは、上述した事例にもある通り評価者側に過ちがあるケースだ。この記事で述べた内容以外にも、評価者が陥りやすい過ちとして、以下のようなケースがある。ここでは概要のみ紹介する。詳しくは他のサイトや関連書籍を参照いただきたい。

  • 「ハロー効果」:一つの良い面につられて全て評価しがちであること。
  • 「中心化傾向・極端化傾向」:当たり障りのない無難な評価になること。
  • 「期末評価」:評価時期直前の出来事に偏って評価すること。
  • 「寛大化傾向・厳格化傾向」:全体に甘い、あるいは評価者自信と比較して厳しく評価すること。
  • 「対比誤差」:評価者の得意分野に厳しく、苦手分野に甘くなること。
  • 「論理誤差」:事実よりも思い込みで評価すること。

被評価者も、評価者に求められる能力や姿勢を理解しておくことが望ましい。

そして、被評価者が正しく評価が行われていないと感じるのであれば、被評価者が持つ能力や実績を正しく評価される環境を探すことを視野に入れるべきである。

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外的要因によるソフトウェア開発部門へのしわ寄せをソフトウェア開発部門が吸収するシステム開発は異常である

システム開発を行う中で、外的要因によりソフトウェア開発部門がしわ寄せを受けることがある。

一般的には、以下のようなものがある。

  • 要件定義決定、仕様決定の遅れによるもの。
  • 顧客、企画部門、営業部門による無理な要求によるもの。
  • 大元の企画からの方針転換によるもの。
  • 本来ハードウェアで解決すべき問題をソフトウェアで解決しようとするもの。
  • 開発途中の仕様追加。

実際のシステム開発プロジェクトを例に挙げて、どのような外的要因によるしわ寄せを受け、どのような対応を取ったか、またソフトウェア開発部門以外の部門を含めて、あるべき姿について語りたいと思う。


1.ソフトウェア開発部門が上流工程に積極的に関与するプロジェクトの序盤

既に市場に流通している製品のマイナーチェンジ品の開発が企画されている。マイナーチェンジ品なので、主にソフトウェアのみの変更で、価値を提供する製品を開発したいというもの。この開発へのリソースアサインも少ないものだった。

企画における本製品のコンセプトは、当初「ソフトウェアで価値を提供する」としていた。しかし、近い将来本製品を含む製品群の大幅なラインナップの見直しを行うこととなった。この影響により、本製品に関しては、できるだけ追加機能を必要最小限とし、開発費用を最低限に抑えるよう方針転換があった。

費用を最小限に抑え、追加機能を最小限にするため、一部のモジュールについては現行製品から変更なしで進める計画である。「最小限」「変更なし」と言えば、開発のボリュームが少なく、難度が簡単であるかのような印象を受ける。しかし、費用を抑えること、特定のモジュールの変更をせずに開発することは、制約事項が膨らみ、その制約事項を満足するために、その他のモジュールにおける設計の工夫が必要であるため、かえって難度が高くなることがあるのである。今回の開発がこれに該当している。

このプロジェクトでは、ソフトウェアエンジニアがシステム仕様決定を待ち、決定した要求仕様に従ってソフトウェア設計を行う従来のスタイルから一変し、開始当初からソフトウェアエンジニアが仕様調整等前工程に積極的に参画し、複数の仕向先の仕様、ソフトウェアの共通化に向けて進めることで、品質の確保、開発工数の削減といった開発効率の向上に寄与した。(・・・【開発効率向上1】)

また、仕様決定に時間がかかるようなケースにおいては、ソフトウェアエンジニアがデモ用ソフトを作成し、実際にシステムの振る舞いを、仕様設計部門や製品企画部門に確認してもらいながら、具体的なイメージを掴んでもらい、円滑な仕様決定へと導くよう試みた。(・・・【開発効率向上2】)

2.ソフトウェアエンジニアに次々と追い打ちをかけるプロジェクト中盤

上述の【開発効率向上2】のようなこれまでにはない取り組みにもかかわらず、それでも仕様決定が難航し、少しずつスケジュールが予定より遅延していった。対応仕様項目ごとに仕様確定期限を設けていたが、いずれも2週間から1カ月程度遅れての確定であった。

その原因の1つは、本プロジェクトで開発している一部のモジュールを、以降の別製品との共通化を見据えた議論であった。長期的な視点では良い取り組みである一方、本プロジェクトで開発している製品とは別の製品の都合により、直近の製品開発スケジュールに徐々に影響が出ている状況であった。(・・・【外的要因1】)

また、別のモジュールでは、開発費用を最小限にするため、ステークホルダ間での調整が長期化した。具体的には、一方が開発の見積費用を提示したことに対し、他方が機能削減と値下げ交渉を行い、最適な落としどころを見い出すといったやりとりの往復であった。(・・・【外的要因2】)

このような状況の中、仕様追加が発生した。開発中のマイナーチェンジ品のベースとなる現行品において、発生数は少ないが市場品質問題の報告が品質保証部門に寄せられ、本来製品のハードウェアで対応すべき問題であるにも関わらず、対応が困難であることから、ソフトウェアによる対策を行うこととなった。本件の依頼元部門においても、本来ハードウェアで対応すべきことや、ソフトウェアでの対応が極めて難度が高いことを理解していた。(・・・【外的要因3】)

更に追い打ちをかけるように、製品・ハードウェアの耐久試験の結果、規定を満たさない箇所があることが判明し、その対策用ソフトウェアの作成に、ソフトウェアエンジニアが度々協力した。結果、このハードウェアの耐久試験において規定を満たさない内容とは、試験方法や試験環境によるものと判明した。(・・・【外的要因4】)

更にハードウェアの設計において、開発当初に予定していた設計に問題が見つかり、開発終盤でハードウェア設計を見直した。これに伴いソフトウェアの変更が必要となった。(・・・【外的要因5】)

その他諸々、細かい内容も含めてこれらの【外的要因】が、全てソフトウェア開発部門がしわ寄せを受けることとなり、開発難度が一気に増してしまった。

3.ソフトウェア開発部門が受けたしわ寄せの吸収に尽力するもやっぱり残業対応にならざるを得ないプロジェクト終盤

これらのしわ寄せを受けたソフトウェア開発部門は、鋭意対応を進めソフトウェアの完成に近づけていった。ソフトウェアで対応する内容が開発当初よりも増加していることをステークホルダにも伝えたが、納期を遅らせることなく、ソフトウェア開発部門内の調整のみで対応した。

一部の項目については、ソフトウェアエンジニアから仕様検討部門へ対応を免除するよう申し出た。しかし、受け入れられなかった。

また、しわ寄せを受けたソフトウェア開発部門では、一部開発中のソフトウェアにバグが検出されたが、迅速に対応し、以降大きな問題にはならなかった。

【外的要因】のしわ寄せの解消に貢献した【解消要因】がいくつかあるので、ここで挙げておく。

一つは、前述の【開発効率向上1】に記載した、複数の仕向先の仕様、ソフトウェアの共通化に向けて進めることで、品質の確保、開発工数の削減に前倒しで取り組んだことが救いとなった。(・・・【解消要因1】)

次は、ソフトウェアエンジニアの1人が以前からテストを自動化する構想を持っており、この対応には数日を要したものの、その工数を回収することができ、大幅なテスト効率向上と、品質への貢献を実現した。(・・・【解消要因2】)

更に、ソフトウェア開発部門の管理職の協力を仰ぎ、開発終盤に期間限定で応援要員を2名追加し、対応した。幸い2名ともこの開発中製品に対する類似製品の開発経験者である。しかし、応援要員2名が元々アサインされていたプロジェクトへの影響が出ている。(・・・【解消要因3】)

更に、一部のソフトウェアエンジニアが一時期間、深夜までの残業対応で遅れを挽回した(・・・【解消要因4】)

そしてこの開発は紆余曲折あったが、無事納期までに完了した。また、幸い労働トラブル、メンタルトラブルの発生等もなかった。

4.ソフトウェアエンジニアが前工程のしわ寄せを吸収する開発は当たり前ではない、異常だ!

ここまでを読むと、ソフトウェア開発のエピソードとしてよくある話であり、情報処理技術者試験の高度区分の1つである「プロジェクトマネージャ試験」の題材にもなりそうだ。

「いかなる外的要因や変化にも対応できることがプロジェクトマネージャには求められる」

とか、いかにももっともらしいことが解説に書かれていることがある。
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ハードウェア、ソフトウェア問わず部品の共通化や業務効率化等短時間で完成させるための工夫は、どの開発現場でも当たり前に言われる。応援要員追加も珍しくない。長時間労働も職場によってはよくあることだ。

しかし、ここからが重要だ。これが「当たり前」「よくあること」「業界の常識」と考えてしまうと、その時点で思考停止である。

前工程の遅れや仕様追加等の外的要因にも関わらず、最終的な納期を当初の予定から変更しないとなると、ソフトウェア開発部門にしわ寄せがきて、最悪ソフトウェアエンジニアの犠牲によって開発全体が成り立つなど、普通に考えれば理不尽極まりないことである。

とはいえ、現実にはプロジェクトの進行中に状況が変わることがある。想定外のことも起きるし、開発当初に全ての問題やトラブルを予測するのは現実不可能である。そのような時は以下の考え方を持っておくと良いだろう。

  1. プロジェクト進行中の「方針転換」や「仕様追加」は、「ある」よりは「ない」方が良い。しかし、「ある」場合でも発生すること自体は致し方ないと考えている。設計当初の時点ではすべてのケースを想定しておくことは難しい。誰にでも、どの部門にでも、開発である以上想定しないトラブルはある。発生すること自体を否定してしまうと何もできなくなる。
  2. 次にこのような要因による、ソフトウェア開発部門へのしわ寄せを、ソフトウェア開発部門の頑張りで賄うことが考えられる。ソフトウェア部門のリソースに対して許容範囲内であれば、対応可能であると考えられる。対応不可能である場合は、対応内容の絞り込み、優先度の再検討、後回しにできる作業の洗い出しなど、ステークホルダ間で調整すれば良い。
  3. 次にこのような要因による、ソフトウェア開発部門へのしわ寄せを、ソフトウェア部門で吸収することが当たり前になると、問題意識を持つべきだ。部門間やステークホルダ間でこのような力関係があると、健全な開発を行うことが困難になり、無理か祟り、Q(品質)、C(コスト)、D(納期)のいずれかに歪みが発生する。ソフトウェア開発部門も、ソフトウェアエンジニアも正常に機能しなくなることを理解しておくべきなのである。
  4. 次にこのような要因による、ソフトウェア開発部門へのしわ寄せを、ソフトウェア部門で吸収することが「業界の常識」として洗脳するような社畜が存在すれば、ブラックの底辺と断言できる。このような組織や人とは関わらないことがベストである。

ソフトウェア開発部門が、前工程のしわ寄せを受けたとき、

が大きな二択となるケースが多い。良し悪しは別として。。。

ソフトウェアエンジニアでさえ、良心なのか、使命感なのか、社畜魂なのか、自分達を犠牲にして全体に尽くそうとする。新しいソフトウェアのリリース日、新システムの稼働開始日、新製品の発売日、これらを死守しようとする。顧客目線を考えれば当たり前と教える人が多いのだが、問題なのはスケジュールを守ることが絶対的な正義と勘違いし、エンジニアの犠牲の上にプロジェクトを成り立たせるという、コンプライアンス面での問題が大きすぎることだ。その結果、ソフトウェア品質やソフトウェアエンジニアの労務管理という形で表面化する。特に労務管理に影響が出て、心身不調者や離職者が出て、ブラックとの噂が広まれば、ソフトウェア開発部門を抱える企業にとって、大きな損害だ。

また、外的要因によるしわ寄せを受けたエンジニアの労働実態の問題点と、このような問題点に対してステークホルダ全体で改善が必要な旨について、社会的に高い視座でもって声を挙げたエンジニアに対して、組織にとって都合が悪いという理由で、人事評価で低評価するような残念な管理職も存在している。このようなことをすれば、声を挙げにくくなりますます労働問題の解決から遠ざかる一方である。
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一方、少数派ではあると思われるが、納期を遅らせるという選択肢もある。ソフトウェアエンジニアもその他のステークホルダも、無理なく健全な状態でWin-Winになり、これで業務が回るような労働環境と経営を実現することこそが、経営陣や管理職の本来の仕事だ。ソフトウェアエンジニアの犠牲をもって全体を成り立たせるなど、ソフトウェア・ファーストの考え方と真逆であり、経営としては恥ずかしいことと心得るべきである。

ソフトウェアエンジニアは前工程のしわ寄せを、自分達で吸収することを当たり前と考えてはいけない。しわ寄せを受けている現実、ソフトウェアが提供する価値、ソフトウェアエンジニアが犠牲になることの弊害の大きさ、これらをソフトウェア開発部門以外が知っておかないと、ソフトウェア開発は成り立たなくなる。管理職、経営陣は尚更だ。

一方、開発の前工程を司る部門、製品評価部門、製品企画部門、品質保証部門等、ソフトウェア開発部門以外のステークホルダもまた、何か外的要因によるしわ寄せを受け、それがソフトウェア開発部門に連鎖しているのかもしれない。IT業界でいうところの「多重下請構造」の問題のように、業界・職種・業種の構造上の問題を抱えているかもしれない。まずは、お互いの困りごとを全部掃き出し、他部門の現状を『知る』ということから始めるべきではないだろうか? 困りごとを解決できる/できないに関わらずである。
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「他部門だから」「他社だから」という理由で「言いづらい」「言えない」「言ってはいけない」等と、管理職やベテラン社員が黙らせているのならその姿勢を改めるべきだ。このような風通しの悪さこそが問題であり、部門内だけで文句を言っても始まらない。医療機関のスタッフの大変さ、運輸業界の過酷さ、教員の長時間労働問題、国会・官僚の非効率な働き方、公に報道されるから我々はその実態を知ることになるのである。ソフトウェア開発も同じである。
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経営陣や管理職は、一般の従業員よりも高い視座を持っている。しかし、それは組織内での視座である。本来必要なのは社会的に高い視座である。上述したように、コンプライアンスを差し置いてビジネスを進めるなどあり得ないと考えるべきだ!
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「客や発注者の方が偉い」と考えている時点で思考停止!そのような人罪とは距離を置くことを推奨する!

ビジネスの世界ではお客様の要望に応えることが、商品・サービスのシェア獲得に繋がり、売上・利益に繋がると教えられる。

これ自体は間違いではないのだが、「客や発注者の方が偉い」という思考停止に陥ることによる弊害について会社で教えられることは少ない。

また最近では、客とベンダーの立場は対等であると教えられることがあっても、行動が伴っていないことが多い。

コンプライアンスがますます重視される世の中へ変化するものの、それでも古い価値観を持ち続ける旧態依然の体質の人は少なからずいる。時代の変化に合わせて、価値観をアップデートし、倫理観を高めることが求められるのだが、これができていない人と距離を置かないと、自分が理不尽に巻き込まれる等、被害を受けるリスクを抱えることになる。

そのことについて事例を踏まえてお伝えしたい。


1.「客や発注者の方が偉い」と考えられてのは日本のみ

日本ではまだまだ客や発注者のほうが立場が上と考えられている。

それは、お客様に満足していただかなければ、商品やサービスは競合他社にシェアを奪われ、客離れが起き、ビジネスが成り立たなくなり、いずれは破綻してしまうという考え方が主流だからだ。

お客様にはお金を払っていただいている。だから、お客様の要望に応え、可能な限り尽くし、早く、安く、高品質な商品・サービスを提供する。日本の企業に就職すると、このようなことが徹底的に教え込まれる。

「お金を払っているのだから」とよく言うが、「お金を払って」いる側が「偉い」というのは勘違いだ。

普通に考えれば、ビジネス・商売というのは、「お金」と「商品」・「サービス」との等価交換であり、関係は対等だ。なのに多くの日本人は上述の勘違いをしている。

日本ではサービス精神が行き過ぎているためか、客からの理不尽な要求にも必死で応えようとする。要求を受けた側の懸命な尽力にも関わらず、応えられなければ要求を受けた側が叩かれる。おかしな状態を維持しようとするから、労働環境がブラックになる。残業を求めてくる取引先は、閉店後に「店を開けろ」と騒ぐキチガイと同じだが、このようなことが平然とまかり通る。

このような光景は日本のみであり、海外では「客や発注者が偉い」という考え方は全く通用しない。

そもそも日本人の接客が過剰であり、異常なのである。海外では、客と店員、客とベンダーは対等だ。どちらも人間である。不快なことがあれば相手か誰であれ、表に出す。これが当たり前だ。店員と客だけでなく、雇用主と労働者の関係も同じだ。

「客や発注者の方が偉い」と考える人は、一度このように上司から教えられたら、おかしいと思ってもそのようなものだと認識し、それ以上考えることをしない。洗脳されて思考停止している。このような人罪とは、距離を置かないと、自分自身もこのような人罪に洗脳され、思考停止してしまう。
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距離を置いた方が良い人罪と考えている二つの事例を紹介しよう。二つの事例で紹介する人罪に共通点するは、過去にハラスメント加害者となったことがある人だ。

2.「業務改善のためのシステムを作らせる側が偉い? ふざけるな!」

業務改善のためのシステムやツールを作成するとき、

「改善のためシステムやツールを発案して、作らせる人」

「改善のためのシステムやツールを、保有する知識・スキルを駆使して作る人」

のどちらが偉いかという議論があった。

そこで、旧態依然の価値観を持つある年配のベテラン社員が、「作らせる人が偉い」と言っていたことがある。

例えば、「このようなシステムやツールがあれば、このような問題に対応でき、このように改善できる」といった具合に、発案すること自体はとても価値のあることだ。

しかし、「作らせる側が偉い」というのは、単なる奢りとともに思考停止である。

実際は、「現状の問題点を捉え、解決・改善のためのシステムやツールを発案」する人がいても、「発案した内容を具現化するためのシステムやツールを構築できる技術」がなければ実現できない。

それなのに、なぜ「発案して作らせる人が偉い」のか私には理解できない。

「現状の問題点を捉え、解決・改善のためのシステムやツールを発案」するには、システム開発における上流工程を司るために高度なスキルが必要だと思い込んでいるのではないだろうか?

そもそも私は上流工程、下流行程という呼び名が嫌いで、「一連の工程は全て意味のある工程」と捉えるのが普通だと考えている。

システムやツールを構築するにも、専門性の高いスキルが必要であり、決して軽視できるものではなく、多大な有り難みを感じるべきなのだ。しかし、旧態依然の価値観の人は、そこを理解できておらず、偏った価値観を持ち続けているようだ。

ひとつの大きなことをやりとげるには、それぞれのスキルを持った人が、それぞれの役割を果たし、それぞれの専門性を活かし、それぞれの人同士の協力関係のもと成り立っているという基本を忘れてはならない。一部の人や組織の犠牲によって成り立っているのは異常である。だから、どちらが偉いとかあり得ないのである。上述の旧態依然の価値観を持つ年配のベテラン社員は、価値観を改めなければいけないのだ。
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「作らせる側が偉い」という価値観を持っている人は、

  • 「管理職が偉い」
  • 「発注者側が偉い」
  • 「客のほうが偉い」

と同じように勘違いしている傾向があり、立場や力関係を背景にしたパワハラ体質である傾向がみられる。理不尽を押し付けられるリスクがあるので、距離を置いた方が良い存在だ。でなければ、せっかく高いスキルを保有していても「作らせる側」の歪んだ価値観により、過小評価され、安く扱われる等勿体ない結果になる。

更に、現実を付け加えておく。よく業務効率化のためのツールを構築できる人は、MS-DOSバッチ処理にせよ、EXCELVBAにせよ、C言語で生成するファイル操作のプログラムにせよ、ツールによってどのようなことを実現できるかをわかっているため、その人自身が業務上の問題点を捉え、改善のための発案を自らすることがよくある。ボトムアップの発想だ。こういったことをできる人が、口だけ達者な人と比べて職場で重宝されることはよくある話だ。

3.「取引先からパワハラを受けたことについて、被害者から加害者へのクレームに対して、『会社対会社の関係を考えているか』? ふざけるな!」

他社の管理職(パワハラ加害者)からパワハラを受けた被害者が苦痛により、体調を壊した。この件に関し、後日被害者からパワハラ加害者に対してクレームした。その結果、しばらく当人同士でトラブルになったものの、被害者が屈することなく労働問題に対する正論を発信し、パワハラ加害者が最終的に謝罪した。これは組織内どころか、企業間の垣根を超えた社会的優良事例である。

しかし、後に被害者の上司(被害者側組織の管理職)は被害者に対して、

  • 「他社の管理職(パワハラ加害者)の意図を理解していたか?」
  • 「被害者の体調不良は他社には関係なく、当社内部で解決すべき。」
  • 「会社対会社の関係を考えているか?」

などと被害者を責めた挙げ句の果てに、被害者の人事評価を低評価とした。

被害者の上司の行為は、明らかにパワハラ被害者を黙らせることを目的としていることが見えており、セカンドハラスメントにあたる。
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ここで言う「会社対会社の関係」は、他社(顧客)から無理な要求を受けたり、ハラスメントを受けても、波風立てず他社(顧客)との関係を維持したいために、被害者に対して使われている。被害者の上司(セカハラ加害者)の対応は不適切極まりないものであり、大変遺憾である。

この場面において、本来「会社対会社の関係」は、パワハラ加害者に対して使われるべき言葉である。パワハラ加害者は、他社の従業員にパワハラを行っており、被害者よりクレームを受けている。パワハラ加害者こそが「会社対会社の関係」を考えるべきなのである。
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誰が見ても当たり前にわかるようなことなのだが、他社の管理職(パワハラ加害者)、被害者の上司(セカハラ加害者)揃って過ちを犯している。「取引先(発注元)の方が偉い」という思考停止に陥り、偏った価値観をもって、自組織内のパワハラ被害者を潰しているにも関わらず、被害者の上司(セカハラ加害者)ですら、被害者の心情に配慮したまともなパワハラ対応ができないのである。被害者の上司(セカハラ加害者)においては「会社対会社の関係」をキーワードに、被害者側の対応について逐一指導する割には、肝心のパワハラそのものについてはザル対応であり、お門違いも甚だしい。

被害者の上司はコンプライアンス意識欠落を理由に、被害者から社会的に信頼を失ってしまった。当たり前である。

4.「客や発注者の方が偉い」と思考停止になることのデメリットについて語る

この記事の冒頭に記載した通り、お金を支払っていただいているお客様が満足する製品・サービスを提供しなければ、競合他社にシェアを奪われ、ビジネスが成り立たなくなるということは、どこの会社でも、誰もが教わることであり、一理ある。

しかし、「客や発注者の方が偉い」と思考停止になることは、以下のようなデメリットの方が多くあり、私が見る限りにおいてもこちらの方が顕在化しつつある。


【従業員・リソース面の観点】
顧客の横暴や理不尽な要求を実現するため、自社の労働環境がブラックになり、自社の従業員が心身不調になり、自社の貴重なリソースが潰され、最悪再起不能になる。これにより、組織の生産性、パフォーマンスが下がり、他の従業員に負担がかかる。ただでさえ人手不足の中、従業員の離職か進む一方で、従業員を確保することが難しくなり、顧客の原因においてビジネスが成り立たなくなる。
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【社会面・倫理面の観点】
顧客の横暴や理不尽を辛抱することが強いられるなど、人間としての倫理観よりも顧客の要求が優先されることで、社会的な秩序が保てなくなる。また、そのような風潮が社内に広まり、当たり前となることで倫理観が低下し、社会から孤立する。コンプライアンス意識の高い優秀な人財が辞めていくことによるリスクを抱え、最悪の場合、組織の破綻を招く。


【財務面の観点】
提供する商品・サービスと対価とのバランスを失い、価値の高い商品・サービスに見合わない安い金額で買いたたかれることで、提供している価値を軽視され、かえって健全なビジネスの継続が困難となる。結果、これを維持するために職場の労働環境がブラックになる。また、顧客要望を重視しすぎるあまり、業界として値下げ競争が行き過ぎることで、業界全体が極めて貧しくなる。 
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【将来性の観点】
顧客の要求を満たすことのみが当たり前になると、自分達の労働環境の犠牲の上に成り立つ状況に追いやられる。結果、そのような職種・業種に就きたいと思う若者が減少し、将来的にその産業自体が成り立たなくなる。業界によっては我々の生活面に直接影響を及ぼす。医療機関はその代表例だ。


【法律面・違法性の観点】
顧客の要求を満たすことのみが当たり前になると、知らぬ間に違法行為に加担し片棒を担ぐことになってしまうことがある。このような組織からは優秀な人財が離脱する可能性が高い。偽装請負はその代表例だ。他にも、顧客の横暴に付き合わされることで、従業員が心身不調などを訴えると、使用者は職場の安全配慮義務違反が課せられるリスクを負うこととなる。
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「客や発注者の方が偉い」と思考停止になる人は、このようなデメリットに対して無自覚である。

口頭ではデメリットだ!、問題だ!と言っていても、実際行動が伴っていないことはざらである。だから、このような人に対しては、是正を要求するか、距離を置いたほうが良いのである。自分自身が被害を受けないためにも。

一方、自分が客であっても自分が「偉い」という感覚は全くなく、お金を払っていてもサービスを受けたときは「ありがとうございました。」の一言くらいは当たり前だと思っている。

また、客の横暴とは逆に、商品・サービスを提供する側による横暴もあってはいけないことだ。殿様商売という言葉をご存知だろう。お客様、従業員、ベンダー、取引先、協力会社、みな人間である。

ビジネスの常識や力関係がまかり通ると、この基本を忘れてしまい、人権を侵害してしまうことが少なからずあるから困ったものだ。心当たりがある人はもちろん、無自覚の人こそ是正してもらいたいものである。