ソフトウェアエンジニアが労働について情報発信するブログ

ブラック労働からホワイト労働まで経験したソフトウェアエンジニアが世の中にとって役立つことを情報発信していく。

ブラック労働かも!と感じたときに思い出したい言葉の言い換え事例

ブラック労働が常態化している現場、ブラック労働の予兆がある現場、またそうでなくても、ネガティブな状況をポジティブな言葉に変えて表現することがあるブラック企業の求人広告にも見受けられる。

叱責を受けたが何か違和感があると感じたときに、以降の各【項目】に示す内容について、後述する【観点】に基づいて思い出してほしい。

【観点】

  • 各【項目】の【○】に示す状態を、【×】に示す言葉で表現していないか?
  • 各【項目】の【×】に示す言葉が、【○】に示す意味になっていないか?
  • 各【項目】の【×】と【○】を混同していないか?

これらの【観点】で着目し、【×】に示す表現(以下に示す一覧)は、背景状況を含め、本当に適切に使われているか疑うべき表現だ。

「自分の圧倒的な成長のために頑張らなければいけない」と思っていたこれまでの状態からマインドが変化し、「ブラック労働」であることに気づくかもしれない。

「自分のためを思って指導してくれているのだから、辛いけど我慢しなければならない」と思っていたこれまでの状態からマインドが変化し、「パワハラに巻き込まれている」ことに気づくかもしれない。

「頑張っても評価されないのは、自分が努力不足だからだ」というこれまでの状態からマインドが変化し、「真面目さ・謙虚さ・優しさに漬け込まれ、安く使い潰されて、過小評価されているのではないか」と気づくかもしれない。

知識を身に付け、労働トラブルの予防に役に立てば幸いである。


協調性がない

  • 【×】協調性がない
  • 【○】同調圧力に屈しない

【解説】
「協調性」とは「異なった環境や立場にある複数の者が互いに助け合ったり譲り合ったりしながら同じ目標に向かって任務を遂行する素質」、「同調圧力」とは少数意見を有する者に対して暗黙のうちに多数意見に合わせるように強制・誘導することを指す。自らの意思で行うか、強要されるかで全く異なる。
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会社目線

  • 【×】会社目線
  • 【○】社会目線

【解説】
「社会のため」と労働者に過重労働を強要する姿は、労働者に対する不利益を考慮していないことから「社会のため」ではなく「会社のため」。「会社にとって都合が良いか否か」が判断基準になっている場合は、コンプライアンス意識が薄い可能性がある。「世間、社会にとって良いか否か」を考えてみてほしい。
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圧倒的成長

  • 【×】圧倒的成長
  • 【○】激務でストレスフルな労働環境

【解説】
【×】はブラック企業の求人広告でよく見かける言葉。実際には【○】の状況であり、圧倒的成長など見込めるはずがなく、企業イメージが低下し、法的リスクを抱え、優秀な人材が流出する状況。現実的には「圧倒的成長」など簡単にできるものではなく、時間をかけて少しずつ地道に成長していき、長い目で見たときに「大きく成長した」と言える。従業員に業務を丸投げし、使い潰す状況を、正当化するために使われる可能性のある言葉である。

少数精鋭

  • 【×】少数精鋭
  • 【○】メンバーがどんどん辞めていった(減っていった)結果、人がいないので、社員1人当たりの業務量が膨大である

【解説】
ブラック企業の求人広告でよく見かける言葉。必要な業務量に対して圧倒的に少ない人数である状態。「少数精鋭」とは、本来、「優秀でえりぬきの人材。数は少ないが能力にすぐれた集団」を意味する。少数精鋭の結果、どのようなアウトプットを出し、どのような製品・サービスを提供し、どのように効率化をはかっているかが重要である。しかし、これが明確になっていないということは、人がいない分社員1人当たりに負荷をかけ、力技で凌いでおり、辛うじて会社が回っている状態といえる。

裁量が大きい

  • 【×】裁量が大きい
  • 【○】上位者や依頼者からの丸投げが当たり前でそのしわ寄せを受けやすい状態

【解説】
「裁量が大きい」とは、自分で決定できる事柄が増えるというメリットがあり、様々なチャレンジをしやすい反面、責任が重いこと。しかし、これを悪用する企業は、上位者や依頼者の怠慢を、このような言葉で免れようとする傾向がある。

幅広く経験を積める

  • 【×】幅広く経験を積める
  • 【○】業務範囲が曖昧でカオス状態

【解説】
これも前述の「裁量が大きい」と同じく、前段が破綻している状況を、肯定的に言い替えたものである。

幹部候補

  • 【×】幹部候補
  • 【○】責任が重たい割には賃金が安い

【解説】
ブラック企業の求人広告でよく見かける言葉。幹部候補といいながら入社直後はほぼ間違いなく普通の社員。そこから重い責任が課せられ、業務量が膨大になるが、給料は据え置き。「候補」であるため、「幹部」となるかどうかまでは保証しないことを都合よく使う表現。

アットホームな職場

  • 【×】アットホームな職場
  • 【○】他に何もアピールできない

【解説】
ブラック企業の求人広告でよく見かける言葉だが、絶対に信用してはいけない。普通は売上(「前年比○○%アップしました。」)や実績(「公的機関から○○について受賞いたしました」)など具体的なアピールがあるはずである。しかし、このようなポジティブで抽象的なアピールは、これしかアピールすることが無いということの裏付けである。また、社員を家族のように大切に扱うという印象操作の裏に、長時間労働等束縛したい意図が隠れている。滅私奉公、公私混同の意味でも用いられる。

厳しさ

  • 【×】厳しさ
  • 【○】粗悪さ(劣悪さ)

【解説】
顧客や上層部からの無理な納期でのシステム完成を迫られるなど、そもそもの計画自体が破綻しており、そのしわ寄せを受けてブラック労働となり、労働者個人の努力でどうしようもない状態を、「厳しさ」とは言わない。この状態を「社会の厳しさ」であるかのように刷り込む組織であるならば、心身を破壊する前に、「粗悪さ」を正しく見抜くスキルが必要がある。
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会社対会社の関係

  • 【×】会社対会社の関係
  • 【○】他社からの理不尽な要求やパワハラを受けても、話をややこしくせず取引を継続したいために、被害者を黙らせたい

【解説】
他社(顧客)から無理な要求を受けたり、ハラスメントを受けても、波風立てず他社(顧客)との関係を維持したいために、被害者に対して使われることがある。当然のことながら不適切な対応であり、組織ぐるみで行われているならば、異常であることを見抜くべき。パワハラ以外にも、

  • 「相手はお客様だから」
  • 「無理な要求でも対応して誠意を見せるべき」

等のように、社員の人権侵害を助長し、社員の犠牲の上でビジネスを成立させるケースといった、言っている方は意識が無くとも悪質なものであり、これを素直に受け入れる真面目な社員ほど被害に遭いやすい傾向があるので、正しく見抜く必要がある。
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自己中心的

  • 【×】自己中心的
  • 【○】自己を犠牲にしない

【解説】
「自己中心的」は「自分さえよければ、他はどうでもよい」という考え方。また、他人を犠牲にしてでも自分の利益に繋げる考え方を言う。「自己を犠牲にしない」は、通常は全体・組織・他人のために尽力するが、自分を犠牲にまではしないという意味。よって両者は全く異なる。

  • ブラック企業を辞める」
  • パワハラ被害を訴える」
  • 「個人や一部の組織の犠牲の上にビジネス全体が成り立つ状況に声を挙げる」

など社会的には普通と解釈される行為であっても、一部これによって都合が悪いと感じる人間が、被害者を叩くために使われる。
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ストレス耐性

【解説】
ブラック体質の人間や企業が、パワハラ被害者に求める素養として、「パワハラ」という言葉を隠蔽する、あるいは「パワハラ」を正当化するために「ストレス耐性」という言葉が用いられる。

信頼関係

  • 【×】信頼関係
  • 【○】主従関係、従属関係

【解説】
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「だからお前はダメなんだ!」

  • 【×】「だからお前はダメなんだ!」
  • 【○】「ブラック体質な私にとって都合が悪いだけでございます。」

【解説】
見ての通り。

進捗遅れ

  • 【×】進捗遅れ
  • 【○】そもそも無理なスケジュール、過大な業務配分、担当分野に不慣れなメンバーに対して丸投げし、優秀な人材が悲鳴をあげる程、前段が破綻している

【解説】
見ての通り。
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スケジュールを守る

  • 【×】(適切に設定された)スケジュールを(確実に)守る
  • 【○】無理な計画であっても、破綻した前段のしわ寄せを受けても、長時間労働・休日出勤をしてでも最終納期を守り切る、従業員の立場や人権を無視した状態

【解説】
見ての通り。
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「他人のせいにするな!」

  • 【×】「他人のせいにするな!」
  • 【○】誰のせいか関係なく、問題の根本を正しく見極める

【解説】
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怠慢

  • 【×】(ブラック労働やパワハラ被害者に対して)怠慢
  • 【○】疲労がピークに達して動けない

【解説】
見ての通り。【○】の状態を作り出したにも関わらず、あたかも被害者の怠慢であるかのような論調で、被害者に責任を押し付けることによる責任逃れのために使うことが多い。

スキル不足

  • 【×】(優秀な人材に対して)スキル不足
  • 【○】担当分野において不慣れ

【解説】
これは、非常に勘違いを起こしやすい。その人の持つ能力や実績ではなく、いかに自分たちの組織や現業務分野に馴染んでいるかに着目して、その人の価値を決めていることの現れ。

業務を任せる

  • 【×】業務を任せる
  • 【○】業務を丸投げ

【解説】
「任せる」は、進め方は作業者の裁量の範囲で進めサポートはするものの、結果に対する責任は取るという意味。「丸投げ」は責任を放棄すること。

お前のためを思って言ってるんだ!

  • 【×】お前のためを思って言ってるんだ!
  • 【○】焦点(ターゲット)を「お前」に宛て、都合の悪い話を反らすことで、自分の責任逃れのために言っています

【解説】
「お前」のためを思っているのではなく、「自分」のためを思っている。責任逃れのために使うことがある。ハラスメント被害者を非難し是正を要求する(セカンドハラスメント)場面でも見受けられる。
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人事評価結果を納得感あるものにするための、考課者&被考課者の面談やコミュニケーション

  • 【×】人事評価結果を納得感あるものにするための、考課者&被考課者の面談やコミュニケーション
  • 【○】考課者が一方的に決めつけた人事評価結果を被考課者へ飲み込ませるための、マインドコントロール

【解説】
人事評価結果を考課者(上司)が被考課者(部下)に対して説明を行い、被考課者が「なぜ、そのような人事評価結果になったのか」納得いくならばそれはそれで良い。しかし、被考課者が納得いかない場合は少なくない。正しく人事評価が行われていないケース、考課者が被考課者の成果やアウトプットを見落としているケース、そもそも人事評価で不正やハラスメントが行われているケース。人事評価結果が間違っていたとしても、修正されたという事例を聞いたことがない。むしろ、

  • 「考課者はこのように判断した。」
  • 「修正はできない。」
  • 「期待を込めて厳しく評価した。」

などと、納得もしていない結果を被考課者に飲み込ませ、それが妥当な評価結果であるかのうように正当化し、マインドコントロールさせることがある。考課者のモラルと、組織がそれをチェックする仕組み、ハラスメントを防ぐための企業ぐるみの取り組みが必要だ。
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「やりがい」があるよ!

  • 【×】「やりがい」があるよ!
  • 【○】労働環境が劣悪で、苦労に対するリターン(報酬)が見合わない

【解説】
「やりがい」とは、労働者自身が仕事に関して自ら感じる充足感のこと。他人に対して、

  • 「やりがいを持て!」
  • 「やりがいを感じるだろう!」

と強要するものではない。そもそも、ブラック企業の求人広告にあるのだが、労働環境が劣悪で、苦労に対するリターン(報酬)が見合わない現実を、「やりがい」という言葉で隠蔽し、労働者の仕事に対する使命感を都合よく搾取するための手法として用いられる。これを「やりがい搾取」という。
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「セルフマネジメント」「仕事のやりくり」

  • 【×】「セルフマネジメント」「仕事のやりくり」
  • 【○】劣悪な労働環境によるしわ寄せを労働者になすりつけ、それでも業務をこなせなければ「甘え」として批判する組織の愚行

【解説】
セルフマネジメントとは、「目標達成や自己実現のために、自分自身を律し管理すること」である。その本質は、限られたリソースの最大限の活用、自身の能力を最大限発揮しパフォーマンスを上げることにある。管理の対象は、仕事のタスクや時間、感情、精神的・肉体的な健康の維持など、多岐に渡る。しかし、劣悪な労働環境にある組織が、組織として何も是正しなければ、労働者個人個人がそのしわ寄せを受けることとなる。そして、しわ寄せを受けた労働者が過負荷な業務をこなせなければ、その結果のみを吊るし上げ「甘え」等と批判し、「セルフマネジメント」「仕事のやりくり」ができていないと見なすケースがある。これは、「セルフマネジメント」「仕事のやりくり」が重要だ!と称して、劣悪な労働環境に対する是正措置を怠る組織・管理者側の「粗悪さ」である。
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「3年で会社を辞める若者」

  • 【×】「3年で会社を辞める若者」
  • 【○】「若者に3年で辞められる会社」

【解説】
「3年で会社を辞める若者」は、ビジネス関連の記事の見出しで見受けられることがあるが、若者が描くキャリアとのミスマッチ、激務の割には安い報酬、生活面とのバランスの破綻等、その実態は辞められる会社側に原因があることが多い。今の時代、終身雇用は完全に崩壊し、転職は当たり前になり、フリーランスや副業も当たり前になってきた。「3年で辞める若者」という表現は、いかにも辞める原因が「若者」にあると考えている論調であり、旧態依然の体質の会社ほど「若者」に責任転嫁したがる傾向だ。時代の変化に対応できず、「若者」にとって魅力的でない「会社」に原因があることを踏まえ、「3年で会社を辞める若者」は「若者に3年で辞められる会社」と言い直すべきである。

「お前はどこへ行っても通用しない」

  • 【×】「お前はどこへ行っても通用しない」
  • 【○】「ウチではあなたの能力を最大限に発揮させることができず、有効に活用できない程、我々組織側のマネジメントが未熟です!」

【解説】
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収入が少ない若年層の方々にとって、まず低費用、そして、簡単で確実に退職できることが最大のニーズであり、「退職代行ガーディアン」はスムーズな退職実現に向けて支援いたします。



【最後に】ネガティブな状況をポジティブな言葉で表現する劣悪企業の管理職以上が心得るべきこと

  • 人員が辞める等で減り続けている状態を「少数精鋭」と言うな!
  • 業務範囲が曖昧で未整備なことを「自由度が高い職場」と言うな!
  • 一人当たりの業務負担が過多な状態を「圧倒的成長のため」と言うな!
  • 社員に仕事を丸投げすることを「業務を任せている」と言うな!
  • パワハラを「指導」と言うな!
  • パワハラに耐えることを「ストレス耐性」と言うな!
  • パワハラ加害者に寄り添うことを「被害者の成長」と言うな!
  • パワハラ被害者を黙らせることを「人間関係の改善」と言うな!
  • 膨大な設計資料がありインプットに時間を要する状態を「設計資料があるから円滑に開発できる」と言うな!
  • 自分の都合のいいように相手をマインドコントロールすることを「コミュニケーションを密に取っている」と言うな!
  • 無理な計画や異常な短納期を、一部の従業員の犠牲によって達成する状態のことを「スケジュールを守る」と言うな!
  • 劣悪な労働環境で業務量の割には工数が少なすぎて無理が祟る状態のことを「厳しい職場」と言うな!
  • ただマウントを取りたがる未熟者のことを「厳しい人」と言うな!
  • 劣悪な労働環境によるしわ寄せを労働者になすりつけることを「セルフマネジメント」と言うな!
  • 「若者に3年で辞められる会社」が「3年で会社を辞める若者」と言うな!
  • 上司のマネジメントが悪くて辞めていく社員に対して「お前はどこへ行っても通用しない」と言うな!

長時間労働が当たり前の企業を転職サイトの面接官レポートから見抜く

転職する際には、転職先の企業がどのような企業か見極める必要がある。一般的に企業のホームページや求人サイトからブラック企業を見抜くのは困難であると言われているが、面接で見抜くことはある程度可能である。

今回は「面接官インタビュー」の内容から見抜くことができる例を紹介したいと思う。

企業と求職者が不幸なミスマッチを防ぐためにも、ぜひ本記事の内容をインプットして活用いただけることを願っている。


1. 「転職体験記」と「面接官インタビュー」の一部引用

ある転職サイトに下記のような「転職体験記」および「面接官インタビュー」が掲載されていた。

ソフトウェア開発の技術者を中途採用したときの事例で、面接の内容(一部)と面接官が見るポイントを示している。

「面接官」と「応募者」がしばらく技術的な内容のやりとりをした後、・・・


【1】
「面接官」:
ところで、残業時間はどのくらいでしたか?


【2】
「応募者」:
多いときは月に150時間くらい。少ない時期だと50~60時間でした。


【3】
「面接官」:
ストレスがたまると思うのですが、解消法はありますか?


【4】
「応募者」:
休日のスポーツが私のストレス解消法です。テニス、スキー、それに山登りが好きです。週に1度は何かのスポーツをしています。


【5】
「面接官」:
残業が多いと仕事に嫌気が差すこともありますか?


【6】
「応募者」:
さすがに体は参りますが、休日にリフレッシュして、次の週の活力を作り出すようにしてきました。


【7】
「面接官インタビュー」:
この質問(【1】)はほとんどすべての応募者にします。というのは、当社でもピーク時には残業が多くなるからです。応募者の中には、残業の少ない会社を希望する人もいますが、残念ながら当社に適していないと思います。


最終的にこの「応募者」は、この面接を受けた企業から内定を得て、入社に至っているようだ。

このやりとり、あらゆる点に疑問と違和感を感じる。

皆さんはどのように感じただろうか?

また、このような企業に応募したいだろうか?

2. 各「質問」「回答」箇所に対する解説

各箇所を細かく見ていこう。

【1】
「面接官」:
ところで、残業時間はどのくらいでしたか?

【解説】
前職の残業時間を聞く目的が不明である。

「多い」方が良いのか、「少ない」方が良いのか、絶対的な正解はない。「この企業にとって、どちらが都合が良いか」である。

都合良く従業員を長時間使いたいなら、「残業時間が多く、それでも耐えてきた」とアピールする方が、この面接官には印象が良いのだろう。応募者の「能力」ではなく「忍耐」を見るための質問になっているのではないかと感じる。

長時間労働か常態化している可能性を疑った方が良いだろう。

働き方改革が進んで残業が少ない企業なら、わざわざこのようなことを聞く必要はない。せいぜい雑談程度である。

【2】
「応募者」:
多いときは月に150時間くらい。少ない時期だと50~60時間でした。

【解説】
この応募者は、体力自慢をアピールすることでこの面接官に好印象を持ってもらいたい意図か、実際の結果を答えただけなのかわからないが、これが本当なら応募者の転職前の企業の労務管理はかなり問題がある。

月残業45時間を超えると次第に健康面へのリスクが増加してくる。36協定違反のリスクもある。月80時間は過労死基準と言われている。月150時間は過労死基準を大幅に超えている。

健康面のリスクが増加してくる月残業45時間を超えていても「少ない時期」と言っているのは、体力自慢か、感覚が麻痺している可能性がある。
o08usyu7231.hatenablog.com
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【3】
「面接官」:
ストレスがたまると思うのですが、解消法はありますか?

【解説】
「ストレス耐性」を見ようとしている印象に受けとれるが、「ストレス耐性」と称する「ブラック耐性」である可能性が高い。長時間労働で都合良く酷使しても、その回復方法が備わっていれば、また改めて長時間労働で都合良く酷使できる」ことを確認したい意図であることを見抜く必要がある。

そもそも「ストレスの解消法」云々の話ではなく、ストレスを溜めざるを得ない、劣悪な労働環境であることが問題である。ストレスの元を断つ改善に取り組むこともせず、それによるしわ寄せを労働者に擦り付け、労働者の我慢によって成り立つ事業構造であることが容易に想像できる。

【4】
「応募者」:
休日のスポーツが私のストレス解消法です。テニス、スキー、それに山登りが好きです。週に1度は何かのスポーツをしています。

【解説】
そもそも前述の月残業時間だと、多いときは休日出勤もあり得るため、休日にスポーツをする時間的余裕も、体力的余裕も無いのではないかと考えられる。

この労働環境で週に一度のスポーツとか、山登りとか、かなり体力に自信がある人なのだろうと考えてしまう。

【5】
「面接官」:
残業が多いと仕事に嫌気が差すこともありますか?

【解説】
この質問は、長時間の残業に嫌気が差さない人材を求めているということなのだろうか?

「嫌気を差す」のは当然であり、その耐性を見ようとしているのか?

「嫌気が差す」と答えると、面接官にとってマイナスイメージなのか?

本来、嫌気が差す程の長時間労働にならないように管理するのが、管理職の仕事であり、長時間労働でなくとも高い価値を生み出すビジネスを創出するのが経営者の仕事である。

それを怠っても耐えてくれる、都合の良い人材を募集しているものと見抜く必要がある。

【6】
「応募者」:
さすがに体は参りますが、休日にリフレッシュして、次の週の活力を作り出すようにしてきました。

【解説】
長時間労働で心身共に疲弊し、健康被害に至ることが一般的だが、この応募者は体に限界があることについては正直に答えるものの、精神(心)については休日にリフレッシュして翌週の長時間労働に耐えるというアピールをしているようだ。

ただ、矛盾するのが月残業100時間を超えるくらいの長時間労働なら、休日出勤もあると考えられるため、そもそも休日にリフレッシュして翌週の活力を作り出すことなどできないのではないかという点である。

【7】
「面接官インタビュー」:
この質問(【1】)はほとんどすべての応募者にします。というのは、当社でもピーク時には残業が多くなるからです。応募者の中には、残業の少ない会社を希望する人もいますが、残念ながら当社に適していないと思います。

【解説】
私の見解は以下のとおりである。


×「応募者の中には、残業の少ない会社を希望する人もいますが、残念ながら当社に適していないと思います。」
○「求人企業の中には、残業の多さに耐えることが可能な応募者を求める企業もいますが、残念ながら今の時代に適していないと思います。」

面接官へのインタビューでは、「残業時間についての質問は、ほとんどすべての応募者にする」と明言している。更に、「残業の少ない会社を希望する人は、当社には適していない」と明言している。

これは

  • 「当社は残業が多いため、これに耐えることのできる人材を募集している」
  • 「当社は長時間労働に目くじらを立てない、素直で従順な人材を募集している」
  • 「当社は労務管理が杜撰であるため、これを体力、気合い、根性でカバーできる人材を求めている」
  • 「当社は労働環境を改善するつもりがない」

と言っているようなものだ。

また、「ピーク時に残業が多くなる」と語っているが、これには裏がある。普段は残業が少ないならば「残業の少ない会社を希望する人が当社に適していない」とも言い切れず、長時間の残業に対応できない人でも普段の業務には支障が出ないはずである。問題はピークをどう乗り越えるかであり、いかにピークを平準化する取り組みが課題化され、改善が進められるはずである。

しかし、その後に「残業の少ない会社を希望する人は、当社には適していない」と言い切っていることから、拡大解釈するとピーク時どころか長時間労働が常態化していると捉えることが出来そうだ。すなわち

「当社は長時間労働を前提としたブラック体質です」

という実態を矮小化した表現である可能性が高い。

3. 総評・まとめ

まだまだ気になることはある。

長時間労働前提ということは、育児や介護を抱える社員や応募者はどうなるのだろうか?

そのような応募者は応募するなと言いたいのだろうか? 

私生活を大切にする最近の若手等、多様化した価値観に対応できていない企業という印象を与えてしまっている。

今時ピークを超えるだけの長時間労働に耐えられる人材を求めるのは、「昭和」の感覚から抜けきれていないのだろうか?

そもそも劣悪な労働環境に優秀な人材が集まるわけがなく、それでリソースが不足し、既存社員がますます長時間労働に巻き込まれる悪循環となる。

育児や介護を抱える人や家庭を持った人のみならず、独身者であっても長時間労働は弊害しかなく、婚活や自己研鑽に時間を投入できないし、このような企業が増えることで少子化が加速する結果となるため、社会的にも害悪である。

本来この面接官がインタビューでは、次のような誠実なコメントが出てきてほしいものだ。

システム開発であるため、現実として忙しさの波はあります。現在、正直なところ長時間労働の問題も抱えています。できるだけこの波を平準化し、長時間労働を無くし、労働環境を良くするよう業務プロセスを徹底的に見直し、無駄を省き、改善を継続して試みていきます。良い労働環境を提供し、優秀な人材に来ていただき、疲弊することなく最大限のパフォーマンスを発揮していただきたいと考えています。」

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これからは、育児・介護等時間的制約を持った人たちが増え、いかに短時間でアウトプットを出すか、そのような仕組みを作るかであり、これが出来ている企業では、制約を持った社員が活躍しているのである。

社員個人に負荷をかけ、労務管理の杜撰さを社員個人の体力、気合い、根性でカバーすることを求める企業に優秀な人材が集まるとは思えず、未来は無いと考えたほうがよさそうだ。

次に示す転職サイトは、本記事の引用元ではないが、最終的には転職希望者自身で見抜くしかない。優良企業に転職して、良い人生を送ってほしい。

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パワハラ事例解説(19) - システム開発における過剰要求未達時にレビュー会議の場で「詰問」

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例19】システム開発における過剰要求未達時のレビュー会議の場で「詰問」

多重下請け構造の中間搾取企業と末端企業でのシステム開発における、長時間のブラック労働となったプロジェクトでの事例である。多重下請け構造の問題点については別記事を読んでいただきたい。

★関連記事
o08usyu7231.hatenablog.com
o08usyu7231.hatenablog.com


ここでの登場人物は3名である。

A氏:パワハラ被害者、末端企業へ派遣されているソフトウェアエンジニア
   大手メーカーで実績を挙げている優秀な人材
B氏:パワハラ傍観者、末端企業のプロジェクトリーダー
C氏:パワハラ加害者、末端企業に丸投げで業務委託している中間搾取企業の窓口社員


毎日22時までの長時間労働である開発現場で、C氏はB氏を経由してA氏へ、開発中のシステムに搭載する新機能の設計を依頼した。依頼内容は曖昧な要求程度で、細かい内容は丸投げであった。長時間労働が常態化しているだけあって、この依頼の対応スケジュールは、まともな企業なら数ヶ月程度のものを、2~3週間という半端なく短いものだった。

パワハラ事例を述べる前に、前置きの説明をする。

システムを構築する上での仕様には、大きく「正常系」と「異常系」の二つに分かれる。「正常系」とは使用者が普段使用する機能における表向きの動作(振る舞い)であり、要求通りの機能を満たすことが求められる。一方、「異常系」とは異常時の動作であり、システムを構成する部品の一部が機能不全となった場合や使用者が想定外の使い方をした場合でも、システム全体としては、安全や整合性が担保されることが求められる。「正常系」は機能を満たしているかを普通にテストすれば不具合を見つけやすい一方で、「異常系」は意図的に意地悪操作やおかしな状態、故障状態を作り出さなければ不具合を見つけることができない。大抵の場合、「正常系」が出来ていればシステムが問題なく動作しているように見えてしまい、「異常系」の検証がおろそかになりがちてある。その結果、「異常系」における検証が不十分であることに起因する不具合が市場へ流出しやすい。金融システムトラブルによるシステム停止は、まさにこの「異常系」での不具合が多いのではないかと考えられる。システムにおける「異常系」の設計は極めて重要である。

さて、いきなりシステムの「正常系」「異常系」の話をしたが、このパワハラ事例と何が関係あるのかということについて述べる。

被害者A氏は、前述したように短かすぎるスケジュールで、設計に取り掛かり、システムに使用するデバイスのマニュアルの読み込みに苦労しながら、何とか「正常系」の設計を終えた。

A氏による設計が完了した時点で、B氏、C氏を含めた三者でレビュー会議の場を設け、レビューを行った。「正常系」の設計の内容こそ問題ないものの、C氏は「異常系」も対応されていて当然のような認識であった。C氏は、「異常系」のことを中心に「質問」。A氏は「未検討」と回答すると、C氏は更に嫌がらせのごとく「質問」。いや、「質問」ではなく「詰問」である。

冒頭に述べた通り、ただでさえ異常に短いスケジュールと長時間労働の中で、鋭意尽力して作り上げたデバイスドライバ「正常系」の設計を完成させたA氏の苦労を踏みにじり、「異常系」など着手不可能な状況と何度伝えても、C氏の「詰問」の内容は「異常系」。さすがにA氏は呆れるのみであった。B氏も「異常系」は優先度を下げて後回しと説明するも、何も変わらなかった。


これは、長時間のブラック労働とセットで発生するパワハラの典型である。発注者としての立場を利用し(①)、「正常系」の設計を完成させるだけでも並々ならぬ苦労であるにも関わらず、これを踏みにじり、検討未着手である「異常系」に対する執拗な「詰問」により、設計者が戸惑う様子や心理を汲み取ろうとせず、もはや嫌がらせと化してしまっているという、業務に必要相当な範囲を超えた言動により(②)、就労環境を悪化させている(③)ことから、パワハラの定義を満たしている。6類型では、設計者の苦労を踏みにじり「詰問」を続け、相手に不快感やダメージを与える(2)「精神的な攻撃」、ただでさえ過重労働の状況で着手すらしていない未達部分があることを理解せず、あたかも「異常系」まで対応できていて当然といった姿勢を変えない(4)「過大な要求」が該当する。

本例は「テクハラ」によく似ている。「テクハラ」は「テクノロジーハラスメント」もしくは「テクニカルハラスメント」の略で、PCスキルの長けた人がPCにあまり詳しくない人に対して「こんなことも知らないのですか?」と嫌味を言ったり、難しい・聞き慣れない専門用語をひたすら並べて聞き手を戸惑わせる行為を指す。
jinjibu.jp

本例もシステムの「異常系」という一部の業務領域に対して、ただでさえ異常なほどの短すぎるスケジュールと過重労働の中、工数不足で理解が追いつかない被害者に対してマウントを取り、未着手である「異常系」まで出来て当然といった態度で接することで、例え悪意が無くとも相手に不快感を与え、戸惑わせる行為に問題である。
o08usyu7231.hatenablog.com

システムにおける「異常系」は『重要な位置付け』であり、システム設計において必ず考慮しなければならないものである。しかし、このC氏の場合は「異常系」の『重要な位置付け』を悪用しブラック労働の被害者に責任を押し付けるという、卑劣なやり方を行っていたのである。


C氏が改めなければならないのは以下の点だ。

  • A氏の状況や心情を理解し、配慮する。
  • スケジュール確保等、「異常系」まで確実に対応できるよう「前段」を整える。
  • 「異常系」を別タスクにする。
  • 「テクハラ」を理解し、本事例に応用できる程度の想像力を養う。
  • ただでさえ過重労働の中、A氏に「正常系」を対応いただいたことに感謝し、敬意を示す。(ホワイト企業は出来ている。)
  • 個人レベルではなく組織として、下請け取引先も含めてブラック労働の克服に努める。
  • 「業績」「納期」「信頼」などビジネスの側面のみに着目した観点を全面に押し出し、取引先担当者A氏へ詰め寄るのではなく、「人権」「健康」「道徳」「倫理」「社会性」を考慮できる程度にまで視座を高める。


被害者A氏としては無理なスケジュールの対応は断固として断るべきだ。断るには勇気が必要だ。本例の場合は、「正常系」の設計を対応しただけでも御の字である程、劣悪な「前段」であることを早期に見抜き、毅然とした態度を取ることが重要である。
過重労働の被害に巻き込まれないためにも、ブラック労働やパワハラの予兆を早期に掴み、是正の要求は必要だが、いざというときは抜け出すことも必要だ。

ちなみに、この事例で扱った開発案件は、他にも下記記事の事例にも該当している。いずれも加害者はC氏である。
o08usyu7231.hatenablog.com
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【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
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いざというときの退職も安心!

そして準備が整った後、いざパワハラ被害を理由に退職する際に、損害賠償など、企業の不祥事によって受けた不利益を取り返すアクションを起こしたいと考えている方は、弁護士が運営する退職代行を、なるべく安い費用で退職代行の活用を考えておられる方は労働組合が運営する退職代行の活用を視野に入れていただきたい。

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ソフトウェアエンジニアに対するパワハラの兆候

日本の職場において「パワハラ」は色々な業界・職場で発生している。

ニュースで報道されているだけでもかなりの数があるが、これが氷山の一角だと考えると、恐ろしい件数のパワハラが発生しており、誰でも被害に遭う可能性があるとわかる。

根本的には、加害者を処分し、加害者を出さないよう教育することが求められるが、被害者としてもいち早くパワハラ発生の兆候を見抜き、できれば回避したいものである。

この記事では、ソフトウェア開発現場における、ソフトウェアエンジニアに対するパワハラの兆候や、パワハラが発生しやすい体質、その背景事情を紹介する。

どの職場でも発生しやすい一般的な内容は、ここでは記載せず、ソフトウェア開発に絞っていくつか紹介したい。一般的な内容や事例についてはこちらを参照していただきたい。
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各内容では、包含や重複があるが、関連が深いこともあり了承いただきたい。また、各内容に関連記事へのリンクも記載しているので、そちらも参考にしていただきたい。

この内容のインプットにより予見能力を高め、対策を取るなり転職の準備をするなり、被害者・加害者ともパワハラ発生の未然防止に役立てていただきたいと感じている。

1.ソフトウェア品質トラブル・納期遅延に至る「前段」が破綻


ソフトウェア不具合やスケジュール遅延を発生させてしまった場合は、原因を究明し、深く掘り下げて分析し、再発防止策を検討しなければならない。

しかし、このような綺麗事が通用するほど、まともな労働環境でソフトウェア開発が出来ているところがどれほどあるだろうか

多くの企業はスケジュールの都合を優先したり、開発規模や難度に見合うリソースが配分されないこと、またソフトウェアをわかっていない人間からの力関係を背景とした無理な要求から、設計や検証に十分時間が取れず、顧客・取引先・関係者からの圧力によって満足な開発ができない状況にある。

ソフトウェアエンジニアは苦難の中における多大な尽力にも関わらず、品質トラブルが発生し、対応に追われ、品質問題の市場流出やスケジュール遅延が発生する。

そして、その品質問題やスケジュール遅延という、目に見える部分である最終結果のみを吊し上げ、ソフトウェアエンジニアを徹底的に叩く。懸命の対応で疲弊した医療機関を叩くのと同じだ。更に、真面目なソフトウェアエンジニアほど、この粗悪さにも関わらず、自分達の責任と思い込み、素直に飲み込み、パワハラを受けてもパワハラであることに気付かない。

このようなケースに至る原因としては、ソフトウェアエンジニアの怠慢によるものであるケースは稀で、「前段」が破綻していることのしわ寄せをソフトウェアエンジニアが受けて、無理が祟り、蓄積した歪みが表面化した結果、品質問題やスケジュール遅延となっただけであり、問題点は「前段」に内在している可能性が高い。

一方、ソフトウェア開発そのものに問題がある場合もある。本来問題が表面化した『点』ではなく、「『点』から前工程全て」に着目すべきであるのだが、このことを理解していない人間は、この破綻した「前段」を棚にあげ、「言い訳をするな」「他人のせいにするな」と一蹴するのである。「他人のせいにするな」という割には、しわ寄せによる被害や迷惑を受けているソフトウェアエンジニアのせいにしているという愚行であり、日本のソフトウェア開発における粗悪さを示している。

こうした企業やソフトウェア開発現場は、パワハラ体質であるケースが多い。それも目に見えるはっきりしたパワハラではなく、「これはパワハラにあたるのだろうか?」と疑問を抱かせるという実に陰湿なものである。ソフトウェアエンジニアにとっては、逃げ場のない淵に追いやられてしまう。ソフトウェアエンジニアが優秀かどうかは一切関係ない。

ソフトウェアによる品質問題を「製品開発全体の問題として捉え、関連部門が歩み寄る姿勢」「ソフトウェア部門の問題として捉え、他人事」か。後者の場合、ソフトウェア開発の依頼者や、ソフトウェア部門のリーダー、管理職、責任者の性格が悪く、いつパワハラが起きてもおかしくない。顧客・取引先を含めた周囲の人間の視座の高さや協力する姿勢がポイントになる。

ソフトウェアエンジニアへのパワハラの兆候をいち早く見抜き、被害を未然防止するとともに、加害者側への是正、未然防止教育、上位管理者においては組織の一体感醸成が求められる。
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2.ソフトウェア開発に労務問題の話を持ち出すことをタブー視する体質


最近では、働き方改革を推進する企業が増え、労務管理コンプライアンスが世間から注目されつつある。労務管理コンプライアンスで問題を起こすと、ニュースで報道されるようになった。

しかし、まだまだ考え方の古い人はソフトウェア開発の技術・プロセスを重視し、長時間労働をはじめとする労務問題を軽視する傾向にある。

ソフトウェア開発が行き詰まったとき、労務問題に触れると

  • 「考えが甘い」
  • 「俺たちの頃は苦労を乗り越えてきた」
  • 「自分たちでできることから改善しろ」

などと、あたかも長時間労働パワハラといった労務問題の話に触れることをタブー視することがある。

昔のような根性論を全面に押し出すことは減りつつも、労働問題の本質から話を反らし、ソフトウェア開発の技術やプロセスなど、エンジニアの問題であるかのように依頼者や管理者にとって都合の良いように末端のエンジニアをマインドコントロールする。

ソフトウェア開発の技術・プロセスは大切である。「自分たちでできることから改善しろ」という取り組み姿勢も大事である。これを否定するつもりはない。

この時点で見落としているのは、目の前の目に見える部分の問題点ではなく、さらにその「前段」である。こちらが根本であるといっても良い。

ソフトウェア開発に直結する内容の是正や改善を強く求める割には、

  • 「顧客からの無理な要求」
  • 「開発内容と期間・リソースがミスマッチ」
  • 「前段のしわ寄せを受けて発生する劣悪な労働環境」
  • 「要求未達に対する罵声・嫌味」
  • 「モチベーションの低下」

の部分には全く着目せず、無理難題を

  • 「根性」
  • 「やる気」
  • 「(現場の)工夫」

という言葉だけが飛び交い、立場や力関係を背景とした陰湿で攻撃的なパワハラが起きやすい。ソフトウェアエンジニアも、このような無理難題に力技で対応するため、かえってまともな管理職が育たないという悪循環が起きている。

まともな管理職が育たないから、何か問題が発生すると、ソフトウェアエンジニアに圧力をもって詰め寄るしかなく、パワハラ体質になる。管理職のみならず、不良顧客・不良取引先についても同じことが言える。
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3.「エンジニアである以上長時間労働も致し方なし」という感覚の洗脳


長時間労働パワハラはセットで問題になることがある。見ての通り、この記事の冒頭で述べたように「前段が破綻」していることに対して、「残業・休日出勤」というソリューションしかない時点で思考停止である。開発現場のソフトウェアエンジニアもこれに対応してやりきってしまうので、まともな管理職が育たない。このようなことが繰り返されるうちに、「エンジニアである以上長時間労働も致し方なし」という感覚に陥り、問題意識が低下し、よくあることとしてまかり通る。

そのような中、上述した通りまともな管理職が育たない状況で、「権限」や「パワー」だけ協力になっていくから、パワハラが発生しやすくなる。このような開発現場からは、優秀なソフトウェアエンジニアが辞めていく。
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4.行き過ぎた「顧客目線」をはじめとする「理想」の独り歩き


製品開発には顧客のニーズを掴み、これに的確に対応できる「顧客目線」が必要である。

また、市場ニーズを調査した上で、長期的に優位性を保つため、短期的ではなく中・長期的な製品開発計画が必要である。

ソフトウェアエンジニアの中には、「ソフトウェア目線」「技術目線」でしかなく、「顧客目線」が欠落しているケースがあるが、これは改善の余地がある。一方で、その逆、顧客に対する過剰な奉仕(短納期による長時間労働、成果に見合わない低い報酬)により、ソフトウェアエンジニアの犠牲によってビジネスが成り立つという問題の方が、ひときわ目立つのである。

「顧客目線」は大切だが、顧客の要求を受け入れてばかりであれば、マイナス面も出てくる。
ソフトウェア開発を要求する側は、

  • 「顧客にとって○○が良いので、○○にしてください。」
  • 「面倒だから、複雑だから対応しないというのは間違っています。」
  • 「ソフトウェアのことはよくわかりません。」
  • 「ソフトウェアエンジニアの負担とか知りません。」
  • 「だから、そちらでなんとかしてください。」
  • 「顧客にとって必要な機能なので。」

と一点張りで、自分たちの都合の身を考えた、一方向からの視点でしかない。ソフトウェアエンジニアの労務管理等他人事として捉え、ソフトウェアエンジニアの立場を全く考えておらず、ビジネス以前に人間としていかがなものかと感じる。性格の悪い人はビジネスにおいて迷惑でしかない。

「顧客目線」が行き過ぎて、過剰な要求まで受け入れるようになり、ソフトウェア要求仕様が複雑になり、ソフトウェア開発に負荷がかかり、ソフトウェアエンジニアに力技で乗り切らせ、品質面でリスクを負い、納期・品質・労務(コスト)のいずれかが犠牲になる。行き過ぎた長時間労働パワハラ等は、法的リスクや社会的信用低下のリスクを負う。このような製品開発スタイルは、「全体最適」とは言えない。

全体最適」とは文字通り「全体にとって最適な落としどころ」であり、「一部の人や組織を犠牲にすること」ではない。後者の場合は、ソフトウェアエンジニアが犠牲になると、優秀なソフトウェアエンジニアから辞めていき、結局全体が破綻する。この状態を「全体最適」とは言わない。
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理想を追及しすぎるとキリがないので、ソフトウェアエンジニアの負担を軽減することも考えなければいけない。当たり前のことなのだが、製品企画、ソフトウェアエンジニア以外の商品開発を担当する企業や部門には、自らがソフトウェアエンジニアを疲弊させる原因であることを理解していない人もいる。

「顧客目線」をキーワードに、無理な要求を行い、ソフトウェアエンジニアを苦しめることが平然と行われている開発現場は、パワハラ体質である可能性がある。

ソフトウェアエンジニアとそれ以外の人が、お互いに歩み寄り、最適な落としどころを見つけ、そこに着地するよう仕向けるのが、理想的な「調整」である。
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5.理不尽な下請け扱いと多重下請け構造の末端


理不尽な下請け扱い、多重下請け構造パワハラ体質を産みやすい構造だ。

コミュニケーション、セキュリティでの問題もあるが、一番問題なのが多くの企業が関連するシステム開発プロジェクトでは何よりも連携が必要であるのに、企業対企業間の契約、責任の所在がネックになる。場合によっては親会社と子会社、大企業と中小企業のように、力関係で物事が進みやすい点が挙げられる。よってパワハラ体質である可能性がある。

このような業務形態では、

  • 「プロジェクト全体を成功に導こう」
  • 「何が全体にとって最適なのか」

と思うような余裕がなく、

  • 「自社における売上・利益が最優先」
  • 「目先の納期だけ守ることに全力を尽くす」
  • 「問題発生時における自社の責任回避」

といった短絡的な思考に陥りがちである。

また、下請け企業や下請けのソフトウェアエンジニアを自社社員より「立場が下」とみなす、要件定義・仕様決定等の上流工程を担当する人や部門が「立場が上」で、コード実装・単体テストを担当する人や部門が「立場が下」とみなすといった考え方が蔓延しているケースがある。このような組織では、ソフトウェアエンジニアをマウントするケースが多く、パワハラの温床となる可能性が高い。

顧客・取引先が、親会社や大企業が優良なところであれば、良心的な扱いをしてもらえるケースもある。私も、客先常駐でのシステム開発経験があるが、常駐先が優良顧客、不良顧客双方あり、同一企業でも人によって変わるところもある。常駐先企業の当たり外れの差が大きく、これによってソフトウェアエンジニアのキャリアが大きく左右されると言っても過言ではない。
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「SES(System Engineering Service)」もよく問題になる。SES(システムエンジニアリングサービス)とは、ソフトウエアやシステムの開発・保守・運用などの特定の業務に対して、技術者を派遣する技術支援サービスのことを指す。SESがブラックであるとよく言われているが、その理由の一つはこのような立場の違いにある。パワハラ体質である可能性が高いだけでなく、偽装請負などの違法行為が平然と行われているケースも多い。
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6.ソフトウェアに対するステークホルダーの無知・無関心、「簡単だ」という勘違い


日本は1970年代の高度経済成長期を中心に大きく経済発展し、当時はモノを作れば売れていた時代であった。歴史的な背景から、日本は製造業が強くモノ(ハードウェア)を重視する傾向にあり、

  • 「ITは業務を効率化するツール程度のもの」
  • 「ソフトウェアはハードウェアのおまけ程度のもの」

とIT・ソフトウェアを軽視してきた。一方海外は、

  • 「ソフトウェアが製品の中心」
  • 「価値を提供するのはソフトウェア」
  • 「経営にITは欠かせない」

と考え方を転換することで大きく発展した。過去の成功体験から抜け出せていない日本の製造業が行き詰まっている原因がここにある。

  • 「あの人は、〇歳になって、まだプログラミングしているのか。」
  • 「リーダーや管理職が、直接ソースコードを書くなんてありえない。」

これが日本のシステム開発現場でまだ言われていることである。プログラマーやソフトウェアエンジニアに対する扱いが低い。おかしな話だ。本来、多くの専門知識を有し、高いポテンシャルにあり、高い年収を得るべき人達である。こういうことを言う人たちは「ソフトウェアが生み出す付加価値」を理解していない。だから経営に欠かせない要素である「ソフトウェア開発」を他社に丸投げする。自社でプログラマーを採用していたとしても、彼らの社内での価値は十分に認めておらず、「社内下請け」的な扱いをしている。ソフトウェアに対するステークホルダーの無知・無関心、「簡単だ」という勘違いが、ソフトウェアエンジニアへのパワハラを産む。

そのような企業には優秀なソフトウェアエンジニアは入ってこない。入っても辞められてしまう。それなのに経営層や管理職はそこに対する危機意識を持っていない。気づく企業は、かなり前から気付いている。

ソフトウェアは目に見えないし、ソフトウェアエンジニアにどのような苦労があるか、一般の人たちには分からない。だから極めて優秀なソフトウェアエンジニアが孤独に戦っている。このことを周囲、管理職、経営層が理解していない企業は、ソフトウェアエンジニアを低く見ているため、パワハラが起きる可能性がある。企業にとって大ダメージである。
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7.ソフトウェア不具合対応における管理者やユーザー企業の高圧的な態度


ソフトウェア不具合が発生したとき、ソフトウェアエンジニアには、迅速な対応、原因究明、根本的な再発防止等、製品やシステムの使用者に多大な迷惑をかけていることを意識し、誠実な対応が求められる。これは誰でもわかっていることである。

しかし、不具合を出したという不利な状況に漬け込んで、不具合発生企業や部門の上位管理者や取引先ユーザー企業が横柄な態度で不具合報告を受けることや、高圧的な態度で振る舞うことで、懸命に不具合対応にあたるソフトウェアエンジニアを心理的に追い詰めることがある。

また、不具合修正対応に必要な検証なら許容範囲であるが、どさくさに紛れて過剰な要求をするケースがある。ただでさえソフトウェアエンジニアは長時間労働等劣悪な労働環境に巻き込まれることが少なからずある中で、想像を絶する多大な労力に至り、うつ病などの健康被害の懸念すら出てくる。

不具合発生に対するクレーム対応は真摯に行う必要があるが、行き過ぎた要求や人間として不適切な振る舞いがないかのチェックは必要であり、ここに不適切な点や不快感を感じる点があると、パワハラに発展する可能性がある。逆に、ここを冷静に乗り越えることができる人や組織は、優秀であると見て良い。
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8.まとめと改善に向けて

ソフトウェアエンジニアに対するパワハラが発生しやすい状況をまとめた。これ以外にもまだまだあるだろう。おかしなことに日本ではソフトウェアエンジニアが弱い立場にある。

できる限りのことは誠実に対応し、理不尽な要求を渋々受けるのではなく断るくらいのことが必要だ。

同時に、ソフトウェアエンジニア以外の人達に向けて、以下のことを教育しなければならない。

  • ソフトウェア開発が簡単でないこと
  • 企業経営においてソフトウェアの重要性が高まってきていること
  • ソフトウェアエンジニアを下請け扱いすることのデメリット
  • ソフトウェア開発を発注・依頼する際のコンプライアンス

ソフトウェアエンジニアは、IT・ソフトウェア業界が置かれている状況、日本の製造業が行き詰まっている状況、ソフトウェアエンジニアの労務状況について、積極的に情報発信するべきである。医療関係者の労働環境の問題や、新型コロナウィルス感染対応で医療機関が悲鳴をあげている状況が、ニュース等で報道されるようになってきたから、我々一般人がその実態を知ることになるのである。ソフトウェアエンジニアも同じだ。
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ユーザー企業も、経営陣も、管理職も、ソフトウェアエンジニア自身も意識改革が必要である。

ソフトウェアエンジニアに対するパワハラ体質の改善を求め、それでも改善されない開発現場からは、優秀なソフトウェアエンジニアが離脱する。

パワハラの兆候を感じ取ったソフトウェアエンジニアは、いざというときのために、いつでも転職できるようにしておく必要がある。フリーランスでも、副業でも構わない。準備と行動が必要だ。人生を台無しにしないために。

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パワハラ事例解説(18) - システム開発における設計レビュー時に自分の価値観押し付け

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例18】システム開発における設計レビュー時に自分の価値観押し付け

多重下請け構造の中間搾取企業と末端企業でのシステム開発における、長時間のブラック労働となったプロジェクトでの事例である。多重下請け構造の問題点については別記事を読んでいただきたい。

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ここでの登場人物は3名である。

A氏:パワハラ被害者、末端企業へ派遣されているソフトウェアエンジニア
   大手メーカーで実績を挙げている優秀な人材
B氏:パワハラ傍観者、末端企業のプロジェクトリーダー
C氏:パワハラ加害者、末端企業に丸投げで業務委託している中間搾取企業の窓口社員


毎日22時までの長時間労働である開発現場で、C氏はB氏を経由してA氏へ、開発中のシステムに搭載する新機能の設計を依頼した。依頼内容は曖昧な要求程度で、細かい内容は丸投げ、手段については「そちらで考えてください」といった感じであった。長時間労働が常態化しているだけあって、この依頼の対応スケジュールは、まともな企業なら数ヶ月程度のものを、2~3週間という半端なく短いものだった。

それでもA氏は、派生開発のベースとなるソフトウェアを解析し、類似製品のソフトウェアを解析し、機能追加に必要な部分を適切にまとめ上げた。

A氏による設計が完了した時点で、B氏、C氏の三者でレビューを行った。設計の内容こそ問題ないものの、設計におけるアウトプット(成果物)が、B氏、C氏には気に入らなかったようだ。

レビュー時、C氏は

「普通は『○○』のやり方をしますよね。なぜ、『○○』のやり方ではないのですか?」

とA氏を問い詰めた。

A氏は、調査結果と派生開発におけるソフトウェアの変更内容をまとめ上げ、ソフトウェア変更に必要な情報は全て揃っている旨をC氏に報告した。即ち、手段については依頼元が想定していたものと異なるが、最終的に目的とする設計は出来ている状態であった。

しかし、それにも関わらずC氏はA氏に執拗に追加資料の作成を依頼し、A氏は余分な作業を強いられることとなった。

ここまでの内容を見ただけでは、パワハラであると思う人は少ないのではないだろうか。暴言は見受けられず、よくある業務上の依頼でしかないように見える。細部に気付く人なら、C氏がB氏経由でA氏に曖昧な要求で丸投げしておきながら、レビュー実施時点で初めて手段にまで踏み込み、A氏の作業方法に問題があるかのような論調で、執拗に余分な作業を強いる様子が伺える。
更に、決定的なのが、このやりとりと背景状況をセットで考えると、ブラック労働であることが確実にわかる。

  • 上記やりとりがあった月のA氏の残業時間は、ほぼ過労死レベルのものである。B氏はそれを上回る。
  • B氏はC氏の言いなり。
  • A氏のスキル不足ではないことが既にわかっている。A氏は優良企業やホワイト企業で実績を挙げている優秀な人材である。
  • C氏の案件は、過去にも炎上しているとの情報がある。関係者からも呆れられている。
  • C氏はA氏に対してのみならず、普段から下請け企業のエンジニアに対して高圧的である。自分の価値観を押し付けることがよくある。


これは、長時間のブラック労働とセットで発生するパワハラの典型である。発注者としての立場を利用し(①)、依頼時点では丸投げで作成された成果物が自身の意図と異なる場合でも、自分の非を認めず、作成者側に責任を押し付け、余分な作業を強いるという、業務に必要相当な範囲を超えた言動により(②)、就労環境を悪化させている(③)ことから、パワハラの定義を満たしている。6類型では、作成者側の責任であるかのような論調とする(2)「精神的な攻撃」、ただでさえ過重労働の状況で余分な作業を執拗に強いる(4)「過大な要求」が該当する。

C氏が改めなければならないのは以下の点だ。

  • 具体的な手段を指定したいなら、事前に成果物に関するすり合わせが必要である。
  • 別企業(ホワイト企業)では、このようなとき「想定していた成果物とは異なりますが、目的は満たしており、△△といった細部までこちらが指示しておりませんでしたので、この内容で問題なしとします。」として、A氏の作成した成果物を受け入れている。これを見習う。
  • 力関係を利用して、余分な作業を強要しない。
  • 過重労働が常態化している現実を認識し、立場や会社対会社の関係以前に、人間として相手を気遣う
  • A氏がなぜこの成果物で問題ないとしているかを丁寧にヒアリングし、C氏自身がA氏から学ぶことがある可能性を加味し、紳士な態度でレビューに臨む

また、B氏においても傍観やC氏への同調ではリーダーとしてNGである。成果物に関する認識違いがないよう調整が必要であると同時に、C氏からの余分な作業指示によってA氏が迷惑を受けていることを認識し、改善措置を取るべきである。

最後に被害者A氏。余分な作業依頼は断ることだ。断るには勇気が必要だ。過重労働の被害に巻き込まれないためにも、ブラック労働やパワハラの予兆を早期に掴み、是正の要求は必要だが、いざというときは抜け出すことも必要だ。


パワハラとは関係ないが、C氏は派生開発プロセスにおいても致命的な過ちをしている。C氏の発言

「普通は『○○』のやり方をしますよね。なぜ、○○のやり方ではないのですか?」

において、『○○』は、

『派生開発であるため、ベースとする仕様書から変更となる部分を見つけ、そこを変更する。次に概略設計書の変更となる部分を見つけ、そこを変更する。次に詳細設計書の変更となる部分を見つけ、そこを変更する。そうすれば、プログラムコードの変更すべき箇所が自動的に見えるため、ここを変更する。』

というものだった。これは、『新規開発崩し』という派生開発プロセスでやってはいけないNG手法である。新規開発のウォーターフォールモデルをそのまま派生開発に当てはめているだけである。この方法では、設計書に記載されていない部分で変更が必要な箇所の変更漏れが発生したり、変更による影響の検討が不十分であったりすることが多い。即ち、ここでのC氏の指摘は間違っていたのである。派生開発に関する書籍やセミナー等で紹介されているが、A氏の方法が正解である。

仮にC氏が普通と考えている『○○』のやり方を追加作業としてA氏へ依頼し、A氏がこの『○○』の作業をしたことで、元々のA氏の設計に不備や漏れがあることが判明したならば、『○○』の作業をした甲斐があったと言える。しかし、『○○』の作業をすることによる不備や漏れは確認されなかった。設計に問題がないことの確認という意味では『○○』の作業は必要かもしれない。過重労働の状況で、投資対効果の低い作業は、A氏の設計には必要性が低く、C氏のレビューのための作業という印象が強い。

前述したように、派生開発において『新規開発崩し』はNGプロセスとされており、プロセスのミスマッチはソフトウェアの品質低下を招いたり、過重労働の温床となるリスクがある。この開発現場は既に過重労働の温床である。この状況で、C氏のように力関係を背景に、価値観を押し付け、他者の責任としている以上、労働環境が改善されることはない。

『新規開発崩し』ではなく、正しい『派生開発』の知識を身に着けるべきだ。

ちなみに、この事例で扱った開発案件は、他にも下記記事の事例にも該当している。いずれも加害者はC氏である。
o08usyu7231.hatenablog.com
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【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
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一般法人の退職代行による企業との代理交渉は、弁護士法72条違反となるため、実現できません。企業側も違法退職代行対策が進んでおり、大手退職代行でも実は危ないと言わざるを得ません。弁護士に依頼する場合は、法適合の面では優位性はあるものの、一般的に高額で手続きが面倒です。

収入が少ない若年層の方々にとって、まず低費用、そして、簡単で確実に退職できることが最大のニーズであり、「退職代行ガーディアン」はスムーズな退職実現に向けて支援いたします。



パワハラ事例解説(17) - システム開発における過重労働未然防止妨害

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
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パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
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【事例17】システム開発における過重労働未然防止妨害

多重下請け構造の中間搾取企業と末端企業でのシステム開発における、長時間のブラック労働となったプロジェクトでの事例である。多重下請け構造の問題点については別記事を読んでいただきたい。

★関連記事
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ここでの登場人物は3名である。

A氏:パワハラ被害者、末端企業へ派遣されているソフトウェアエンジニア
   大手メーカーで実績を挙げている優秀な人材
B氏:パワハラ傍観者、末端企業のプロジェクトリーダー
C氏:パワハラ加害者、末端企業に丸投げで業務委託している中間搾取企業の窓口社員


毎日22時までの長時間労働である開発現場で、スケジュールに関するやりとりである。

C氏:「○○の件、いつまでにできますか?」
A氏:「○○の作業には、多大な工数がかかります。」
C氏:「なぜ、そんなにかかるのですか?」
A氏:「××の作業が必要で、内容をよく調査しないといけないためです。影響の調査も必要です。」
C氏:「××はウチのソフトウェアはちゃんと出来ていると聞いていますので、そんなにかからないはずです。~~あればできるはずです。」
A氏:「開発中はどのようなトラブルが起きるかわかりません。ちゃんと出来ていると聞いていても、実際ちゃんと出来ていないことは多々あります。」
C氏:「設計書があるので、読めばわかります。」
A氏:「設計書を読んだだけではよくわからないことが多いです。短期間で読むには量が膨大すぎます。このシステムを熟知しており、このプロジェクトに慣れた人が、より詳細を思い出すのには良いかも知れませんが、初めて読んだ人がわかる設計書になっていません。」
C氏:「他の製品でも実現しているので、そのソフトウェアを移植するだけです。持ってくるだけです。」
A氏:「本当に移植するだけで良いのか検証するのに時間がかかります。」
C氏:「で、なぜそんなにかかるのですか? 根拠を示してください。」
A氏:「C氏の案件はいつも予想外のことが発生しており、スケジュール感を信用できません。これまでの傾向を見れば明らかです。見ての通り毎日毎日この過重労働の状況であり、大変迷惑を受けております。この状況を理解できませんか? このような状況を避けるために十分に余裕を持ったスケジュールが必要です。スケジュールを調整していただけませんか? 無理なスケジュールを押し付けるのはご遠慮いただきたいです。」
C氏:「無理を言っているつもりはありません。で、いつまでにできますか?」
・・・エンドレス・・・

これを見てブラックだと見抜くことがでかるだろうか?

このやりとりを見ただけでは、パワハラであると思う人は少ないのではないだろうか?

暴言そのものは見受けられず、よくある業務上の依頼でしかないように見える。細部に気付く人なら、C氏がA氏に対して執拗に迫り、問い詰めている様子が伺える。

更に、決定的なのが、このやりとりと背景状況をセットで考えると、ブラック労働であることが確実にわかる。

  • 上記やりとりがあった月のA氏の残業時間は、ほぼ過労死レベルのものである。B氏はそれを上回る。
  • B氏はC氏の言いなり。
  • この直前には、C氏は計画時点で「なぜ2日もかかるのですか?」とA氏に問い詰めたタスクが、実際には2週間要している。
  • A氏のスキル不足ではないことが既にわかっている。A氏は優良企業やホワイト企業で実績を挙げている優秀な人材である。
  • 本プロジェクトは、A氏の作業のみが遅れているわけではなく、全体的に破綻している。作業が予定より遅れているのではなくて元々のスケジュールが短すぎる。
  • 本プロジェクトの背景状況として、A氏が言っていることが正しい。
  • C氏の案件は、過去にも炎上し過重労働となったとの情報がある。関係者からも呆れられている。

これは、長時間のブラック労働とセットで発生するパワハラの典型である。発注者としての立場を利用し(①)、プロジェクトを円滑に進めるためのコントロールではなく、短いスケジュールを約束させようと執拗に迫るという業務に必要相当な範囲を超えた言動により(②)、就労環境を悪化させている(③)ことから、パワハラの定義を満たしている。6類型では、発注者側から短いスケジュールで約束させるように執拗に迫る(2)「精神的な攻撃」、ただでさえ過重労働の状況で本来必要な工数を確保せず更に短いスケジュールでの完成を強要する(4)「過大な要求」が該当する。

C氏が改めなければならないのは以下の点だ。

  • 作業を依頼するときは相手目線で考える。「無理を言っているつもりはありません。」と言っているが、依頼者(加害者)側はそのつもりでも、この状況を許容できるか否かは、受け手(被害者)が決めることである。「無理がどの程度祟っているか」を知るのは受け手(被害者)である。

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  • 自分は加害者であることを自覚する。
  • C氏から見て他社の人間であるA氏の労務管理についてはB氏が責任を持つのが普通である。とはいえビジネス以前に人間である以上、状況を知ろうとする姿勢が必要。スケジュール面のみならず、労務面も意識する。
  • 短納期での完成を要求し、長時間労働に至ることは人権侵害を助長する行為であることを理解する。

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  • 立場や力関係で被害者を問い詰めるのではなく、どうすればプロジェクト全体が円滑に進むかを考える。下請けに丸投げではなく、会社が異なれど協力して進めなければならない場面である。サポートする姿勢が必要。
  • どうしてもスケジュール上急いでおり、A氏が示す見積りに納得いかないならば、自分で作業すれば済むことである。(しかし、実際には下請けに委託という表向きで作業しない。もしくは出来ない場合が多い。)
  • A氏に依頼している作業が簡単と考えているのならば、自分で作業すれば良いことである。(しかし、実際には下請けに委託という表向きで作業しない。もしくは出来ない場合が多い。)
  • A氏が気付いており、C氏自身が気付いていない問題点がある可能性を考慮し、A氏に寄り添って積極的にヒアリングを行う。
  • 過重労働の未然防止を妨害する行為をやめる。
  • 「設計書があるから」「ソフトウェアを移植するだけ」のように、簡単と思わせて短いスケジュールを約束させようとする、詐欺商法と同一の行為をやめる

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また、B氏においても傍観やC氏への同調は、リーダーとしてNGである。「無理な要求を受けない」というホワイト企業の姿勢を見習うべきである。同時に、C氏からの執拗な詰問によってA氏が迷惑を受けていることを認識し、改善措置を取るべきである。

最後に被害者A氏。過重労働の未然防止のため、毅然とした対応は良い。しかし、このような埒があかないケースでは、余裕のあるスケジュールの調整を要求するのではなく、断ることだ。断るには勇気が必要だ。被害に巻き込まれないためにも、ブラック労働やパワハラの予兆を早期に掴み、被害に遭っても決して泣き寝入りしないことだ。

ちなみに、この事例で扱った開発案件は、他にも下記記事の事例にも該当している。いずれも加害者はC氏である。
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【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
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エンジニアにおける派遣先・常駐先企業への転職

派遣先や常駐先企業に転職するのは、自分の所属企業との取引関係を考えると、困難なイメージがある。

一方で、派遣先や常駐先企業の方が自分の所属企業よりも労働条件や労働環境が良く、自分の頑張りや成果を見ている常駐先の上位者から、

「〇〇さんも良かったら、ウチの正社員としてのキャリアを考えられてみてはいかがですか?」

と声をかけられると、嬉しいものがある。

悩ましいが、ぜひ進めたいと思っている方、また派遣社員で優秀な方を正社員として迎え入れたい企業に一読いただきたい。


1.トラブルになりそうだが「職業選択の自由」がある

IT業界では、顧客企業へエンジニアを常駐させて業務を行う、「客先常駐」のスタイルが取られることがよくある。この「客先常駐」の中には、「請負」もあれば「派遣」もある。「派遣」契約の場合、常駐エンジニアを受け入れる企業の社員が、自社の社員と同じように、自社内で作業する常駐エンジニアに対して直接指揮命令することがある。

そして、「派遣先企業」と「常駐エンジニア」が合意すれば、「常駐エンジニア」が「派遣先企業」の正社員として働くこともありうる。「派遣元企業」にとっては、これまで「常駐エンジニア」として活躍してきた社員が、「派遣先企業」に引き抜かれた形となり気の毒であったり、「派遣元企業」と「派遣先企業」との間でトラブルになったりするのではないかと心配になる。「派遣先企業」も「派遣元企業」から何を言われるかわからないとビクビクしているというケースも多い。

しかし、この「常駐エンジニア」の正社員への「引き抜き」はよく行われているらしく、「引き抜き」と言えば聞こえは悪いが、法律としては全く問題ないどころか、職業選択の自由日本国憲法第22条で保証されている。

第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

例えば、ある企業で「退職後、○年以内に○○に就職してはならない。」というように定めていると、これは「職業選択の自由」を不当に侵害している。

次に示すソフトウェア開発を行うメーカーにおいては、「常駐エンジニア」が「派遣先企業」へ転職(「派遣先企業」が「常駐エンジニア」を引き抜き)するケースもある。また、エンジニアのキャリアや意思を尊重する企業もある。

2.自社でエンジニアを保有するメーカーにおける事例

「常駐エンジニア」は正社員と比べて賃金が安く、また業務量が多いときに「常駐エンジニア」を投入し、業務量が少ないときは解約することができ、「派遣先企業」にとっては融通がきくようなイメージがある。

定型作業や単純作業であればその通りかもしれないが、ソフトウェア開発のように専門性が求められている場合は事情が違うだろう。たた、「常駐エンジニア」を正社員として受け入れることについての考え方は、企業によって異なる。

ある企業は「常駐エンジニア」がどれだけ優秀な人材であっても、「派遣元企業」との間のトラブルを避けるために、一度「常駐エンジニア」として受け入れた人は正社員として採用しない方針を徹底している。

一方で、「常駐エンジニア」を正社員として受け入れている事例を複数持つ企業もある。その企業の開発現場の見解としては、次のようなものがある。

「ソフトウェア開発業務は専門性が必要。正社員であろうが、派遣エンジニアであろうが、技術は進歩するから常に教育が必要。しかし、派遣エンジニアはいつ派遣元企業の都合で引き上げられるかわからない。そのリスクを抱えながらソフトウェア技術者としての教育を続けても、投資に見合う効果が得られないこともある。よって、今後ソフトウェア開発部門から派遣エンジニアを廃止し、正社員のみとしたい。優秀な派遣エンジニアは本人の意思があるなら正社員として受け入れる方針としたい。」

私は、この見解は素晴らしいと思った。私なりに補足すると、この方法は、法律として問題ないどころか「職業選択の自由」に合致している。また、「派遣先企業」にとっても「常駐エンジニア」にとってもメリットがある。「派遣先企業」にとっては、新規のエンジニアを中途採用するケースと比べて「常駐エンジニア」の実績を直接見ることができ、スキルのミスマッチが起きにくい。「常駐エンジニア」にとっては、新規にエントリーする転職先企業と比べて「派遣先企業」の開発現場をわかっており、同様にスキルのミスマッチが起きにくい。普通にゼロから転職するよりもはるかに良いことの方が多い。また、「派遣先企業」から派遣エンジニアを廃止し正社員に統一することで、関わる企業数を減らし、ソフトウェア開発を進めるにあたって全メンバーに同じように教育を行い、一体感を醸成しやすいメリットがある。

3.エンジニアの意思を尊重する企業も

「派遣先企業」が「常駐エンジニア」を正社員として引き抜くことは、「派遣元企業」との間でトラブルにならかねないとの心配がある。その通りだろう。「派遣元企業」からすれば、せっかく自社で育成したエンジニアが退職し、他の企業へ行ってしまうのだから、残念な気分になる。

しかし、逆にエンジニアの意思やキャリアを尊重する企業もあり、最初は「常駐エンジニア」で実績を積み、将来は大手メーカーへ転職というキャリアを尊重している。代表的な例が、パーソルキャリア(旧:インテリジェンス)社である。特徴的なのが、「人材派遣業」と「転職支援業」の両方を行っている企業だからである。形態は異なるにせよ、どちらも「人と仕事のマッチング」というビジネスには変わりない。

昔は終身雇用制で定年まで会社に務めるのが一般的だったが、今は終身雇用制は崩壊し、人材が流動的となった。更に、「組織」よりも「個」を重視する時代になった。これにマッチしたビジネスであると感じる。

4.エンジニアに限らず結局キャリアを決めるのは個人次第

「引き抜き」というとネガティブなイメージがある。しかし、「常駐エンジニア」自身が「派遣先企業」へ転職したい、正社員になりたいという意向があるのなら、全く問題ないのではないかと思う。個人には「職業選択の自由」があるし「派遣元企業」がそれを阻止するのはおかしな話である。「派遣先企業」と「派遣元企業」でトラブルになるなど本来おかしな話だし、これを避けて「派遣先企業」のグループ企業へ転職するとか、それでも会社間でトラブルになるとか普通は考えられない。

今の時代、転職自体は誰でもありうることだし、転職は「転職先企業」と「転職希望者」のマッチングで成立するものである。「転職先企業」がたまたま「派遣先企業」だったというふうに考えてもおかしくないと思う。ここに「派遣元企業」が介入することは普通はない。

ソフトウェアエンジニアの中には、自分でソフトウェア設計やプログラミングをすることが好きで、年齢を重ねてもエンジニアとして現場の第一線で活躍したいという人もおり、マネージャー(管理職)になることを避けるために、あえて派遣という働き方を選ぶ人もいる。「派遣元企業」から「常駐エンジニア」が、(転職先が「派遣先企業」か全く別の企業かに関わらず)次々に転職していくということは、「派遣元企業」の労働条件・労働環境に問題を抱えており、転職先企業と比べて魅力が乏しい可能性が大であり、このような根本的な部分を改善していく必要があるのではないだろうか。

結局、キャリアを含めてその人の人生を決めるのはその人自身である。「派遣先企業」の正社員を目指すも良し、それ以外の転職先を探すも良し、「職業選択の自由」の基本に立ち返ろう。

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「ホワイト」「ブラック」職場・労働一般分野徹底比較

「ホワイト労働」「ブラック労働」の両方を経験した私が、両者を徹底比較してきた結果をお伝えする。かなりの違いがある印象を受けている。一個人が経験したことであるため、これから記載する内容が全てをカバーしているものではないし、中には主観的な部分もあることを了承願いたい。

以下、「表題」「ホワイト」「ブラック」の順に記載していく。「表題」の件について、「ホワイト」なケースと「ブラック」なケースについて、対比しながら言及していく。皆さんの職場環境がどのようなものか、見極めの参考にしてほしい。

「ホワイト」とは、「ホワイト企業」「優良企業」「ホワイトな開発現場(職場環境)」「ホワイトな人材」「ホワイトな考え方」「ホワイトな出来事」のいずれかを指す。
「ブラック」とは、「ブラック企業」「粗悪な企業」「ブラックな開発現場(職場環境)」「ブラックな人材」「ブラックな考え方」「ブラックな出来事」のいずれかを指す。


視座

○「ホワイト」
社会目線。(社会的に正しいかどうか)

●「ブラック」
会社目線。(会社にとって都合が良いかどうか)
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過重労働で作業者が体調不良によりドクターストップ

○「ホワイト」
マネジメントが十分行き届いており、そもそも発生したためしがない。予兆があれば十分に配慮。

●「ブラック」
ドクターストップを受けて出社することができないにも関わらず、業務引き継ぎのために、作業者の上司は作業者を出社させる。作業者の健康より業務の引き継ぎの方が重要なのか? また、上司のマネジメントが未熟であることに気付いていない。
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優秀な人材

○「ホワイト」
これまで優良企業で多々実績を出しており、他社へ行っても通用する、市場価値が高く、優れた人間性を持ち合わせている人材。

●「ブラック」
素直で協調性があり、上司に従順で、長時間労働パワハラ等の理不尽にも耐えることができ、低賃金で奴隷のように扱っても文句も言わず「成長のため」と前向きに捉えることができる、会社にとって都合の良い人材。もしくは、ただ対象業務に長年従事しており、その領域に詳しいだけ。
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残業時間の計上方法

○「ホワイト」
定時後、1分単位で残業時間が計上される。

●「ブラック」
定時後、最初の30分は休憩時間扱い。その後1時間経過時点で初めて1時間分が計上される。以降、30分単位で計上される。最初の1時間未満、以降の30分未満は切り捨て。例えば18時が終業なら、19時30分まで残業して初めて1時間分計上される。それ未満は計上されない。残業代は全額支払われるため一見合法に見えるが、例えば毎日19時20分まで残業しても全く残業代が支払われないなど抜け穴があり、違法。合法であるかのように見せかけて、じわじわと労働力を搾取する姑息な方法。
尚、ニュースや裁判等で表向きになっている、「残業代未払い」問題については明らかに違法であり論外。
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「会社対会社の関係を考えろ!」

○「ホワイト」
問題や悪事の発生により、迷惑をかけてしまう範囲が、チーム内、部門内、他部門、取引先・顧客等の社外、エンドユーザーと広がるほど、影響が大きいこと認識させるために使う。

●「ブラック」
他社の人間から受けた理不尽な要求やパワハラに対して、被害者が被害を訴えるも、「相手はお客様だから」と立場や力関係を表に出し、会社間の取引を優先することのみを考え、被害者を黙らせるために使う。
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「自己中心的」の意味

○「ホワイト」
本来の正しい意味を認識している。

●「ブラック」
「自己を犠牲にしない」ことを「自己中心的」と称する。前者は「普段は組織全体のために一生懸命尽力するが、自分を犠牲にしてまでは行わない」という意味。後者は「他人や組織全体を犠牲にしてでも自分の利益を追求するという、自分さえ良ければその他のことは無関心」という意味。この二つは全く別の意味であるのに、そのことを理解していない。
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全体最適」の意味

○「ホワイト」
全体最適とは、企業や組織、またはシステム全体が最適化された状態を示す経営用語のひとつ。
組織にとって最適な落としどころを見つけ、そこに向かっていくことをさす。一部の人や部門にとっては最適ではないこともあるが、一部の人や部門に犠牲を強いて実現するものではない。また、異なる複数の立場においてWin-Winの関係であると言っても良い。

●「ブラック」
個人を犠牲にしてでも全体のために尽くすことを強要する体質。個人を犠牲にするのは、企業イメージの悪化、法的リスク、損害賠償のリスク、優秀な人材の流出など、多くのリスクを背負うことになる。結果「全体最適」にはならない。
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成長

○「ホワイト」
職務で必要な技術や知識を身に付けることで、これまでできなかったことができるようになること。また、人間としての倫理観が高まること。この2つを兼ね備え、社会に貢献できるようになること。

●「ブラック」
自組織に馴染み、どんなに困難なことや理不尽なことにも文句を言わず、組織にとって都合の良い人材になり、会社に貢献すること。(=洗脳)
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昇進する人材

○「ホワイト」
企業の問題点をいち早く発見し、周囲を巻き込んで改善に向けて行動した人。かつ、リーダーとしての素養や人間性を備え、周囲からの信頼を得られる人。

●「ブラック」
家庭を顧みず、長時間労働に耐えた者。組織に従順な者。パワハラ加害者。周囲のメンバーからはどのように思われていても、企業にとって都合の良い人材。
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「信頼関係」

○「ホワイト」
異なる複数の立場においてWin-Winの関係。お互い相手を尊重し、同じ目的に対して、異なる立場であっても協力関係を築ける間柄。

●「ブラック」
依頼元が依頼先を一方的に従え、力関係を背景に都合良く使い潰す「主従関係」もしくは「従属関係」のことを「信頼関係」と呼ぶ。依頼元は依頼先のことを「信頼」していても、依頼先は依頼元のことを「信頼」していないケースが多い。
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「セルフマネジメント」

○「ホワイト」
「目標達成や自己実現のために、自分自身を律し管理すること」である。その本質は、限られたリソースの最大限の活用、自身の能力を最大限発揮しパフォーマンスを上げることにある。管理の対象は、仕事のタスクや時間、感情、精神的・肉体的な健康の維持など、多岐に渡る。

●「ブラック」
劣悪な労働環境によるしわ寄せを労働者になすりつけ、しわ寄せを受けた労働者が過負荷な業務をこなせなければ、その結果のみを吊るし上げ「甘え」等と批判する他責思考とともに、労働者に対して「セルフマネジメントが重要だ!」と称して、劣悪な労働環境に対する是正措置を怠り、これによる不利益を労働者個人に擦り付ける組織・管理者側の粗悪さ。
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「企業努力」

○「ホワイト」
不採算事業や無駄な仕事を徹底的に見直し、リソースを有効活用し、魅力的な製品・サービスを提供した上で収益を得るという『価値を上げる』ための努力。

●「ブラック」
社員を低賃金、長時間労働で酷使して『価格を下げる』ための努力。

「社員の離職原因」

○「ホワイト」
社員それぞれの事情を理解し、社員の価値観、キャリアプラン、生活面とのバランスにおける期待に応えることがことができなかった会社側の原因として分析し、「社員に選ばれ続ける会社」を目指して向上し続ける。

●「ブラック」
雇用していることの責任、パフォーマンスを最大限に上げるためのマネジメント、離職していく原因を棚に上げ、「逃げた」「根性なし」「ウチでやっていくには厳しい」「ウチには不向きである」などと他責思考。

最後に

これらの比較結果を参考に、ブラックな予兆を確認できたならば、転職の準備をお薦めする。いざというとき、会社は労働者を守ってくれない。今の時代は転職が当たり前、無理して一つの会社に一生居る必要はない。転職のみならず、フリーランスや副業も当たり前になってきた。自分の身は自分で守り、悔いのない人生を!

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「ホワイト」「ブラック」ソフトウェア開発現場徹底比較

「ホワイト労働」「ブラック労働」の両方を経験した私が、両者を徹底比較してきた結果をお伝えする。かなりの違いがある印象を受けている。一個人が経験したことであるため、これから記載する内容が全てをカバーしているものではないし、中には主観的な部分もあることを了承願いたい。

以下、「表題」「ホワイト」「ブラック」の順に記載していく。「表題」の件について、「ホワイト」なケースと「ブラック」なケースについて、対比しながら言及していく。皆さんの職場環境がどのようなものか、見極めの参考にしてほしい。

「ホワイト」とは、「ホワイト企業」「優良企業」「ホワイトな開発現場(職場環境)」「ホワイトな人材」「ホワイトな考え方」「ホワイトな出来事」のいずれかを指す。
「ブラック」とは、「ブラック企業」「粗悪な企業」「ブラックな開発現場(職場環境)」「ブラックな人材」「ブラックな考え方」「ブラックな出来事」のいずれかを指す。


見積り・スケジュール

○「ホワイト」
残業しないことを前提としたスケジュールを設定する。トラブルが起きるリスクも考慮し、スケジュールにはバッファを持たせておく。作業工数が読めない場合は、長めに設定するか、読めない旨を説明しスケジュール調整を要請する可能性がある旨を伝えておく。長時間労働の未然防止のためにあらゆる手段を尽くし、開発要員に負担をかけないように最大限配慮する。

●「ブラック」
余裕を持ったスケジュールを設定しようとすれば、「なぜそんなにかかるのか。○日あれば十分だろう。」と詰問される。特に、要求側は「根拠を説明してほしい。」と迫ってくるが、根拠の説明は建前であり、本音は短いスケジュールを約束させたい意図がある。そもそも発注元は発注先にソフトウェア開発を丸投げしているケースが多く、発注先が開発工数を要する根拠を説明しても、発注元が理解できるだけの能力や姿勢に欠けており、何を説明しても時間の無駄でしかない。結局力関係を背景に、短い日程での完成を約束させられる。(パワハラ6類型の「過大な要求」に該当する可能性がある。) また、その執拗さが半端なく異常。長時間労働の未然防止の妨害行為が見られる。ハラスメントにあたるので、このような依頼はお断りするのが正解。
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派生開発におけるベース製品の仕様書・設計書

○「ホワイト」
仕様書・設計書が完璧で全く滞りなくスムーズに理解できるケースの方が少ない。時々、ベース製品のソースコードの方が新しく仕様書・設計書が一部最新の状態に更新されていないことがある。ある程度の情報はあるため、ソースコードと合わせて、不明点を有識者の協力を得ながら解決することで理解が進んでいく。また、ある程度理解するまで時間がかかることをあらかじめ想定している。

●「ブラック」
ある程度の情報はあるものの、その仕様書・設計書を読んで理解できるだけの前提知識がない状態で、依頼者はドキュメントだけを丸投げし、「読めばわかる」の一言を言い放つ。ドキュメントに不備があっても、作業者がスムーズに理解が進まないと、あたかも作業者がスキル不足であるかのような扱いをする。仕様書・設計書には、前提知識がわかる人が読めば、更に詳細を思い出せる程度の情報はあるが、前提知識のない人が読んでも理解できるドキュメントになっていない。依頼者はそのことに気付かない。

派生開発プロセス

○「ホワイト」
派生開発特有の難しさを理解しており、派生開発プロセスについて学び、プロセスの見直しが行われている。

●「ブラック」
派生開発特有の難しさを理解しておらず、新規開発と同じプロセスでやろうとする。これを「新規開発崩し」という。

他製品からの仕様横展開、他製品からのソフトウェア移植

○「ホワイト」
他製品からの移植といえども、ソフトウェアをそのまま移植できる場合とできない場合があること、移植だけで移植先の製品の品質が担保できるかどうかを考える姿勢、移植か否かによらない設計・検証の観点やノウハウを備えている。移植といえども誤りやすい点を理解しており、移植だからといって気を抜かない。

●「ブラック」
依頼者は作業者に対して「移植するだけ」「持ってくるだけ」「簡単」「○日あれば余裕でできる」などと、いかにも簡単に実現できるかのような印象操作をしておき、短いスケジュールでの完成を約束させようとする。また、その執拗さが半端なく異常。詐欺商法の手口と全く同じ

作業者が多忙で業務負荷が高い

○「ホワイト」
依頼者が作業者に対して、「様々な業務を依頼しているため、業務負荷が高くなり申し訳ない」と思っている。しかし、作業者は忙しいにしても「申し訳ない」と思われる程負荷が高いとは思っていない。作業者はむしろ成長に繋がる業務量だと思っていることもある。依頼者は作業者の立場を考慮し、相手目線を忘れていない。

●「ブラック」
作業者は業務負荷が高すぎたり、無理なスケジュールで要求されていることに悲鳴をあげている状態にも関わらず、依頼者は「そこまで負荷が高いとは思っていない。無理を強いているつもりはない。」と、作業者のコンディションを気にかけることすらしない。依頼者は相手目線に立つことができず、常に自分目線。「無理を強いている状態」か否かは作業者が判断することであるにも関わらず、依頼者はそのことを理解できない。
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高負荷の作業者にうつ病のような症状が出ているにも関わらず体調不良を訴えても上司が大ごととはとらえず、作業者の体調が更に悪化した事例あり。上司のマネジメントに問題あり。
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依頼者においては、無意識に過負荷をかけてしまっているなら「無能」、意図的に過負荷をかけているのなら「悪質」、いずれにしても「ブラック」。

過重労働で作業者が体調不良によりドクターストップ

○「ホワイト」
マネジメントが十分行き届いており、そもそも発生したためしがない。予兆があれば十分に配慮。

●「ブラック」
ドクターストップを受けているにも関わらず、業務引き継ぎのために、作業者の上司は作業者を出社させる。作業者の健康より業務の引き継ぎの方が重要なのか? また、上司のマネジメントが未熟であることに気付いていない。
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他の開発現場経験者の受け入れ

○「ホワイト」
その人が持つ他の開発現場での経験やノウハウを吸い上げて有効に活用する。一方、開発現場、開発プロジェクト特有の内容については丁寧にフォローする。両者の切り分けがうまい。

●「ブラック」
自分達のやり方に従わせようとする。自分達にとって都合の良いように事を運び、主従関係を明確にしようとマウントするケースもある。

プロジェクトに不慣れな人に対する扱い

○「ホワイト」
その人が持つ他の開発現場での経験やノウハウを吸い上げて有効に活用する。一方、開発現場、開発プロジェクト特有の内容については丁寧にフォローする。両者の切り分けがうまい。

●「ブラック」
「不慣れ」と「スキル不足」を勘違いする。ある開発現場で優秀な実績を残した人が、他の場所へ移るとなかなか成果が出ないということがある。「慣れた人」が優秀な人材、「不慣れな人」をあまり出来が良くない人材と勘違いし、マウントを取る。

システム評価要員の作業状況

○「ホワイト」
十分余裕を持ったスケジュールで早い段階からテスト要員がプロジェクトに参画し、システム全般の理解、仕様把握作業等、前倒しで進める。不明点は早い段階で解決する。不明点の解決に時間を要する場合でも早い段階から着手しているためスケジュールに余裕があり、心理的余裕もあるため、かえって順調に進むことが多い。

●「ブラック」
いきなりテスト行程にメンバーを投入する。システムの仕様書も不備あり、仕様の理解も十分ではない。テスト作業中トラブルに遭遇したとき、テスト仕様書の不備なのか、要求仕様書の不備なのか、ソフトウェアの不具合なのか、テスト環境の問題なのか、テスト方法の問題なのか、テストで使用するツールの設定ファイルの問題なのか、わからない。トラブル解決に多大な工数を要し、とてつもない労力を費やす割には、プロジェクトの進捗はほとんどない。

使用するPCのスペックやネットワーク環境

○「ホワイト」
企業にもよるが、そこそこのスペックのPCを与えられ業務に支障なし。特定のツール等使用するときに限り、少し動作が重たくなるくらいだが、許容範囲。本来高スペックPCが与えられれば、更に業務効率が上がるという考え方を持っている。

●「ブラック」
低スペックPCを与えられ、作業中イライラする。ひどい場合は、サーバ上のエクセルファイルを開くだけで数分かかる。サーバ内のフォルダ一つ移動するだけで、数分かかる。更に、ネットワークも含め、PCトラブルが多いことも、共通の特徴として挙げられる。これが本当にIT企業なのかと呆れる。

ソフトウェア設計におけるレビュー指摘

○「ホワイト」
レビューアとレビューイが、事前に設計などすりあわせした上で作業を進めるため、あまり指摘件数が多くならない。指摘内容については重要な点をわかりやすく、作成者の意図を尊重しながら説明し、対応の方向性をすりあわせる。レビューを通してメンバーは成長していく。

●「ブラック」
レビューアはレビューイに対して、作業を丸投げしておきながら、重箱の隅をつつきマウントを取る。「普通はこうやるだろ・・・」の「普通」が勝手に出来上がっている。レビューを通してメンバーは嫌気がさす。
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ソースコードの変更行数が数行

○「ホワイト」
ソースコードの変更行数が数行であっても、満たしたい機能に対して、「その変更箇所だけで良いのか?」「他に影響を与えることはないか?」など、様々な観点から設計検証をした結果、最終的にソースコードの変更行数が数行で済んだという位置付け。
ソースコードの変更作業だけなら、5分程度でできる作業でも、その変更で良いという結論に辿り着くまでの道のりは長く、数日レベルになることもある。
これらのことを、作業者、依頼者、上位者がしっかり理解している状態。

●「ブラック」
ソースコード数行の変更にどれだけかかっているんだ! 俺だったら5分でできるぞ!」と理不尽な言葉を浴びせる。ソースコードの変更作業にのみ着目し、そこに辿り着くまでのプロセスをまるごと見落とし。見落としにも関わらず、何も問題と思わないくらい無知もしくは理解のない人間が、プロジェクトの旗振りをしていることがあり、メンバーに迷惑がかかる。スケジュール見積りをこの感覚でやると、即長時間労働になる。

最後に

これらの比較結果を参考に、ブラックな予兆を確認できたならば、転職の準備をお薦めする。いざというとき、会社は労働者を守ってくれない。今の時代は転職が当たり前、無理して一つの会社に一生居る必要はない。自分の身は自分で守り、悔いのない人生を!

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パワハラ事例解説(16) - 隠蔽体質強要の疑い?

このシリーズの記事では、パワハラの定義と類型、私の身近に起きたグレーゾーンを含む事例について、定義と類型をもとに解説している。内容によっては考え方や改善策についても述べているので参考にしてほしい。

自分が加害者にならないように注意することをはじめ、被害に遭いそうな場合はいち早く予兆に気付くことが求められる。


【最初に】パワハラの定義と6つの類型

パワハラはご存知の通り「パワーハラスメント」の略であり、権力や地位を利用した嫌がらせという意味である。2001年に株式会社クオレ・シー・キューブによる造語である。ただ、その定義は曖昧で指導との区別が困難である現実を抱えていた。2020年6月にパワハラ防止法が適用され(中小企業は2022年4月より適用)、同時に厚生労働省による定義が明確になった。

パワハラの定義

パワハラパワーハラスメント)とは、職場において行われる

  • ①優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

パワハラの6類型

パワハラは次の6つのパターンに分類され、6類型と呼ばれている。

  • (1)身体的な攻撃
  • (2)精神的な攻撃
  • (3)人間関係からの切り離し
  • (4)過大な要求
  • (5)過小な要求
  • (6)個の侵害

「(1)身体的な攻撃」は暴力の他、モノを叩くことによる威嚇がこれに該当する。「(2)精神的な攻撃」は暴言の他にも、他人を心理的に苦しめる発言が該当し、パワハラ事例の中でも最も多い。特定の人だけ仲間外れにしたり、情報を与えない、無視をするのは「(3)人間関係からの切り離し」に該当する。到底達成できないノルマを与える「(4)過大な要求」、能力に見合わない仕事を与える、もしくは仕事を与えないことで心理的に苦しめる「(5)過小な要求」、プライベートに踏み込みすぎる「(6)個の侵害」、これらを総称してパワハラと呼ばれる。
www.no-harassment.mhlw.go.jp

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例

ニュースで取り上げられているものや、裁判になったものは組織内で解決できなかった手遅れ案件である。また、世間の目も段々厳しくなってきており、損害賠償の相場も数百万単位(被害者が死亡の場合は数千万単位)に上がってきているという情報もある。いくら正論であっても、相手が嫌がるやり方であれば、法律に触れることになる。

ただでさえニュースで見ることが多くなってきているのだが、これらは氷山の一角であり、水面下には程度の大小を問わずさらに多くの案件が潜んでいる。上述の定義や類型を基に、私が実際に見たことがある事例を紹介し、定義や類型を元に解説する。程度や被害の大小は様々である。

  • グレーゾーンであるもの、パワハラと断言できないもの
  • 「こんなのがパワハラになるのか?」というもの
  • 出来事が起きた当時はあまり意識しなかったものの今考えると「あのときのあの出来事はもしかするとパワハラにあたるのでは?自分も加害者にならないように気を付けよう。」と思ったもの

いずれにしても、加害者側に問題があり是正が必要であることは間違いなく言えるので、立場関係なく参考にしていただきたい。その上でパワハラの予兆を見極め、未然防止に繋げることが重要てある。

このシリーズの記事で紹介するパワハラの事例一覧については、こちらを参考にしていただきたい。
o08usyu7231.hatenablog.com

【事例16】隠蔽体質強要の疑い?

もう何年も前の、あるIT企業における話だ。社内の【ある活動】について、前年度までは【自己啓発】として取り組み、会社としてこの活動の状況や工数を管理することはしなかった。

今年度からはトップの方針により【業務】として取り組み、会社としてこの活動を予算化し、状況や工数を管理するようになった。

この活動に取り組むメンバーの中には、本当に好きで熱心に取り組み、自宅に持って帰って作業するメンバーもいた。

そして、今年度から【業務】として行う活動なのに、自宅に持ち帰って作業することに対して、

「業務を自宅に持ち帰って行うことは、労務管理の面でも、コンプライアンスの面でも、セキュリティの面でも問題がある。」

と、上層部から問題視されていた。そして、この活動の責任者は、上層部から「持ち帰り作業禁止」を指示された。

前年度までは、【自己啓発】として行われていた活動であったために、活動に熱心なメンバーが自宅に持って帰って作業しても何も問題にならなかったのである。

ここで大きく二つの意見がある。

  • (A)上層部の指示通り、【業務】として実施するなら会社で行うべきである。
  • (B)活動に熱心なメンバーのモチベーションを落としてしまうことになるのではないか。

上層部から「持ち帰り作業禁止」を指示されたこの活動の責任者は、その指示に従い、この活動のメンバー全員にメールで指示内容と理由を展開した。

活動熱心なメンバーはこれに従い、自宅作業をやめ、この活動の作業を会社内で行うようになった。

しかし、責任者がメールでの展開から数日後、他のメンバーの一人(【加害者】)が、責任者(【被害者】)に対して周囲に聞こえる声で次のように言った。

「ああいうことメールに書くなよ。口頭で言えよ。」

【加害者】は過去にこの活動の責任者も含めて長年メンバーであり、【被害者】よりも経験が多い。【被害者】は【加害者】の言うことが理解できなかった。少なくとも、メールに書いた内容が残るということを嫌がっていたようだ。何か裏がある。。。

別にメールに書いてはいけないことを書いたわけでもないし、メールに残ってまずいような内容でもないのだが、【加害者】からすると何か後ろめたいことがあるに違いない。問題の根本を解決せず、都合の悪いことだけを伏せさせようとするのは、隠蔽体質の強要だ

①この活動の経験が長いという優越的な立場を活かし、②本来解決すべき内容についての議論ではなく、都合の悪いことを書くなという謎の圧力をかけ、③【被害者】に疑念を持たせてしまう、というものである。

「この活動の自宅での作業を許容してやれ」というものだろうか?

口頭だと良くてメールだとダメな内容は、全く無くはないが、少なくともメールや文章に残されて嫌がられる内容は、まず何かを隠蔽しようとしている可能性を疑うべきである。

本来この問題で議論しなければならないのは、この活動を【業務】として行うならば、(A)上層部の指示に従い、工数管理して会社内での作業を義務付ける。もしくは、(B)活動熱心なメンバーにおける自宅での作業を許容するなら、【自己啓発】の位置付けに戻すよう再度検討しなおすかのいずれかである。

【業務】として実施するが、持ち帰り作業を許容するような抜け道を探そうとするから、責任者(【被害者】)が正しい行いをしても拒絶反応をしてしまうのではないだろうか?

このようなグレーゾーンはホワイトにしたいし、本例の【加害者】のような行為は普通の企業では起きないはずである。

【最後に】パワハラにおける考え方・まとめ

パワハラは加害者および組織の問題、被害者に責任はない

パワハラは加害者が未熟であることによって発生する。パワハラに関して被害者には非はない。被害者に改めるべき部分があると思えば、改めることは素晴らしいことである。しかし、パワハラを受けたことに対する責任まで取る必要はない

一方、パワハラ加害者は重い軽いいずれにしてもそれなりの処分と教育を受け、更正してほしい。パワハラの加害者を絶対に昇格させてはいけない。降格するくらいを当たり前にしてほしい。

パワハラ加害者となる可能性が高いリーダー、管理職には、パワハラの重大さを知ったうえで、チーム・組織で成果を最大化するために必要なことを学んでほしい。私は様々なリーダー、管理職を見てきた。技術や能力が高いベテラン社員はある程度いる。しかし、いくら能力が高くてもパワハラ気質なベテラン社員は、管理職にふさわしくないと判断している。組織のメンバーのパフォーマンスの最大化の妨げとなっているからである。チーム・組織で成果を最大化するためにパワハラはいらない。一方、被害者はパワハラを受けた状況にもかかわらず業務において一定のアウトプットを出しているなら、優秀な人材であると考えて良さそうだ。

パワハラがいけないことであるということは皆知っている。しかし、何がパワハラに当たるか、パワハラが発生したときにどのような影響が出るかを理解していないのではないだろうか。パワハラに関する研修や教育は行われているが、最悪命に関わるということを教えていないのではないだろうか。

パワハラ対策の第一歩は証拠集め

パワハラは加害者および組織の問題としながらも、被害者が対策しなければならない。実に理不尽だ。放置や無策、我慢することはお勧めできない。エスカレートするからだ。その対策の第一歩としては証拠を集めることだ。電子メールやチャットのやりとりでパワハラに繋がりそうなものがあれば残しておく、会話についてはスマホでも良いがICレコーダーで録音しておくことをお勧めする。裁判等で確実な証拠となる。

防犯カメラはこれまでは文字通り、犯罪調査に使用されることがメインでした。最近では、これに加えて職場などにおけるパワハラの証拠収集等、ハラスメント対策においてより重要性が高まっております。小型であり持ち運びしやすいこともあり、いつハラスメントに巻き込まれるか予測できない状況において、自分の身を守るためにも、是非携帯しておくことをお勧めします。


自分を守るための準備も並行して進める必要がある

パワハラは加害者を直接コントロールすることは難しい。被害者の方々には、まず自分を守ることを優先していただきたい。できればパワハラが発生するような環境から離れ、他の環境に移ることができるようにしておくことが望ましい。本来、被害者側に要求しなければならないことは社会的に非常に残念ではあり、理不尽ではあるが、パワハラ被害に遭う前から、転職、起業、フリーランス、副業など準備を進めておくことが、被害者個人でできる対策である。あらゆる手段で自分の人生を守るよう、準備を進めておくことをお勧めする。それくらい日本のハラスメント対策は国際的に見ても遅れている。
o08usyu7231.hatenablog.com
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