ソフトウェアエンジニアが労働について情報発信するブログ

ブラック労働からホワイト労働まで経験したソフトウェアエンジニアが世の中にとって役立つことを情報発信していく。

顧客・取引先からの迷惑行為による被害と対策

顧客・取引先からの迷惑行為は被害が大きく対策が困難と認識されてきた。

顧客・取引先が相手であれば、ビジネス上の関係の方を重視してしまい、声を挙げるにも挙げられず、取引上の不利益を被るかもしれない。また、被害者の上司等第三者としても、根本的に問題を解決するより、被害者を黙らせる方が簡単という心理から、被害者の考え方を改めようとマインドコントロールすることがある。結局、泣き寝入りしかないのかと思ってしまう。

しかし、近年はコンプライアンス意識、人権意識の高まりから、流れは変わってきている。紹介する事例をインプットしていただき、ビジネス上の関係も重要であるが、人権を犠牲にしてまで確保するものではないということを理解していただきたい。加害者、被害者、第三者、そして企業等の組織にとっても必要なことである。


1.迷惑行為による被害にも声を挙げにくいことが多い

顧客が原因で迷惑行為を受けるパターンとして業界一般でよくあるのが、悪質クレーマー対応だ。教員であればモンスターペアレントに悩まされる話題がニュースになったこともある。トラックドライバーなら荷主の力が強く、過酷な労働の割には低賃金であるという記事も見たことがある。私の現職であるソフトウェアエンジニアにおいても企業によっては顧客や取引先から理不尽な対応を取られたり、パワハラを受けることもある。問題だらけだ。
o08usyu7231.hatenablog.com

そしてこれらの結果、対応した従業員は長時間労働と過度なストレスに見舞われ心身を崩壊し、健康被害を受けることになる。社内のトラブルならまだしも、顧客や取引先によって迷惑行為を受けた場合に、正論を突き付ければ取引に影響が出るのではないかという不安を抱くだろう。

実際、顧客・取引先・親会社・発注元から理不尽な出来事による被害が起きても、力関係上の背景を理由に問題に直接向き合わず、加害者側に是正を求めず、被害者側の考え方を改めるようマインドコントロールするなど、解決から遠ざかるおかしな結果になることがよくある。

この結果、被害者が退職してしまった場合、誰が責任を取るのだろうか?

加害者は被害者の人権を侵し、被害者が所属する企業は安全配慮義務違反」(労働契約法第5条)となり、社会的信頼の低下、企業イメージ・ブランドの低下、法的リスクの保有、損害賠償請求のリスクなど、その甚大さははかり知れない。

最近は世間の目が段々と厳しくなり、流れが変わっているようだ。ここでは、顧客からの迷惑行為や取引先からのパワハラに屈することなく対応した優良事例を紹介する。

2.東京・神田の日高屋における優良事例

下記の記事をご存知だろうか?

grapee.jp
twicolle-plus.com
buzzmag.jp

中華料理チェーン店である「日高屋」で起きた、客からの迷惑行為に対する優良事例だ。この客からの迷惑行為に対して「日高屋」の従業員が精神的苦痛を訴え、店主が当該客を出入禁止とする貼り紙を店頭に出したという話である。これを一般の人がSNSにアップし、世間から多くの称賛の意見が寄せられている。

客だからという理由で「神様」扱いせず毅然とした対応を取っている点、「客と店員」という関係以前に「人間対人間」という視座の高さ、そして何よりも従業員思いである点が素晴らしい。私も同感だ。

被害を受けた従業員が精神的苦痛を受け、健康被害もしくはそこまでいかなくともパフォーマンスが低下したり、辞められてしまったりしては店としても困るばかりだ。

お客様は大切たが、神様扱いせず、迷惑行為を受けたならば本件のような対応が当たり前になって欲しい。

3.品質問題対応中に取引先企業から受けたパワハラにクレーム

システム開発を行っているX社と、X社の取引先であり、商品開発・製造・生産を行っているY社との間でパワハラが発生に対してクレームすることで自力解決した事例がある。

X社A氏の部門が原因でシステムの品質問題が発生し、A氏が原因究明やY社のB氏への説明など対応していた。A氏は懸命に対応を進めるもB氏はA氏に対して高圧的であり、B氏自身もY社内各部門とのやりとりで追い詰められた状態である。

品質問題の対応に関して、X社は品質を最優先した対応を行った。しかし、B氏はY社の生産工程の都合を重視した対応をしたい意向があったことが後に判明した。

B氏はA氏に原因の説明を求め、A氏がX社の見解を説明すると、全面否定した上で、

  • 「××違うやろ!〇〇やろ!」
  • 「しっかりせえよ」
  • 「おい!お前、ちゃんと理解しとんか!」

とA氏に罵倒した。

B氏の言動についてA氏はパワハラと感じた。B氏の対応を、やむなくA氏からA氏の上司であるC氏に代わり、その後はそのまま進行した。

X社とY社はロケーションが離れていたためここまでのA氏とB氏、C氏とB氏のやりとりは電話がメインであった。

A氏はB氏から受けた理不尽な言動により体調面に影響したが、早急な対応で大事には至らず、1日休養したのみで済んだ。その旨A氏からB氏に対してメール文面にて、クレーム及び是正要求を行った。

これ以降はメールのやりとりである。B氏とA氏はしばらくメール文面にて激しいやりとりが行われた。B氏はA氏に対して

  • 「品質問題の対応の中で体調不良になったならX社の中でやりくりすべき」
  • 「甘ったるいことを言うな」

と伝え、A氏はB氏に対して

  • 「品質問題と労働問題は全く別物」
  • 「B氏のパワハラを原因とする労働問題に対して誠意ある対応をすべき」

旨を伝えた。

B氏は自分自身の言動がパワハラである可能性に気付いたためか、最終的にB氏がA氏に謝罪した。被害者A氏が声を挙げたことで最小人数で自力解決に至った。

しかしA氏の上司であるC氏は、A氏に対して

  • 「Y社B氏の知りたいことを理解していたか?」
  • 「説明が悪かったのでは?」

と、被害者A氏に寄り添わず、加害者B氏に寄り添った対応を行った。

また、「体調不良の件を対外的に言うべきではない」とコメントしたり、この出来事によりA氏に対して不利益な人事評価とした。A氏はC氏の対応がセカンドハラスメントにあたると判断し、X社のパワハラ相談窓口に報告した。

私は、A氏の行動は社会的優良事例であると考えている。世の中で起きる多くのパワハラ問題は、被害者が二次被害を受けることを懸念し泣き寝入りするか、社外の相談窓口や労働局やメディアに告発されニュース報道されるかのどちらかであると感じている。これのどちらにも当てはまらず最小人数で自力解決したこと、C氏によるセカンドハラスメントについても組織で解決を試みるところが素晴らしい。「会社対会社」という関係以前に「人間対人間」としての在り方に着目した、視座の高さがわかる一例だ。

システムの品質問題を発生させてしまったこと自体はX社の問題であるが、その解決や対応についてはX社とY社は協力関係でなければいけない。A氏、B氏、C氏についても同様に互いが歩み寄り、協力して進めるべきだ。品質問題が背景にあるとはいえ、パワハラの発生はもってのほかだ。

一方、A氏の上司であるC氏の対応は、いかにも「顧客・発注元の方が立場が上」と考えているかのような対応だ。今なら明らかにパワハラ防止法違反だ。また、社会的優良事例にも関わらず会社にとって都合が悪いからという理由でA氏に不利益な人事評価としたことは、職権乱用にあたり違法性が高く、会社都合を理由にした「会社目線」でしかない。本来必要なのは「社会目線」である

結局、Y社B氏がX社A氏とのやりとりで、互いに協力関係にあることを意識し、パワハラにならないような問いかけやヒアリングをしていれば、このようなことにはならなかったし、C氏も同様の認識を持つべきであった。
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4.コンプライアンスがますます厳しくなる時代へ

これら2つの例を見ても、顧客や取引先から迷惑行為やパワハラを受けたときの対応には、ビジネスへの影響を考えると非常に悩ましい限りであり、何が正解の対応なのかわからないと当初は考えていた。

やはり、(正しいか間違っているか、良いか悪いかに関わらず、)組織に従順でなければビジネスはやっていけないものなのかとも考えてしまうだろう。しかし、「日高屋」の例にもあるように、世間の目はますます厳しくなると感じている。

私が調べる限りでは、このような社外からパワハラ被害にあったという場合は、被害者は拒絶の意思表示をすべきであり、かつ組織としての対応が求められるということだ。

あるハラスメント対応専門機関のWebページでは、異なる会社間でハラスメントが発生した場合、

  1. 被害者が加害者に対して拒絶の意思表示をする
  2. 被害者側企業が加害者側企業へ改善を要求し、改善されない場合に以降の取引が困難になることを伝える
  3. ハラスメント対応専門機関が、加害者側企業へ被害者側企業の意向を伝える

という3点が記載されていた。取引先のコンプライアンス問題の見落としも重大なリスクになるとのことだ。

もう1つ、下記URLに示す「独立行政法人 労働政策研究・研修機構」のイベント「労働政策フォーラム」「職場のパワーハラスメントを考える」の内容が参考になる。2020/01/10に開催されている。

後者の資料に、顧客・取引先からの著しい迷惑行為について記載されている。暴言などは言うまでもないが、無理な要求も迷惑行為である。発注元、発注先ともに認識しておかなければならない内容だ。また、日本は全体的にハラスメント対策が遅れているとのことだ。

コンプライアンスは確実にますます厳しくなっている。顧客・取引先によるハラスメントが起きても、被害者に寄り添わず、加害者を守り、是正要求も行わず、そのような企業との取引を重視するような人や企業は脱落するしかない。

被害者側も、コンプライアンスが重視されている企業か、そうでない企業か見極めが必要だ。自社の従業員に迷惑をかける顧客を放置し、コンプライアンスを軽視し、社員の犠牲の上に企業が成り立つ構造は、許されるものではない。しかし、企業自らの自浄作用が働き改善されるケースは、私が見る限り少ない。このような時は、従業員側がいつでも転職できるように準備して起き、企業による理不尽を許さないことだ、何かしらの被害を受けてから転職活動を開始するのは手遅れのため、早い段階から転職活動をしておき、逃げ道を作っておくことが重要である。
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昇進することが必ずしも正解ではないと思うようになった

我々人間の感覚として、昇進・出世する人は「すごい」と思ってしまうし、他人が昇進・出世すると羨ましく思ってしまう。確かにそうかもしれない。一方で、それは表面的に捉えた結果だけなのかもしれない。

昇進・出世することが「幸せ」「満足」に繋がることもあるだろうが、必ずしもそうではないという現実もある。

昇進・出世に対してどう向き合うか?、自分にとってどのようなキャリアがベストか?、本記事を読んで参考にしていただければ幸である。


1.昇進したときの一般的な反応

身近な人が、リーダー、課長、部長、役員等、昇進していくのを見ると、次のように感じることがある。

  • 「すごいなー。」
  • 「実績を出したんだなー。」
  • 「これからは更に影響力のある立場になるんだなー。」
  • 「責任も大きくなり収入も増えるんだろうなー。」
  • 「周りからも一目置かれるんだろうなー。」

確かに、組織の中で一定レベルの実績を出すとそのようになる。

私もある時期、リーダーに昇進することが決まったとき、「頑張ってください。」と複数人から声をかけていただいたことがある。これは嬉しいことだ。

しかし、冷静に考えてみたい。これは良さそうなところを、表面的に見ているに過ぎない。現実には良いことばかりではない。

2.場合によっては昇進のデメリットも知っておく必要がある

私は昔、下請けを中心としたIT企業にいた。新卒から10年以上は昇進することばかり考えていた。今は違う。視野が広がったからだ。

そして、私はその下請けを中心としたIT企業に定年まで在籍することはなく、キャリアを活かして大手メーカーへ転職した。結果的に良かったと思っている。

転職せず昇進を期待して頑張り、結果昇進したとしても、良いことばかりではない。

  • これまで以上にハードワークになるかもしれない。
  • 自分がこれまで見てきた管理職と同じような管理職となるかもしれない。
  • 自分が嫌なこともしなければならないかもしれない。
  • 従業員が嫌がることもしなければならないかもしれない。
  • 責任だけ重くその割には報酬はあまり上がらないかもしれない。
  • 生活面とのバランスが取れないかもしれない。
  • 自分の管理下の従業員が次々と退職していく姿を目の当たりにしなければならないかもしれない。実際に、私の周囲でこれが発生している。今後人材の流動化や働き方の多様化が進み、この傾向はますます強くなっていく可能性が高い。

また、昇進を目指して頑張っても運悪く昇進できないかもしれない。定年まで都合良く会社に使われるだけかもしれない。

昇進して振り回されるのも、昇進せずに都合良く使われるのも、どちらも良いとは思わない。やはり、自分のパフォーマンスが発揮できるところが良い。昇進するために何かを犠牲にしたいと私は思わない。

3.昇進すること自体が「価値」ではない

昇進することよりも、

  • 市場価値を高めておく
  • いつでも転職できるようにする
  • 会社との関係を対等にしておく
  • 「会社」ではなく「社会」に貢献する人材になる

ことも、キャリアのありかたの一つではないだろうか。

一つの会社に縛られるのではなく、「いつでも会社を辞めることができる」だけのフットワークを軽くしておくのも良さそうだ。実際私自身が、
「下請け・派遣を中心とした条件が良くないIT企業で、辛いことにも耐えて、昇進を目指す」
よりも
「条件の良い大手メーカーへ転職し、前職の経験を活かしてソフトウェアエンジニアとして活躍する」
方を選択して良かったと考えている。万が一、今後のキャリアチェンジを考えるにしても、後者の方が確実にステップアップできると考えている。フットワークの軽さはその人にとって強みでもあるし、私の転職経験からも当てはまる。そんな私でも、フットワークの更に軽い人達が羨ましいと思う。

昔のサラリーマンは頑張れば頑張るほど昇進し、10人中9人は部長になれるというふうに言われていたようである。でも、もう今は違う。

「この組織で昇進できるところまで頑張ろう」と思う組織もあれば、「この組織では昇進したくない」と思う組織もある。どのような組織で昇進したかも見所ではないだろうか。

普通の企業なら考えにくいが、パワハラ加害者が昇進する組織もある。
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職員の4割以上がパワハラを受けた経験があると回答した厚生労働省自体もその一つのようだ。
www-asahi-com.cdn.ampproject.org

これ以外でも地位の高い人や歴史ある組織が不祥事を起こして報道されるケースがよくある。このような報道を見るたびに

  • 「地位が高い」
  • 「役職が上」
  • 「立場が上」

の人達が

  • 「人間として偉い」
  • 「価値がある」

とは思わなくなってきた。

それでも「立場が上」だから「偉い」と勘違いする人が少なくないようだ。「立場が上」だからこそ謙虚である必要がある。「どこまで昇進したか」とその人の「価値」はイコールではないことがわかるだろう。
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4.自分の経験を活かしてどのように貢献するかを意識する

「どこまで昇進するか」が重要ではなく、「どのように貢献するか」が重要である。

「昇進して影響力のある立場になり経営の意志決定に携わる」というのは、「どのように貢献するか」と聞かれたときの手段の一つである。これからは働き方が多様になる。

誤解しないでほしいが、昇進がダメと言っているわけではない。昇進を目指している人は、昇進に向けて頑張ってほしい。組織内でどのような人が昇進しているのか、見極めてほしい。

実績を挙げた人なのか、
人望の厚い人なのか、
アピール上手な人なのか、
口だけ達者な人なのか、
声の大きい人なのか、
長時間労働に耐えた人なのか、
パワハラ加害者なのか、
会社にとって都合の良い人なのか。

ここを見極めることで、自分が進むべき方向性が見えてくる。そして、どのように貢献するかイメージしてほしい。

働き方は多様化している。働き方に関わらず、実績を挙げている人はいる。世間でも、組織でも、地位の高い人が不祥事を起こす人はいる。批判を集める人もいる。

どのような実績を挙げ、どのように貢献するかが重要である。昇進でも、転職でも、フリーランスでも、起業でも、副業でも、どれも同じだ。

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長時間労働の原因が自分のスキル不足でないと見抜くことができた理由

長時間労働はIT・ソフトウェア業界のみならず、国全体レベルの深刻な問題である。「仕事が遅い」から、「スキルが不足している」から、・・・という理由もゼロではないが、これより重要度が高いものが多くある。

しかし、真面目で謙虚なエンジニアや労働者ほど、自分がスキルを高め、自分の努力で長時間労働を克服しようとして無理が祟る。私も然りである。

更に劣悪な企業は、従業員の真面目さ、謙虚さ、使命感に漬け込んで、長時間労働を問題と思わず「業界では当たり前」等と正当化し、洗脳する。

スキルを高めるための「努力」「頑張り」は必要なことではある。一方で、この記事では特に「見極め」が大事であるということをお伝えしたい。

長時間労働に巻き込まれて困っている人や、長時間労働の社員を多く出している企業の方に読んでいただき、状況改善につなげていただきたい。


1.同じスキルの人間でも企業や開発現場によって変わる

長時間労働の原因が自分のスキル不足でないと見抜けた理由は、同じスキルの人間(私)が、ブラック労働とホワイト労働の両方を経験してきたからである。

元々、私は長時間労働の理由は自分のスキル不足である」と思い込んでいた。

それは私が新卒で入社してから10年少々は、このことが当てはまるキャリアだったからだ。即ち最初は苦労して業務に時間がかかり、長時間労働であったけれども、何年もかけてスキルアップし、更に業務効率化により残業時間が次第に減っていった。そして「業務に時間がかかっている人はスキルが低いからである」というイメージだった。

しかしその後、この考え方を覆す出来事が起きる。

私が担当するプロジェクトが大きく変わり、長年慣れ親しんだ開発現場を離れ、別の開発現場へと移った。慣れない中、新卒の頃ほどではないが苦労し、長時間労働に巻き込まれた。しかし、この現場では頑張っても頑張っても労働環境が改善されることはなく、体調に支障をきたしてしまった。

そして、体調に支障をきたした後、ホワイトな労働環境へ移り、健全な生活をしながらプロジェクトに成功したおかげで体調が回復したり、その他諸々の経験や分析結果から、

長時間労働の原因が自分のスキル不足ではない

ことがわかったのだ。

もちろん自分のスキル不足である要因がゼロかというとそうではない。これが当てはまる場合もあるが、その割合はごく僅かだ。それ以前に様々な要因がある。だからといってスキルアップが不要であるかというとそうではない。必要だ。

2.昔在籍していた開発現場で長年かけて成長していく

私が新卒で入社したIT企業は下請けや派遣をを中心としていた。私は入社後の研修が終了した後、客先である電機メーカーへ常駐し、常駐先の社員と共にソフトウェア開発に携わった。

この現場で作業していたときの初期の頃は残業まみれだ。何もわかっていなかった私はひたすら頑張った。ソフトウェア作成やテストがうまくいかず何回もやり直ししたり、テスト中の不具合発見に時間を要したりした。派生開発なのでベースとなるソフトウェアの理解にも苦労した。先輩社員達と比べると不利な点である。

  • 「ここを乗り越えれば将来成長する。」
  • 「がむしゃらにやれ。」
  • 「死ぬ気でやれ。」

こんなブラック企業でよくある言葉やマインドが漂っていた。私は本当にそう思っていた。一種の洗脳だ。

しかし、何か違和感があった。当時はまだ「ブラック」という言葉が流通していなかったものの、長時間の残業と効率の低下がという悪循環となっていることを既に感じていた。

この現場は私が常駐していた年数が経過するにつれて、状況は少しずつ改善され、ソフトウェアの品質も良くなり、長時間労働も緩和されていった。一部の人たちは

「あの苦しい時を乗り越えたから、ここまで成長できたんだ!」

と言うが、私に言わせれば全く違う。

私が成長を実感したのは、「あの苦しいとき」ではなく、その後の話だ。

「あの苦しいとき」はただの疲労しかない。「あの苦しいとき」の後、プロジェクトが落ち着いて労働環境がマシになってきたとき、時間的・体力的な余裕が少しずつ増え、業務の内容をより深く理解し、少しずつ慣れ、充実している時こそが自分が一番成長している時だ。

それ以来この現場で作業している間は、スキルが付くとともに効率化が進み、長時間労働が解消されていった。それでも時間がかかっている人に対して私は、口には出さずとも、

  • 「スキルが低いのでは」
  • 「品質が悪いのでは」
  • 「なぜ効率化している人を見習わないのか」

という印象を抱いていた。この頃はまだ、長時間労働の原因はスキル不足だと思い込んでいた

3.開発現場が変わり違和感を感じ限界に至る

先程とは別の開発現場で長時間労働に巻き込まれた。慣れないプロジェクトに投入されたり、元々長時間労働のプロジェクトに応援要員として投入されたりした。こちらは長時間労働に加え、通勤も遠距離だった。それでも、前出の電機メーカーでの実績から、

  • 「長年成功した以前の開発現場でも、最初は苦労した」
  • 「ここでも最初は苦労するが頑張れば取り返せる」
  • 「今の環境やプロジェクトに慣れさえすれば、パフォーマンスは高まり、長時間労働も解消できる」

と、過去の成功体験を信じていた。

しかし、現実はそうではなかった。心理的負担が高く、体調に異変をきたし、ある年の夏休み(さらに数日休暇)を全て休養のために費やしてしまった。通院もした。気付きが早かったため、通院だけで済んだ。
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前出の電機メーカーでの実績には自信があったし、スキル不足では説明がつかない。実力不足ではなく、その現場のプロジェクトに慣れていないという意味のスキル不足、環境適応能力の不足と考えていた。環境適応能力や柔軟性も、エンジニアに限らずあらゆる職種・業種で必要なスキルだ。自分のスキルは前出のメーカーでしか通用しないのてはないかと考え始めた。この頃もまだ、長時間労働の原因はスキル不足だと思い込んでいた

しかし、この後である。

体調も万全でないまま、また別の現場である中堅のメーカーへ客先常駐として投入された。業務内容は安全系システムの評価要員として投入された。この中堅メーカーは業績が下がり気味でコスト削減の一環として、残業禁止であると聞いた。残業代未払いという意味ではない。残業禁止のホワイト企業である。

実際に現場で業務を開始すると、余裕を持ったスケジュールであると感じた。毎日定時退社。定時を少しでも過ぎると、常駐先の見回り当番の社員が

「お疲れ様でーす。退社してくださーい。」

と言いながらフロアを見回る。この様な光景は私には初めてだ。

余裕を持ったスケジュールであるため、前行程にしっかり時間をかけることができた。そのおかげで作業の進捗は順調だった。順調どころか、楽に顧客から高く評価され、プロジェクト終盤には万全でなかった体調が回復するという、良いことしかない状態であった。この常駐先の在籍期間は約半年程度と短かったにも関わらず、優良な実績を残した。よって環境適応能力の不足というのも説明がつかなくなった。

この常駐先ホワイト企業での業務を通して、以降のキャリアに大きく影響を与えることになる。
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4.分析を重ね、長時間労働の真の原因を知る

前出の中堅メーカーであるホワイト企業でのプロジェクト完了後も、周期的にプロジェクトと作業現場が変わり、ブラック労働とホワイト労働の両方を経験することになる。長時間のブラック労働になる現場はどのようなところか、分析を重ねるごとに段々と傾向をつかむようになる。

  • 自分一人だけの作業遅れではなく、プロジェクトメンバ全員揃って全体的に進捗遅れとなる。誰かが足を引っ張っているわけでもない。
  • 多重下請け構造の下位企業ほど過重労働になりやすい。
  • 元々の計画に無理があることが後からわかる。プロジェクトの開始時は全体や詳細が見えておらず、プロジェクト内で設計面等でトラブルが起きることで、徐々に実態が明らかになる。プロジェクトが完了する頃には、あの膨大な内容であの少ないリソースでよくやったなという会話がある。
  • 「他製品からの設計を流用するだけ」「設計書に書いてある」「インタフェース部分を繋げるだけ」など、短納期での完成を約束させたいがためにいかにも簡単にできるかのような詐欺商法的言い回しでアプローチしてくる依頼元がいる。実際やってみるとそうはいかず、依頼元もプロジェクトの内容や実態をわかっていないことが多い。
  • 派生開発の場合、要求仕様の内容が同じで、開発者のスキルに問題はなくとも、ベースプログラムの設計の出来栄えによって左右する。
  • ベースプログラムに不具合を発見し、本来予定していた開発作業がストップし、元々予定していなかった調査が急遽割り込む。
  • 優良企業ほど私を高く評価する傾向を掴めたため。同時に無理なく生活でき、健康面も維持され、周囲の人は親切で、モチベーションも維持され、高いパフォーマンスを発揮しやすい。
  • 逆に不良企業ほど私への叱責が多い。慣れ不慣れ関わらず作業の依頼は丸投げが基本。やたらマウントを取りたがる人もおり、モチベーションは下がり、パフォーマンスが発揮されず、優秀な人材にとっては勿体ないと感じる。
  • 問題となるメンバーや上位者が組織内にいると、本来発揮しなければならないテクニカルスキルが発揮されず、生産性が落ちる。そのような問題に対して、本当に問題がある人ではなく、被害を受けている人のせいにする。
  • 問題や進捗の遅れが発生したときに、根本対策を打たず、遅れの挽回を残業によって実現しようとする、最もあってはならない未熟なマネジメントが当然のように行われている。
  • 管理職向けのメンタルヘルスセミナーに私自身が参加した。当時の講師の方が「(長時間労働等で)メンタルトラブルを起こせば、その企業は信用を無くす」と言われていた。長時間労働を放置する現場は、管理職のマネジメントの問題と認識するようになった。

これらの内容は、実際に経験した開発現場でのことだが、これ以外にも世間一般の認識や専門家の見解を踏まえると、労働一般IT業界特有ソフトウェア開発関連と、要因が多岐に渡っている。

日本の国民性もそうだろう。日本は労働時間が長い割には先進国の中で最も生産性が低いと報じられている。長時間働けば頑張っていると周りから褒められる、若いうちに苦労しとけば報われるという思い込みから抜け出せない、といった考え方も昔はあったが今は違う。

ここまでくるともう長時間労働の原因はスキル不足では説明がつかない。他人や環境、状況のせいにしているように見えるし、「他責思考はダメ!」という風潮が世間一般では強いが、問題点を正しく見抜くことは必要なことである。自分を犠牲にしないためにも、適切な自己肯定感を持つべきである。
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スキルアップは必要なことだが、長時間労働の原因をいつまでもスキル不足と思わずに、労働環境のよい職場に移るなど、現状を正しく見極め、環境や状況を変えるような行動を起こすことも取るべき選択肢の一つである。企業の粗悪さを見抜くことも、我々労働者に必要なスキルの1つである。ここのスキルが備わっていないと、本来の実力や実績に見合わない、貧しい人生を送ることになる。そうならないためにも、特定の組織に洗脳されないためにも、外部の情報をインプットしなければならない。そのためにまずは転職サイトに登録するところから始めてみよう!

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「進捗管理」に手法は色々あるがその「前段」ができていないと意味がない

システム開発プロジェクトにおいて、スケジュール遅延を防止するため「進捗管理をしっかりしよう。」ということがよく言われる。

進捗管理」は確かに重要なことだ。「計画」をきっちり立て、「進捗管理」をしっかりしていれば、それだけでプロジェクトはうまくいくだろうか?

世の中のシステム開発プロジェクトでは少なからず「ブラック労働」に陥ることがある。

「計画」、「進捗管理」、このようなもっともらしい言葉だけが勢いよく飛び交い、「無理な要求を受けていないか」「元々のスケジュールが短すぎないか」など、その「前段」に着目されることは少ない。


1.進捗管理手法については色々議論されているが、長時間労働はなくならない

システム開発において、作業の進捗管理の方法については開発現場内でも色々と議論が交わされている。一般的なのはガントチャートであるが、redmineなど色々とツールも出てきている。独自の進捗管理方法を考案している現場もある。

しかし、どれを用いても開発にはトラブルや開発途中の仕様変更・仕様追加がつきものであり、これが影響してなかなか長時間労働から抜け出せないのが現状である。

一般的には、進捗管理が適切に行われないために進捗遅れの兆候を掴むことができず、対応が後手後手になることで、遅れが拡大し、これを挽回しようとした結果、長時間労働に巻き込まれてしまうケースが多いという論調で語られる。

しかし、私の経験上はそのようなものではなかった。元々の計画が不適切であればどんなに良い進捗管理をしたところで、進捗管理以前に破綻してしまっている。

逆に大雑把な進捗管理でも計画自体に余裕があれば、その中で小さなトラブルが発生し対応しても、トータルとしては計画通りに進む。心理的な余裕や集中力の高まりによって、ミスが少なく効率的に進めることができ、計画よりも早く進むことさえある。

2.「細かい計画を立てるべき」という勘違いがかえって負担になる

私がよくやる計画は大雑把なものだ。

詳細があまり見えないものでも、半月または1ヶ月単位や半月単位でやることを単純に書き出す。日にちあたり、時間あたりの詳細な計画までしてしまうと、その後、状況の変化に伴う計画修正や細かな更新のほうに工数を取られてしまい、生産的ではない。

大きな入れ物に大きな石を荒く入れるイメージである。これだと隙間だらけになりそうだが、それくらいの余裕を持たせるのが良い。計画より実績の方が進んで時間が余れば、さらにその先の業務の準備や余裕時間で行える業務改善に取り組むでも良い。私は「やることが無くて暇」という理由で困ったことはない。

計画を細かくして余裕を作らないように作業を詰め込み過ぎると、何かイレギュラーなことが発生したとたん計画からの遅れが出て、すぐに破綻してしまう。システム開発の現場で、ベンダーに細かく計画を立てさせ、ベンダーを細かく管理しようとする顧客ほどこのようなことをするから、ベンダー側の立場としては非常にやりにくい上に、このような開発案件に限ってブラック労働になりやすいのだ。

大雑把な計画でも、少しづつ遅れが見えることがある。少しの遅れなら、都合よく考えて「まだ、〇〇期間があるから大丈夫!」などと楽観的に考えることが危険である。細かい計画をするのではなく、遅れの兆候が少しでも見えたら、早めに声を上げることだ。そして、早めに声を上げやすい組織体質や労務環境にすることだ。大雑把な計画が悪いのではない。

計画時によく考えないといけないのは、計画を細かくすることよりも、最短で完成するためのプロセス(作業順序)を考えることである。それと、余裕がなくなったときにやらないこと(捨てること)も決めることだ。

3.「計画をしっかり立てる」だけでは長時間労働の対策にならない

よく、スケジュールが厳しい開発や複数のプロジェクトを掛け持ちするメンバーがいるなど、余裕のないプロジェクトにおいて、リーダーや管理職はメンバーに対して、

「スケジュールが厳しいから『しっかり計画を立て、進捗管理を行う』ように」

と言い放ったりする。これは非常にナンセンスだと感じる。

余裕のない開発ではメンバーが無理をして長時間労働が発生するリスクがある。

『しっかり計画を立て、進捗管理を行う』だけでは、長時間労働の対策にはならない。

本来必要なのは、不要な作業を削ぎ落とし、余裕を持った計画をし、それでも利益が出るビジネスを創出することだ。

これを行わず、開発現場に対しては「計画と進捗管理をしっかりと!」と言うのは、単なる丸投げである。

「時短ハラスメント」(=「ジタハラ」)とニュアンスがよく似ている。「時短ハラスメント」とは、「時短だ!」「効率よくやれ!」などといった号令だけが飛び交い、業務量も求めるアウトプットも投入リソースも変わらないままであるため、かえって心理的圧迫となるハラスメントを指す。

また、計画をしっかり立ててもシステム開発はトラブルがつきものである。想定外のことが起きれば、どれだけ計画や進捗管理をしっかりしていても計画に対する実績の遅れは避けられない。工場の製造ラインのような定型作業であれば、細かい計画もそれなりに効果があるだろう。しかし、システム開発の素人は工場の製造ラインと同じ感覚で計画を立てさせようとする。ここに落とし穴がある。

私が見てきた限りでは、トラブルが多い開発現場ほどトラブルを想定していないのである。計画を細かく立てることよりも、起こりうるリスクと対応策を考えるリスクマネジメントを充実させた方が良いのてはないだろうか。

4.そもそも「無理な計画をしない」という「前段」ができていないケースが多すぎる

進捗管理が要らないと言っているのではない。進捗管理は必要である。

覚えておかなければいけないのは、進捗管理はプロジェクトの計画に対する遅れに繋がる兆候をできる限り早い段階で検知するための手段に過ぎない。

どれだけ進捗管理が素晴らしいものであろうと、その「前段」が出来ていなければ長時間労働となりプロジェクトは破綻する。ここでいう「前段」とは「スケジュールの適切性」である。これができていないと、詳細作業をタスクに分け、計画を立てても必ず無理が発生し、必ず計画に対する遅れが出てくる。

そもそも、無理な計画に対して計画通りにいかないことを「遅れ」と言ってしまうと、相手にどのような印象を与えてしまうか考えるべきである。

計画通りにいかなかった「無理な計画」であるプロジェクトに対して、「進捗が悪い」「進捗管理が出来ていない」と言ったところで何の解決になるだろうか?

諸悪の根元である「無理な計画」をどうにかすべきなのだが、この点を誰も指摘しないのが現実だ。
o08usyu7231.hatenablog.com

当たり前のことだが出来ていないから、ブラック労働が無くならないのである。ブラック労働になりやすい開発現場に共通する特徴の一つは、管理職やリーダー・マネージャーがメンバーへ行われる要求に対して、その「前段」が出来ていないことである。

「前段」が出来ていなければ、現場は過重労働に巻き込まれ、メンバーがいくら頑張っても取り返しがつかないどころか、心身に支障が出るなど逆効果である。

「前段」が出来ているかどうかを正しく見極め、転職を考えている人は「前段」が出来ている企業を選ぼう。

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転職を含めた私のエンジニアとしてのキャリアを振り返る

私はソフトウェアエンジニアとして、世の中に出ている製品開発の一端を担い、実績を挙げてきた。経験とともに成長し、多くの方々から高い評価をいただいていることは大変ありがたい。

しかし、必ずしも良いことばかりではない。これまでの実績が正当に評価されないこともあれば、そもそも労働環境や管理職に恵まれず不利益を受けることもあった。

これらを総括して振り返るとともに、スキルアップが必要である一方で、おかしなことを見抜くことの重要性にも触れているので、この記事を読んで参考にしていただければ幸いである。


1.元々下請け中心のIT企業に属するエンジニアだった

私は、下請けを中心としたIT企業から、大手メーカーへ転職している。年齢も30代半ばの頃だ。転職前後ともソフトウェアエンジニアである。IT企業にいた頃に客先常駐も含めて様々な現場でメーカー向けのソフトウェア開発に携わった。その後、ソフトウェア開発を内製で行っている大手メーカーへ転職したため、転職前のキャリアを活かすことができている。

転職前のIT企業は、ホームページを見れば様々なソリューションに取り組んでいるイメージを受ける。しかし、同社についての口コミサイトを見ると、

  • 「同業他社と比べて給料が安い。」
  • 「業務内容の割には給料が安い。」
  • 「自社製品や研究開発も行っているがそれはごく一部でしかなく、大半は下請けか派遣を含めて客先常駐である。」
  • 「プロジェクトによっては悲惨なことになっている。」
  • 「キャリアアップは運次第。」
  • 「上司に従順な人間が出世する」
  • 「転勤を余儀なくされる。」
  • 「優秀な人が辞める。」

など、良くないことが少なからず書き込まれている。実際、私の周りでも一定数の人が退職しており、多いときは私が所属していた100名程度の事業所だけで10名以上が退職した年もあった。

最初は私は、「辞める社員の問題」なのか、「辞められる企業の問題」なのかわかっておらず、漠然と「辞める社員の問題」ではないかとの見方が強かった。しかし、今は転職して本当に良かったと思っている。「辞められる企業の問題」と確信を持って断言できる。もう少し深掘りしていこう。

2.大手メーカーでの長年の客先常駐で多々実績を出した

転職前のIT企業にいた頃、客先常駐を含めいくつかの開発現場を体験した中、最も在籍期間が長かった開発現場は、某大手メーカー(客先常駐)である。ここで長年ソフトウェア開発に携わり、その現場に長年かけて馴染み、システムの中核を成すソフトウェア開発の担当のみならず、サブリーダー、リーダーとして、他の実務担当者が作成したソフトウェアのレビューや、常駐先企業の顧客企業の窓口対応、立ち会い試験出張、常駐先の社員を含めて実務担当者の指導・教育をしてきた、珍しい(?)立場だ。

普通は客先常駐となると、常駐先でできる業務は限られ、常駐先の社員と比べてもキャリア面で圧倒的に不利であるイメージだが、この現場では社員と外注との分け隔てが無いところが、私にとって良いと感じた点だ。私がその現場の中でも例外だったという説もある。

ここでのキャリアが以降すべての現場でのベースとなった。この客先常駐の開発現場は、私が新卒で入社して研修を終え、最初の業務である。自社の先輩も同じ現場のフロアに居たが、一緒に仕事をすることはなく、常駐先の社員やその現場へ投入されている他社の人達と一緒に仕事をしていた。

私がここで最も意識したのは、

「今の作業現場は、自社ではないのでいずれはここを出なければならない。従って、他でも通用するスキルを身に付けなければならない。」

ということである。

この常駐先には10年以上在籍した。最初は多々苦労し、酷いときは毎日終電帰りのブラック労働に巻き込まれていたが、段々とスキルもアップし面白味が増し成長し、ソフトウェアの品質も向上し、業務の効率化も進んでいった。努力の甲斐あってソフトウェアの品質向上や業務改善の取り組み等を常駐先の方々から高く評価していただけた。前述した通り「いずれはここを出なければならない」し、年齢を重ねるとこの現場でのキャリアアップも限界がきていたため、「次のキャリアを!」と考えて、自社社内での開発(自社開発)へ現場を移った。

3.自社開発プロジェクトでは無理が祟りキャリアを見直すことにした

自社開発プロジェクトは、先程述べた長年常駐していた大手メーカーと勝手が違い、扱うシステムも開発環境も労働環境もすべて違っていた。私のような自社開発プロジェクトに慣れていない場合でも、業務は丸投げが基本で、大手メーカーと比べれば粗悪な扱いだった。私はこの状況にかなり違和感を感じていた。この違和感は後に正しいことがわかる。

それでも

  • 「慣れるまでは辛抱だ。」
  • 「最初の常駐先でも、当初は苦労して慣れればパフォーマンスを発揮できるようになり長年かけて成功した。だから、ここでもそうなるはず。」
  • 「環境が変化してもやっていけるだけの、環境適応能力をつけなければならない。」

と思っていた。この一見謙虚とも思える誠実な姿勢が、後にこの開発現場においては大間違いであることに気付く。

また、

  • 「長年常駐した大手メーカーでの成功体験を活かし、そのノウハウを社内に展開しなければならない。」

という思いと、

  • 「社内は社内のやり方があるからそれにも従わなければならない。」

という思いがぶつかっていた。

やがて私は、長時間労働や過負荷な作業に巻き込まれ、無理が祟り、体調に異常をきたしてしまった。うつ病のような症状であるが、正確な原因が分からず、過去に無いほど眠れず、普段以上に汗をかき、頭がまともに回らず、発熱が続いた。過去に無い大ごとである。内科では解決せず、心療内科神経内科を探し周り、しばらく通院となった。

長年常駐した大手メーカーでは成功したが、自社開発プロジェクトに移ってから1年程度でダウンしてしまった。過去の成功実績からすると落差が大きかった。普通に考えて「自分のスキル不足」では全く説明がつかない。「環境適応能力の不足」のためか慣れるのに時間がかかってしまったと思っていた。

大手メーカー常駐のときに高い評価を受けていた、

  • 品質重視の考え方
  • 仕事の丁寧さ
  • 真面目さ
  • 謙虚さ
  • 人柄の良さ

全部裏目に出た。組織の為に尽力したが、結局自分が被害を受けてしまった。

一方で、自社社内に対する劣悪な労働環境や自分の苦労に対する当時の上司の理解の無さ等の面での不満も大いにあった。これらを総合的に捉え、このような体調不良が発生した原因を何年もかけて徹底的に分析する必要があった。

私はこのような健康被害を受けたにも関わらず、この時点でまだ「転職したい」とは考えなかった。上述した通り「環境適応能力の不足」と考えていたため、転職しても慣れない開発現場だとまた同じことが発生すると考えていたからだ。よく、転職サイトや人事のインタビュー等で、次のようなことが言われている。

「不平不満ばかり言う人材、他人や環境のせいにする人材は、別の現場へ移ってもまた同じことを繰り返すものである。そのような人材は結局どこへ行っても通用しない。」

私が転職するにためには、私がこれに該当しないことを証明しなければならないと考えた。

少なくとも、大手メーカー常駐で10年以上も実績を出し続けてきたのだから、「どこに行っても通用しない」訳ではないことが既に確定している。とはいえ、他の開発現場でも通用することを証明しておきたいと考えた。

その後、体調が回復しないまま別の客先常駐に場所を移した。この常駐先は、中堅規模の産業機器メーカーであり、残業禁止という当時は珍しいホワイト企業だった。ここで毎日定時に退社し、健全な生活を送り、序盤から作業の進捗が順調であり、プロジェクトに成功し、常駐先からも高い信頼を得た。このホワイトなプロジェクトの半ばに体調が回復した。そして、終盤に気づく。

「最初の常駐先であった大手メーカー以外にも、自分が通用する開発現場があることを証明した。」

結局、このホワイト企業常駐期間に携わったプロジェクトが序盤から順調に進んだ実績を考慮すると、前述した「環境適応能力の不足」についても説明がつかなくなった。

この「自社開発プロジェクトで体調不良」~「ホワイト企業への常駐で体調回復」一連の出来事までは、自社組織内で昇進することばかり考えていた。しかし、この出来事を通して自社への愛社精神と信頼を大きく失い、上位企業への転職を視野に入れるようになった。このホワイト企業への常駐経験が以降のキャリアに大きく影響を与えることになると同時に、組織内での昇進一点張りから徐々に視野を広げることになった。
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一時は、この常駐でお世話になったホワイト企業に転職できないかとも考えた。
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体調回復の後もいくつかのプロジェクトを経験した。その結果、私はある傾向を掴んだ。

「優良企業ほど私を高く評価している」

ということだ。自分の能力不足ならこれとは逆の結果になるはずである。なぜ、このようなことが発生するのか?

「優良企業」は業務に不慣れな人への対応や各職場にユニークな内容の伝授がとても丁寧であり雰囲気が良く、逆に新たに加わった仲間からその人が保有している経験・事例・ノウハウ・観点を吸い上げようとする。この結果、同じ職場内の既存の人たちと新しい仲間ともに成長につながる。

逆に「粗悪な企業」は、業務に不慣れな人への対応も不親切で丸投げが当たり前であり、新たに加わった仲間に対しても自分たちの価値観を押し付けようとする。

このような大きな違いがあり、後者の企業にいくら優秀な人材を投入しても、思うようなパフォーマンスを発揮することができず投入された優秀な人材が勿体ない思いをする。一方で、周囲の人間は「自分たちの職場にあまり馴染めない人材」「スキルの低い人材」と勘違いする。もう、転職しない手はない。

元々私はどこに行っても通用する人材を本気で目指していた。優良企業からブラック寄りの企業まで色々経験したが、ブラック寄りの企業で辛抱するのではなく、優良企業と関わる時間の割合を多くし、ブラック寄りの企業は捨てるという考え方に変わっていった。モチベーションを高く保つことのできる時間の割合が多いほうが、自分にとっても所属する組織にとっても良いと断言できる。キャリアを活かし、生活面とのバランスを確保するためには、優良企業へ転職するしかなかった。自社を退職することのハードルは次第に下っていった。そして大手メーカーへ転職した。もう、年齢も若くなかった。

4.正しく見抜くべき「前段の粗悪さ」

転職後は、転職前のキャリアを活かして貢献できていることが何よりも嬉しい。収入は転職前より微増程度でしかないものの、労働環境、通勤距離、生活面とのバランスは大幅に改善された。転職は大成功である。下請け中心のIT企業を辞めて本当に良かったと思う。

結局、「他人や環境のせいにしてはいけない。」と一般的には言われるが、私のケースは違っていた。転職前のIT企業で色々苦労していたとき

  • 「自分に問題がある」
  • 「なぜここではうまくいかないのか?」

と考えて続けていて何も解決しなかった。

  • 「なぜここではうまくいかないのか? かつ、なぜ別の開発現場ならうまくいくのか?」

まで考えることで解決に向かっていった。

優良企業とブラック寄りの企業との違いを徹底比較したら、やはり色々と違いが出てくるものだ。
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私が転職前の企業で、健康被害に遭ったのは当時の上司のマネジメントの未熟さであるとわかった。他社との比較、自分のマネジメント経験、世間やセミナーからのインプット情報からトータルでの判断だ。重要なのは「自責思考が良くて他責思考が悪い」のではなく「何が問題なのか正しく見抜く」ことである。
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劣悪な労働環境、多重下請け構造、上司の未熟なマネジメント、要求元からの理不尽な要求、開発内容の割には短すぎるスケジュール、慣れないプロジェクトでの異常な丸投げなど、自分のスキル云々以前の問題、すなわち「前段の粗悪さ」を正しく見抜くことなく自分が頑張り続けたところで、結局自分が被害を受けるだけである。自分が頑張って何とか成し遂げたとしても「前段の粗悪さ」を理解できない人と長期的に良好な関係を築くことは無理があるだろう。「前段の粗悪さ」を正しく見抜けなかったことが、「自分のせい」であることに気付いた。

特に私の転職の場合、個人レベルでへ多重下請け構造からの脱却が大きい。多重下請け構造は個人の努力だけでは解決することは困難である。この転職においても一人のエンジニアが転職したにすぎないが、同じソフトウェア開発を行うエンジニアが、下請けを中心としたIT企業から、ソフトウェア開発を内製で行っているメーカーへ転職することは、多重下請け構造からの脱却、即ちあるべき姿に近づいたと言って良いだろう。

労働環境の問題に代表される「前段の粗悪さ」は、優秀な人材を台無しにする。ハラスメントも同じである。テクニカルスキルをいくら一生懸命身に付けるよう努力しても、これを阻害する要因を取り除かなければ、本当に優秀な人材が勿体ない。ここを努力不足、根性なしなどと勘違いしてはいけない。

会社を辞めることは「逃げ」ではない。転職によって環境が良くなったならば、その「判断力」「決断力」「行動力」はその人の能力だ。私も、長年かかって「前段の粗悪さ」を見抜くことができ転職できたからこそ今があるのだ。転職前の企業に居れば、今頃どうなっていたかわからない。会社を辞めることは、クローズドな組織内の悪いしがらみから逃れるための「最大の武器」である。
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このような経緯を元に、私はソフトウェアエンジニアでありながら、「労働」について着目するようになった。「労働のスキル」という言葉があるのかどうか知らないが、労働者に必要な共通の要素だ。労働法や労働問題を勉強すれば、それもその人の付加価値になるのだろうなと思う。最近どこでも起こりうるパワハラへの対策にもなるだろう。ソフトウェアエンジニアならテクニカルスキルやマネジメントを勉強しなければならない。しかし、もっと大切なのは「労働のスキル」だと思っている。
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私が転職してからも、世間はものすごいスピードで変化している。終身雇用の時代から転職が当たり前の時代へ、更には副業が当たり前になり、フリーランスという働き方が出てきた。新型コロナウィルス感染拡大でテレワークが浸透した。コンプライアンスに対する世間の目はますます厳しくなった。このような変化に会社の体質が追い付けないなら、再びキャリアを見直す必要があるのではないだろうか。

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周囲の寛容さの低さが労働者のパフォーマンスを下げる

寛容さの低い人、沸点の低い人、ささいなことでクレームする人。世の中には少なからずいるだろうが、周囲の人間からしたら、他人に迷惑をかけていなければどうでもいいし、そのようなことで騒ぎ立てられ、余計なことを気にしなければならないことが迷惑である。

世間一般や、ソフトウェア開発現場で起きた例を見て、このようなことが発生することの窮屈さゆえ、生産性が下がることがいかに勿体ないことであることを理解していただけると幸いである。


1.寛容さの低い人がするクレームだが・・・

  • うどん屋に消防車が止まっている」
  • 「警察官が制服のまま、コンビニで買い物をしている」
  • 「運転手が業務中にペットボトルの飲み物を飲んでいる」

ということに対して、批判的に騒ぎ立てる人がいる。

そのような人達は何か違和感を感じるのだろう。

私はこれらの行為は別に問題ないと思う。別に誰にも迷惑をかけていないからだ。

問題なのはこれらの行為によって、本来の業務に支障をきたし、我々が受けるべきサービスの質が下がり、結果として他人に迷惑をかけてしまう場合である。ここを区別しなければならない。

上記の行為は「容認」どころか「応援」したいくらいだ。具体的に見ていこう。

2.具体例と応援したい理由

2-1.「うどん屋に消防車が止まっている」

この件が記事になっていたのは、火災現場への出動やイベント等業務の合間に、本来拠点となる消防署に戻り昼食をとるはずだったが、時間的余裕がないためやむ無くこのようになったそうである。

ゆっくり休む間もなく次から次へと業務が立て込んでいる状況を踏まえると、本当にお疲れ様と言いたい。

人間である以上食事は必要であるし、悪いことではない。他人に迷惑をかけているわけではないし、消防活動等本来の業務に支障をきたさないのであれば問題はない。

くだらない批判を気にして非効率な休息によって、本来の業務でのパフォーマンスが下がる方がよほど問題だ。

時間が無い中での食事ではあるが、次の業務もパフォーマンスが高い状態で臨んでもらいたい。

2-2.「警察官が制服のまま、コンビニで買い物をしている」

警察官だって休憩は必要だし、コンビニに行くことはある。人間なのだから。

ただ、「制服のまま」というところがオンとオフの区別がついていないのではないかというところを気にする人はいるようだ。

警察官だってちょっとした飲み物や軽食を買いに行くこともあるし、休憩を挟みつつも、警察官としての職務に対してパフォーマンスを最大限に発揮してくれたほうが市民のためにもよっぽど良いだろう。

一点忘れてはならないのは、警察官が制服のままコンビニで買い物をするにしても、コンビニ内で起きる事件に対して抑止効果が期待できる。定期的な見回りも兼ねて、推進してほしいくらいである。

ただ、たまにコンビニや駅のトイレに警察官が拳銃を置き忘れて、店員や客などがこれを見つけるといったことが発生し、不祥事としてニュースになることがある。これは、非常に危険なことである。職務にも影響する。発生した管轄の警察署は再発防止を徹底していだだきたい。

警察官が制服のまま、コンビニで買い物をすること自体は問題ない。

2-3.「運転手が業務中にペットボトルの飲み物を飲んでいる」

鉄道やバスの運転手は一定時間拘束されての業務となる。運転手といえども人間だ。日によって、人によって体調も異なる。

乾燥した日、暑い日など含めて、水分を補給し、運転手としての最大限のパフォーマンスを発揮してほしい。

特に、運転手に限らず近年は熱中症で体調を悪くする人が多く、こまめな水分補給は必要だ。飲み物があることで業務に支障をきたさないなら何も問題ないし、飲み物がないことで業務に支障をきたすほうが問題だ。

適宜水分を取ること、周囲が理解することが当たり前になってほしい。

3.ソフトウェア開発現場では

ソフトウェア開発現場でこのようなことが起きると極めて生産性が下がる。例に挙げたような飲食に限った話ではない。ソフトウェアエンジニアのように、極めて高いパフォーマンスが必要な職種にとって、余計なことを気にしなければならない状況は、パフォーマンスの低下につながる。最悪、体調にも影響する。

幸い、デスクワークが多いので飲み物や休憩などに関する部分は寛容であり、最もパフォーマンスの出るコンディションで作業してねというスタンスのところばかりである。

ある、ソフトウェアエンジニアの客先常駐において、寛容さの低い人によるクレームに関係者が呆れた事例がある。常駐先企業では常駐先企業専用の作業服を着用しての作業を義務付けしているところがある。

その常駐先企業では、投入されたエンジニアの作業開始初日はスーツを着ているケースは元々よくある。しかし、初日であれ作業服を着ずに挨拶回りをしていたことに常駐先企業の特定のマネージャーが、常駐エンジニア所属の会社に次のようなクレームを入れたのである。

  • 「常駐作業開始日が決まった日から、作業開始日まで十分日にちはあった。」
  • 「貴社の準備体制には大いに疑問を感じる。」

他のマネージャーはそのようなクレームをしたことがないし、聞いたこともない。常駐エンジニア所属の会社のメンバーは、そのクレームしたマネージャーに呆れていた。初日がスーツだからといって何の悪影響があるのか、これこそが甚だ疑問である。

「このような考え方の人もいる」と引き下がる人もいるが、このマネージャーの懸念点は、他にも重箱の隅を突つき、難癖をつけ、結果として余計なことを気にかけなければならず、パワハラ体質で組織の風通しも悪くなり、生産性が落ちるのではないかという点である。

少なくとも私はこのような内容でこのマネージャーのようなクレームは絶対にしない。

ちなみに、余談だがこの常駐先企業と常駐エンジニアの関係は、偽装請負である。請負常駐エンジニアの服装まで規定することは本来違法てある。IT業界の闇だ。くだらないことにクレームする割には、肝心な点で違法状態という本末転倒であり、加えて違法行為をしている側がクレームするなどお門違いである。下記の関連記事も参照いただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com
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4.「行為」とそれによる「影響」の区別を

結局、冒頭に挙げた「行為」そのものが悪いわけではない。それによって何か業務に支障をきたしたり、周囲に迷惑をかけてしまうなど、悪い「影響」が出るからいけないのである。「影響」が出なければ周囲が騒ぎ立てる必要はない。ここを正しく見極めなければいけない。

寛容さの低い人による余計な騒ぎや不必要なクレームによって、受け手がこれを気にするようになり、本来職務でのパフォーマンスを最大限に発揮することを阻害されてしまっては、非常に勿体ない話である。

なので私は滅多にクレームをしない。よほど大きな迷惑を受けない限り。私はこれが普通だと思っている。

また、このことがよくわかっている人や企業のほうが、生産性が高いのは自明だろう。

優秀な人材は良い環境を選ぶ。

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残業禁止・ホワイト企業でのシステム開発プロジェクト経験とキャリアへの影響

IT業界やソフトウェア開発というと、顧客からの過度な要求、前行程の遅れ、要求や仕様が曖昧で見積りが困難なこと、派生開発の場合はベース製品の設計・ドキュメントの不備等、様々な要因によるしわ寄せを受け、ブラック労働になりやすいということを多くの関係者が経験するだろう。

しかし、ソフトウェアを含むシステム開発プロジェクトで、残業ゼロを実現しているホワイト企業がある。私は、その企業に期間は短いが客先常駐としてお世話になり、それまで見たことのないホワイト労働を経験した。

更にそのことが以降のキャリアへ影響している。そのお話を紹介しよう。


1.常駐先ホワイト企業でのプロジェクト開始前の背景 ~直前まではブラック労働で疲弊していた~

私が昔IT企業に勤務していたときの話である。本記事で紹介するホワイト労働プロジェクトの直前まで、私が担当していた自社開発プロジェクトがブラック労働であり、異常な納期や作業負荷により、私は体調を崩していた。一時はうつ病のような症状もあり、数ヶ月間に渡って微熱が続くという、これまでにない体調不良を経験した。

そこで、ある時上司に呼び出され

「来月からの業務だが、お客様先である○○に行ってもらう。そのお客様先企業は、現在残業を禁止している。」

と説明を受けた。

私がブラック労働に巻き込まれたプロジェクト最中での出来事だった。上司からの説明によると、建前上は組織全体の人員配置の都合であるかのようなニュアンスだった。しかし、本音はおそらく私のコンディションが良くないための配置転換である可能性が高い。となると、私はもう自社内の中核として出世する見込みは薄く、ネガティブな気分にもなった。しかし、この時はキャリアのことを言っている場合ではなく、自分の健康第一であり、自分の心身の負担を軽減することを最優先させるべきであった。

常駐先ホワイト企業は中堅のメーカーである。そこでの私の予定業務は、産業用安全システムのシステム/ソフトウェア評価である。半年程度の常駐予定だ。現行システムからの変更による新システムの開発における評価行程に携わる。常駐先企業の社員だけではリソースが不足し、応援要員として私が抜擢された。前述の上司からの説明にもあったように、この企業では残業禁止である。

聞いた話によると、昔は他のシステム開発企業と同じように残業まみれであり、一時業績も下がったらしい。そして、残業代を削減するために、サービス残業ではなく、本当に残業を減らし、無駄を省き、業務量を減らし、スケジュールを全て見直したらしい。トップの意向で、全社一貫して徹底しているらしい。どんなに素晴らしい企業なのかと気になっていた。私が担当するプロジェクトも、かなり余裕を持ったスケジュールになっているようだ。

2.常駐先ホワイト企業でのプロジェクトは序盤から順調 ~健全な生活が功を奏す~

私の体調がすぐれない中で不安を抱えながらプロジェクトが始まった。常駐先企業での業務が始まると、事前に聞いていた話は本当だ。毎日定時で退社している。18時になるとオフィス内の見回りを担当する社員が開発現場に入ってきて

「お疲れ様でーす。退社してくださーい。」

と、声をかけてフロアを回る。そして、社員も我々常駐要員も慌ただしそうに片付け、退社していく。このような光景はそれまで見たことがない。当然私も毎日定時退社だ。

私の業務は、主に

  • 「新システムの仕様理解」
  • 「新システムのテスト仕様書作成」
  • 「テスト仕様書に沿ったテスト作業」
  • 「その他ソフトウェア設計検証」

である。

そのためには、現行システムの理解と、現行システムから新システムの仕様差異の把握が必要である。

まず、現行システムのテスト仕様書と、現行システム(製品)が提供され、これの理解を進めた。実際に動くモノがあるため、仕様の理解が早かった。仕様書、設計書、ソースコードも提供され、更にイメージが湧いた。プロジェクト開始最初の1ヶ月は現行システムの理解に費やした。別に時間がかかりすぎとかではなく、元々このようなスケジュールであった。

この時点では、新システムの仕様は決まっているものの、まだ完成しておらず、常駐先の社員によって設計作業が進められている。評価要員としてこのプロジェクトに投入された私は、行程上まだ出番が無いように思えるが、現行システムの仕様・設計、新システムの仕様・設計を前倒しで理解し、新システムのテスト仕様書作成、新システムのテストを円滑に進める狙いである。システム評価要員をプロジェクトの前行程から参画することは良いことだ。

当時の私は、新しいプロジェクトに慣れるまでに時間がかかることを自覚していた。慣れれば高いパフォーマンスを発揮し、過去には長年成功実績を積んできていることもわかっている。このホワイト企業でのプロジェクトはかなり、余裕のあるスケジュールで進めていることを実感している。序盤にしっかり時間をかけて、仕様の理解や、不明点の洗い出しや、プロジェクトの阻害要因を取り除くことは重要だ。

対照的に、よくあるブラック労働に至るプロジェクトは、見積りがいい加減で、目先の納期しか見えておらず、とにかく納期優先で定量的な進捗報告を求め、圧力をかけて激詰めし、パワハラも珍しくない。このホワイト企業は全く逆だ。

3.常駐先ホワイト企業でのプロジェクト中終盤は高パフォーマンス ~序盤の準備が功を奏す~

常駐先の社員は毎日定時退社しているとはいえ、みな忙しい。忙しい中で効率を上げ、無駄な作業を省き、定時退社していることは良いことだ。

常駐先の社員は、私が関わっているプロジェクトと別プロジェクトを兼務している。対して、私はこのプロジェクトに専念している。専念しているため、そうでない場合と比べて中身の理解を深めやすい。常駐先の社員の業務が多忙を極め、段々と回らなくなり、新システムの設計書やソースコードの検証、単体テストツールを使用した検証、単体テストツールの手順書作成等も依頼を受け、私が対応した。評価要員という建前であるものの、ソースコードを編集しないこと以外は、開発者と作業が変わらない。

常駐先社員からすると、自分たちの多忙さにより私にしわ寄せが行き、私に対してかなりの負荷をかけているような印象であった。しかし、私は余裕だった。

毎日定時退社という健全な生活、余裕を持ったスケジュール、序盤からシステムの理解に時間を費やしたことが、高いパフォーマンスと順調な進捗に繋がった。「無理を強いているつもりはない」「(長時間労働は)業界の常識」などとマインドコントロールしてくるブラック企業とは真逆である。
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開発にトラブルはつきもの。トラブルが無いに越したことはないが、そうはいかない。本プロジェクトでも、テスト環境や使用ツールのトラブルが発生し、解決に半日から一日かかったこともあった。他の企業なら進捗遅れに繋がり、残業で挽回する措置をとるところがほとんどだろう。しかし、それでも残業することはなかった。

私の作業が立て込んでいることや、トラブル発生の挽回を試みるため、少しだけ残業できないかと申し出ても、認めてもらえなかった。「例外を認めない」という考え方だ。一件でも、例外を認めてしまうと、他の要員からの残業の申し出を受け入れなければいけなくなったり、残業の申し出を受け入れたり受け入れなかったりするとトラブルになるからである。他の企業もこれくらい徹底してほしいものだ。

開発終盤になり、スケジュールが切羽詰まってきた。それでも残業禁止のままだった。そのまま作業を続けていても予定通りプロジェクトは完了しないため、作業順序の変更で対応した。プロジェクトにおける残作業を

(1)顧客や認証機関等対外的に提出が必要なシステムやドキュメントの完成
(2)社内に蓄積しておく引き継ぎ資料の完成

の二つに分け、(1)に専念することとした。

(1)は元々のプロジェクト完了予定時期に間に合わせ、(2)は元々のプロジェクト完了時期から1ヶ月延期しての対応だった。従業員に無理を強いて酷使するブラック企業とは大きな違いだ。

全体としてプロジェクトは成功し、常駐先顧客からは高く評価していただけた。これだけではなく「健全な生活」が実現でき、プロジェクト開始前万全ではなかった体調が回復した。色々とインプットがあった。良いことしかなかった。

4.以降のキャリアに大きな影響を与えたプロジェクトだった ~上昇志向一点張りからの転換~

前述した通り、このプロジェクト開始前までは、過重労働により体調を壊し、通院もしていた。

過重労働により体調を崩した際に回復する手段といえば、長期休暇や(産業医と面談して)休職というケースが多い。しかし、このケースは違う。「健全な生活」をすることが回復に繋がった

そして、「健全な生活」をしながら、プロジェクトを順調に進めたどころか、大きく貢献したのではないかと思う。

その背景には、

  • 残業しない体質
  • 余裕を持ったスケジュール
  • 序盤でしっかり業務内容を理解するだけの工数の確保
  • 様々な人達の協力と理解
  • 無理の無い業務プロセスの見直し

という、「前段」が出来ていることにある。お世話になった常駐先の企業には感謝しかない。

一時は、この常駐先企業に転職できないかとも考えた。
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このプロジェクトを通して、キャリアに大きな影響を与えた。

このプロジェクトの開始前までは、長時間労働に耐え、将来の見返りを求め、組織の中でひたすら上位のポジションに就くことを考え、努力を惜しまなかった。しかし、無理なく高いパフォーマンスを発揮でき、楽に高く評価される場所があることを知り、転職を含めて視野を広げ、キャリアを考え直すきっかけとなった。無理をして、今の会社に必ずしも一生居る必要は無い。わずか半年程度の客先常駐プロジェクトであったが、キャリアへの影響は大きかった。

同じスキルのエンジニアが、企業・開発案件・依頼元顧客によって、あるプロジェクトでは残業まみれのブラック労働に巻き込まれ、またあるプロジェクトでは健全な生活を送りながらパフォーマンスを発揮でき楽に高く評価されるホワイト労働に巡り合うこともある。

私は、これまで長年「長時間労働の原因は、自分自身のスキル不足である。」と考えていたが、この考え方を根底から覆すこととなった

私はこれまで、ブラック労働もホワイト労働も経験がある。優秀な人材がブラック労働に巻き込まれ、健康面の被害を受け、パフォーマンスを低下させてしまうことがいかに勿体ないことであるか、体感してきた。エンジニアとしての自分のスキルを高めることも重要だが、企業や開発現場の良し悪しを見抜く「労働のスキル」を高めることはさらに重要だ。良い企業、良い人材に巡り合えることが、自身の成長に繋がる。

私は、昔IT企業に勤務していたと冒頭に述べたが、今は大手メーカーに転職している。ホワイト企業での開発経験や実績が無ければ、今も転職前のIT企業でブラック労働に巻き込まれ、都合よく使い潰され、更にそのことが問題だと気づきもしないほど麻痺していたかもしれない。

視野を広げることは大切だ。そして、転職を含めてチャンスには常にアンテナを張っておく必要がある。

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「信頼関係」と「主従関係」

「信頼関係」と「主従関係」、似ているようで全然違う。

「お客様の要求に応えて『信頼関係』を築こう!」などとよく言われる。この言葉を表面的に捉えれば間違いではないのだが、結論から言うと、Win-Winでない限りは「破綻」である。

頑張っても頑張っても報われないと考えている人や企業は、「主従関係」のことを「信頼関係」と言っているのではないだろうか? 心当たりがあれば、本記事を読んでほしい。


1.「信頼関係」に関するよくある話

システム開発企業は、顧客や発注元からシステム開発を受注し、要求通りにシステムを作る。ソフトウェア制御仕様を要求元が提示し、ソフトウェア企業もしくはソフトウェア部門はその要求通りにソフトウェアを開発する。決められた納期までに。。。

お客様の要求を汲み取り、要求通りに実現するシステムを決められた納期までに提供することで、お客様から対価と信頼を勝ちとる。

このようにして「信頼関係」を構築し、深めていく。

一見、正しいことを言っているように見える。聞こえも良い。部分的には正しいかもしれない。部分的に正しいと思える理由は、お客様にとって都合が良いからである。

しかし、何か違和感がある。

違和感がある理由は、受注側の立場については全く言及されていないからである。

お客様の要求を汲み取り、要求通りに実現するシステムを決められた納期までに提供さえすれば、受注側がブラック労働だろうと、どれだけ疲弊しようと、犠牲になろうとお客様には関係ないと読み取れてしまうからである。ただ、このようなマインドは限りなく危険であることはいうまでもない。

2.「主従関係」のことを「信頼関係」と言っていないか?

一方、システム・ソフトウェア開発規模や難度の割には、開発期間が短い。それでもお客様の要求に応え、信頼を勝ち取ろうとするために、エンジニア達は一生懸命頑張る。

この結果、長時間労働が多発しており社会的に問題になっている。

そして周囲のエンジニア、古風なリーダー・管理職、力関係でねじ伏せようとする顧客・上層部等の要求元の存在により、長時間労働が当たり前になり、労働環境が悪化する。その末、システム完成が納期に間に合い、お客様から信頼を得ることも無いことは無いが、再びそのようなプロジェクトを受注し、同じような労働環境になりたいと思うだろうか?

劣悪な労働環境で、高難度、短納期、低コストでシステム開発に尽力し、苦労の末成功したとしても、次からはそれが当たり前になるケースがほとんどだ。

更に、要求元は要求がエスカレートし、強く要求し丸投げすれば何でもやってくれると思っていないだろうか?

いつの間にか、要求元と要求先に力関係が出来上がってしまい、双方ともが力関係ベースにプロジェクトを進め、開発現場のエンジニアが疲弊し、モチベーションを下げていないだろうか?

このような状態は要求元と良い「信頼関係」にあると言って良いだろうか?

顧客や要求元にの言いなりになり、都合良く使われている「主従関係」(あるいは「従属関係」)ではないだろうか?

「主従関係」のことを「信頼関係」と言っていないだろうか?

3.「主従関係」のことを「信頼関係」と言っている事例

実例の一つを挙げよう。昔から付き合いのある顧客企業・大手メーカーから、その企業が過去に構築した現行システムの解析・調査の依頼を受けた。そして、解析・調査としてのプロジェクトが立ち上がった。後々には新システムの再構築案件として受注予定だったが、実際どうなったかは知らない。

発注側は現行システムのソフトウェアと簡易の設計書を受注側に提示し、詳細解析をしたドキュメントを提出せよという丸投げ状態である。受注側からすると、今まで全く見たことがないシステムで、発注側企業にいる作成した人でないとわからないのではないかといったレベルのものである。

受注側の担当者はソフトウェア解析の経験を多く有するが、そのような技術者でも苦戦する程度のものだった。発注側の担当者は明らかにソフトウェア解析の難しさを知らないようだ。
o08usyu7231.hatenablog.com

そのプロジェクトの発注側と受注側の契約形態は準委任契約であり、一般的なイメージとしては発注側が達成したい現行システムの詳細解析を受注側の支援を得て行うものである。しかし、プロジェクト期間中に枝葉のような内容の調査依頼が増え、受注側の業務量が増え、毎月の成果物の提出が紙ベースでキングファイルに閉じて郵送せよという非効率な手段まで押し付けられる。

スケジュールが遅れ気味になると、顧客企業の担当者は上から目線でマウントする。受注側企業の現場レベルではモチベーションの低下に至るプロジェクトだ。

しかし、受注側企業の管理職クラスになると

「その顧客企業からは取引が長く、大きな信頼を得ている。技術力からして当社しか受注できない内容だ。」

と認識している。現場レベルからすると「本当にそうなのか」と思ってしまう。

その顧客企業向けプロジェクトの収益は良いのかもしれない。管理職にとっては良い顧客だったとしても、現場からするとその顧客のプロジェクトを担当したがる人はいないようだ。

「技術力からして当社しか受注できない」のではなくて

「まともな他社に相手にされないから当社に流れ込んできただけ」

なのである。現場レベルでは、そのようなうわさが流れている。実際その顧客企業からの開発案件は、長時間労働になりやすい。

これこそ「主従関係」を「信頼関係」と勘違いしている。

「主従関係」のことを「信頼関係」と言っている事例だ。

4.Win-Winの関係こそが真の「信頼関係」である

受注側企業が発注側企業の言いなりになっているようでは、Win-Winの関係とは言えない。ただの「主従関係」である。

本来両社の立場は対等であり、お互い調整し、協議し、最適な落としどころに持っていくことが求められる。

しかし、受注側企業の申し出が全く受け入れられない状態が続くなら、そのような発注側企業との取引を避けたほうが良い。

そのような企業としか取引していないような受注側企業だと、従業員の不満も増し、優秀な人材が流出すると断言できる。

受注側企業も発注側企業に対して言うべきことは言うべきだし、受け身ではなく提案や是正依頼など発信すべきことはある。お互いが納得できる形へ着地させることが重要である。

そして、無理な要求は断ることだ。無理な要求を断ることは悪いことではない。無理な要求を受け入れることでお互い更に悪い結果とならないよう未然防止することも重要であり、これもまた「信頼」の一つだ。これが理解できない企業とは取引すべきではない。

一方が犠牲を強いられ、理不尽な状況を我慢しなければならない状況では、まともなビジネスなど成り立たない。「信頼関係」はWin-Winが基本だ。何をもって"Win"とするかは企業やプロジェクトによって異なる。売上なのか、利益なのか、関係構築なのか、技術蓄積なのか、・・・。

くれぐれも、「主従関係」のことを「信頼関係」と言わないようにしてもらいたい。

Win-Winの関係こそが真の「信頼関係」である。Win-Win以外は全部破綻だ。

また、「主従関係」のことを「信頼関係」と言っている組織に属している人にとっては、都合よく使われているだけのことが多く、個人の成長が見込めない。

そのような人は、もっと良いキャリアを築き、成長し、未来を切り開くことを考えたほうが良いのではないだろうか。

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×「立場が偉い」、〇「価値が高い」、~ビジネスパーソンによくある勘違い~

この記事では、ビジネスの世界で正しそうに見えるが、実はとんでもない勘違いをしていることを挙げてみようと思う。

それは「立場」と「価値」の違いである。

実は「立場」と「価値」は全く別物である。そして、これからの時代ビジネスパーソンとして、どのようなことが必要か考えてみたい。


1.「立場」に関するよくある勘違い

「立場が上の人の方が偉い」。

こんなイメージを持っていないだろうか? 

○○さんはリーダーだから、
○○さんはマネージャーだから、
○○さんは部長だから、
○○さんは役員だから、
・・・、
一般社員△△より上だ。

口に出さなかったとしてもこんなマインドを持っている人は考え直した方が良い。

「お客様や発注元の方が力関係が上」という考え方も同様である。
o08usyu7231.hatenablog.com
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社内の組織であれば、一般的には「立場」が上がれば責任は重く、報酬も大きくなる。今のご時世では、責任は重くなるが、報酬の上昇率が見合っていないという見方もある。

また、当たり前のように、一般社員→リーダー→マネージャー→部長→役員のように、キャリアが進んでいくため、あたかも偉くなったように感じてしまうし、周りからもそのように見えてしまう。昇進していくと組織内での立場は上であるようにも思える。

ここで問うてみたい。

「立場」と「価値」を混同していないだろうか? 

2.「立場」が上でも「価値」が低い人はいる

なぜ、このような内容に目を向けているかというと、「立場」が上でも「価値」が低い人は少なからずいるからである。

もちろん、そのような人ばかりではなく出世して立派な人もいるし、組織内でも一目置くような「立場が上」の人もいる。

世間でよく見るのは「立場が上」の人による違法行為や不祥事である。このような人は、「立場」が上でも「価値」が低いと言わざるを得ない。

例えば、「パワハラをする管理職」と「パワハラをしない平社員」、どちらが偉いか?

答えは「パワハラをしない平社員」である。

パワハラをする管理職」は、自分の方が偉いと勘違いする。

「立場」と「価値」の考え方について後述するが、ざっくりそれぞれ別の表現をするとすれば、positionとvalueかなと思う。positionは位置、職務、役割と捉えると良い。地位、身分という意味もあるが、「パワハラをする管理職」が勘違いする原因となるから、ここではこの意味では扱わない。valueは価値、価格、値打ち、値の意味を持つ。高めるべきはpositionではない。valueだ。

最近パワハラのニュースをよく見る。民間企業に限らず、被害者やその遺族が裁判を起こしてニュースになることが多い。長時間労働とセットで報道されることも多い。公務員では加害者が組織内で処分されたことも含めてニュースになることが多い。パワハラ厚生労働省の定義によると

1.立場の優位性を背景に
2.業務に必要相当の範囲を超えた言動により、
3.就労環境を悪化させること

となっている。多くの場合、上司・顧客といった「立場」を背景としている。

ある専門家は、パワハラが発生する理由を「加害者が未熟であるから」と説明している。私も同感である。いくら「立場が上」でも未熟者は一定割合存在する。
o08usyu7231.hatenablog.com
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なぜそのような人が存在するのか?

よくあることだが昇進して「立場が上」になる人は、限られた領域で一定の成果や実績を挙げ、それが認められた人であることが多い一方、人間として未熟な点があるまま、影響力のある立場になることによる弊害であると言える。パワハラはほんの一例に過ぎず、これ限った話ではない。偽装、不正、マネジメント能力不足、人事評価の失敗で優秀な人材を潰す、その他諸々に見られるように、「立場」が上でも「価値」が高い人とは限らない。

3.「立場」は「役割」、「能力・実績」は「価値」と考えるべき

そもそも「立場」が上とか偉いとか、この時点で語弊がある。「立場」とは「役割」と言い換えて良いだろう。

組織内であれば、

  • 「担当者」=「実務」
  • 「リーダー」=「ローワーマネジメント」「実務指導」「対外的関係先との調整」
  • 「マネージャー」=「ミドルマネジメント」
  • 「部長」=「部門とりまとめ」「経営層との橋渡し」
  • 「役員」=「トップマネジメント」「経営戦略立案」

などである。

これらをうまくこなすか否かと、「立場」そのものは全く別。組織間の場合は、「発注元」「発注先」のような感じである。

どちらが偉いとか無い。互いに敬意を払い、互いに協力関係にないと、何事もうまくいかない

一方、同じ立場でも「能力」や「実績」が人によって異なることがある。各々の人の「特性」「経験」「強み」も違う。このような要素は「価値」と呼んで良いだろう。

管理職や経営者で組織の舵取りに大いに力を発揮している人は、「立場」が偉いのではなく「価値」が高いのだ。また、「立場」「役職」にこだわらなくとも、特定のスキルが非常に長けていたり、複数のスキルを併せ持っているような状態なら、それはその人が持つ「価値」である。特定の会社組織に属さないフリーランスはなおさら「価値」が持つ重みが大きい。

4.「価値」を高める取り組みを

「立場」は組織内での位置付けであるのに対して、「価値」は「市場価値」というように組織外でも通用するイメージがある。

終身雇用制がとっくに崩壊した今、働き方が多様化しつつある今、組織よりも個を重視するようになってきた今、「価値」を高めることこそが急務だ。優秀な人が上の「立場」に上がる以外に、「価値」を活かし更に高めることのできる、より良い企業へ転職する動きも盛んである。

スキルを身に着けるもよし、資格を取得するも良し。私も若い頃はできる限り資格取得に注力した。会社内にあり肩書きに代表される「立場」は会社を辞めれば消えてしまう。資格など「価値」は会社を辞めても消えない。会社が姿を消したときも同じだ。

実際私は、下請け中心のIT企業から大手メーカーへ転職しており、転職前後ともソフトウェアエンジニアである。下請け中心のIT企業で上の「立場」を目指すことよりも、自分が持つ「価値」を活かし大手メーカーで「価値」を更に高めることの方を選んだ。転職して正解だったと思う

「価値」を高めた結果「立場」が変わり、その後も「価値」を高め続けることが理想だ。

「立場」を上げるためのごますりに「価値」はないと感じる。

「立場」が上がっても、不祥事やパワハラなどをやってしまう、またそうでなくても人を潰す管理職の「価値」はあっという間に無くなる。

ただ、残念なのは得られる報酬が、「価値」ではなく「立場」に基づいているところだ。

日本では報酬を高めようとすると管理職になるのがオーソドックスなキャリアだが、最近は人事制度の見直し等によりこれも変わっていくものと思われる。

「立場」を上げるよりも、「価値」を上げた方が、市場レベルで見ると、フットワークが軽いのは確かである。実際、私は新卒で入社して10年くらいは、組織内で昇進することばかり考えていたが、今は全く逆であり、フットワークが軽いことの恩恵を受けている。
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法律やルールが無いまたは適用外であっても問題発生は許されない

「違法でなければ何をやっても良い!」
「違法でないから何をやられても抵抗できない。」
「ルールにないから(問題が起きても知らない・・・)」

このように考えている人はいないだろうか? 

どれも間違いである。

「法律やルールは最低限守るもの」であり、更に周囲への気遣い等、+αのことが求められると考えるのが普通だ。

本記事は、法律やルールが未整備であったり、一部の対象に対して適用外であったりすることで問題が発生する可能性のあることについて書いている。加害者にも、被害者にもなりうるため、是非この記事を読んで知見を増やしていただきたいと思う。

法律や社内で定められているルールに従って運用している場面が多いが、一部でルールの適用を除外する場面がある。この「適用外」にすることで問題が起きた時に、「適用外だから」などと言い逃れのような理由はあってはならない。「適用されているから守る」ことが目的ではなく、「問題が起きてはいけない」からである。


1.ソフトウェアのコーディングルール

ソフトウェア開発において、プログラミング言語のコーディングルールを定め、ガイドラインとして提供しているものがある。
https://www.ipa.go.jp/sec/reports/20180215.htmlwww.ipa.go.jp
www.ipa.go.jp

これはガイドライン程度のものである。このガイドラインの各項目を適用するかしないかは、各組織やプロジェクトに任されている。

このガイドラインを適用していない開発案件で、あるいはガイドラインの中の一部の項目の適用を除外した場合に、ガイドラインから逸脱した結果問題が起きてしまったとしよう。

でも、ガイドライン適用外だから、そもそも守られていなくても問題なかったのでは・・・と考えてしまうだろう。これはおかしな話である。

問題が発生してしまったならその問題が再発しないように、ガイドラインを適用対象とするか、ガイドラインから逸脱するならば他の方法で担保すべきである。

2.裁量労働制

裁量労働制」を適用した。労働時間関係なく、業務の進め方も自由になり、労働者の裁量に任されるようになった。賃金も成果によるものとなった。労働基準法に沿ったものではなくなった。

しかし、「裁量労働制」を適用したことで過労死や過労自殺に拍車をかけている。でも、労働基準法に沿わず労働時間に上限もないから、そもそも致し方なし・・・と考えてしまうだろう。これはおかしな話である。

労働基準法・労働時間云々以前に、過労死や過労自殺があってはならないのは当然のことだろう。労働基準法により労働時間を制限することは、労働者の健康を確保するという目的を達成するための手段であり、労働時間を制限することが目的ではない。

裁量労働制」を適用することで問題が出るなら、適用を止めるか、「裁量労働制」そのものを見直すかのどちらかである。

実際、労災が相次いだ三菱電機が、一度「裁量労働制」を導入したものの後に廃止したニュースは有名だ。
www.asahi.com

3.フリーランス

近年「フリーランス」という働き方が注目されている。会社や組織に所属することなく、個人で仕事を請け負う働き方のことを指す。企業に雇用される労働者ではなく、個人事業主のようなものだ。フリーランスは労働者ではないので「労働基準法」が適用されない。そのために自分の身を自分で守る必要があると言われている。

労働基準法が適用されないことで、発注側に都合よく使い潰され、長時間労働の問題が表面化する懸念点がある。このようなことがあっては問題だ。

フリーランスの場合は「下請法」で守られるが、法律やルールに杓子定規に頼るのみならず、人間対人間である以上、片側が極端な不利益を被ることが無いよう配慮が必要である。そもそも、一部の人や組織の犠牲を持って、全体を成り立たせている構造が根本的な問題である。

4.あおり運転

これは元々取り締まるための法律が無かったことによるものだが、「あおり運転」がその代表である。2019年8月に起きた常磐道のあおり運転殴打事件など、ここ数年であおり運転による悲痛な事故が激増している。

ドライブレコーダーに鮮明に映された恐ろしい映像が拡散し、今では社会問題になっている。このような事件・事故を背景に、誰もが安全かつ快適に車で移動できる社会へとの意向から、道路交通法の改正により、あおり運転が厳罰化された。

そもそも法制化や厳罰化などされる以前に、「あおり運転」が危険なことぐらいわかるだろ。法律が無いからといって何をしても良い訳ではないし、法制化や厳罰化しないと秩序が保たれず、一部の非常識な人間のためにわざわざ法制化しなけれはならない世の中が情けない。

5.パワハラ防止法

セクハラは男女雇用機会均等法、マタハラは育児介護休業法によって守られるのだが、パワハラについては永らく被害者を守る、加害者を取り締まる法律は無かった。

しかし、パワハラは至るところで発生し、世間の目は厳しさを増していったことで、パワハラ対策が法制化されることになった。パワハラ防止法は大企業は2020年6月から、中小企業では2022年4月から適用される。パワハラ行為そのものを取り締まる訳ではないが、企業がパワハラに対する対策を取ることを必須とするものである。これにより、パワハラ対策については法制化前の「努力義務」から「義務」に変更された。

そもそもこのような法律が無くてもパワハラが無くなってくれれば良いわけだし、法律があってもパワハラが無くならなければ意味がない。パワハラ防止法が無いもしくは適用外(例:2022年4月より前までの中小企業)だからといって、パワハラが発生して良いものではない。

パワハラ加害者は、何がパワハラにあたり、パワハラが発生すればどれほど大きな影響が出るかよく認識しておくことが必要だ。

6.まとめ

ルールの適用外は、そのルールの目的を理解し、別の方法で担保すべきという意味で理解しておくと、ルールを適用外にすることによる問題の発生を未然に防ぐことができるだろう。ルールを逸脱した結果問題が起きた時に、ルール適用外だからというのは理由にならない。結局、ルールや法律の背景や目的を考え・知ることで、それを適用外とする場面でも、何を守らなければいけないか、どのような弊害を発生させてはならないか、このような観点で考えることが必要である。法律未整備についても同じである。

最近は、この法律未整備やルール適用外だけでなく、企業の不祥事やその対応に対して法律上問題なかったとしても、社会的な要請に応えられていなかったり、世間の感覚とのずれが大きい場合に炎上しやすい。法律やルールさえ守っていれば良いというわけではなく、その背景や目的を考え、問題が発生する場合には個別に対処すべきである。これができないとブラックと言われる可能性がある。場合によっては法制化や見直しが必要であることを忘れてはいけない。

法律やルールよりももっと広く、「コンプライアンス」と言えば良いだろう。「コンプライアンス」とは狭義の意味は「法令遵守」である。しかし、現実はもっと厳しい。

コンプライアンスとは、「法令遵守」のみならず「時代とともに変化する社会的要請を正確に把握し、それに応じた行動を取ること」と理解しておくべきだろう。「法令」のみで片付けるのではなく、「人」「社会」をカバーするだけの視座が求められる。